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武藤敬司自叙伝

武藤敬司自叙伝

 天才プロレスラー武藤敬司の自叙伝。自叙といっても聞き書きでライターがまとめていることは明らか。人名表記が、武藤の口調になっているもんね。ダニー・クロパット→クロファット、キャビン・サリバン→ケビンが日本における一般的な表記である。

 武藤ファンなら読むべき本だが、スキャンダラスな話題はあまりない。新日本プロレスを離脱する直前にはかなり煩悶があったはずなのに、そのへんはあっさりと流してしまっている。しかし下半身話などの下世話な話題は多いので、楽しめるはずである。レスラー目当てのグルーピーをリング・ラッツというらしいが(ミスター・ヒトはアリーナ・ラッツと呼んでいた)、同行していたケンドー・ナガサキと二人組の女の子をナンパして部屋に連れ込んだら、それが実はオカマでナガサキがシャワー室から全裸で飛び出してきた事件とか、23歳のときに17歳の高校生とできてしまった話とか(今の日本はもちろん当時のアメリカでも犯罪だ)、おおらかに語られていて、細かいことにこだわらない武藤らしい。ちなみに初体験は仙台柔道専門学校時代にソープランドで済ませたそうである。

 細かいことにこだわらないといえば、新日本時代の武藤は後輩レスラーに関心がないことで知られていた。そのためかプロレス界特有の、いわゆる「かわいがり」はしなかったそうなのだが、同僚レスラーの「H」は空気銃で寝ている新弟子の顔を撃つなど、やんちゃの限りを尽くしたとか。「H」って伏字になっているけど、その前の段落で「橋本真也」って書いてあるから、正体は丸わかりです。

 あと、新日本時代の武藤といえば「顔はいいけど頭がちょっと」で、中西あたりにアルゼンチン・バックブリーカーで抱え上げられたりすると、背骨よりもむしろ掴まれている頭髪へのダメージが心配になるほどだった。当時の武藤は完全なベビーフェイスだったので、頭髪問題についてはテレビ朝日の実況中継でも語るのがタブーになっている感じがあった。その辺について本人は自分でも気にしていたらしく養毛剤を試していたことも告白。アメリカでは観客に「ムタ・ニーズ・ロゲイン!」とのプラカードを出されたとのことである。その結果開き直ってスキンヘッドにしてしまったわけですね。

 もう一つ気がつくのは、アントニオ猪木に対するコメントがほとんど無いこと。猪木初対面の印象も「うわあ、ブラウン管で見るアントニオ猪木と同じだよ」と感動したのも束の間、公称192センチの猪木に対して「あれ、俺より低いじゃん!!」と失礼千万にも驚いたりしている。武藤は公称188センチだから、やんわりと暴露しているわけだ。やはりこの人は猪木チルドレンではないし、移籍すべくして全日本に移籍したのである。

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