(7/6)茶木さん流に言うなら「決まり○○」!

 下読みの後始末をしながら同時に「問題小説」のための本選びをしている。メインに採り上げる本は、先月(『1Q84』)に続き、またもや上下巻の作品だ。長いとそれだけ準備に時間をとられるが、今月これを採り上げないわけにはいかないでしょう。相棒の本もまた力作で、またもや苦戦しそうな予感。編集Kさんごめん!

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(7/6)応募原稿の綴じ方

 籠って下読み原稿をずっと読んでいる。もうすぐ終わりますので、関係者の方はちょっとだけお待ちください。

 さすがに最近は減ってきたが、二穴式のバインダーで綴じられた原稿は本当に読みにくい。卒業論文を提出する感覚なのかな。百枚を超える原稿の場合、あれを開きながらページをめくるためには常に両手を使う必要があり、ひどく面倒くさいのです。似たような理由で、二穴で紐綴じにしてある原稿も本当は迷惑だ。常に右手で読み終えた分の紙を押さえていなければならなくなるので、うっとうしいのである。

 好きなのは右肩に穴を一つだけ開けて、適度な余裕のある紐で綴じてあるもの。次点は同じく右肩をダブルクリップなどで留めてあるものだ。私はいつも自宅で読むので支障ないが、外出先で読む可能性がある下読みの人は、ダブルクリップ留めはいやがるかもしれませんね。原稿がばらけてしまうから。また、空けた穴に破れ止めのシールを一枚ずつ貼ってある原稿があるけど、最初と最後の一枚ずつだけでいいと思う。むしろ気を遣っていただきたいのは穴の位置で、本文の印刷箇所と穴は十分に離れていないと、紙を強めにめくらないといけなくなるので、敗れてしまう可能性がある。それを防ぐためか、原稿の上下を厚めの紙で挟んで表紙状にしてくる原稿があるけど、上記の理由によりそれはそれで迷惑です。破れるのが嫌なら、ちょっと高めの紙に印刷すること。

 まあ、どんな形に綴じてある原稿でも、読めれば別に問題ないですけど。

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(7/3)池袋のこと

 池袋コミュニティ・カレッジの「ミステリーの書き方」講座は、昨日二〇〇一年の七月期に入った。受講者は十三人になる見込み。不吉な数で実に素晴らしいですね。

 第一回ということで、昨日はいろいろと手を動かしてもらった。その場で私が即興の文章を考え、リレーで後を続けてもらうという試み。起(私)→承(受講者A)→転(受講者B)→結(受講者A)という形で、受講者Aの承がわかりにくいと受講者Bが転を書きづらく、自分が結を書けなくなるという仕組みだ。どんな話にしていいわけでもなく、最初に私から一人ひとりにお題を出して、それについて書いてもらうのである。したがって受講者が十人いれば、同じ書き出しから十通りの話ができる。

 これは、お話の中の構造体であるプロットを、ストーリーの中に自然に浮き上がるようにするにはどうしたらいいかという実験だ。お話の最後で突然「実は真相は○○で」と登場人物が語り出したら興ざめでしょう。「真相は○○で」と登場人物が語り出す前に、読者が無意識のうちに真相を悟っていなければいけないのである。「○○」と言われた瞬間に、みなまで言われなくてもすべてが理解されるぐらいが理想だ。

「実は私はふたごで」「だからあのとき、クリームソーダじゃなくて普通のソーダ水を頼んだのか!」
「実は私は男で」「だからDSじゃなくてワンダースワンを買ったのね!」
「実は熊で」「だから肉食なのか!」

 などなどと。そのピーンとくる感覚を文章で表現できていたら合格。これはミステリーだから最後の最後にプロットが発現する形だけど、他の小説ならプロットの埋めこみ方も変わってくる。たとえば継子いじめの話だったら、最後の最後に親子が実は血がつながっていなかったとわかるのがミステリーの書き方だが、普通の家族小説ならその事実を最初から明かして書くわけである。起承転結のリレーは、そういう形の小説でもできる。最初に指定したプロットから、外れないように後をつけていくわけである。「人違いの悲劇」の話のつもりがいつの間にか「二重人格」の話になっていたら×。

 そんなことを講座ではいつも話したり、実践したりしています。

 昨日の書き出しはたしかこんなのだった。

「 A美はオープンテラスのカフェにいた。会話をしながら同席者に向ける顔は憂いを帯びている。
 B夫は植え込みの影から妻の姿を見つめていた。腕時計に目をやり、時間を確認する。午後二時四十七分。
 背を向けていた同席者の男が姿勢を変えた。横顔を見たB夫は息を呑んだ。医師のCだ」

 文章がまずいのは、即興で黒板に書いたのを思い出しているからでご容赦を。この後に、あなたならどういう続きを書きますか?

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(7/2)幽

 最新号の見本をメディアファクトリーからいただく。今号でリニューアルがあり、書評が従来の一ページから半ページへと減らされた。文字数が変わるので、書き方も変える必要がある。今回採り上げたのは高橋克彦さんの『たまゆらり』。どこを切っても高橋さんを思わせる作家が出てくる、おもしろいホラー短篇集である。

 書きあぐねていた文庫解説が終わったので、今から講師の仕事をしに行ってきます。戻りは深夜。ぎっくり腰の按配が心配だ。

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(7/2)偶然

 雑誌「ナンプレファン」に連載している「より道ミステリー」というコラムは、書評にしては多くの感想を読者からいただいている。パズルの専門誌ということを意識して、「謎解きのスタイルに特色があるミステリー」「その作品から派生して読むと楽しい古典ミステリー」「パズルの要素がどこかに入ったミステリー」の三点を紹介する形式だ。パズルが好きな人ならこういうのも好きでしょう、とか考えながら作品を選んでいく時間が非常に楽しく、ついついいつも時間をかけすぎてしまう。読者以上に、自分が楽しんでいる連載かもしれません。だから、コラムを読んで実際に本を買ってみた、というような反響のお便りをいただくと、嬉しくなってしまうのだ。とても励みになります。ありがとう。

 そんな「ナンプレファン」の編集Kさんは、先に行われた本格ミステリ大賞トークショーに参加して、抽選でサイン色紙をもらったそうである。大賞の授賞式に参加したクラブ員すべてがサインを入れた珍品だ。知人にそれが当たるというのはすごい偶然だが、もちろん私の作為などではない(トークショーには参加していないし)。おもしろいこともあったものだ。ちなみにその色紙に私が入れたサインは、トークショー用の特別版で、普段はそういう書き方をしていません。普段サインをする機会なんて、あまりないけど。

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(7/1)新人賞

 第四回ポプラ社大賞は大賞・優秀賞ともに該当作なしという結果に終わったとのこと。第二回、第三回と大賞が出ていないわけで、苦渋の選択だったと思う。しかし編集部の判断を支持します。第三回の優秀賞、特別賞受賞作品のレベルを上回るものでなければ大賞には値しないというのは当然のことだ。次回以降もこうした厳しい姿勢で臨んでもらいたい(今年でポプラズッコケ文学賞が二年目を迎えるが、児童文学を切り分けたのはいい判断だったと思う)。

 だけど、募集時期はそろそろずらすことを検討してもいいかも。二月末〆切だと新潮エンターテインメント大賞と同時である。ざっと羅列すると、
 一月上旬 ダ・ヴィンチ文学賞
 一月末 小説現代新人賞、江戸川乱歩賞
 二月末 ポプラ社小説大賞、新潮エンターテインメント大賞
 三月末 小説すばる新人賞
 四月末 日本ファンタジーノベル大賞
 五月上旬 日本ミステリー文学大賞新人賞
 五月下旬 小松左京賞
 五月末 「このミステリーがすごい!」大賞
 七月末 横溝正史ミステリ大賞、日本SF新人賞、野性時代フロンティア新人賞
 十月末 日本ホラー小説大賞、鮎川哲也賞
 十一月末 松本清張賞
 と、メジャーな賞はこんなものかしら(抜けや間違いがあったら失礼)。
 
 二月から五月が、各賞の〆切が重複する繁忙期に当たる。ここを外すと、だいぶ応募者の顔ぶれも変わってくるような気がするんだけど。八月末なんかどうだろう。お盆休みを利用して追い込みをしてくる応募者が結構いるのではないかな(夏休みに執筆する学生も)。

 新人の発掘は大事なことだから、今回の結果に腐らずポプラ社には大賞を継続してもらいたい。

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(7/1)消えていません

 ココログが半日システムエラーのため飛んでいたが、深夜になって復活。404エラーが出ていたので、一時はどうなるかと思った。この機会にちゃんとバックアップをとっておかなくちゃ。

 今週はぎっくり腰やブヨ害のせいもあって外出は最小限にとどめることにする(役員会を来週に延ばしておいてよかった)。みなさん、来週以降にお会いしましょう。とりあえず今日の課題は、ずるずると延ばしてしまっている文庫解説の仕事を片付けることだ。

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(6/30)新雑誌に原稿

「時感」という雑誌が創刊されました。五十代以上の方が主読者として想定されていて、仕事がひと段落した後の人生をゆたかに過ごすためのさまざまな指針を提供する雑誌、というような感じでしょうか。特集の一つに時代小説のブックガイドが掲載されていて、私が作品選択と本文を執筆しています。普段あまり時代小説について書く機会がないので、楽しい原稿書きでした。荒山徹『十兵衛両断』とか紹介しちゃいましたよ。

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(6/29)新人賞関連

 春先からいくつかの新人賞下読みを担当して、時期によっては複数の新人賞応募原稿が玄関に山積みになっているような状況だったのだが、ようやく落ち着いた。今、家にあるのは「このミステリーがすごい!」大賞の応募原稿だけである。進捗状況はようやく六割というところか。いくつかおもしろいのがあったので、二次へ通すときにはまた悩むことになりそうだ。来週ぐらいまでには終えて、戻します。

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(6/29)ジョン・グリシャム新作

 新潮文庫から出た『謀略法廷』の解説を書いた。翻訳者は、新潮文庫ではいつも通りの白石朗さんである。企業に対する懲罰的賠償請求を扱った裁判小説で、後半以降の展開がグリシャムらしいというか、リーガル・スリラーの域を超えた全体小説になっている。骨太の内容なのに、実に読みやすい。単純におもしろい本が読みたい、という方にお薦めします。


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