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(5/4)バンコクその1

 もう一月前の話だが、三月二十六日から三十日まで、タイの首都バンコクに行っていた。
 仕事がらみではなく、完全なる趣味の観光旅行である。

 その目的とは、

 タイ・チャイヨー社製作のオリジナル・ウルトラマングッズを買うことだ。

 ご存じの方はご存じだろうと思うが、かつてチャイヨー・フィルム社は日本の円谷プロダクションと蜜月関係にあった。チャイヨー社の経営者であるソンポート・セルゲンチャイは、日本で初代・円谷英二に可愛がられ、三代目社長の円谷皐とも義兄弟のような交わりを持っていたのである。伝説のモンド映画「ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団」は、その関係で製作された。だがその皐社長時代に、円谷プロダクションはチャイヨー社に対して、なんらかのするべきではない譲歩をしてしまったようなのである。一九九六年にチャイヨー社は、ウルトラ・シリーズの海外利用権を独占する契約書を所持していると主張して、タイ国内でオリジナルのグッズを販売するなど、円谷プロの利益を侵害する営業行為を展開した。円谷プロは当然の如く提訴を行ったのだが、結果は歯切れの悪いものになった。日本国内での最高裁判決は円谷プロ敗訴(二〇〇四年)、だがタイ国内では結果が逆転し、チャイヨー社が敗れることになったのである(二〇〇八年)。チャイヨー社は二〇〇一年以降、ウルトラマンミレニアム、ウルトラマンエリート、ダークウルトラマン、という三人のオリジナルキャラクターを創造し、キャラクターショーなどを通じてグッズ販売を展開していた。当然のことだが、二〇〇八年以降それらのオリジナルのウルトラマンはタイ国内では販売できなくなった。もちろん、日本国内でも同様である。文字通り、幻のヒーローになってしまったわけだ。

 上記の経緯について、私は安藤健二氏の『封印作品の憂鬱』「白猿の暗黒舞踏」の章を参照して書いた。同書はこの日タイ両国を巻き込んだ著作権騒動について取材を尽くした力作である。不可解な判決を招いた契約書の真贋についても、安藤氏ならではの推理が記されており、事件もののルポルタージュとしても興味深く読める。これ以外では、日本テレビ系列で放映された初代「ドラえもん」アニメ、みずのまこと版『涼宮ハルヒの憂鬱』が「封印」された経緯が詳しく紹介されている。抜群におもしろい本なので、ぜひ読んでみてください。

 まあ、そんなわけでタイに行ってきたのだ。本当はもう少し早く行く予定だったのだが、バンコクで空港閉鎖が起きる騒動があったため、二月に行く予定を一ヶ月ばかり遅らせたのである。もう少し後だったら、四月十三日の暴動にかちあっていたから、ぎりぎりのタイミングで成立した旅行だった。

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