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舘一男『私はこうして糖尿病患者を救っている』主婦と生活社

 糖尿病患者が糖尿病の関連書籍を読む理由は、

1)自分の病気がどの程度のものか知りたい。
2)自分の担当医の治療法が適切であるか知りたい。
3)自分の担当医が勧める以外にどんな治療法があるか知りたい。
4)自宅で自主的にできる治療法を知りたい。

 といったところに分類できるだろう。1)は「境界例」(空腹時血糖値が110~126mg/dl)の人に多いはずである。糖尿病の場合、発症してしまえば教育入院の効果もあって病気についての知識が増えるため、入門書に書いてあるようなことはほとんど読まなくてもわかるようになってしまう。だから、本の売り方として「境界例」のお客さんをいかに「怖がらせるか」が大事なのである。怖がらせるというと言葉は悪いが、境界例のうちに病気についての正しい知識を身につけることは大事なので、この段階で厳しすぎるほどに厳しいことを言うべきなのである。ただし、糖尿病を恐れる気持ちにつけこんで悪さをする者がいないかどうかだけは、気にしておく必要がある。

 4)に関する本が多いのは当然のことで、糖尿病治療の基本が運動と食事療法だからだ。、糖尿病と宣告されてから、私の本棚には糖尿病食のレシピ本が一気に増えた。すぐに使えて、便利なのである。気をつけるべきなのは、怪しげな代替医療や民間療法を勧める本だ。実行しても体に影響がない、罪のないものならともかくとして、カルトめいた勧誘をするものには用心しなくてはいけない。

 2)と3)についての本は、現実に通院しながら治療をしている人が読むものだろう。普通に生活している限りにおいては糖尿病治療について学ぶ機会もそれほどない。したがって、発症してから泥縄的に病気の知識を増やしていくわけだが、そのときにはすでにどこかの外来にかかっていることになる。そこで改めて不安になり、糖尿病専門医の著書を探して読み始めるのである。

 『わたしはこうして糖尿病患者を救っている』の著者、舘一男氏はアントニオ猪木の糖尿病主治医である(猪木との共著もある)。この本は分類でいうと、2)にあたる本。一般の糖尿病医の不備、不勉強を糾弾する内容が中心になっている。書いてあることは真っ当で、要するに主張は「小まめに患者の病態の変化を調べて、最適な治療法を選ぶ(特にだらだらと薬物治療だけに頼らない)」「患者が自主的に治療に取り組む気持ちを削がない」にまとめられる。さらに追加するならば「血糖値を上げる主要因である炭水化物を制限し、グリセミック・インデックス(GI)値を取り入れた栄養指導をする」。GIというのは日本糖尿病学会では導入に慎重になっている考え方で、食物には血糖値を上げやすいものと上げにくいものがあるというものである(主食でいえば、白パン、うどん、白米などが上げやすい)。カロリーではなく、こうした食品の摂取量を制限対象にすれば、血糖値コントロールはしやすいというのである。これに対しては反論もある(たとえばGI値でデータがあるのは、食後二時間の値だけで、それ以降に血糖値がどんな変化をするのかはわかっていない、というような)。私自身は、自分がまだ納得がいくほどのデータを集めていないと感じているので、GI値を中心とした食事を始めるのは時期尚早だと思っている。GI値による食事制限を実施し、効果があったという方を頭から疑ったり否定するつもりはない。

 さて、2)の立場として本書を読み始めたわけであるが、舘氏が主張する「糖尿病医が当然実施すべき検査項目」で、私が知らされていないものは「GA(グリコアルブミン)」と「1.5AG(1.5アンヒドルグルシトール)」だった。前者は血液中の糖化蛋白質を測定するもので、過去2週間~1ヶ月の血糖値状況がわかる(ヘモグロビンA1Cは1~2ヶ月)。後者は血液中に存在する単糖類で、糖尿病が進行すると尿中への排泄量が増えて血液中に存在する量が減るのだという。……ちょっと心配。しかしヘモグロビンA1Cでコントロールできているから、今はいいや。

 私のことはともかく、現状の治療に疑問や不満がある人は一度読んでみても損はない本だと思う。舘氏の他の著書も、追いかけてみるつもりだ。

 と、まとめを書いてから著者のプロフィールを見て、驚いた。この本の中で、舘氏は自分が元務めていた総合病院で糖尿病治療がいかに不備で、合併症から失明した人が非常に多かったということを糾弾している(舘氏はもともと眼科医なのだ)。

 その病院って、私が通っているところなんですけど。しかも来月、私はその眼科で合併症の検査を受けるんですけど。

 なんだかさらに不安になってきた。でも、舘氏が某病院に勤務しておられたのが何年前までなのか、この本には書いていない。そのころの状況と今とは違うのだと、割り切ることにしよう。大丈夫、たぶん。

(付記)
 現在の舘氏は京都で舘眼科内科クリニックを開業し、レーシック手術などの眼科治療に当たっているようである。本書を執筆時に在籍していた東京八重洲クリニックは、どうやら現在休診中のようである。新しい病院で糖尿病治療を実施されているかどうかは不明。またT病院に舘氏がいたのは、平成元年までだそうだ。

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