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(5/31)下読み中

 宝島社「このミステリーがすごい!」大賞の応募原稿第二弾がどさどさと到着。昨日別の賞の下読み原稿を送り返したばかりだったので、その場所に箱を置いた。置き場所をやりくりしていかないと、すぐに部屋が箱で埋まってしまう。

 本日は順延になった小学校の運動会。途中で中抜けして会食に顔を出して、閉会式にまた戻ってくる算段である。終了後は来週末に迫ったデイキャンプの備品を数量チェックして、夜は学童保育クラブの送別会。

 そんな感じで一日拘束されるので、自由になる時間はありません。合間に本が読めたら儲けものだ。

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(5/30)真・板谷番付

 本当は今日が小学校の運動会だったけど雨のため順延になったから家にいる杉江松恋です。どうも。

 今から家の掃除をするんだけど、その前にとりあえず昨日買ったゲッツ板谷さんの『真・板谷番付』を読んでみました。ファンには説明の必要もないですね。「週刊SPA!」につい最近まで連載されていたエッセイを単行本化した作品です。板谷さんが毎回担当編集者(新保信長さん)から無理なお題を与えられてベスト10を回答するという内容で、時折ベスト10とはまったく関係ない話になるのが可笑しかったです。「こんな誕生日プレゼントは嫌だ」の回で10位にTシャツ、4位に本と書かれているのを見て「やべっ、両方あげちゃった」と慌てたり。誕生日プレゼントじゃなくて、Tシャツは海外旅行のおみやげで(シンガポール。野外でセックスをすると罰金はいくら、とか書いてあるやつ)、本は新刊の献本なんですけどね。まあ、時効ということで。次回からは違うものにします。

 それにしてもこの本、てっきり連載終了回までの単行本化なのかと思っていたら違うんですな。奥付を見たら2008年7月の分までと書いてある。ということは残りの連載分でもう一冊出してもらえるのかな。少し原稿量が足りないようなら、「週刊アサヒ芸能」に連載されていた「突撃! 怪人が往く」の原稿をまとめて一冊にしてもらいたいものです。もちろん「五つ星ホールを探せ」でも可。

 そんなわけで掃除にかかります。では。

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(5/29黒服風に言うけど

 今抱えているBKの数が五本になった。ストックとしては過去最多かもしれない。もちろん〆切が一緒ではなくて間隔を置いてやってくるから受けたのだけど。

 そんな中ZRは八本と、往時から比べると三分の二の数になってしまっている。一時は二桁いったのにな。不況の影響をもろかぶりに受けてしまった形だ。仕事量は減っていないのに(言うまでもなく、無報酬でPTAの仕事をやっているせいだが)収入は月によって凸凹が出るようになった。固定の収入を増やさないとならないのである。他のライターさんたちも大変なんだろうと思います。せちがらい世の中ですが、なんとか生き残りましょうね。

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(5/29)原田久仁信

 別冊宝島に収載された原田久仁信氏のプロレス漫画が、『プロレス「地獄変」』として一冊にまとまった。
『プロレス下流地帯』に収められて話題を呼んだ「実録WJ「地獄のど真ん中」」の前日譚が書き下ろしとして追加収録されている。深町秋生さんはぜひ読んだほうがいいです。

「実録WJ「地獄のど真ん中」に関する深町さんのエントリーはこちら

 ちなみにWJのオフィスが入っていたビルはうちの近所にある。新日本プロレスの本社からは歩いて十分の距離だ(近所にはたしか、昔ジャパンプロレスの道場もあったはず)。まあ、見るからに家賃の高そうな建物です。

 今回追加された前日譚の読みどころは永島”ゴマシオ”勝司視点で描かれる新日本プロレス落城前夜の迷走ぶりなのだが、

一、凄まじい悪人面でわざわざサンタモニカまでやってきた藤波(当時新日本プロレス社長)をいなすアントニオ猪木
二、その藤波辰爾(東スポで自社の動きを知る社長)のコンニャクぶり
三、デカイ馬場元子

 の三点を見るだけでも買う価値のある本だ。

 このシリーズには固定された原作者がおらず、エピソードごとそれぞれのネタ元がいる。その一人が元新日本プロレス取締役であり、WJで地獄を見た永島勝司氏だ。前出の「実録WJ「地獄のど真ん中」はその永島氏視点で描かれているのだが、漫画に対して編集部が付した解説では、その永島氏も槍玉に挙げられている。つまり、永島氏視点ではあくまでWJ迷走は長州力のカタさと福田社長の乱脈経営のせいということになるのだが、独自に検証を行った編集部は、むしろ永島氏の側に責任があるのではないか、と告発するのである。しかも舌鋒は容赦がない。こんな感じだ。

 ――永島氏は、団体の浪費を人ごとのように批判しているが、それを止めるべき立場にありながら、自身も遊興費や飲み代でカネを使いまくるなど、他者を批判する資格はほとんどない。新日本全盛時代の金銭感覚のままWJを運営しているのだからあとはどうなるか推して知るべしである。

 編集の欠端大林氏は男だ!

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(5/29)おちこんだりもしたけれど、私はげんきです

 昨日はとにかく不調だった。具合が悪いのと機嫌が悪いのと気分が悪いのと懐具合が悪いのと心根が悪いのがいっぺんにいやな方向に進んでしまったもので最低の調子だったのだが、仕事をして十時間ぐらい眠ったら治ってしまいましたとさ。つくづく単純な性格だと自分でも思う。

 仕事というのは、歌野晶午さんのインタビューであった。新刊『絶望ノート』はたいへんおもしろいので、みなさん読むといいよ。本を買った人は、ぜひカバーを外してみることをお勧めします。書評を「ポンツーン」に書いたのだが、そのうちの一部分が抜粋の上、明日以降新聞に掲載される広告に使ってもらえるらしい。

 インタビューで話していただいたことはたいへんおもしろかったのだが、どこまで誌面に反映できるかは未定。ページ数からすると、倍の分量ぐらいはある内容だったな。こちらは「パピルス」に掲載される予定です。


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(5/28)不調

 本日お会いするみなさま。元気がないように見えると思いますが、昨日ちょっと個人的なダメージがあったためで、インフルエンザのたぐいではありません(熱もないです)。テンション低めに見えたら、ちょっとだけそっとしておいてやってください。

 基本的には健康です。

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(5/27)スパ

 週刊SPA!の見本をいただく。今週の「ミステリー一冊決め」は、三津田信三さんの『密室の如く籠るもの』を採り上げた。この欄の見出しはいつも編集者にお任せしていている。だいたい本文中の一箇所を抜き書きされることが多いのだが、今週は絶対にここだろうな、と思うところが抜粋されていた。書き手としては、してやったり、の気分である。どんな見出しかというと……。

「この世には、不思議なものなど……ちょっとだけあるかも」

 元ネタはアレなのだが、ちょっとだけ魂魄妖夢を意識して書きました。


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(5/27)日常

 仕事の本の合間に興津要の『忘れえぬ落語家たち』を拾い読みする。文人の落語エッセイでは、この人と正岡容のものが好きである。臭みがないのがいいのだよね。

 昭和の名人二十人について触れたエッセイで、ところどころに高座の速記が採録してある。そこを読むと、講談社文庫版『古典落語』の「○○」の噺は、この師匠の高座を元にしていたのか、と判るのだ。子供のころ、興津さんが編纂した『古典落語』を表紙が擦り切れるまで読んだのを思い出した。あまりにもそれがおもしろくて、『江戸小咄(正・続)』に進み同じく興津さんが監修した『東海道中膝栗毛』にも手を出したのだっけ(『東海道中膝栗毛』は、古文の素養がない方でも楽しく読めるので、ぜひお試しを)。そんなことを考えていたら、三遊亭円生について触れた項目で、

「落語家は江戸文学を読まなくてはいけません」と言って、式亭三馬の『浮世風呂』や『浮世床』を愛読していた円生は、わたしが、文庫本で、『江戸小咄』と『東海道中膝栗毛』を刊行したときは大よろこびだった。
「こんどは、『八笑人』なんかも出してくださいよ」
 と言ってくれたのだが、その『花暦八笑人』と『七偏人』とを刊行したときには、すでにかえらぬひととなっていた。

 という記述があって、たまらなく懐かしい気持ちになった。そうだ、文庫で出たのを買って読んだ覚えがある。あのころにはもう円生はこの世の人ではなくて、訃報がパンダに負けた後だったのだよな。

 書影を貼ろうと思ったが、興津さんの『膝栗毛』も『八笑人』も現役ではなかった。他の文庫のものはあったのだが、趣旨が違うのでよしにしておく。図書館などで読めると思うので試してみてください。『古典落語』も、今は学術文庫に入っているのか。

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(5/26)緑の恐怖

 先日タイに行った帰り、向こうの調味料をいろいろ買ってきた(タイ旅行の続きもそろそろ書かなくちゃ)。
 楽しみにしていたのがパクチーのソース。パクチーをすりおろしてニンニクとあわせたもので、トートマンプラーをつけて食べたら抜群に美味かった。大きなスーパーマーケットに行ったときに、それらしい壜があったので買ってあったのである。

 今日はひさしぶりに昼食を作る時間があったので、それを試してみることにした。玉ねぎとニンニクのみじん切りを炒め、舞茸とエリンギを加える。そこにショートパスタを入れて、あっさりめの一皿が出来上がりだ。いつもはそのまま頂いてしまうのだが、今日は一味を加える。ソースの蓋を開けて、フライパンに投入である。

 パクチーじゃなくて、ミントのソースだった。

 ロッテグリーンガムの味がするパスタ、想像してみてください。

 結局ケチャップを入れて強引なナポリタンにして食べた。ミントだったのか。タイ語は読めないから絵で適当に当たりをつけて買ってしまった。一壜、ばかにでかいんですが、何に使えばいいのだろうか。

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(5/26)○○○○の元ネタ(グロ注意)

 ブック・ジャパンのTさんからメールを頂戴した。
 おもしろかったので、許可をいただいて転載したいと思う。
 文中には作品名も書かれていたのだが、あえてネタばらし(というほどでもないのだけど)を避けるため、伏字にしたい。ヒントは、私がブックジャパンで関与した作品です。

 痛いのとグロいのが好きではない人は、ここでブラウザの戻るボタンを押してくださいな。

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『○○○○』、あのうどんシーンの元ネタ発見のお知らせ。
石牟礼道子『西南役伝説』です。
朝日選書がすでに絶版で、いま新品で読めるのは全集のみであるようです。
ここが残念。

もうやけっぱちな勢いのノンフィクションガイドムック
『佐藤優責任編集・ノンフィクションと教養』の、佐藤優・佐野眞一・加藤陽子の
鼎談中に出てきました。
長崎の切支丹を刑場に連れて行く前、最後のメシに、うどんを腹いっぱい食わす。
そうしておいて竹で刺す。すると内蔵から白いうどんがにょろにょろと出てくる。
このシーンが克明に書かれているそうです。
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 うはは。これはすごい。夢に見てしまいそうだ。本は絶版だそうだが、絶対に手に入れて読まなければ。
 いい話を教えてくれてTさんありがとう。
 こういう人がサイト制作に携わっているブックジャパンのURLはこちら

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(5/25)ひきこもりのおしらせ

 本日は横溝正史ミステリー大賞、明日は日本推理作家協会賞の授賞式だが、両方とも出席できません。所用があったので、先ほど柳広司さんにはお祝いの言葉を伝えられたのだが、他の推協賞受賞者の方にご挨拶ができないのは残念だ。次に出て行く公の席は、たぶん本格ミステリ作家クラブになると思います。あ、東野圭吾新理事長にもお目にかかりたかったな。

 地元にこもらざるをえない状況なので、ストレス発散の方法に悩むことになりそうだ。暴飲暴食につながらないようにしないと。

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(5/24)MYSCON10

 昨日はMYSCON10の昼の部にお邪魔して、湊かなえさんのインタビューアを担当してきた。
 実況報告などは以下のブログで。

「私的ファイルdeltazuru記録再開」
「むぅろぐ」
(追加)
「僕のミステリな備忘ログ」
「Nth Library日記」
「neve cry」


 控室は近所のカフェだったのだが道に迷ってしまい、大遅刻であった。湊さんは、文藝春秋社の取材が入り、編集I氏のインタビューを受けていた。それが終わり、I氏が帰ろうとしているところに、居合わせた人々が「おめでとうございます」と声をかけているので何事かと思ったら、数時間前にお子さんが生まれたのだそうである。それはおめでとうございます。しかしI氏は、可愛い我が子の顔を見に駆けつけることも許されず、取材の同行で群馬県の温泉に一泊旅行をしないといけないという。編集者の宿命とはいえ、ご苦労なことだ。

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(5/23)湊かなえさん

 それではただいまよりインタビューに行ってきます。
 MYSCON参加者のみなさま、お手柔らかに。

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(5/22)インフルエンザの一件

 昨夜、学校長から電話があった。新型インフルエンザの発症者が出たため、区内の学校を休校にするかどうか、検討会議が行われたのだ。結果は不要との判断(発症者の状況を聞くと当然だと思う)。それはいいのだが、教育委員会のエライヒトは、その情報を各家庭に電話連絡網で周知するように言っているのだという。

 えーっ、もう夜の十一時近いわけなんですが。

 校長は、そんな時間から連絡網を回しても安眠妨害をするだけで無駄という意見であった(当然)。一応保護者代表としてPTA会長からも言質をとりたかった模様。そんなこといちいち断らなくても、常識的に考えて……と思ったのだが、他の学校では律儀に電話連絡をやったらしい。伝言ゲーム効果で間違って「休校します」と伝わったところがあるな、絶対。

 この件に関してはヒステリックになりすぎるのも問題だが、感染者が出たら一応報道はすべきだと私は思う。そのときにどう対応するのかは報道を受け止めた側がしたらいい。「騒ぎすぎ」「日本人だけがこんなことをしている」と、加熱報道自体を批判する声もあるようだが、必要なことはやったらいいのだ(海外で悠々とバカンスを楽しんでいる人が何か言って顰蹙を買ったらしいけど、「お前ら馬鹿」式に上から目線の物言いをするからだ)。タレントが酔っ払って裸になった件よりはよほど報道の価値があるニュースである。ただしローカルで十分だけどな。少なくとも東京都の情報だったら、私は欲しいもの。糖尿病患者だから罹患には気をつけないと、毒性が低いインフルエンザだって危ないのさ。祭りにならない程度の警戒は必要なことである。

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(5/22)本格ミステリ作家クラブ

 本格ミステリ作家クラブの会報が届いていたので、ぱらぱらとめくる。
 そうか、こっちも改選の時期なのであった。

 総会前なので新会長・新事務局長のお名前は書かない。六月十三日に発表されるので、それまでお待ちください。

 意外なことに、私もどなたかによって執行会議メンバーに推薦されていたのであった。推薦者が一名なので、なんとかセーフ(二名以上の推薦があると、役員に加わるかどうかの意志確認を受けなければならないのです。規約)。たいへんありがたい話なのだが、PTAの役員が一段落しないと、引き受けにくいです。

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(5/21)もう一つそういえば

 今日だか昨日だかは、日本推理作家協会の総会だったはずだ。
 理事の改選は無事に済んだのだろうか。順調にいけば大沢さんに代わる新理事長が誕生しているはず。

 おひろめはたぶん来週の協会賞授賞式だ。

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(5/21)MYSCON10

 そういえば。
 明後日はMYSCON10の開催日ですが、私は昼の部で湊かなえさんのインタビューアを担当します。
 詳しくはこちら

 公開インタビューは、池袋でやって以来です。ひさしぶりだから緊張するな。
 参加者のみなさまはよろしくお願い致します。

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(5/20)問題小説

 六月号の見本が到着した。
 今回のブックステージは、森奈津子さん『夢見るレンタル・ドール』、平山瑞穂さん『全世界のデボラ』、井上ひさしさん『手鎖心中』の三冊を紹介している。森さんの作品は、ポルノグラフィーであると同時に、非常にすがすがしい恋愛小説だ。書評中では触れなかったが、あとがきがたいへんおもしろい(少女小説からの名残りか、森さんの著書にはほとんどあとがきが付されている)。『家畜人ヤプー』の作者である故・沼正三さんのことを書いているのだ。平山さんの作品は粒よりの短篇集である。特におもしろかったのは、「十月二十一日の海」かな。不安定であるということについて書いた幻想小説で、序盤から中盤にかけてのたゆとうような感じがまず楽しく、徐々に加速がついてきて巻措くあたわざる感のある終盤でさらに圧倒される。


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(5/20)生きている腸

 実は数日前から、自分は大腸癌に侵されているのではないかという妄想にとりつかれていて、仕事にも支障を来たすほどであった(父親が大腸癌だったので遺伝するはずなのである)。どうも杞憂だったようで、なんとか大丈夫そうだ。でも今年も健診は受けるけどね。

 朝一で起きていろいろと作業。捜しものをしていたら、海外の某大学のホームページにたどり着いて解決した。インターネットはやはり偉大だ。それはいいのだけど、見つけた資料がおもしろくてつい読みふけってしまい、仕事が一気に滞る。インターネットはやはり魔物だ。

 そんなこんなで今日も一日がんばって仕事をします。昨日は小物を三つ片付けたので、今日は大物を二つやっつけてしまいたいと思う。宝島社から連絡があり、「このミス」大賞の応募原稿を送ると言っていたので、今日から少しずつ下読みも始める予定。

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(5/19)文庫解説

 日本人作家の文庫解説をほぼ同時に二つ手がけていた。先週末に一つを校了し、本日もう一つのゲラを戻し、これでひと段落、と思っていたら、先に手を離れたほうの一つで重大な誤植をやってしまっていたことに気付いた。
慌てて編集部にメールをしたところ、ぎりぎりで訂正が間に合うとのこと。わずか漢字一文字の間違いなのだが、恥ずかしい事実誤認なので、気付いてよかった。今日戻したほうは大丈夫だろうな。

 一息入れたところに、別件の解説のご依頼をいただく。なんでも翻訳者と編集者とで相談をしているときに、解説者候補として私の名前が出てきたのだとか(海外作品です)。ありがたいことです。最近は翻訳ミステリに解説がつかず、訳者あとがきが付されていることが多いが、本当は海外作品こそ解説が必要なはずなのだ。それが良い「箱書き」になるよう、がんばって書かせていただきます。

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(5/19)寄合酒

 昨夜は都内で飲み会のご案内をいただいていたのだが、ぎりぎりまで粘ってみたものの参加は果たせず。諦めて仕事に専念したら一区切りついたのが深夜一時だった。飲みに行っていたら恐ろしいことになっていた。残念だが結果オーライ。こういう仕事をしていると家族(とPTA関係者)以外に会う機会は極端に少なくなるので、なるべくなら出かけたかったのだけど。

 日付が変わったあたりで、書きかけの某誌の原稿について、もしかしたら某氏と採り上げる本が被っているかもしれないと気付き、メールで確認した。十分と経たないうちに返信がきた。お互いパソコンの向こうで仕事中なんだなと実感。真面目でお酒も飲まずに(ここが重要)がんばる私たち。がんばっているのです、って誰に対するアピールだ。編集者か。

 本日は午前中のうちに大きな仕事を一本と小さいものを三本くらいは片付けるつもり。それが済んだらできれば小学校に行って、副校長先生と打ち合わせをしたいけど無理かも。明日かな。

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(5/18)乱歩賞

 週末は外出していたのでさっき気がついたのだが、第五十五回乱歩賞が遠藤武文さん『三十九条の過失』に決定したとか。おめでとうございます。

 何期目かになる予選委員として関わったが、自分が一押しにしていた作品は最終候補に残せなかった。『三十九条の過失』が残った四作のうちでは納得できる出来だった。面つきには魅力があるが設定に説得力を欠くA、瑕はもっとも少ないがどこかで見たようなという既視感のあるB、いちばん無茶をしていて好感が持てるのだが大賞という柄ではないCという三作を押しのけての受賞だ。選評が楽しみである。どんな風に言われていたのかな。

(追記)
 選考会の自分メモを見直していたら、候補作は五作だったことを思い出した。ええええ、そうだっけ。そういえばもう一作あったような気も。印象がほとんど残っていないところをみると、好みの作品でも、その反対でもなかったのだと思います。作者の方、申し訳ない。

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(5/17)帰京

 外出先から戻って洗濯機を回したところ。明日、子供が割烹着を持っていく日なので慌てて洗濯したのだが、乾くだろうか。無理かも。週末はどこでも雨に降られました。妖怪アメフラシがいたのに違いない。

 今週一週間はPTA行事がなくて心穏やかに過ごせそうである。こういうときこそ仕事をしよう。

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(5/16)今日明日

 ひさしぶりに公務が入らない週末なので、ちょっとお出かけしてきます。
 E・S・ガードナーの伝記を読もうと思うんだ。

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(5/15)ブックジャパンの新コーナー

 書評サイトBookjapanで、新しいコーナーを始めました。新刊を何冊か採り上げて、★評価するというもの。
 全体の文字数にあわせて、短評をいくつか書く形式になる。第一回がアップされたので、ご覧になってみてください。

 杉江松恋のフライデー新刊チェック(2009/5/15)

 お薦めは吉村萬壱『ヤイトスエッド』だ。内容については原稿を参照してもらいたいが、昨年『粘膜人間』に夢中になったみなさんなら絶対楽しんでいただけると確信する。

 どんな話か示すため、一行だけ抜き書きしておきましょう。こんな感じだ。

 --工女は毎日「蛇」と呼ばれる長いゴム管を機械で裁断し、ぶつ切れになって受け皿の上で踊るチューブの群を手で掻き集めて箱の中に落とし込んでいる。この行程はチューブの形状やサイズが驚くほどそれに似ているところから、「アベサダ」と呼ばれていた。「B39」という石油プラントの製油施設の部品で、日本ではこの工場しか生産していない。ゴムの配合が特殊で、握ると半勃ち程度の堅さである。サイズは外人並みだった。(「B39」)

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(5/14)床の上でポニョ

 原稿を書いているうちに気が遠くなり、床に突っ伏して眠ってしまった。もう何日も続けて同じ現象が。もしかするとポルターガイストか何かか(違う)。そのたびに学校から帰宅した子供に発見されるというくり返し。毎日床に倒れている父を、子供はどう思っているのだろうか。

 大手術をした解説原稿のゲラを戻したが、もう一つ解説ゲラが。さらにインタビュー原稿のゲラ戻しもしなければならない。ゲラがいっぱいだ。赤字を見ていると、なんか眠くなってくるんだよな。何かの呪いに違いない。

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(5/14)どっちが本業だかわからない

 昨日は一回目の運営委員会だった。普段は各部・委員会の代表者だけが出席するのだが、第一回だけは可能な構成員すべてに声をかけ、出席者全員が自己紹介をする。顔合わせである。

 主たる議題は、間近に迫った総会の議案承認と今月末の運動会準備について。例年は九月に行っていた運動会が春にくりあがったため、決め事が前倒しになって忙しいったらありゃしない。午前十時に開会して、制限時間ぎりぎりの正午まで議事を続けてしまった。午前中に一本、〆切をこなさないとならなかったのに。

 帰宅し、二階の居間に腰を下ろしたらいつの間にか昏睡していたらしい。子供が帰宅する物音がして、ようやく目が覚めた。それから机にかじりついて仕事。気がついたら夜が明けているという体たらくだ。

 今日は幸いPTAの用事はないが、夜に地域住民の組織の総会に出ないといけない。PTA会長として発言を求められるかもしれないので、それなりに準備はしていかないと。毎日毎日こうやって仕事があると、なんだか本業はPTAなのではないかという気がしてくるから不思議だ。一文にもならない仕事なのに。

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(5/14)がりがりと削る

 ただいま文庫解説のゲラに朱入れ中。なんと26行も削るように言われてしまったのだ。そうしないと一折増えてしまうから仕方ないんだけどね。幸いなことに文章を書いていたときには頭がしっかりしていたらしく、削ってもシェイプアップするから助かる。ぼやけた頭で描いた文章は、単に削るだけだと意味がとりづらくなったりするのだ。そういうときはばっさり段落を入れ替えなければならなくなり、校正者を悩ませてしまう。よかったよかった(いや、よくないけど)。

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(5/13)VOW!(犬の鳴き声)

 霞流一さんから本をいただいた。宝島社の『VOW お笑い新聞』である。
 第一章をまるまる使って、霞さんがコレクションしている世界の珍事件ニュースが紹介されているのだ。バカミスファン並びに鬼畜系読物のファンの方は必読である。人間の行動がいかに突拍子もなく、理不尽なものであるかがよく判るはずだ。

このシリーズは最初の数冊だけ買って読んでいたのだけど、笑いのバリエーションが少ないので飽きてしまい、最近では手に取ることもなかった。赤瀬川源平の『超芸術トマソン』は抜群におもしろいけど、後発の類似書はつまらなかった。それと同じことである。「変だ変だ」「馬鹿だ馬鹿だ」と騒ぎ立てるだけでは、芸がなさすぎるのである。語り口も重要なんだよ。

 そこへいくと霞さんは存在自体がややアレだからな。なぜか「切捨御免」のパーカーを着て写っているし。これで肩に勝新太郎座頭市フィギュアを乗せていたら完璧なアレであった。

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(5/12)おまけがいちばん高い

 ミステリーの短篇集のあの「趣向」って、いつごろから始まったんだっけ。
 質問調で書き出したけど、本当は質問していません。紛らわしくて申し訳ない。「いつか」なんて本当はどうでもいいんだ。

「趣向」が何を指すのかというとあれだ、連作を雑誌に掲載しておいて、最後の一篇を書き下ろしにする。その一篇は、以前の話では伏せられていた事実を種明かしするための作品で、それ自体にはストーリーと呼ぶにあたいする物語がない。そういうやつ。解決篇があとから添えられた、と考えればいいのかな。ただし、それ以前の話は一つ一つが完結した形になっているので、「解決篇」の種明かしは、プロットの根幹に関わるものではなくて、判ればそれなりに楽しい、という程度のおまけなのである。

 そういうのはきっとおまけなのだ。現在の事情はよく知らないが、ひところは短篇集が売れなくて、あまり本にできなかったそうだから、雑誌連載をただ本にまとめただけではありません、ほら付加価値だってあるんです、といった感じでおまけを付けているのだろうと想像する。それ自体はいいんですけどね、ファンサービスにもなるから。

 ただし、おまけはあくまでおまけ。本篇の方がおもしろいことが最低条件だ。本篇が物足りない分を、おまけで補おうとしてくれても困るのである。短篇集であるからには、やはり一篇一篇の完成度を高めていただきたい。その上で、単行本にしたときの面つきが、本にしただけの価値があるような形であってもらいたい。そういう理想を十分に満たしているのは、たとえば山口雅也『ミステリーズ』のような短篇集だ。あれにはおまけはついていないけど、本になった形もきちんと一つの概念に貫かれた作品になっていた。まったく文句はない。昨年出た若竹七海『バベル島』などもなかなかいい。

 お察しのとおり、今まさに文句をつけたい短篇集を読み終えたものでこういうことを書いているわけだ。おまけのほうが売り物で、おまけを抜くと、少しはいいものもあるが出来がばらばらで気持ちが悪い。おまけ自体にすべての収録作の意味を塗り替えるような破壊力があればまだ救われるのだが、それほどの強さはないのである。こういう趣向を「ミステリーならでは」と称賛する人もいるのかしら。キャラメルならグリコより森永の方が好きなのだが、短篇集も同じだな。こういうおまけなら要らないや。

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(5/12)ブルー・マンデー

 昨日は午前十時と午後七時に小学校で保護者対象の説明会を開催した。
 その合間を縫って文庫解説を書き上げたわけだが、正直言ってよく終わったものだと自分でも感心している。

 説明会の資料作成→説明会(保護者の慰留)→文庫解説→説明会の資料作成→説明会(保護者の慰留)

 って、頭が切り替えられるわけないです。
 幸い、文庫解説のほうはずっと前に雛形ができていて、そこにはめ込むピースを選ぶだけの作業だったからなんとかなった。設計図ができていなかったら完全にアウトでした。

 本日、午前三時に起床。午前六時に朝食。大根の味噌汁に、日曜日に那須塩原で買ったのしもちを入れた味噌雑煮。起きてきた家人に「今日は久しぶりにPTAの用事がないから仕事に専念できる」と言ったら笑われました。やはり、そういう生活は変だよな。
 

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(5/11)ようやく解説脱稿

 規定枚数を超過しそうだったので早めに「ページ数の余裕はありますかね?」と切り出していたのだが、「大幅に超えなければ大丈夫ですよ。はっはっは」と編集の方からは温かいお言葉をいただいていたのであった。

 あの、大幅に超えてしまったのですが……。

 まあ、昔書いたジェイムズ・ハドリー・チェイス『世界を俺のポケットに』(創元推理文庫)の解説よりはマシか。あのときは「何枚書いてもいいですよ」と言われたので、十枚の依頼のところで四十二枚も書いてしまったのだった。電話でそのことを伝えたら編集のMさんに「よんじゅうぬぃむぁいぃ?」と絶句されたっけ(折が増えそうだったので、泣く泣く十枚ちょっと削った)。この超過記録はしばらくの間破られてなかったはずである。いや、プロの書き手としてはよくないことなんですけどね。

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(5/11)じっと手を見る

 新刊書評の原稿を書きたいのに、読んでも読んでも推薦したくなる本が見つからないという泥沼。
 いきおい、書きかけの文庫解説書きに逃避してしまい、どんどん分量が増えていく。
 そしてまた、新刊書評に割ける時間が少なくなっていくという悪循環である。
 どうしたらいいのか。

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(5/11)人生は三拍子

 昨日は田植えでございました。小学校の子供たちを引率して、群馬県那須塩原の農家で、田植え体験の学校を開催してきたのだ。慣れない運動をしたものだから、全身が筋肉痛です。稲の苗は、人差し指と中指で泥の中に押しこむようにして植えるのね。その手つきを維持していたからか、右腕の小指のあたりが攣りそうになっている。九月には同じ田んぼで、稲刈りだ。

 とりあえず朝までに文庫解説を一本終わらせて、十時から学校で保護者対象の説明会を主催しなければならない。そのレジュメもまだ切ってないんだよな。本日はそんなわけで、一日予定に追われまくりそうです。

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(5/10)ゲッツ板谷さんのブログ

 ゲッツ板谷さんが、新しくブログを始められた。これまでのゲッツ板谷WEBは閲覧のみにし、更新はブログの方のみになるとのことである。「チミの犠牲はムダにしない!」は途中から更新ができず、たいへん申し訳なかった。ブログも応援させていただきます。今後ともよろしくお願い致します。

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(5/9)野菜ソムリエ

 本日は区の小学校PTA連合会の総会だった。この忙しいときに面倒くさいったらありゃしないのだが、議決権を持っているので出席しなければいけない。会のほとんどの時間は退任PTA会長と校長の表彰式に費やされる。二十二校のうち十七校で会長が交代したので、これが長いのなんの。

 総会に先立って、外部から講師を招いての合同研修会が開かれるのが恒例である。今回の講師は王理恵氏。王貞治氏の次女だということと、昔スポーツ番組のアナウンサーをしていたということしか私は知らないが、食の問題に関心を持って、ジュニアベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)の資格も取得しているのだとか。最近は「食育(出た!)」関連の講演もやっているらしい。

 ふーん。食の問題には私も関心があるので、その資格について調べてみた。

 日本ベジタブル&フルーツマイスター協会ホームページ

 これで見ると、ジュニアベジタブル&フルーツマイスターという資格は、「ジュニアマイスターコースでは、野菜・果物の正しい基礎知識を習得します。また、その学んだ知識の伝え方「コミュニケーション」やレシピ提案に役立つノウハウ「ベジフルクッカリー」等も学んでいくことで、野菜・果物の楽しさを個人として実感し日々の生活に役立てることを目指します」(同ホームページ ジュニアマイスターコース)とあって、二時間の講座を全七回受け、試験を受ければ取得できるものであるらしい。FAQのところを見ると、合格率83.1%とあるので、それほど取得するのに難しい資格ではない、という印象だ。というより、これは講師を務められるレベルの資格じゃないんじゃないの。あくまでも個人で知識を利用して楽しむ、という資格だと思うのだが。同じホームページ上に「活躍中の野菜ソムリエ」というところがあったので見てみたが、名前があるのはジュニアの二段階上のシニアの人ばかりだった。ジュニアの人に講師を務めてもらうというのは、つまり門前の小僧に習わぬ経を読んでもらうようなものなのですね。どうせ呼ぶならちゃんとシニアマイスターを呼べばよかったのに。ああ、知名度がある人だから集客としてはそれでいいのか。

 世の中には王貞治マニアという人もいるだろうし(あ、テリー伊藤さんか)、タレントとしての王理恵さんが好きだという人もいるだろうから需要はあるはずだ。しかし、私はいいや。来年から、講師を呼ぶならもっと専門性のある方にしていただきたい。

 

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(5/8)前々回の日記について自己批判

 本日は米澤穂信さんのインタビューを東京創元社で行った。一階を会議室に改装したばかりで、使用するのは今回が初めてだとか。いわゆるこけら落としにあたるのか。お初をいただいてしまいました。

 インタビューの内容については来月頭ぐらいにBookjapanに載る予定なので楽しみにしておいてください。なお、インタビューの途中で、同席した編集者のK島さん(『桜庭一樹読書日記』でもおなじみ)から日記について、事実誤認の指摘を受けた。前々回の日記で米澤さんの読者層について「ジャンル外にまだ出て行ったことがないからこそジャンルの読者に守られているのだし(揺籃から出ていない、とも言える)」という書き方をしたのだが、米澤さんはもともとライトノベルの新人賞出身なのだし、最初はミステリー界からは黙殺に近い扱いを受けていた。『さよなら妖精』『犬はどこだ』と地道に著作を重ねてきて、『春期限定いちごタルト事件』でようやくミステリー畑でもブレイクを果たした。したがって米澤さんがジャンルの読者に「のみ」守られているというのは違うのではないか、という指摘であった。

 確かにその通りで、米澤さんこそジャンル外から来た作家だった。それを知っているからこそ、作品の書評をやらなければならない、この才能を知らしめなければならないと考えたのだった。つまりくだんの記述は、事実誤認であるばかりか、過去の自分の活動までも忘却した、的外れなものだったのである。よって、該当箇所は謹んで訂正させていただきます。過去の自分の愚かさを記録するため、訂正線で消して、元の記述は残すことにする。本当に申し訳ない。

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(5/8)円堂さんが反省した!

 こともあろうに、推理作家協会賞の新受賞者を反省させてしまいました。

 円堂都司昭さんのブログ。

 メールまでくださって謝っていただいたのだが、全然気にしていないです。わざわざ申し訳ない。これからもネタを提供できるよう、精進していく次第であります。

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(5/8)深夜に帰宅

 都内某所でいろいろ仕事をしていたのだが「泣かされてやんの、やーい」といろいろ揶揄されたのであった。うるさいやい。もう涙は拭いたかんね!

 明日は都内で米澤穂信さんのインタビューである。米澤さんといえば今は『犬はどこだ』なのだが、あの作品が、ミステリージャンル外に目配せすることを主眼とした作品とは到底思えないのだよなあ。

 米澤さんは、ジャンル外にまだ出て行ったことがないからこそジャンルの読者に守られているのだし(揺籃から出ていない、とも言える)ミステリーというジャンルに軸足を置いて執筆活動を行うことに意義を見出している作家だし、だからこそ『インシテミル』みたいな作品を書いたのだ。『秋期限定栗きんとん事件』もライトノベルに色目を使っているように見せてはいるけど、として読みうる物語ではあるけど、結局は昔ながらの古典ミステリフォーマットにのっとった話である。米澤さんの中にある青春小説要素だけを取り出して云々言っている人は、松本清張も陳舜臣も福井晴敏も伊坂幸太郎も、どんな作家でも同じように、自分に「は」判る何かを取り出すことができるのだろう(魔法医みたいなものだね!)。米澤さんを貶めるつもりはないが、贔屓の引き倒しという言葉が世の中にはあるのである。ジャンル内小説として、今の米澤作品は本当におもしろい。だが、いつかジャンルを逸脱するような小説を書いたら、そのときは本気で米澤さんを推す。ジャンルの内外という境界にどれほどの意味があるか、今の私には判断できないが、作家の意欲が実験の方向へ行ったとしたら、それを評価しないのは読者としておかしい、ということだ。もちろん、ジャンル内にとどまって、ジャンル読者を満足させることだけに専心に注力するというのであれば、それはそれで同等の後押しをしたいと思うのだけど。どっとはらい。

追記
(朝になっていろいろ言葉足らずだった点を補足しました。深夜に読んでいただいた方、すいません)

さらに追記
(事実誤認をしていた箇所を修正しました。添削の足りない文章を公開すると恥をかくという見本だ。修正前の文章を読んでいただいた方、重ねてお詫び申し上げます)

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(5/7)連休明け

 みなさん、ゴールデンウィークは楽しく過ごされましたか。この週末まで、まだ休みが続いているという方もいらっしゃるのでしょうね。

 私は一日たりとも休んでいなかったのだが、ここ数日は誰からも連絡(督促ともいう)がなく、穏やかに暮らしていた。今日は小学校にも顔を出さなければならないし(役員会なのです)憂鬱である。正午をまたいで学校の中にいるので、昼食は給食だ。もちろんただではなくて、きちんと一食分の給食費は払うのである。今週末は区の小学校PTA連合会の総会があり、栃木県まで田植え体験に行くバスツアーがある。それが終わって週が明けたら、保護者を対象とした説明会、その週の終わりに小学校のPTA総会があって、ようやく怒濤の日々が終わる。あと十日余り、この身体が持ったらお慰みだ。もちろんその間に、仕事もやらねばならないのだが。

 いっそのこと、あと一週間ばかり、世間が休んでいてくれると楽なのに。

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(5/6)今話題のデ○ィズニーランド

 あちこちブログめぐりをしていたら、下記のエントリーを発見した。

 --「本の雑誌」最新号に、高野秀行「ディズニーランドは赤の広場だった!?」という探訪エッセイが掲載されている。
 --そこにはなんと、原則的に園内にアルコールを置いていない東京ディズニーランドに、杉●松●がワンカップを持ち込んだことが記されている(東京ディズニーシーの方ならアルコールが呑めます)。(後略)

 ええええええ。あの○江○恋がそんな非道いことを。いくら佐藤亜紀に泣かされて自棄になっているからといって、禁酒の公共施設で酒を飲んじゃだめでしょう! 杉○松○は反省しる!

 ……と書いていて思いだしたのだけど、私、かの「王国」にはここ十年(もっとかも)足を踏み入れてないんですが。その杉江氏というのは本の雑誌社の名物営業の方では。

 とはいえ、私の風貌および言動にそういう勘違いを起こさせるような何かがあったということなのだろう。すべて不徳の致すところであります。やっぱり杉江松恋は反省しる! 次に持ち込むときには焼酎にします!

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(5/6)謹白

 佐藤亜紀さんがこのところブログで日本の評論家について厳しいことを書いている。
「評論家」の中には私も入っている(佐藤さんの視野に入っているかどうかはまったく別の話)。今すぐ烽火を上げて呼応できない以上、現状ではこれに言い返す権利はない。また、読んでいながらその批判を無視していることもできないので、ここに「佐藤亜紀に泣かされました、ごめん」と表明しておきたい。
 ここからまた努力していくしかないからね。

 佐藤亜紀さんのブログはこちら。深呼吸をしてから順番にどうぞ。
(古い順)
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/03/2009329.html
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/04/2009425.html
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/05/200953.html
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/05/200953-1.html

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(5/6)僕も泣き真似してあげる

 誰かが死ぬたびに、

「これで一つの時代が終わった」

 だとか、

「あんな人はもう出ない」

 だとか、

「俺の青春は終わった」

 だとか、

「明日からどう生きていけばいいのかわからない」

 だとか、言ったり書いたりするのはヤメロ。あと、(泣)とか(涙)とか(号泣)とか安易に使うな。絵文字は、ちょっと許す。表現方法がそれしか思いつかないんだろうから、咎めるのは野暮だ。でも、上に書いたような後ろ向きのことを書くのはやっぱりヤメロ。

 その人は死んでしまったんだし、君は生きている。生きている人間が死んでいる人間よりも絶望してみせるなんて、どれだけ傲慢なんだ。君は生きているのに。

 その人のように生きてやると、なぜ言えないのか。その人の意志は自分が継ぐといった不遜な表明のほうが、まだ好感が持てる(不遜で鼻持ちならないけど)。何べんも言うけど、生きているだけで死んでいる人よりもよっぽど条件がいいんだ。有利な立場で上から目線で誰にも後ろ指をさされないつもりで世界の主人公になったつもりで、言いたいことを言うもんじゃない。

 その人が死んだのが哀しいなら、少しでも自分が引き継ぐことを考えるべきだ。その人が負っていたものを、分けてもらって自分でも背負ってみるべきだ。それが、きちんとした大人の態度ってものだ。大人になりなさい。大人って言っても、未成年だって心は大人になったっていいんだぜ。周りのコトナ(前田日明用語)を見回して、みっともないなと思ったら、先に大人になりなさい。

 まあ、いちばんいいのは、ブログという安易な手段があるからといって、なんでもかんでもネット上で発表せず、心のうちで静かに自分に語りかけるだけで済ませておくということだ。その点、私も同類だ。ごめんね、野暮で。

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(5/5)森谷明子

 読み落としていた本を片付けていたら、森谷明子『深山に棲む声』が傑作だったので驚いた。しまった、どこかで書評を書くべきだった。どこともつかない国を舞台にしたファンタジー連作だが(恩田陸『光の帝国』に似た味わいがある)、短篇集としてまとめて読んだほうがおもしろいような仕掛けがしてある。各話とも謎解きの趣向がサブプロットとして盛り込まれているのだが、ミステリーの手法が巧く花を添えているという印象だ。おとぎ話の口承がテーマなのだが、物語がいかに外殻形成され、どのように変容していくか、という伝承のプロセスに関心がある人は、興味深く本書を読めるはずである。読みながら、唸らされる箇所がいくつもあった。これはお薦め。

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(5/4)バンコクその1

 もう一月前の話だが、三月二十六日から三十日まで、タイの首都バンコクに行っていた。
 仕事がらみではなく、完全なる趣味の観光旅行である。

 その目的とは、

 タイ・チャイヨー社製作のオリジナル・ウルトラマングッズを買うことだ。

 ご存じの方はご存じだろうと思うが、かつてチャイヨー・フィルム社は日本の円谷プロダクションと蜜月関係にあった。チャイヨー社の経営者であるソンポート・セルゲンチャイは、日本で初代・円谷英二に可愛がられ、三代目社長の円谷皐とも義兄弟のような交わりを持っていたのである。伝説のモンド映画「ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団」は、その関係で製作された。だがその皐社長時代に、円谷プロダクションはチャイヨー社に対して、なんらかのするべきではない譲歩をしてしまったようなのである。一九九六年にチャイヨー社は、ウルトラ・シリーズの海外利用権を独占する契約書を所持していると主張して、タイ国内でオリジナルのグッズを販売するなど、円谷プロの利益を侵害する営業行為を展開した。円谷プロは当然の如く提訴を行ったのだが、結果は歯切れの悪いものになった。日本国内での最高裁判決は円谷プロ敗訴(二〇〇四年)、だがタイ国内では結果が逆転し、チャイヨー社が敗れることになったのである(二〇〇八年)。チャイヨー社は二〇〇一年以降、ウルトラマンミレニアム、ウルトラマンエリート、ダークウルトラマン、という三人のオリジナルキャラクターを創造し、キャラクターショーなどを通じてグッズ販売を展開していた。当然のことだが、二〇〇八年以降それらのオリジナルのウルトラマンはタイ国内では販売できなくなった。もちろん、日本国内でも同様である。文字通り、幻のヒーローになってしまったわけだ。

 上記の経緯について、私は安藤健二氏の『封印作品の憂鬱』「白猿の暗黒舞踏」の章を参照して書いた。同書はこの日タイ両国を巻き込んだ著作権騒動について取材を尽くした力作である。不可解な判決を招いた契約書の真贋についても、安藤氏ならではの推理が記されており、事件もののルポルタージュとしても興味深く読める。これ以外では、日本テレビ系列で放映された初代「ドラえもん」アニメ、みずのまこと版『涼宮ハルヒの憂鬱』が「封印」された経緯が詳しく紹介されている。抜群におもしろい本なので、ぜひ読んでみてください。

 まあ、そんなわけでタイに行ってきたのだ。本当はもう少し早く行く予定だったのだが、バンコクで空港閉鎖が起きる騒動があったため、二月に行く予定を一ヶ月ばかり遅らせたのである。もう少し後だったら、四月十三日の暴動にかちあっていたから、ぎりぎりのタイミングで成立した旅行だった。

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(5/4)忘れないうちに歩こう会のこと

 4月29日の歩こう会について、備忘録を記す。

 今年の最大の改善点は、昨年まで一時間以上も子供たちを拘束していた開会式が、三十分で終了したことだ。子ども連合会の会長挨拶ではじまり、教育長のことば、後援のロータリークラブ挨拶(とよい子の表彰)、青年会議所の挨拶で終了。よい子の表彰のときのみ、やや手間取っていらいらさせられたが(表彰状の文章をいちいち読み上げるので、もたつきそうになった。三人目から『以下同文』になったのでてきぱきと終了)、あとは申し分ない進行だったと思う。はっきりと意識して、子供に負担をかけないようにしようと決めて運営すれば、ちゃんとできるのだ。クレームに耳を傾けてくださったことには素直に感謝したいと思うし、来年からも協力させていただく。

 天気もよく、歩くにはもってこいの日だった。いわゆる天皇晴れというやつですね。うちの地域はただ歩いただけだったのだが、他の地区ではイベントを道中に盛り込んだところもあるそうだ。消防署に寄って、はしご車に乗せてもらう、というめったにできない体験をしたらしい。いいなあ、はしご車。ユンボに乗って穴を掘るとか、清掃車に乗って道路を掃除するとか、やってみたい。あ、歩こう会とはまったく別のイベントか、それは。

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(5/3)僕が君を知っている

 数年前にブルースブラザース・バンドが来日したとき、青山のブルーノートに聴きに行ったのだけど(ビールが高いよ、あそこは)、その前日だか一日あとだかに彼が飛び入り参加で歌った、という話をあとで聞いた。そのときにいたお客さんは、思わぬ拾いもので嬉しかっただろう。癌治療がうまくいったのだと嬉しかったし、いつかまたMG’sとは共演してもらいたいものだと思った。それがかなわなかったのは残念だ。メンフィスが彼を呼んでいたのに。

 スティーヴ・クロッパーさんも寂しいだろうな。どうぞ、安らかにお眠りください。

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(5/2)キネマ旬報

 五月上旬号の見本をいただいた。
 第二特集の映画『天使と悪魔』のコーナーで、原作を読み解くという趣旨の原稿を書いている。
 なにしろ映画が世界同時公開で、マスコミ試写もほとんどないみたいなので、原作の内容を紹介する、というやりかたでしか物語について書くことができないわけだ。読み返してみてびっくりしたが、おもしろいですね『天使と悪魔』は。こういう展開だったか。クリフハンガーの極限といえる場面があって、いかにも映画向きであることに感心させられた。ベストセラーになるべくしてなったという感じである。好みは各人いろいろあるだろうが、読んで損はしないはずだ。

 本日はこれから外出。都内某所で打ち合わせをしてきます。ゴールデンウィークとか、本当に関係ないなあ。

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(5/1)歓送迎会

 昨日は一日小学校にいた。午前中は、間近に迫ったPTA総会の資料作成と配布。総会の出欠をとるとき、同時に総会資料を配る必要があるからだ。去年はそれを知らずに、資料を当日配布しようとしたら役員OBに叱られた。引継ぎのときに教えてくれればいいのに。

 午後は異動された先生の歓送迎会。地域によってはホテルなどで部屋を借りてやる場合もあるようなのだけど、うちは校舎三階の集会室を借りて、お菓子とお茶でこじんまりと。ケータリングもしないし、会費制だ。昨年までは、前年度役員を招待していたのだけど「なぜ先生方の歓送迎会で役員を特別扱いする必要が?」という疑問があったので、今年から招待制を全廃止した。おかげで会計が楽で助かりましたよ。

「こんにちは」
「会話は後! 会計が先!」
「守銭奴!」

 というやりとりをしながらまず金を集めればいいわけだから(一部嘘)。

 仕事をしたわけでもないのに帰宅したらぐったり疲れていた。夕食は摂れず、布団に潜りこんですぐ睡眠。起きたら十一時をまわっていたので、明け方まで働いた。また昼夜逆転の日々である。

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