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(8/11)バカミスじゃない文庫化

 かつて単行本形式で出ていた『バカミスじゃない』が二分冊で宝島社文庫に収録された。二冊にするほどの分量はあったかしらん、と思っていたが、編者の小山さんがだいぶ奮闘して追加原稿を入れられたようだ。おつかれさまです。

 その小山さんによるあとがきに、美術出版社刊のブックガイド『バカミスの世界』に関する言及があった。かの本が刊行されたとき「日本のバカミスに対する言及が少ない」というお叱りの声があり、「バカミスというレッテルを貼ると怒る日本人作家がいるから避けたのだろう、とか、日本人の作品だと色々なしがらみがあってバカミスと言えないのだろう、とか、根も葉もない邪推を何人もの方々から浴びせられた」そうである。

 えー、そうなのか。そういうことがあったとは知らなかった。編者は苦労されていたのですね。あの本に日本人作家の作品を収めなかったのは、小山さんが書かれているとおり、編集会議において翻訳ミステリーの古典や近年の話題作など、評価が定まっていてバカミスの概念を把握するのに役立つ作品を優先して収録すべきであり、日本人作家の作品については、続篇、もしくは増補版が実現したときに入れられればいい、という意見で一致したからだった(それもあって、『バカミスの世界』は文庫化、もしくは増補改訂版をどこかで出せないかとずっと思っていたのである)。特に批判の声には気付かなかったのだが、もし公的なメディアにそうした意見が掲載されたことがあるのであれば、逆に読んでみたいと思う。執筆者の方と意見交換することによって、バカミス論を深化させることができるからだ。

 今回の文庫化で国産バカミスリストが巻末に付されたこともあり、バカミスの小山さんによる体系だった紹介は完了したといえそうだ。喜ばしいことである。残念なのは『バカミスの世界』の方が書店で品薄になっていることなのだが、入手困難というほどでもないと思うので今回の文庫を読んで関心を持たれた方はブックガイドも探して読んでみてください。ちなみに著者名は小山正とバカミステリーズになっているが(『奇想天外のミステリー』巻末リストでは小山さんの単独名義)、霜月蒼、福井健太両氏と私も企画の段階から編集に関わっている。上の方針を決定する際にも編集会議の場にいたので、偏向であるという批判は四名に等しく向けられるべきである。公平を期すため、念のため記しておきます。

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Comments

言及していただきありがとうございます。
『バカミスの世界』の著者表記は私のミスです。
「バカミステリーズ」の皆さまを
抜かしてしまってすいません。いかんですね。
反省します。再版があれば直してもらいます。
なければ、文庫化へ向け、私も営業します!


Posted by: 小山 正 | August 12, 2009 at 11:44 PM

>小山さん

 コメントありがとうございます。文庫の再版、『バカミスの世界』の文庫化、ともに実現するよう祈っております!

Posted by: sugiemckoy | August 13, 2009 at 12:14 AM

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