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(8/10)次回作に期待のこと補遺(キャラクター)

 前のエントリーに追加しておくべきことを思い出した。独立させたほうがいい話題なのでこっちに書きます。

 キャラクターの魅力のことである。小説のキャラクターが自分の魅力を読者にアピールできる機会は限られている。小説の中で起きる出来事とキャラクターがどう関わるか、どのような動きをとるかという行動でのみ表現できるのだ。ミステリーのように、中心になる事件があるような小説ジャンルの場合は特にその度合いが強い。事件によって語られなかったとしたら、そのキャラクターには魅力がないことになってしまうのだ。だから、先に事件を設定し、その中に必要とされるキャラクターを配置するという書き方は基本的に正しい。

 ミステリー小説の登場人物に魅力が感じられないとしたら、それは事件との関わり方がおかしいからである。言い方はおかしいが、事件のこまとして十分に機能しきれていない。よく書けている小説なら、事件のありようがキャラクターを規定し、そのキャラクターの動向によって事件の帰趨が変化するといった、良好な影響関係が成立しているはずだ。それができているかどうかを一番よく知っているのは、実は作者自身である。作者自身が納得いっていないキャラクターは、絶対に読者からは評価されない(いや、納得のいったキャラクターでも評価されるとは限らないんですけどね)。プロの作家は、キャラクターが一人歩きをするようになった、という言い方をよくするが、かいつまんでいえばそういうことである。小説の構成要素として必要不可欠な部分をキャラクターが担っていれば、そのキャラクターは自律的な動きをとってくれる。その「自律的」というのがまた曲者で、キャラクターが勝手に動いた果てに予定調和のつまらない落ちにたどり着いてしまうこともあるわけなのだけど。

 その辺の広がりが出せるか出せないかという問題は、作者自身の資質に依拠するので最初から狙うのは難しい。ただし、書き終えた後で「どこがまずいのか」という判断はできるはずなので、脱稿後に編集者の目になって読み返せば、粗は発見できるはずである。つまり、そういう作業の繰り返しによって、よく動くキャラクター、つまらない動きをしないキャラクターを生み出す訓練をする必要があるということだ。

 要するに、そういうことを言いたかったんです。
 

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