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(7/3)池袋のこと

 池袋コミュニティ・カレッジの「ミステリーの書き方」講座は、昨日二〇〇一年の七月期に入った。受講者は十三人になる見込み。不吉な数で実に素晴らしいですね。

 第一回ということで、昨日はいろいろと手を動かしてもらった。その場で私が即興の文章を考え、リレーで後を続けてもらうという試み。起(私)→承(受講者A)→転(受講者B)→結(受講者A)という形で、受講者Aの承がわかりにくいと受講者Bが転を書きづらく、自分が結を書けなくなるという仕組みだ。どんな話にしていいわけでもなく、最初に私から一人ひとりにお題を出して、それについて書いてもらうのである。したがって受講者が十人いれば、同じ書き出しから十通りの話ができる。

 これは、お話の中の構造体であるプロットを、ストーリーの中に自然に浮き上がるようにするにはどうしたらいいかという実験だ。お話の最後で突然「実は真相は○○で」と登場人物が語り出したら興ざめでしょう。「真相は○○で」と登場人物が語り出す前に、読者が無意識のうちに真相を悟っていなければいけないのである。「○○」と言われた瞬間に、みなまで言われなくてもすべてが理解されるぐらいが理想だ。

「実は私はふたごで」「だからあのとき、クリームソーダじゃなくて普通のソーダ水を頼んだのか!」
「実は私は男で」「だからDSじゃなくてワンダースワンを買ったのね!」
「実は熊で」「だから肉食なのか!」

 などなどと。そのピーンとくる感覚を文章で表現できていたら合格。これはミステリーだから最後の最後にプロットが発現する形だけど、他の小説ならプロットの埋めこみ方も変わってくる。たとえば継子いじめの話だったら、最後の最後に親子が実は血がつながっていなかったとわかるのがミステリーの書き方だが、普通の家族小説ならその事実を最初から明かして書くわけである。起承転結のリレーは、そういう形の小説でもできる。最初に指定したプロットから、外れないように後をつけていくわけである。「人違いの悲劇」の話のつもりがいつの間にか「二重人格」の話になっていたら×。

 そんなことを講座ではいつも話したり、実践したりしています。

 昨日の書き出しはたしかこんなのだった。

「 A美はオープンテラスのカフェにいた。会話をしながら同席者に向ける顔は憂いを帯びている。
 B夫は植え込みの影から妻の姿を見つめていた。腕時計に目をやり、時間を確認する。午後二時四十七分。
 背を向けていた同席者の男が姿勢を変えた。横顔を見たB夫は息を呑んだ。医師のCだ」

 文章がまずいのは、即興で黒板に書いたのを思い出しているからでご容赦を。この後に、あなたならどういう続きを書きますか?

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