【落語会報告】20160727根津特選落語会・立川流兄弟会

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 7月27日の落語会夜の部は、第一回立川流兄弟会である。もともと根津特選落語会という企画自体が、故・立川談志が晩年をこの地で過ごしたことから生まれたものだった。せっかく立川流と深い縁があるというのに、現在は落語会が行われていない。それはあまりにももったいないということから、根津にもう一度落語会の文化を根付かせたいという希望が出て、ちょっとしたご縁から私にお声がかかった次第である。

 本来は立川流高弟3名、土橋亭里う馬、立川左談次、立川談四楼の3師が出演の予定だったのだが、直前になって左談次師が検査入院されたため、二人会の形になった。

 以下は演目。

 一、元犬 只四楼
 一、権助魚 里う馬
 一、ぼんぼん唄 談四楼

 仲入り

 一、対談「あのころの談志一門」 里う馬・談四楼
 一、へっつい幽霊 里う馬

 この日のお客様はほどがよく、おそらくは演者にとって最もやりやすい雰囲気だったのではないかと思う。何を言っても笑うような感じではなく、勘所をわきまえたところでどっと受ける感じ。第二回以降もぜひお越しいただきたいものだ、と会場の隅で密かに思った。

 ぼんぼん唄は珍しい噺だが談四楼落語夏の定番で、地元のお客様へのサービスだろうか。後半、女房が子供を返すのはいやだとごねるところなどに、濃い情が感じられた。へっつい幽霊は三代目三木助を彷彿とさせる型で「塀越しの話だから間違ってたらごめんなさいよ」と熊が入ってくるところなどはぞくりとするような凄みがあってよかった。権助魚は、権助の山だしの言葉がたまらなく笑いを誘う演出である。

 トークの内容については、今のところ会場にいらっしゃった方だけのお楽しみということで一つ。いずれ回を重ねてまとまってきたら、別の展開も考えたいと思う。

 次回は会場・演者などの手配がうまくつけば11月開催の予定である。どうぞご期待ください。

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【落語会報告】20160727根津特選落語会・おいしいらくご台所

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 仕事のかたわら、というかやがてはきちんとした仕事になればいいと思いながら落語会のお手伝いを始めて3年近くなる。去る7月27日、ついに100人規模の会場に進出した。文京区立不忍通りふれあい館という施設で、昼夜2興行を手がけたのである。今回はそのご報告をさせてもらいたい。

 昼興行は「おいしいらくご台所」と題して、柳家花緑一門のお弟子さんたちにご出演を願った。春に真打昇進を果たした台所おさんさんが主任、開口一番にはやはり5月に二ツ目昇進したばかりの柳家圭花、そして柳家花ん謝、柳家緑太という布陣である。

 演目は以下のとおり。

一、トーク おさん
一、初天神 圭花
一、ろくろっ首 花ん謝

 仲入り

一、町内の若い衆 緑太
一、三軒長屋 おさん

 冒頭のトークには私も呼び出されてちょっと参加した。あえてトークを入れたのは、花ん謝さんが別の仕事から移動してくるためで、ちょっと時間稼ぎの意味もあったのである。圭花さんが団子で落とさず凧まで「初天神」を演じたのもそのためだ。子供の可愛い、よい初天神でした。

 花ん謝さんは急ぎでやってきて汗をかいたことを枕にろくろっ首へ。素っ頓狂な松公(与太郎)で楽しい。仲入りを挟んで緑太さんの町内の若い衆は考え落ちの噺だが、すっきりして感じがよく、同行した子供はこれがいちばんおもしろかったと言っていた。

 おさんさんは三軒長屋を最後まで。真打昇進からこのかた、自分のものにするためにあえて大きな噺に挑戦しているように見える。この日の三軒長屋は建物の空間がよくわかるような演出で、聞きやすかった。役者として劇場の舞台に立った経験が活かされているのかな、などと思う。

 平日の昼間で心配されたが、蓋を開けてみればまずまずの入り。とりあえずは胸を撫で下ろした興行だった。ご一門にはまたぜひ根津に来ていただきたい。

(続く)


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ひさしぶりに落語会のはしご 田原町~落語協会

 ブログではおひさしぶりです。最近もそれなりに真面目に仕事をしておりまして、8月に本が出ます。これまであまり出してこなかった分野の本ですので、お楽しみに。今回は、日々のつれづれをメモ風に。

 土日はあまり趣味の外出はしないようにしているのだが、昨日は書いても書いても終わらなかった文庫解説原稿を徹夜して終わらせたということと、家族がそれぞれの用事で出かけていたということもあってひさしぶりに自分に許可を出した。落語成分の補給である。


 昼頃に起きだして、まずは浅草ことぶ季亭(銀座線田原町駅)にて立川談幸さんの独演会にうかがう。以前から気になっていた(案内に着物の方割引がある)談幸さんの定期会である。場所がよくわからず10分ほど遅刻した。マンションの一室を舞台ありの部屋に作り変えた貸席で定員は30名ほどか。演目は、だくだく/品川心中/子別れの三席で、子別れは亀ちゃんが愛らしくてよかった。番頭さんが鰻屋で間に入って口をきく形で、落ちに改変がある。談幸さんのオリジナルだと思うが自信なし。


 終わってしばし街を散策し、次の会をどうするか検討した。可能な限りはしごをするつもりである。本当は午前中に雑司ヶ谷で三遊亭ぴっかり☆の会があったのでそちらにも顔を出したかったが、徹夜明けでさすがに無理だった。目当ての会はいくつかあったが、最終的には落語協会の二階で行われている「初演の会」に行くことにする。17時から受付開始で、事務所の前に行くと立川談四楼さんの下北沢でよくお会いするAさんがいらっしゃった。Aさんはこの会の常連である。


 毎回三題噺が宿題になっていて、それを始めに披露、それから演者が初演、もしくは蔵出しの噺をそれぞれ演じるという形式らしい。今回の三題噺当番は馬桜で「脱線事故/台所/お蔵入り」の宿題であった。次回は「クマモン/夏祭り/三度笠」ということに決まった。演目は、真田小僧 はな平/夏泥 菊生/小言幸兵衛 馬桜で、この最後の小言幸兵衛が非常によかった。馬桜さんはご案内のとおり元・立川談生であり、家元談志に小言幸兵衛の稽古をつけてもらった思い出をまくらにされていた。幸兵衛のモノローグから始まる導入がよく、口調だけでおなか一杯となる。


 終演後は打ち上げがあるとのこと。Aさんに誘っていただき、少し迷ったがまぜていただいた。実は19時半から千駄木で行われている入船亭遊京さんの勉強会を覗いて、そのあとは末広深夜寄席、という肚づもりもあったのだ。しかしツイッターで見ると、遊京さんの会は途中入場ができないとのこと。おそらくは会場の都合で仕方ない。小言幸兵衛でじゅうぶん満足していたこともあり、ここは卑しく数を聞くことにこだわるのは止めようと思い、落語会巡りは中断した。


 帰宅しつつメールを見ると、かねてより落語会をお願いしたいと思っていた方から、出演希望の連絡をいただいていた。しめこの兎である。大歓迎で一人会ですか、二人会ですか、とお聞きすると二人会をご希望で、他の二つ目を連れてきていただけるとのこと。言葉は悪いがまるで友釣りで、たいへんありがたい仕儀と相成った。
早々に床に就き、いつも通り夢も見ずにぐっすり眠る。

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JAL機内誌の連載が最終回を迎えました

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2015年12月号で執筆の最終回を迎えたJAL機内誌「SKYWARD」エッセイ欄、1冊の本を切り口にして、国内・海外の旅行の記憶、そしてその月らしい話題を語るという三題噺的な縛りの連載でした。私の当番は終わりましたが、欄自体はまだ続きます(と思う)。どうぞご贔屓に。

下記に、この欄でとりあげた本たちをリストにします。海外と国内の作品をほぼ交互に紹介しておりました。

2014年10月
ローラ・インガルス『大きな森の小さな家』(福音館書店)
2014年11月
梶よう子『お伊勢ものがたり』(集英社)
2014年12月
ジャック・ロンドン『柴田元幸翻訳叢書 火を熾す』(スイッチ・パブリッシング)
2015年1月
福沢諭吉『福翁自伝』(岩波文庫)
2015年2月
レーナ・レヘトライネン『氷の娘』(創元推理文庫)
2015年3月
森沢明子『異本源氏物語 先年の黙』(創元推理文庫)
2015年4月
増田俊也『七帝柔道記』(角川書店)
2015年5月
ジェフリー・ユージェニデス『マリッジ・プロット』(早川書房)
2015年6月
恩田陸『月の裏側』(幻冬舎文庫)
2015年7月
ルー・バーニー『ガットショット・ストレート』(イースト・プレス)
2015年8月
川端裕人『リョウ&ナオ』(光村図書出版)
2015年9月
トーベ・ヤンソン『ムーミンパパ海へ行く』(講談社文庫)
2015年10月
伊集院静『ノボさん』(講談社)
2015年11月
J・D・サリンジャー『フラニーとズーイ』(新潮文庫)
2015年12月
アガサ・クリスティー『ポアロのクリスマス』(クリスティー文庫)

「クリスマスにクリスティーを」とやるつもりだったのに、最初の年に忘れていて、こっそり慌てました。というのもこの連載、3ヶ月ごとの更新だったので、次のクリスマスまで首がもつか、わからなかったからです。でも幸い、他に候補者が見つからなかったのか、無事に2回目のクリスマスを迎えることができました。読んでくださったみなさまのおかげです。

本は毎回、その月にふさわしい内容のものを、と考えて決めました。新嘗祭、焚火、夏休みなど、一応それらしくはなったと思いますが、いかがでしょうか。いちばん苦労したのは、この選書でした。

私は普段、自分語りをしない方針なので、こうやって自分のことを話しながら本について書くのは、実はたいへん難しかったです。たいへん勉強になりました。機会を与えていただいて、感謝申し上げております。またこういう形の連載を、どこかでやれればいいのですが。


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12/6は春風亭吉好さんの新作落語ファクトリー#3

 落語芸術協会の二つ目、春風亭吉好さんが新作落語のネタおろしに挑む新作落語ファクトリー、来週日曜日に第三回が開催されます。
毎回1本のネタおろし、それを次回までにあげて(改善して)きて再演する。そのくり返しで、どんどん新作のネタを増やしていく、という狙いの会です。

 第一回はこちらに動画の上がっている「もえほめ」。


(高座の一部始終とその後の批評会の模様がご覧いただけます)
奥さんの機嫌を損ねた後輩のために、会社の先輩が女性のもえポイントの見つけ方を指南するというお噺でした。

 第二回、つまり今回あげてくる予定が「のべる」。
原稿を落としそうな作家の先生の担当編集者と編集長が、今ある素材だけでどうやってページを埋めようかと相談する。一部の職業の方にはおなかが痛くなりそうな内容です。
 
 第三回はどのような新作がネタおろしされるのか、今から私も楽しみにしております。
日曜夜ですが、国民的アニメとか座布団運びの番組とかをどうしても観たいという方以外はぜひいらしてください。吉好さんはおもしろいよ。

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11/24は笑福亭羽光さん単独ライブです

明日は落語芸術協会の二つ目、笑福亭羽光さんの単独ライブです。

私小説落語として、羽光さんの半生記も落語化して語っていただく予定です。

というのも羽光さん、18歳で高校の同級生と組んで漫才師デビューを果たし、その後大阪学院大学に進学して落語研究会に所属し、本格的に芸人を目指したという早熟の才能の主であります。1998年には4人組ユニット「爆裂Q」を結成して本格的に活動を開始、そのかたわら、講談社週刊少年マガジンの第35回ギャグ漫画新人賞を獲得し、「のぞむよしお」名義で漫画創作も行います。「のぞむよしお」の由来は作画担当の松田望と原作の中村好夫の名前を取ったもので、中村好夫は羽光さんの本名です。そして松田望こそは、かつて高校時代に漫才コンビを組んだ相方でした。

2007年に「爆裂Q」を解散し、落語芸術協会の上方真打・笑福亭鶴光さんに入門、2011年に二つ目に昇進します。有望な若手二つ目が参加する興行「成金」のメンバーとして、存在感を示している実力派であります。
そんな羽光さんの創作力の源について触れてみたいというライブです。新作落語の他、トークコーナーでもお楽しみいただけます。平日ではありますが、どうぞ奮ってご参加くださいまし。

 写真は、週刊ヤングジャンプに連載されたのぞむよしお(笑福亭羽光さんと友人松田望氏の合作チーム)の代表作『性的人間』です。「どうていまんが」とあるとおり、実にヤンジャンらしい、下ネタギャグ漫画。作者自身をモデルにした登場人物が主役を務めます。

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珍しくフランス週間「読書の秋2015」・その1 セリ・ノワール対談

 数ヶ月前にEU各国の文化部や広報部の担当者が集まる会合に招かれ、日本の海外ミステリー翻訳史について簡単な講演をしてきた。ミステリーを通じての国際交流が少しでも深まれば、という考えである。

 それからしばらくして、フランス大使館文化部のご担当者から、「秋にピエール・ルメートルが来日するので、日本作家をゲストでお呼びするのにアドバイスをしてほしい」という旨の連絡メールを頂戴した。ほとんど何もしていないのだが、面識のある法月綸太郎さんとの交渉の仲介だけはやらせてもらい、10月31日に東京で藤田宜永さん、11月2日に名古屋で中村文則さん、4日に京都で法月さん、という対談の組み合わせが決まった。

 並行して連絡があり、「セリ・ノワール叢書の編集人と友人の作家が来日するので、その対談の司会をしてくれないか」という話があった。もちろんこれも喜んで引き受けた。喜んで引き受けすぎて、後から「あのー。言語が不如意なのですが、同時通訳は入れていただけるのでしょうか」と間抜けなメールを送ってしまったほどだった。

 セリ・ノワール叢書は1945年に刊行された、現時点では世界最古のミステリー叢書である。初代マルセル・デュアメル、二代ロベルト・スウラを経て、三代目には作家のパトリック・レナルが着任した。そのアシスタントを務めていたオウレアン・マッソンが、レナルの離脱を機に四代目編集長の座に就いたのが2005年のことである。以来10年間、マッソンは、セリ・ノワールを率いるボスとして辣腕を振るい続けている。日本には紹介されていないが、重厚長大な作風で知られるDOAなどに執筆の舞台を与え、カリル・フェレというベストセラー作家も育てた。映画「ケープタウン」の原作「Zulu]の著者である。

 トークイベントのもう一人のゲストであるセバスチャン・レゼーはマッソンの友人だ。才能を見込んだマッソンは、レゼーが自作を書き上げるまでの生活手段としてガリマール社の翻訳部に籍を置かせ、英語からフランス語への翻訳紹介を担当させた。レゼーはアジアを放浪した後で京都に行きつき、そこに今も住んでいる。彼の愛読書は『葉隠』で、2008年にはフランス語への翻訳も担当した。左腕には「葉隠」の文字のタトゥーも入っている。レゼーが2015年5月にセリ・ノワール叢書の一冊として発表したデビュー作L'alignement des équinoxesは、『五輪書』を読んで宮本武蔵に私淑した女性が、パリで純日本風の生活をしながら精神修養を収めるという話らしい。主人公のカレンは、日本刀で闘うのだ。

 イベントは最初、11月4日開催とされていた。しかし、無理を言って11月6日に変えてもらった。4日は京都に、法月×ルメートル対談を聴きにいくつもりだったからだ。無理は聞き入れられ、日程は6日に決まった。

 そこからマッソン、レゼーとのメールによる打ち合わせが始まったのだが、困った事態が出来した。パンクスを標榜するマッソンが「セッションのように、ぶっつけ本番で起きるものを大事にしたい」と言い出して、細かい段取りを事前に決めることを拒んできたのだ。そう言われれば従うしかない。とりあえず私からは「こういう作家について話をしたい」とのみ伝え、当日を待った。

 11月6日、後述するが前日まで京都にいた私は疲労の極致といってもいい状態で(無用の運動をしてしまったからで、自業自得なのだが)、そのため逆に肩の力が抜けた状態になっていた。とりあえずセリ・ノワール叢書の全リストと、J・P・シュヴェイアウゼール『ロマン・ノワール』(平岡敦訳/白水社文庫クセジュ)などを参照にした年表だけを手元資料として持参した。イベント時には出さなかったが、実は言及できたらしたかったフランス・ミステリーの訳書なども用意していたのである。しかしマッソンが「セリ・ノワールの歴史についてはあなたのほうが詳しい。私が知っているのは今自分が携わっている本や作家のことだけだ」と冒頭に言ったので、これらの資料はほとんど使わずに終わった。

 そんなわけで結構不安材料を抱えていたトークイベントだったのだが、実際には大過なく終わることができた。意外だったのは客層で、日本人よりもフランス人のほうが多かったのではないだろうか。彼らにとってはガリマール社のセリ・ノワール叢書は身近なものだろうから、関心を持って聴きに来てくれたのである。それに比べ、日本人観客にはそれほど馴染みのない題材の話だったかもしれない。来場いただいたのは本当に好奇心旺盛な方ばかりなのだろう。その知的関心の広さと高さには驚嘆するばかりで、また感謝申し上げる。

 トークの内容を議事録にまとめるという話は聞いていないので、もしかすると来場者の記憶に留まるのみの催しになるかもしれない。その意味でも貴重な90分のセッションだった。

 以下、印象に残ったトピックを羅列しておく。

・マッソンの編集姿勢は、職業的書き手、ルーティンワークで小説を生み出せる作家よりも、文学的冒険者を尊重するもので、とにかく「文学を書くようにミステリーも書いてもらえれば」という趣旨の発言が目立った。日本にもジャンルの束縛を逆にジャンピングボードとしてとらえ、文学的冒険に乗り出す書き手がいる、という趣旨の説明を試みたが(『ディスコ探偵水曜日』の話をした)、あまりピンとこなかったかもしれない。

・1970年代末の「ネオ・ポラール」の爆発的流行については、「最悪にして最良の出来事だった」と短く回答。最悪というのは、極端な政治活動を行う作家がそれによって出現したためであり、最良というのはネオ・ポラールが注目されることによって新しい書き手が多数出現したからだ。マッソンの姿勢は「右も左も両方存在しうる自由さがあるのが望ましい」というもので、ネオ・ポラールの時代にも極左と見られたマンシェットと極右とされたA・D・Gが並存した、という例をやはり引き合いに出していた。ただし、マンシェットについては、周囲が思うほど彼は左翼的ではなく、むしろ謎の部分を内奥にもった、複雑な作家だったということを強調していた。

・ショックだったのはセリ・ノワール社の初期を支えたジェイムズ・ハドリー・チェイスやピーター・チェイニーといったスリラー作家について「もはや回顧されることもない作家で、ルーティンワークでしか作品を生み出すことができない書き手だった」という切り捨て方をしたことだった。会場にいらっしゃった藤田宜永さんから後で「彼は若いから、そのへんの影響力は知らないんだよ」と慰められたが、なるほどマッソンは1975年生まれで私よりも若いのである。


 いろいろ興味深いことも他にあったが、まずはこれくらいで。思い出したらまたメモします。

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第二回博麗神社例大祭御礼

 昨日の博麗神社秋季例大祭ではお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
 今回は新刊『こんにちは、博麗霊夢』と、既刊『東方同人誌マストリード100の・ようなもの』(2014例大祭)、『博麗霊夢はそこにいる』(2014秋季例大祭)、『博麗霊夢がやってくる』(2015小春小径)、『博麗霊夢はどこにいる』(2015例大祭)を持参しました。このうち『博麗霊夢がやってくる』のみ在庫僅少で、すぐに売り切れてしまい、失礼しました。

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【秋季例大祭開始直前の私】

 新刊『こんにちは、博麗霊夢』は〈博麗霊夢の日々〉シリーズの第4弾です。
〈博麗霊夢の日々〉シリーズとは、楽園の素敵な巫女・博麗霊夢が幻想郷で送る日々を綴ったもので、日常4割、非日常6割の、わりと呑気に進行していく物語です。よくご質問を受けますが、1冊ごとに完結しているので、単独でお読みいただけます(異変が解決するとまた日常に戻るようなものです)。また、原作準拠なので、二次設定ネタや、百合要素なども控えめになっていると思います(心眼で読んでいただくと、浮かび上がってくるものがあるかもしれませんが)。そして、全年齢対象です。

『こんにちは、博麗霊夢』表題作は、不意に博麗の巫女がいなくなってしまうところから話が始まります。やがて幻想郷中に突然火柱が上がる異変が連続して起き、火災によって魔法の森にいられなくなった霧雨魔理沙とアリス・マーガトロイドが成り行きで対策を講じることになります。もちろん霊夢の出番もありますが、どのへんで出てくるかは秘密です。おまけとして火災異変の後日談「博麗霊夢雲に乗る」が収録されております。こちらの主役は聖白蓮と四季映姫・ヤマザナドゥです。

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【こんにちは、博麗霊夢表紙。画・くまさん(赤色バニラ)】


 上記の新刊を含め、すべてのサークル〈腋巫女愛〉作品はとらのあな様の通販、もしくは各店舗にて委託販売をしております。『こんにちは、博麗霊夢』『博麗霊夢はそこにいる』の2冊のみ、新規委託なので現在予約扱いですが、間もなく発売される予定です。興味を持っていただいた方は、よろしければお買い求めください。

〈腋巫女愛〉作品通販ページ

 ちなみに秋季例大祭では、以下の数を販売しました。また、表紙画・挿絵を〈赤色バニラ〉のくまさん、編集を〈日々徒然〉の古翠さんにお願いし、販売にあたってはほむきちさんのお力を借りました。
『東方同人誌マストリード100の・ようなもの』13
『博麗霊夢はそこにいる』16
『博麗霊夢がやってくる』3(完売)
『博麗霊夢はどこにいる』21
『こんにちは、博麗霊夢』55

 今後とも杉江松恋と個人サークル〈腋巫女愛〉をよろしくお願い申し上げます。


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10/4 春風亭吉好・三遊亭はらしょう「新作落語ファクトリー」第2回報告

 この会は、ヲタク落語の推進者である吉好さんが、寄席などでも使える武器として幅広く新作ネタを増やしていく目的で始めたもので、毎回ネタおろしした新作を放送作家でもある三遊亭はらしょうさんにダメだししてもらい、次回までに直してきて再演するというものです。今回は、第1回のトリネタ「もえほめ」を再演、そして新作「のべる」のネタおろしがありました。

「のべる」(ネタおろし)吉好
「堀川さん」はらしょう
批評トーク

中入り

「やかん~紙切り」はらしょう
「もえほめ」吉好

※第一回のネタおろし時の「もえほめ」はこちらで見ることができます。お客様として来ていただいた方は、ぜひ見比べてみてください。

「のべる」は小説誌編集者と編集長を登場人物とする噺です。これが次回どのように進化するか。ぜひ来場してお確かめください。

次回の「新作落語ファクトリー」は12月6日(日)開催です。

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【はらしょうさんによる批評風景】


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9/18 台所鬼〆独演会「鬼が来た」第1回報告

 9月18日(金)は落語協会の台所鬼〆さん独演会でした。このかわった名前は、先代小さんが弟子につけたがっていたものらしく、残念ながら生前には希望者が現われず(元は天狗連の名前ではないか、と鬼〆さん)。孫の花緑門下の一番弟子が名乗ることになりました。ただし2016年春に鬼〆さんは真打昇進予定なので、この名前はあと半年限定。その間、うちでは鬼〆独演会を継続開催しますよ。

 このときも最初の依頼文に「2時間半程度で」と書いたら、「え、2時間半ですか?」というメールが。てっきり「長すぎる」というのかと思ったら「そんなにやっていいんですか」という反応でした。本当に2時間半みっちりやられ、、しかも質問コーナー、百面相と、落語以外の余興も入れてくださって、お客様は笑い疲れるぐらいに楽しんでいただけたと自負しております。

 だってこの内容なんだもの。

「真田小僧」鬼〆
「紀州」鬼〆
「百面相(余興)」鬼〆
「愛宕山」鬼〆

中入り

「質問コーナー」鬼〆
「大工調べ」鬼〆
「松曳き」鬼〆

 盛りだくさんの会でした。次回鬼〆さんは12月11日(金)に登場予定です。お見逃しなく。

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【百面相中の鬼〆さん】

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【質問コーナーで秘密の過去について答える鬼〆さん】

ご予約はこちら。

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«9/22(火) 立川志獅丸独演会「獅子王吠える!」第2回報告