日本の“珍々”踏切
お寺の境内を横切っている踏切、新幹線が通る踏切、遮断棹が13本もある踏切など、日本全国の珍妙な踏切を集めた本で、ちゃんと路線名、駅名と簡単な地図がついているのが嬉しい。全国踏切マニア(フミキリストというのですと)必読書。
今、日本の主要な路線は立体化、高架化が進められているので、本書で紹介されている踏切の現状も、刻一刻と変化しているのだという。本書の中でも路線が廃止され、用済みとなった踏切の姿が紹介されていた。東京・汐留には日本発の鉄道路線の史跡として残されている踏切もあるそうだが、本来の用途を失った踏切はやはり淋しいものだ。赤瀬川源平の提唱した「トマソン」だね、つまり。そうまでして生きながらえて、果たして嬉しいのか踏切よ。え、どうなのだ。
珍踏切のほか、いわゆる「開かずの踏切」も紹介されていて、そのくだりは鉄道の今をとらえたルポルタージュとして読んでもおもしろい。鉄道にまったく関心のない人でも楽しく読める好著だ。