(1/31)そり
本日は地区の児童館の行事でバスハイクに行ってきた。
富士山の二合目まで上って、遊戯施設でそり遊びをしようという企画。
明け方まで嵐のような空模様だったのでどうなることかと思ったけど、出発してみれば晴れ間も見えて、まずまずの天気に。
滑ってくる子供のそりを受け止めて返すという作業で半日を費やした。最近忙しくてあまりボランティア活動ができていなかったので、疲れたけど有意義な一日であった。こういう日もないと駄目だ。
本日は地区の児童館の行事でバスハイクに行ってきた。
富士山の二合目まで上って、遊戯施設でそり遊びをしようという企画。
明け方まで嵐のような空模様だったのでどうなることかと思ったけど、出発してみれば晴れ間も見えて、まずまずの天気に。
滑ってくる子供のそりを受け止めて返すという作業で半日を費やした。最近忙しくてあまりボランティア活動ができていなかったので、疲れたけど有意義な一日であった。こういう日もないと駄目だ。
昨日は飯田橋の角川書店で道尾秀介さん、千駄ヶ谷の河出書房新社で恩田陸さんの取材であった。
道尾さんには、本日発売の新刊『鬼の跫音』に関するインタビューをお願いした。初の短篇集である。タイトルは収録作の題名ではなく、全体に共通するキーワードとして後付けで考えたとのこと。談話収録後、ロビーで撮影をしていたら、ミステリマガジン編集長に就任した早川書房のKさんにばったり。バトンタッチで道尾さんにインタビューなのだという。世間は狭いものだと思いました。
タクシーで河出書房新社に急行し、恩田陸さんにインタビュー。お会いするのは、昨年『きのうの世界』の取材で伺った時以来である。『ブラザー・サン シスター・ムーン』は恩田さんが初めて大学時代について書いた作品。第一部の展開が『トリストラム・シャンディ』みたいなのがおもしろい。ついでなので先日の世界バカミス☆アワードの結果についてご報告申し上げる。「『官能的』に負けたのなら仕方ない」とのことであった。読んでいらっしゃるのね。
そんなわけで、本日は道尾秀介さんと恩田陸さんにダブルヘッダーでインタビューである。
よく考えてみたら前回の直木賞候補作家だよ、お二人とも。次はぜひ同時受賞してください。
しかしその前に学校に行かねば。今日は読み聞かせの当番の日なのである。ちなみに読み聞かせの本を選んでないから、今から図書館に行ってきます。
昨日は早川書房にうかがい、「ミステリマガジン」のための座談会に参加した。翻訳家の田口俊樹さんが座長、北上次郎さんがオブザーバーとして開かれているもので、今回が二回目。テーマは「翻訳ミステリーの梃入れのために何ができるか」だ。前回が書店員編、今回が書評家編である。池上冬樹さん、小山正さん、石井千湖さんに私、という参加メンバーで一時間半ばかり話し合った。
痛感させられたのは、いろいろ文句を言うよりも自分が頑張らなくては、ということであった。不景気なのは確かだし、本が売れない状況にあることは間違いない。出版社はどこも経営が危なくなっている。でも、それは全部「外」のお話である。業界がどうなろうと関係ない。自分が払うべき努力をしてから愚痴をいうのが筋である。
四の五の言う暇があったら本を読め。
四の五の言う暇があったら本を読め。
大事なことなので二回言ってみました。本を読もう。本業は、書評家だからな。それでもっていろいろ楽しいことを考えて企画していきます。業界の隅から地味に発信していくので、気が向いたら見てくださいね。
さあ、仕事!
早川書房へ向けて出かける時間が迫ってきたので準備をしていたら、電話が鳴った。
出てみたら、原稿の催促だった。
原稿といっても、商業誌ではなく、地域の住民会議で発行している「○○だより」に載せるものの方だ。原稿用紙二枚ぐらいで、地区のおまつりについて書いてくれ、と言われたのを、すっかり忘れていたのである。
「今日か、明日までには絶対にないと困るんですけど」
と電話の向こうの人は言う。編集者と違って、サバを読んでいないので、この絶対は正真正銘の絶対だろう。といっても、明日は午後いっぱい仕事が入っていて、午前中はその準備があるために身動きがとれなくなる。なんとか平謝りに謝って、明後日まで待ってもらった。それで、原稿の送り方は……。
「住区事務所のポストに入れておいてください」
メール送信は無理としても、ファックスぐらいは期待したのですが……。
そんなわけで明後日、生まれて初めて原稿を配達しに行くことになりました。自業自得ではあるが、やれやれだ。
本日夜は早川書房で「ミステリマガジン」の座談会に出る予定である。準備をしつつ、合間に書評の本探しのための読書をするつもりだ。短い時間だが、まとめて本が読める。嬉しい。
明日は道尾秀介さんと恩田陸さんにインタビューをするため、その準備もしている。恩田陸さんの『ブラザー・サン シスター・ムーン』は正統派の青春小説で、おもしろい。『きのうの世界』よりは、よっぽど直木賞向きだと思う。『チョコレート・コスモス』の方が量感があって向いていたかな? あれは候補作にもしてもらえなかったわけだけど。改めて不思議である。なんだかなあ。
『ブラザー・サン シスター・ムーン』はある高校から東京の同じ大学に進学した三人がそれぞれの大学生活を回想する内容で、私は第一部が好みだった。この「語り」は狙ってしたものだろう。チャーミングなのは第三部で、皮肉なモノローグがあってちょっと笑った。紋切り型のインタビューアをおちょくる箇所があるのだ。このとおりの質問を持っていったら、受けてもらえるかしら。中途で出てくるアラン・シリトーの訳文がどの作品にあったものか知りたくて本棚をひっくり返そうとしたら、ちゃんと本の最後に書いてあった。おお、親切だ。
いろいろな方が世界バカミス☆アワードの結果について採り上げてくださっているようで、嬉しい限りである。
ありがとうございます。
最終候補作選出に携わった者として、それぞれの作品の評価ポイントを書いておくのもいいかと思うので、下に記します。あくまでも杉江個人の意見なので、選考者の総意ではない旨、お含みおきください。
五十音順に
『官能的』鳥飼否宇(原書房)
三中篇+一短篇の構成。主人公・増田米尊の変態行動が数学風の話題へと転じていくという趣向は、冒頭の「夜歩くと」がもっとも優れていて、残る二中篇はそれほど徹底されていない。しかし、カー/ディクスン作品のパロディという要素もあり、いかに縛りを増やした中で作品を作っていくか、という作者の執念を感じた。最後の「四つの狂気」でさらに加算。驚天動地というほどではないが、サービス精神旺盛の趣向で好感が持てる。
『荒野のホームズ』スティーヴ・ホッケンスミス(早川書房)
ホームズ・パスティーシュ、西部小説、教養小説、相棒小説と複数要素をミックスし、捨てるところのない完璧なエンターテインメントぶりである、というのは以前にも書いた評。ホームズ・マニアの兄貴の設定でさらに点を稼いだ。ホームズ・パスティーシュとして、かなり手が込んだ仕掛けをしているし、何をするのでもホームズありき、というオフビート・キャラクターをヒーローとして成立させている点も偉い。犯人当てとしてもきちんとしている。
『ジョニー・ザ・ラビット』東山彰良(双葉社)
兎が主人公のハードボイルド、というだけでもかなり点は甘くなるが、出落ちで満足せず、擬人化の度合いを慎重に計算している点が良い。前半は黒人ハードボイルドの味、後半は破滅に向かって突き進むチェイス型の犯罪小説の味だ。特に後半は、絶対に理解しあえない運命にある者同士がバディを組むという、悲劇的な相棒小説としても出色である。プロットがごたごたしている点などが瑕といえば瑕だが、勢いで克服している。
『名もなき書』Anonymous(PHP研究所)
○○かと思ったら○○だった、という感じで、途中プロットが横滑りする。登場人物が無駄な動きをしたり、思わせぶりな伏線が途中放棄されたりするなど、出鱈目な部分は多いのだが、B級西部小説のパロディのような展開だけで許せてしまう。もっとも可笑しいのは、鳴り物入りで出てきた登場人物があっさりと死んでしまう展開が続く点。まるで、ゆでたまごの書いたウェスタン小説のようである。
『メアリー-ケイト』ドウェイン・スウィアジンスキー(早川書房)
これもグダグダ展開。おそらく作者がコミックブックの原作をやっているのが悪い方向に影響しているはず。だが寄り道のエピソードに楽しい味があり、正統派のサスペンスファンからは鬼子扱いされそうだが、庇護してやりたくなった一篇。なんといってもびっくりさせられたし。登場人物をピンチに陥らせるため、次々に無茶な設定を繰り出してくるところも稚気があって好感が持てた。こんな話なのに、きちんと物語に蓋が出来ている点も意外。
ひきこもりが慣れない人前に出る仕事を二日も続けてやったものだから、昨日は体調不良で頭が使い物にならなくなってしまいました。ただいま急いでリカバリー中です。
とりあえず原稿を三つ書いたら、土日のイベントについて補足の報告をしたいと思います。
では!
わー、ぱちぱちぱち。
昨日、東京・渋谷区の青山ブックセンター本店で、第二回バカミス☆アワード決定のトークイベントを開催した。来場者数は八十人超で、第一回のほぼ倍に近い人数である。素晴らしい。ご来場いただいた皆様には、改めて御礼申し上げます。みなさんの投票をいただいて、無事にアワードを決めることができました。また、イベントの告知には多数の方にご協力いただきました。本当にありがとうございます。
さて、最終候補作の発表である。
事前協議により、以下の五作を最終候補とした。
五十音順に、
『官能的』鳥飼否宇(原書房)
『荒野のホームズ』スティーヴ・ホッケンスミス(早川書房)
『ジョニー・ザ・ラビット』東山彰良(双葉社)
『名もなき書』Anonymous(PHP研究所)
『メアリー-ケイト』ドウェイン・スウィアジンスキー(早川書房)
この五作について、小山正(バカミスの名づけ親)・川出正樹(バカミスト)・杉江松恋(バカミス・フィクサー)の三名がプレゼンテーションを行った。『官能的』『荒野のホームズ』については、ゲストとして来場いただいた作者の鳥飼否宇さん、翻訳者の日暮雅通さんからもコメントを頂戴している。そしてサプライズ・ゲストであった東山彰良さんにもマイクを持っていただき(無茶振りですいません)『ジョニー・ザ・ラビット』をお書きになった経緯を話していただいたのでありました。
プレゼンテーション終了後、来場者に「読んでみたいと思う作品」を三作挙げていただくという方式で投票を行った。その結果一位に選ばれたのが、『官能的』である。鳥飼否宇さんには正賞として、彫刻「バカミスくん」が贈られた。奄美大島まで持っていってください、バカミスくん!(写真は後日公開)
ちなみに二位以下は『ジョニー・ザ・ラビット』『メアリー-ケイト』『荒野のホームズ』『名もなき書』という順位でありました。『名もなき書』が一位にならなくて本当によかったー。
公開選考会の模様は、後日「ミステリ・マガジン」でご報告いたします。お楽しみに。
なかはしさんが「ぼくのミステリな備忘ログ」で会の模様を紹介してくださっているので、そちらもご覧ください。あ、バカミス君の画像もあるぞ。
なお、会場を飾った書の数々は村野まりやさんが書いてくださったものでした。村野さんは風景を書とともに紹介する風筆家としても活躍しておられます。ブログ「風筆散歩」もぜひご覧ください。
さて今日は、バカミス☆アワードの日であります。
昨日の「このミス」大賞授賞式でサプライズゲストも確保できたし、準備は万端。
二日酔いだけどテンションをあげてがんばりますよ。
青山ブックセンター本店でお会いしましょう。
昨日は「このミス」作家公開講座→「このミス」大賞受賞式→会場近くの店で二次会、三次会という流れでした。
案の定、ただいま絶賛二日酔い中です。十四時からバカミスイベントなのに回復できるのか私は。奇跡よ起これ!
というわけで少し寝てきます。公開講座の模様は別途報告いたします。
ようやく本日の公開講座のレジュメが出来ました。
当日の来場者だけにお渡しする特別版なので、ちょっとだけ親切に作ってみましたよ。
来場者は結局何人くらいになったのかしら。
不安でしょうがないのですが、とりあえずがんばります。
終了後は、移動して第七回「このミス」大賞の授賞式に出席です。明日もあるから、今日は早く帰ろうっと。
ちなみに明日、子供の友達が家に遊びに来るのですが、屋内でオリエンテーリングをやりたいとのことなので、そのための問題作りもやらなくちゃ。屋内でオリエンテーリングって、どんだけ広い家なんだ、という話ですね。狭い家なのに、大丈夫なんだろうか。すぐ見つかってしまうような気がするんだけど。
早川書房から「ミステリマガジン」三月号をいただく。
この雑誌は例年三月号で「わたしのベスト3」と年間回顧の企画をやっていた。三月号だけやけに分厚くなっていたものだが「ミステリが読みたい!」なる別冊ができたため、昨年からはその分厚い三月号が届かなくなった。古くからの読者としては、なんとなく物足りない気持ちである。思うのだけど、「ミステリが読みたい!」は止めちゃったらどうかな。類似企画本はいっぱいあるわけだし、老舗専門誌が他所の真似をしなくてもいいと思うのだけど。
今月号の特集は「デス・クルーズへの招待」で、近藤史恵さんがエッセイを寄稿しておられる。昨年のMYSCONに参加された方は、にやりとさせられる内容です。巻頭のインタビュー「迷宮解体新書」は永井するみさんがゲストである。ミステリーYA!の三浦凪シリーズの今後についても語られている。どうやら第四弾までは構想がある模様だ。ファンとしてはとても嬉しい。
その三浦凪シリーズの最新作『レッド・マスカラの秋』についてHMMレビューで福井健太さんが「大多数の男性読者にしてみれば、本作の題材と事件はどうでも良いことに違いない」「しかし重要なのは素材よりも調理法であり、女子高生の友情と価値観をベースにしたドラマ性、明瞭なキャラクター造形、彼女たちの屈託のない言動などは高く評価されるべきものだ」という書いていることには同意します。まさしくそのとおり。三浦凪シリーズの価値はまさに「書きぶり」にあり、十代女子の生活の中からすくいあげた素材をミステリのプロットで書く、しかも伝統的なハードボイルドの行動律を応用して書くという点にあるのです。
前作『カカオ80%の夏』は、主人公に明確な目的意識があって、読者が深く共感することができた。また、主人公の行動が周囲の人間を賦活するという副次の効果もあり、「読んで元気になる」良質の作品になっていたのである。第二作となると、キャラクターが定着した分、初見よりは新鮮味が薄れてしまう心配があった。『レッド・マスカラの秋』は友人の危機を救うために凪が動く話なのだが、やはり前作よりは若干共感度が落ちる。それを補うものとして描かれているのが、十代の一時期にしか共有することができない清潔な友情、淡い連帯だ。girlsfoodにあたるうまい訳語を思いつけないのだけど、つまり少女であること、少女の気持ちであることを描いた小説なのですね。そうした主題を描くのであれば、今後のシリーズではハードボイルドのプロットにこだわらなくてもいい(ミステリじゃなくてもいいとさえ思うのだ)。つまりは自由に、のびのびと、三浦凪という主人公を描いていってもらいたい。永井さんに期待しています。
本号の拙稿は『天外消失』『ユークリッジの商売道』『おかけになった犯行は』『ベベ・ベネット、死体を発見』の四冊を採り上げた。『天外消失』は素晴らしいアンソロジーだが、やはり『37の短篇』はそのまま復刊すべきであった。巻末座談会を削ったのも痛恨の編集方針ミスだと私は思います。どういう趣旨で編まれたアンソロジーなのか、さっぱりわからなくなってしまっているんだもの。原稿にも書いたが、本誌での再録を強く希望したい。
仕事の合間に、明日に迫った海堂尊&「このミス」大賞受賞作家の公開講座について、進行を考えている。
司会が私で作家が五人というスタイルなので、淡々と言葉を交わしていると、まとまりがつかなくなってしまうような気がする。いろいろ考えてみたのだけど、いくつか全員で応える質問を準備して、フリップに記入してもらう形式をとってみてはどうか、と思いついた。いわゆる大喜利方式ですな。これだと、全員がまんべんなく質問に答えることになるし、おもしろい答えがあったらそれをピックアップして話してもらうこともできる。あまり「公開講座」らしくはないけど、大目に見てやってください。
というわけで、明日公開講座にこられる「このミス」作家のみなさまは、そういう話題の振られ方をするとお知りおきください。無茶な質問はしないのでご安心を。
ちなみに席にはまだ余裕があるそうです。お誘いあわせのうえ、覗いてみてください。
作家にコンタクトをとりたい編集者の方の参加もお待ちしております。
「このミス」大賞って公開で授賞式をやらないから、なかなか作家と連絡を取りづらいと思うので、いい機会になるのではないかしらん。
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ご本人から許可をいただいたので改めて告知します。
前の日記で、23日にプロレスの試合をすることを報告した友人の日龍さんとは、ゲッツ・ファミリーの鉄砲玉、ポク蔵さんでした。
ポク蔵さんって誰、という人はこちらを見るよろし。
試合、頑張ってくださいね。
私は先ほどまで、都内某所で阿部寛さんと竹内結子さんの取材をしていました。ひさびさに芸能人オーラを体感しました。
それにしても芸能人のスタジオ撮影ってスタッフの数からして違うわ。被写体がいいと、ここまでカメラマンも張り切るものなのか。
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友人がプロレスラーとして試合をすることになったので、告知します。
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宮本和志自主興行
日時:1月23日(金)19:30~
場所:東京・新木場1stRING
対戦カードは以下の通り。
メインイベント
宮本和志&相島勇人 VS 本間朋晃&下田大作
セミファイナル
不動力也 VS ゼウス
第四試合
橋本友彦&富豪2夢路 VS スーパーストロングぬるま湯マシン&リッキーフジ
第三試合
嵐 VS 佐野直
第二試合
二瓶一将&木村浩一朗 VS サトモ&マンモス半田
第一試合
星野勘九郎&日龍 VS 小坂井寛&竹田誠士
※19時よりダークマッチあり
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第一試合に出る日龍さんがくだんの友人である。日龍という名前よりも別の呼び方のほうが一般には馴染みがあると思うのだけど、これって告知してよかったのかな。えー、確認しておきます。
チケット情報などはよく判りませんでした。申し訳ない。
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「問題小説」二月号の見本到着。
今月号の「BOOK STAGE」欄では角田光代『森に眠る魚』、西木正明『ウェルカム トゥ パールハーバー』、樋口有介『月への梯子』の三冊を採り上げている。前の日記で散々悩んでいた原稿はこれでした。
今回が二回目になる北上次郎さんの「中間小説誌の時代」の副題は、「直木賞と新橋遊吉」だ。かつて小説誌はメディアとして大きな力を持っていた。その時代を振り返る連載で、これは北上さんの新たな代表作になるはずである。毎回楽しみに読んでいる。
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四十八時間ぐらいかけて「ミステリーズ!」用の原稿を書き上げる。先ほど脱稿して編集部に送ったところです。遅くなって大変申し訳ありません。前にも書いたけどこの原稿は、毎回執筆時間の倍以上を資料調べのために使っている。書きたいことが多すぎて、完成原稿の倍近くを書いては削っているのである。単行本としてまとめる機会があったら、削除した部分を復活できるといいなあ。
毒気が抜けるというが、原稿を書き終えてから鏡を見たら昨日とはまったく違った顔になっていて驚いた。昨日はなんというか、作業中の棟方志功みたいな顔になっていたのだ(そういうドラマを昔テレビで観た記憶があります)。なんとか人前に出られるようになった。よかったよかった。
一休みするために本を手に取る。本を読むのが仕事だが、休憩するときも本を読むのである。脳を休めるための読書だから、あまり硬い内容じゃないほうが望ましい。流し読みできる本のほうがいいのだ。
本日お世話になったのは、石黒謙吾『エア新書』である。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉/光文社新書)をはじめ、新書タイトルには工夫を凝らしたものが多い。そこに着眼し、「今風の新書タイトル」で「有名人100人が本を出したらどうなるか」という遊びをした本である。同工の企画はネット上でもよく見かけるが、さすがは「チャート式の達人」石黒謙吾だ。企画としてよく練りこまれたタイトルばかりで、ネタに走りすぎじゃないかそれは、というものもあるが、中のいくつかは実際に本が出来そうである。高田純次著『エロい人は思いつきでものを言う』あたりは怪しい(副題が「エコの時代は終わったね、これからはエロ」というのも実に高田純次らしい)。羞恥心著『バカの品格 --三人寄れば文殊の無知』も、実際に企画が動いていそうな嫌な雰囲気がある。出さないでね。
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昨日は、都内某所で第二回世界バカミス☆アワード公開選考会のための事前打ち合わせを行った。
先日行われた予備投票で決定した一次候補作は以下の通り。あなたの読んだ作品は入っていましたか?
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(作品リスト・タイトル五十音順)
倉阪鬼一郎『紙の碑に泪を』(講談社ノベルス)
鳥飼否宇『官能的 四つの狂気』(原書房)
恩田陸『きのうの世界』(講談社)
スティーヴ・ホッケンスミス『荒野のホームズ』(ハヤカワ・ミステリ)
スティーヴン・ハンター『四十七人目の男』(扶桑社海外ミステリー)
東山彰良『ジョニー・ザ・ラビット』(双葉社)
ポール・クリーヴ『清掃魔』(柏書房)
飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』(早川書房)
ジェイムズ・パウエル『道化の町』(河出書房新社)
Anonymous『The Book With No Name 名もなき書』(PHP)
アンドルー・クルミー『ミスター・ミー』(東京創元社)
ドゥエイン・スウィアジンスキー『メアリー-ケイト』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
マイク・ハリスン『揺さぶり』(ヴィレッジブックス)
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このうち五作がアワードの最終候補作となる(どれが選ばれたかはまだ秘密です)。
投票権を持つのは、一月二十五日に青山ブックセンター本店会場に来られる観客のみなさんである。
パネラーのプレゼンテーションを聴いて、もっともおもしろい、読んでみたいと感じた作品に票を投じていただく。
どの作品が票を集めるのか、今から楽しみである。
授賞側の本音を言ってしまえば、『名もなき書』が賞を獲ってしまうのがいちばん大変なのである。なにしろ作者が匿名希望だしなあ。でも仕方ない。何が起こるのかわからないのがバカミスの世界なのだ。
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池袋コミュニティカレッジに確認したところ、まだ空席があるとのこと。お願いして、20日ではなくてもう少し後まで予約を受け付けてもらうことにした。
この学校、困ったことに参加受付をするために窓口まで行かなければならないのである。池袋駅を普段利用している方ならともかく、受講のために二度も足を運ぶ必要があるというのは面倒だ。なので、なんとか電話で事前受付をしてもらえるようにお願いしました。関心がある方は、事務局まで問い合わせをしてみてください。
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公開講座タイトル「海堂尊&『このミス』大賞作家の創作のヒミツ」
内容「『チーム・バチスタの栄光』(宝島社文庫)で一躍ベストセラー作家となった海堂尊を輩出した『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作家から、ミステリー書評家・杉江松恋が創作のヒミツを聞き出します。海堂尊をはじめ、伊園旬、拓未司、山下貴光、柚月裕子ら、「このミス!」大賞作家が勢ぞろい。作家志望者もそうでない方も、お誘いあわせの上どうぞご来場ください」
日時:1月24日(土)午後2時~4時
場所:池袋コミュニティ・カレッジ
〒171-8569 東京都豊島区南池袋1-28-1 西武百貨店池袋本店イルムス館8・9階
会費:一般 2100円(コミュニティ・カレッジ会員 1575円)
申し込み方法:池袋コミュニティ・カレッジ受付に直接予約のお問い合わせをください。
問い合わせ電話番号:03-5949-5487
医師・作家 海堂尊
1961年千葉県生まれ。第4回『このミス』大賞を受賞し、2006年『チーム・バチスタの栄光』にてデビュー。『死因不明社会』にて第3回科学ジャーナリスト賞受賞。最新刊に『イノセント・ゲリラの祝祭』。1月には映画化が決定している『ジェネラル・ルージュの凱旋』が待望の文庫化。映画は全国東宝系で2009年3月7日公開決定。
伊園 旬 (いぞの・じゅん)
1965年京都府生まれ。関西大学経済学部卒業。第5回『このミス』大賞受賞、『ブレイクスルー・トライアル』にてデビュー。2作目に、大企業を舞台にした連作短編集『ソリューション・ゲーム 日常の謎』。
拓未 司(たくみ・つかさ)
1973年岐阜県生まれ。大阪あべの辻調理師学校を卒業後、神戸のフランス料理店に就職。その後、様々な飲食業に12年間従事。第6回『このミス』大賞受賞、『禁断のパンダ』にてデビュー。2作目に、絶品のデザートをテーマにしたミステリー『蜜蜂のデザート』。
山下貴光(やました・たかみつ)
1975年香川県生まれ。京都学園大学法学部法学科卒。営業職、古着店の店長などを務める。第7回『このミス』大賞受賞、『屋上ミサイル』にてデビュー。
柚月 裕子(ゆづき・ゆうこ)
1968年岩手県生まれ。現在はフリーライターとして地域タウン誌の取材や、地元テレビ局の仕事に従事。第7回『このミス』大賞受賞、『臨床真理』にてデビュー。
先日の誕生学講座のことについて、少し書く。
大葉ナナコさんがお話された内容でもっとも関心を惹かれたのは、子供たちの性行動開始年齢が自尊感情の有無と連動しているというくだりだった。性行為を求める大きな理由の一つに、帰属願望がある。性行為は、誰かとつながっていたい、属していたいという願いを、一時的には満たしてくれる。それが見せかけのものであっても、肌のふれあいをしている間は安心できるわけだ。大葉さんは子供が十歳になる前が勝負だと言った。その年齢までに親が十分な愛情表現をできていれば、子供との間に一生つながっていられる信頼関係が築けるのである。そうして親の慈愛を確信できた子供は、自らの心と体を大切にしようとするし、他者に対しても同じような慈愛を振り向けようとする。大葉さんの講演は、そうした自尊感情の育成を目的として子供と対話するためのすべを教えるもので、性教育の枠を超えた実りある内容だった。
耳が痛かったのは「自慰を目的としたポルノグラフィーは、今の親たちが子供だったころに比べ、何百倍も増えている」というご指摘である。楽観派の親たちは「自分は親から特別な性教育を受けなかったが、道を誤ることもなくまっとうに育った。だから自分の子供も大丈夫」と言う。だが、ポルノグラフィーが親の世代とは比べものにならないほど増加しているわけである。親の側は、自分たちのころとは違うのだという考え方を持たなければならない。
エンターテインメントの業界に関わっている者として、「漫画は(と大葉さんは言ったが小説や映像メディアも同じだろう)いつも今まではありえなかった話を描こうとする」「それは現実にはありえないことだということを、大人は声を大にして伝えなければならない」というご指摘は真摯に受け止めなければならない。ポルノグラフィーは必要悪として世の中にあるべきものである。しかしそれは子供の前で垂れ流していいものではないし、ポルノグラフィーの中に描かれていることが幻想であると理解した大人だけの楽しみとして留めなければいけない。
『粘膜人間』のような作品が世の中に存在することは素晴らしい(毎度飴村さんの作品ばかり引き合いに出して恐縮です)。『粘膜人間』は不健全な小説である。不健全な娯楽を楽しめるのは健全な常識を持った人間だけだ。だから、いきなり子供が『粘膜人間』に触れても、楽しむことは難しいはずである。大人の世界の内幕を聞きかじった、中学生程度の精神年齢がなければ、あれは笑えない小説なのである(逆に、中学生程度の精神年齢の人間がする妄想を小説化した作品ということもできる。その辺のバランス感覚が『粘膜人間』は優れている)。親子読書の目標とは、『粘膜人間』のような極北の作品の楽しみ方を親から子へ伝達できるような関係を築くことだ。
というような日記を書いたら、ちょうどココログニュースで性教育について採り上げていたのだった。
「避妊知識は学校で学ぶ!? 性教育を考える」
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本日は町会少年部のお仕事だった。
毎年恒例の「お楽しみ会」である。ゲームを三つやった後で、景品が当たるビンゴがあり、おやつを食べておしまい。
数字の読み上げで声を張りすぎて喉が痛いです。
このお楽しみ会も年々参加する子供の人数が減っている。昨年は私が前年夏に入院した影響があって実施できなかったのだが、一昨年に比べると3割減というところだ。全国的な少子化の影響、と言いたいところだが、小学校の定員はここしばらく横這いのままなので、児童数が極端に減っているわけではない。町内会に加入する世帯の数が減っていることの影響の方が大きいはずである。最近できたマンションに越してこられた方は、町内会に加入されてないからね。うちのように一軒屋の場合は直接勧誘が可能だけど、マンションには管理組合があるので、そこの意向を無視した一本釣りというのはできないのである。町内会が管理組合と話し合って世帯数を増やしてくれなければ、このまま少年部の参加人数は減少していくはずだ。仕方ないことではあります。
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寒い部屋にずっといたせいか、具合悪くなってダウンしていました。
回復したので更新。
解説を書いた文庫新刊のお知らせです。楡周平さんの『クラッシュ』(角川文庫)が出ます。
懐かしの朝倉恭平vs川瀬雅彦シリーズの第四弾で、宝島社文庫から移籍しての二次文庫化です。
10年前にこの作品が発表されたときは、ネットワーク犯罪というものもまだ一般的ではなかったのです。
恥ずかしい写真を公開された技術者が腹いせにウイルスを撒くという設定が当時は斬新でした。
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昨日は、PTAの行事があり小学校に行った。
日本誕生学協会の代表理事である大葉ナナコさんが、保護者向けの講演のために来校されたのである。
誕生学という言葉は耳慣れないと思うので、日本誕生学協会ホームページの解説をどうぞ。
うかがったお話は、子供たちに自分がどのように生れてきたかを伝え、生命の大切さを知ってもらうためにはどのような教え方をすべきか、というテーマである。性教育というとなんとなく照れくさい感じがしたり、解剖学の無味乾燥な説明だけに終止してしまったりする印象がある。大葉さんは子供たちに、伝えるべきことはしっかりと伝え、しかも自分が生命を育むサイクルの中にいるという自尊心を持てるよう、前向きな言葉を用いて話すべきだと語った。いたく感心したので、お話の内容についてはそのうちに自分なりの言葉でまとめておきたい。
一昨日は『粘膜人間』の話をしていたのに今日は誕生学か。あまりの振れ幅の大きさに、自分でもちょっと笑ってしまった。
今から病院で検診に行ってきます。
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書評サイトBook Japanの作家インタビューシリーズ第二弾がアップされた。今回のゲストは、『粘膜人間』(角川ホラー文庫)日本ホラー小説大賞長篇賞を受賞した飴村行さんだ。
正直言ってこのインタビューは自信作である。インタビューの原稿で(笑)の文字を意図的に挿入することはあっても、多すぎて外したというのは今回が初めてだ。原稿を渡したら編集者から「このくらい突き抜けた内容でもしょうがないですよね、小説が小説ですし……」というメールが返ってきたよ! 読もう! そして『粘膜人間』も読もう!
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おかげさまでなんとか脱稿。読書に戻ることができます。Tさん、待たせてごめんよ!
原稿を書いていて気になったのが「一言でいえば」という表現。こういう具合に修飾語や目的語と動詞の漢字が重なる表現が私は嫌いなのである。「馬から落馬する」は明らかな重複表現であり、間違い。しかし、「一言で言えば」は、「一言」が成語であって、中に「言う」という動詞的な意味を含んでいないのだから間違った表現ではないだろう。でも私は駄目なのである。「一言で表せば」と書いてしまう。類似例では「引き金を引く」もそうで、引き金をトリガーに変えるのは嫌なので(安易にカタカナ表現を使いたくないので)、「引き金にかけた指に力をこめる」といったような代替表現を使いたくなる。
これは文法ではなく、文面の印象の問題なのだ。自分の原稿が人に見られたときに、一つの文章の中で同じ漢字が連続して見えるのが嫌なのである。かといって「言う」を「云う」にすればいいというものでもないので面倒くさい。面倒くさいが、このぐらいの縛りを自分に与えても損はしないだろうと考えている。
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徹夜で書評用の本を読んだら、どうしようもない愚作で腐った。
〆切りまでまったく時間がないのにどうしてくれる、とやり場のない怒りに震えながら、とりあえず別の原稿をい本書いて送り、昼まで就寝した。
何かの催促電話で目を覚まし、そのまま書評読書に突入。読んでも読んでも書きたいという意欲が湧いてこず、これもまた愚作ではないかという疑念が持ち上がる。週の頭からこれでは思いやられる。
某誌の〆切をこれ以上引き延ばすわけにはいかないため、一旦中断して原稿書きに戻ります。
果たして今日中に書評をやりたくなるような本は見つかるのか。
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林えり子さんが『東京っ子ことば』の中で書いておられたのだと記憶しているが、「ありがとうございました」と言うと「じゃあ、今はありがたくないんですかい」と受け取られることもあるだろうから、必ず「ありがとうございます」と現在形で言うことにしている、というお話があった。私もこれを習って、話言葉としてはもちろん、書き言葉でもなるべく「ありがとうございました」とは書かないようにしている。
上に紹介した気遣いは、面と向かってお話をするような場合、つまり聞き手が話し手の意図を現在形以外で受け止めた場合ややこしいことになしそうなときにだけ当てはめればいいような気もするのだが、一度ルールを決めてしまうと気になってしまうものである。たとえばインタビューの原稿を書くときなどは、結びに話し手に対する謝辞を入れ込むことが多い。実際に話をうかがっている席では、話がだんだん雑談めいたものになっていって、これ以上相手に時間をとらせては申し訳ないな、という気がしたときにそれとなく切り上げる。したがって形通りのお礼言葉を交わす瞬間がもっと後になる場合もあるし、相手によってはもっとくだけた挨拶でしめる場合だってある。謝辞でしめるというのは、記事の上での形式である。話をうかがうにふさわしい人物である、それだけ貴重な時間を割いて話をしてもらったのだ、という敬意、感謝の念を文章上でも示す意図があるのだ。
形式上の文句なのに、ここでも私は「ありがとうございました」とやるのが気持ち悪くて仕方ない。「本日はありがとうございました」は嫌で、「本日は実に貴重なお話をうかがうことができました。ありがとうございます」と書けば安心できるのである。少し字数が増え、くだくだしくなってもそうすべきなのだ。なんでも言葉を略せばいいというものではないし、そういう決まりの形がとれないようなら本文を削るべきだと考えている。
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『森の中の魚』書評がようやく完成する。結局、昨日までに書いた分を半分ぐらい消してやり直すことになった。
他の人はどうだか知らないが、私はだいたいの場合多めに書いて文章を削ることで書評を完成させる。書くべきことが多すぎて、最初の段階では構想がまとまりきらないのだ。いくつかある話題のうち優先順位の低いものは捨てることになる。最初に題名を考えなければならない原稿は、したがって大いに苦手である。題名に掲げた部分を、最終的に破棄してしまうかもしれないのだから。今回は逆に、最初に題名をつけていたことで助けられた。書きながら「ああ、そういうことを書くのだったっけ」と気付かされる場面が何度かあったからだ。いつもこうだったらいいのに。
今回も編集者には迷惑をかけてしまった。いつもこの雑誌の原稿は遅いのだが、別にサボっているわけではない。書いているのは正味四時間ぐらいのものだが、あれこれと迷ったり、書き直す時間がその何倍かかかってしまうのだ。というか、それも計算に入れて仕事のスケジュールを作るべきなんだよな。そうだよな。
今紙媒体のレギュラー連載がいくつかあるので、それぞれ所用時間を計算してみた。
「問題小説」→読書9時間(新作2+旧作1)+逡巡4時間+執筆4時間+修正1時間=18時間
「ミステリマガジン」→読書12時間(新作4)+調査3時間(これはあまり逡巡しない)+執筆3時間+修正1時間=19時間
「週刊SPA!」→読書3時間(新刊1)+執筆1時間=4時間
「ナンプレファン」→読書3時間(新刊1)+調査2時間+執筆3時間=8時間
「時事通信社配信記事」→読書9時間(新刊3)+執筆2時間=11時間
「ミステリーズ!」→読書&調査8時間(もっとかかるときもある)+執筆3時間=11時間
「幽」→読書3時間+逡巡1時間+執筆2時間=6時間
「ナンプレファン」と「時事通信社」「ミステリーズ!」は隔月、「幽」は季刊だから、上記の仕事量を合計すると月に57.5時間かかっていることになる。一日の仕事量を12時間とすると、だいたい5日でレギュラー原稿を片付けられる計算か。それにしてはもっと時間がかかっているような気がするのは、きっと計画性がなく仕事をしているからなのでしょう。反省。どの仕事がいちばん大変かは単純に仕事量だけでは比較できないが(ギャラだって違うし)、いちばん楽に書けるのが「週刊SPA!」だということは分かった。ありがとう、「週刊SPA!」。あ、念のために書いておくけど、楽だからって手を抜いているという意味ではないよ。いちばんたいへんなのは「ミステリーズ!」なのだが、これは半分趣味でやらせてもらっている仕事なのだから仕方がない。
結論。もっと週刊誌の連載仕事ください。
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朝からずっと『森に眠る魚』の書評に取り組んでいたのだが、今一つおもしろくならないので一旦全部破棄して書き直すことにした。角田さんがいじめるよう、と幼稚園児のように泣いてみます。一応ミステリの埒内に収まる作品なのだけど(「小説推理」連載だし)、切り口をそれだけにしては見失うものが多すぎるし。かといって、普通の「女性小説」として紹介するのはもったいない。いろいろと悩んでいるわけです。
ちょっと頭冷やしてこようかな。関東地方は初雪だっただけに。
郵便受けを見たら今週号の「SPA!」が入っていました。私の書評は東山彰良『ジョニー・ザ・ラビット』について。すべてのノワールファンは、今すぐこの兎小説を読むんだ!
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明け方近くまで仕事をしていたら、寝過ごして病院の予約をすっぽかしてしまった。
あれあれ。午後になったら電話をかけて新しい予約を入れなくては。
新刊見本が届いたので宣伝です。
1月末に、アスキー新書から『これだけは読んでおきたい名作時代小説100選』が刊行されます。
これは、2004年にフィールドワイ社から出た『これだけは知っておきたい名作時代小説100』を加筆の上改題したもので、題名通り100冊の時代小説を紹介するブックガイドです。編者は私ですが、多数の方が執筆していただいたおかげで成立した本なので、全著者名をここに記します。五十音順に、川出正樹さん、日下三蔵さん、小池啓介さん、不来方優亜さん、笹川吉晴さん、霜月蒼さん、末國善己さん、関口苑生さん、千街晶之さん、田中博さん、蔓葉信博さん、中辻理夫さん、廣澤吉泰さん、古山裕樹さん、堀内淳一さん、与儀明子さん。
元版では、作中の時代区分に合わせ、古代から近代へとだんだん近づいてくる形で小説を紹介しました。
今回は新書版でハンディに持ち運びができるという本の性格も鑑み、発表年代別に作品を配置してあります。また、残念ながら元版刊行後に絶版になってしまった本もあり、その分は最近の作品に差し替えを致しました。追加した本は、志水辰夫『みのたけの春』(集英社)、北重人『汐のなごり』(徳間書店)、泡坂妻夫『織姫かえる 宝引の辰捕者帳』(文藝春秋)、和田竜『のぼうの城』(小学館)、火坂雅志『天地人』(日本放送出版会)、加藤廣『信長の棺』(文春文庫)の6冊です。
読書ガイドとして、どうぞご活用ください。
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CSのミステリチャンネルに「Mysteryゲストルーム」という番組がありますが、その中で鈴木広司さんにインタビューしました。内容は、最新刊『エッジ』について。
放映予定日時は、
1/7 11:45
1/8 26:45
1/13 16:45
1/16 11:45
1/19 26:45
1/22 16:45
1/28 11:45
1/29 26:45
とのこと(追加・変更の可能性あり)。
映像媒体のインタビューは、原稿を書かなくていいので後が楽だなあ。
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いろいろなところで告知をしていただいているようで、ありがたい限りです。
昨年は、候補作10作を当日に明かし、全作についてプレゼンテーションしたうえで、来場者の投票によって順位を決める方式だった。その方式だと、パネラーのプレゼンテーション能力に左右される部分が大きいし、本の内容を知らないとお客さんが今一つ論議に踏み込めない、という短所がある。
よって今年は、前もって候補作を明かし、来場される方が準備をする期間を作ろうと思います。候補作の数も、絞込みを検討します。雰囲気としては「闘うベストテン」に近い感じになるかな。
「このミス」公開講座については、まだいろいろと思案中。作家にぶつけてみたい質問がある方は、ブログのコメント欄などを利用して意見を寄せていただけると幸いです。
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という企画も密かに進んでいたんですね。
東京近郊にお住まいの方はぜひどうぞ。
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公開講座「海堂尊&『このミス』大賞作家の創作のヒミツ」
『チーム・バチスタの栄光』(宝島社文庫)で一躍ベストセラー作家となった海堂尊を輩出した『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作家から、ミステリー書評家・杉江松恋が創作のヒミツを聞き出します。海堂尊をはじめ、伊園旬、拓未司、山下貴光、柚月裕子ら、「このミス!」大賞作家が勢ぞろい。作家志望者もそうでない方も、お誘いあわせの上どうぞご来場ください。
日時:1月24日(土)午後2時~4時
場所:池袋コミュニティ・カレッジ
〒171-8569 東京都豊島区南池袋1-28-1 西武百貨店池袋本店イルムス館8・9階
http://www.seibu.co.jp/c_college
会費:一般 2100円(コミュニティ・カレッジ会員 1575円)
申し込み方法:1月17(土)までに池袋コミュニティ・カレッジ受付に直接お申し込みください。
問い合わせ電話番号:03-5949-5487
医師・作家 海堂尊
1961年千葉県生まれ。第4回『このミス』大賞を受賞し、2006年『チーム・バチスタの栄光』にてデビュー。『死因不明社会』にて第3回科学ジャーナリスト賞受賞。最新刊に『イノセント・ゲリラの祝祭』。1月には映画化が決定している『ジェネラル・ルージュの凱旋』が待望の文庫化。映画は全国東宝系で2009年3月7日公開決定。
伊園 旬 (いぞの・じゅん)
1965年京都府生まれ。関西大学経済学部卒業。第5回『このミス』大賞受賞、『ブレイクスルー・トライアル』にてデビュー。2作目に、大企業を舞台にした連作短編集『ソリューション・ゲーム 日常の謎』。
拓未 司(たくみ・つかさ)
1973年岐阜県生まれ。大阪あべの辻調理師学校を卒業後、神戸のフランス料理店に就職。その後、様々な飲食業に12年間従事。第6回『このミス』大賞受賞、『禁断のパンダ』にてデビュー。2作目に、絶品のデザートをテーマにしたミステリー『蜜蜂のデザート』。
山下貴光(やました・たかみつ)
1975年香川県生まれ。京都学園大学法学部法学科卒。営業職、古着店の店長などを務める。第7回『このミス』大賞受賞、『屋上ミサイル』にてデビュー。
柚月 裕子(ゆづき・ゆうこ)
1968年岩手県生まれ。現在はフリーライターとして地域タウン誌の取材や、地元テレビ局の仕事に従事。第7回『このミス』大賞受賞、『臨床真理』にてデビュー。
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そしてもちろん「世界バカミス☆アワード」の方もよろしくです!
大晦日から元日にかけて実家で過ごした。懐かしい本棚から手に取った一冊が、本年最初に読んだ本である。立川談志『現代落語論』、三一新書版だ。一九六五年に刊行された本だからもちろん新刊ではない。奥付を見ると、一九八二年に第一版第十七刷が出ている。ロングセラーだったのだ。驚くべきことにこの本、まだ現役なのである。現在出ている版は家元の「これが落語家の初めて書いた本である」との自筆帯がついている。
今月復刊された三代目三遊亭金馬の『浮世談語』に、家元が「その昔、咄家が出す本を見て、「本」と名付けていい内容のあるのは金馬師匠だけで、その後立川談志が出てくるまで一人もいない」という帯推薦文を寄せているのは、これを受けているのである。
題名にしたのは、『現代落語論』の有名な掉尾の文章だ。○○には、みなさんお好きな言葉を入れるといいよ。落語というジャンルが没落するはるか以前から、家元は古典芸能の行く末に警鐘を鳴らしていた。終章「わたしの落語論」だけでも後世に残る内容の本である。どんなジャンルでも、時代と競り合うことができなくなれば途端に没落する。自身が属しているジャンルに風化の気配を感じた人は、ぜひこの文章を読むといい。
家元は芸人を、マスコミの寵児、そこまではいかないが試行錯誤をしている努力家、時代に背を向けて古典の世界に留まる昔堅気、という風にわける。第二のグループに共感を示しているのは、当時自分が置かれていた立場を重ね合わせたのだろう。「(試行錯誤を)やってみるということはその結果成功しなくても、わたしは芸人としてみたとき、たいへん彼らが好きだ」という、文章が途中で拠れて、主語がすり替わってしまっている文章がたいへんに私は好きである。「たいへん彼らが好きだ」と、執筆の中途で書きたくなってしまったんだろうな、と思うのである。家元の文章にはそういうところがある。ぷいと気が向くと、文意の統一を犠牲にしても、その時々の本音を書いてしまうのだ。もちろん、パラグラフ全体で意味は通るので、下手な文章というわけではない。
「わたしの落語論」以外の章はそれほど刺々しくないし、むしろ古典芸能としての落語の本質に対し、自身の愛着を存分に語っている。その上で最後に寸鉄を効かすのである(立川志らく『全身落語家読本』は、これと逆で、冒頭に読者を牽制する章を置いている。師匠の逆を狙ったのだろう)。だからこそ意見が身に沁みる。この本で家元が「落語の本質である人情の豊かさ」とはっきり書いている点は、記憶しておくべきだ。「業の肯定」であるとか、「イリュージョン」であるとか、とかくエキセントリックな方面ばかりが喧伝される談志の落語論だが、もっとも下部にはそうしたまっとうな古典落語観が置かれているのです。
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昨日も書きましたが、「第二回世界バカミス☆アワード」、1月25日に絶賛開催予定です。詳細はこちら。
米光一成さんがブログで告知してくださいました。感謝!
明けましておめでとうございます。
年内に告知しようと思っていたのだけど、下記のイベントを開催します。
すでに受付は始まっていますので、ご関心のある方はどうぞ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
史上空前のミステリ祭り!
第2回 世界バカミス☆アワード!!
INTERNATIONAL BAKA MYSTERY AWARD
投票イベント&授賞式
ゲスト:鳥飼否宇、日暮雅通、他
ナビゲーター:小山正、杉江松恋
※飛び入りゲストあり
■2009年1月25日(日) 14:00~16:00 (開場 13:30 ~)
■会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山
■定員:100名様
■入場料:500円(税込)電話予約の上、当日ご精算
■電話予約&お問い合わせ電話:
青山ブックセンター本店 03-5485-5511
■オンラインチケット
http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200901/22009125.html
■受付時間: 10:00~22:00
(※受付時間は、お問い合わせ店舗の営業時間内となります。御注意下さい。)
<イベント内容>
バカミス愛好家の皆さまに素敵なお知らせです!2008年に出版された素晴らしき「バカミス」の中から、もっとも優れた作品を選出する「第2回 世界バカミス☆アワード授賞式」が開催されます。ゲストによる楽しい「バカミス談義」も同時開催。
「バカミス」とは、「バカ」&「ミステリ」の合体。ミステリを揶揄したり、愚弄するモノではありません。ミステリをより楽しんだり、味わったりするための新しい視点です!たくさんの皆さまのご来場をお待ちしております。