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(8/30)あらすじ

 あらすじって大事です。
 北上次郎さんのように「あらすじを書くのは嫌いだ」と公言される書評家もいるが、だいたいの場合、書評にあらすじは必要である。読者がその本に関心を持つように可能な限り多くの情報を提供するのが書評の役目だが、「素材をもって語らしめる」ためには、本の内容を紹介することがもっとも手っ取り早いからだ(タレントが「泣きました」とテレビで言うことが、内容紹介よりも読者にアピールすることもある。でも、それはテレビタレントがやるからで、書評家が「泣きました」と言っても仕方ないのである)。誤解のないように書いておくが、北上さんがあらすじを書かないのは、他の言葉で本の内容を紹介する芸があるからである。故・中島らもさんが、一切あらすじを書かず、形容詞句の連続だけで本の内容を浮き彫りにする書評を書いたことがあるが、あれは繰り返しのできない手法だ。もっとも効率よく、多くの読者に伝わる方法というのは、やはりあらすじを書くことなのである。

 ここ数日、いろいろな本のあらすじを書いていたが、本によって書きやすいものと、書きにくいものがある。あらすじを少しでも書くとネタばらしになってしまう作品(歌野晶午『女王様と私』、ドゥエイン・スゥイアジンスキー『メアリー-ケイト』など)はたしかに書きやすくはないのだが、書いていてつらくはない。そっち(作者)がその気なら、なんとかしてあらすじを書いてやろうという闘志が湧くからである。いざとなったら北上次郎方式があるしね。本当に書きにくいのは、筋道立てて話を紹介するのが難しい作品である。新人賞の応募原稿についてくる梗概の中には、たまに何を書いているのかさっぱりわからないものがある。登場人物が無駄に多かったり、時制の混乱があったりで、作者自身も内容をよく把握していないからそうなるのだ(面倒くさくなったのか、一人の視点で書かれた小説なのに、多視点でそれを説明してくる人もいる。もちろん梗概としては反則)。あんな感じで、書きにくいタイプの小説のあらすじを書いていると、そのうちにだんだん混乱してくる。プロの作品でもそういうことはあるのだ。あれ、本人はどう思っているのだろう。一度、作者自身が書いたあらすじを拝見してみたいものである。

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