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(8/31)夜行性

 昨日は神奈川県横浜市にある「よこはま動物園ズーラシア」に子供を連れていってきた。八月中の土日は、夜間開放をしていたのである。夏の最後のイベントにするつもりだったのだが、あいにくの雨で、雨に濡れたくない動物たちは八割方が屋内にひっこんでいた。仕方ないですね。それはそうと、スマトラトラにせよ、インドライオンにせよ、めぼしい動物たちのほとんどが夜行性ではないような……。

 以前に行ったシンガポールの動物園は、ナイトハイクを見込んで、夜間向けの動物たちを多く飼育していたのであった。昼間はぐったりしていたジャッカルが、夜になると動くこと動くこと。

 たしか上野動物園でも夜間公開をする時期があったと思うのだけど、夜行性の動物が多くいる動物園にこそ、夜訪れてみたいと思ったのであった。

 

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(8/31)今日で夏休みも終わり

 だと思いますが、うちの子供の小学校は一週間前から始まっているので、あまり慌しさはありません。
 むしろ父親のほうが、溜まっている宿題(仕事)を片付けるのに忙しかったりして。

 昨日はNHKの選挙速報番組をずっと観ていた。一年のうち、テレビを観るのは選挙の日ぐらいのものである。十時に麻生首相が会見をしたのも、午前一時近くになって鳩山代表が合同記者会見をしたのもずっと観ていました(鳩山さんは質問に答える前に何をメモしているのだろう。質問事項の要点を紙に書いてから答えているのかな)。その他気になったのは公明党の太田代表の最初の会見なのだが、あれ、もしかして失言? と思う瞬間があった。いいことになっているのか、と思っていたら桂ざこば師匠が同趣旨の発言をして失言扱いされていたし。本人が言う分にはいいのか。そうか。

 選挙の結果はともかく、最高裁判所裁判官国民審査の結果は相変わらず全員信任だった。一票の格差の問題に合憲意見を出した涌井紀夫氏と那須弘平氏の罷免投票がもっとも多かった。一応有意な結果だとは思うが、結果を出せるほどの差ではない。前日投票の空白日の件が問題視されているようだが、今の投票結果を改めない限り、この制度は機能しない。信任する裁判官のみ投票する形にするのと、携わった主な裁判とその結果について事前に情報を出すようにしないと駄目だ。今はネット検索という便利なことができるようになったが、それが無かったころは、いったいどのくらいの罷免要求票率だったのだろう。

◆最高裁裁判官国民審査の結果◆(毎日新聞のネット記事より)
氏名(出身)     罷免要求票数(率%)
桜井龍子(行政官)  4656462(6.96) ※元労働省
竹内行夫(行政官)  4495571(6.72) ※元外務省
涌井紀夫(裁判官)  5176090(7.73)
田原睦夫(弁護士)  4364116(6.52)
金築誠志(裁判官)  4311693(6.44)
那須弘平(弁護士)  4988562(7.45)
竹崎博允(裁判官)  4184902(6.25) ※長官
近藤崇晴(裁判官)  4103537(6.13)
宮川光治(弁護士)  4014158(6.00)

 ちなみに桜井氏には御殿場事件の上告を棄却した件、竹内氏にはイラク派兵に合憲判決を下した件で罷免を求める人がネガティヴ・キャンペーンを張っていたのだが(各自調査。その他の人にも大なり小なりネガティヴ・キャンペーンはありました)、私は司法試験を通過しない行政官上がり(天下りとも言いますが)の方が最高裁に就任すること自体に疑問を感じる。司法の世界以外にも人材を求め、最高裁の視野を広げるためというのなら、官僚ではなく法学者でもいいのではないですかね。

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(8/30)あらすじ

 あらすじって大事です。
 北上次郎さんのように「あらすじを書くのは嫌いだ」と公言される書評家もいるが、だいたいの場合、書評にあらすじは必要である。読者がその本に関心を持つように可能な限り多くの情報を提供するのが書評の役目だが、「素材をもって語らしめる」ためには、本の内容を紹介することがもっとも手っ取り早いからだ(タレントが「泣きました」とテレビで言うことが、内容紹介よりも読者にアピールすることもある。でも、それはテレビタレントがやるからで、書評家が「泣きました」と言っても仕方ないのである)。誤解のないように書いておくが、北上さんがあらすじを書かないのは、他の言葉で本の内容を紹介する芸があるからである。故・中島らもさんが、一切あらすじを書かず、形容詞句の連続だけで本の内容を浮き彫りにする書評を書いたことがあるが、あれは繰り返しのできない手法だ。もっとも効率よく、多くの読者に伝わる方法というのは、やはりあらすじを書くことなのである。

 ここ数日、いろいろな本のあらすじを書いていたが、本によって書きやすいものと、書きにくいものがある。あらすじを少しでも書くとネタばらしになってしまう作品(歌野晶午『女王様と私』、ドゥエイン・スゥイアジンスキー『メアリー-ケイト』など)はたしかに書きやすくはないのだが、書いていてつらくはない。そっち(作者)がその気なら、なんとかしてあらすじを書いてやろうという闘志が湧くからである。いざとなったら北上次郎方式があるしね。本当に書きにくいのは、筋道立てて話を紹介するのが難しい作品である。新人賞の応募原稿についてくる梗概の中には、たまに何を書いているのかさっぱりわからないものがある。登場人物が無駄に多かったり、時制の混乱があったりで、作者自身も内容をよく把握していないからそうなるのだ(面倒くさくなったのか、一人の視点で書かれた小説なのに、多視点でそれを説明してくる人もいる。もちろん梗概としては反則)。あんな感じで、書きにくいタイプの小説のあらすじを書いていると、そのうちにだんだん混乱してくる。プロの作品でもそういうことはあるのだ。あれ、本人はどう思っているのだろう。一度、作者自身が書いたあらすじを拝見してみたいものである。

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(8/28)猫は臭いをかぎつける

 さっきからどうも二階がにゃーにゃー騒がしいなあ、と思っていたら、野良猫がベランダに上がってきていたのだった。子供が、夏休みの宿題のためにアジの干物を作ろうとしている(自由研究なのです)。それを取ろうとしてきたのだろう。でも、高いところに干したから取れないのであった。カラスが心配だな、でも。

 猫の監視が忙しくて仕事にならないのですが。やれやれ。

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(8/27)ブックジャパンのFriday新刊レビュー

 更新されていました。

 今回採り上げたのは、飴村行『粘膜蜥蜴』、ウォーレン・フェイ『フラグメント――超進化生物の島』、歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』、藤岡真『七つ星の首斬人』の四冊。なんといってもお薦めは『粘膜蜥蜴』だ。『粘膜蜥蜴』を読まない人間は一生後悔すると思う。読んだために一生後悔する人もいると思うけど。本来解説を自分で書いた本は採り上げないことにしているが、今回は『粘膜蜥蜴』のため、あえて自分で定めた規則を枉げました。ミミズもカエルもごめん!


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(8/27)花と流れ星

 幻冬舎から道尾秀介さんの『花と流れ星』見本をいただく。『背の眼』『骸の爪』に登場する真備庄介ものを集めた短篇集だ。諸事情により、すでにゲラで読んでいます。

 道尾さんが短篇作家としても優れていることは、すでに『鬼の跫音』収録の諸作でも証明されていたが、本書もなかなか良い。特に素晴らしいのが「流れ星のつくり方」だ。これ一篇だけでも本書は読む価値があり、書店で購って自分のものにする意味がある。お薦めします。

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(8/27)図書館はありがたい

 苦しめられていた原稿の一つを終えてメール送信。この原稿のために図書館から十冊以上の資料を借りていたのだが、結局一行ぐらいしか使わなかった。引用もなし。

 でも資料というのはそういうものだと思う。該当箇所をコピー&ペーストではなくて、そこを使わなくても原稿を書ける段階まで自分を追い込んでいくために必要なのである。文章の背景の広がりのために使う。使わないけど使う。だからこそたくさん準備する必要がある。

 いやー、でも今回使った資料を全部買っていたら、絶対に足が出ていました。原稿料よりも確実に資料代の方が高いもの。図書館とは、こういうときのために存在する機関であってもらいたい、と私は思うのです。ありがとう図書館の中の人。

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(8/26)このミス大賞

 二次選考の結果が上がっていました。私の箱からは二本通して一本が最終へ。まあまあの仕事だったか。
 それにしても選評が厳しいな。茶木さんはどう書かれるのだろうか。

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(8/25)下読み

 某賞の下読みを終えて、評価を書いた。一作たいへんに優れたものがあったので、楽な選考であった。エンターテインメントのお手本というような作品である(作者の名前に見覚えがないので、初めてこの人の作品を読むのだと思う)。関心したのは、梗概の書き方がすっきりしていたことだ。結末まで書いて、きちんと規定字数内に収めている。梗概でネタばらしをしているのに、本篇に対する興味が少しも薄れない点もたいへんに良い。この方が最終選考に残ることを切に祈ります。

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(8/24)カクレカラクリ

 メディアファクトリーから、森博嗣さん『カクレカラクリ』の文庫見本をいただく。
 解説が女優の栗山千明さんなのだが、その構成のお手伝いをしたのである。
 といっても栗山さんは作品をしっかりと読み込んでおられたので、音声から談話を文章に起こして順番通り並べていくだけで立派な原稿になった。とても楽な仕事でした。

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(8/24)大乱歩展

 神奈川近代文学館で10月に開催される「大乱歩展」がたいへんおもしろそうである。詳しくはコチラ
 関連行事がいろいろ企画されているようなのだが、もっとも惹かれるのは初日の小林信彦氏による記念講演だ。編集者として身近な場所で接した経験があるだけに、貴重な話を聞くことができそうなのだが……私、その日はPTA行事で拘束を受けてしまうのです。なんてこった。24日の紀田順一郎氏講演も、もしかすると参加できないかもしれないしなあ(日本にいないかもしれないのである)。でも、なんとかしてどこかで参加するつもり。

 

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(8/24)幽霊の2/3

 創元推理文庫創刊50周年記念復刊リクエストで1位を獲得した作品である。文庫解説を書いたので見本を頂戴した。

 学生時代はこの本が欲しいのに手に入らず(古本屋で見かけることすらなかった)、悔しい思いをしていたものだ。気軽に手に入るようになったことを心から嬉しく思います。

 本書の刊行を記念して、読書会をやりたいと思うんだけど、どうでしょう。東京都内で、10月頭くらいに。
 参加者が多いようなら、喫茶店の個室でも予約しようかな。


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(8/24)ナンプレファン

 十月号の見本誌をいただく。今回の「より道ミステリー」は、森谷明子『矢上教授の午後』、マイケル・イネス『証拠は語る』、レイモンド・T・ボンド編『暗号ミステリ傑作選』の三冊を採り上げた。自分で言うのもなんだけど、他では絶対にない組み合わせの書評だと思う。自由にやらせてもらっているなあ。

 読者には関係ないことだが、連載開始からずっと担当していただいていたKさんが、今号で交替されることになった。連載そのものにはまったく変わりありません。Kさん、今までありがとうございます。


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(8/20)FAQ1

 匿名希望のAさんから質問をいただいたのでお答えします。

1)ゴールデンエレファント賞の一次選考委員になっていますか?

 下読みの人選は通常出版社にとっての社外秘事項ですので、審査にかかわっていた場合、依頼元の許可を得なければ、明かすことはできません。たまたま今回は違うので答えることができますが。かかわっていません。

2)同賞の一次結果発表はいつですか?

 したがって一次発表の日程も知りません。あしからず。

3)どうやったら下読みになれますか?

 出版社が過去の人脈などをたどって個別に依頼を行います。売り込みをしても受け入れられるとは限りません。依頼がある場合に引き受ける、とだけお答えしておきます。

 以上。今回はたまたま時間と気持ちに余裕があったからお答えしましたが、礼を欠いた質問には以降お答えしません。よろしくね(キラッ)。

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(8/19)週刊SPA!

 見本誌をいただいた。今週号の「ミステリー一冊決め」は、松井今朝子さんの『道絶えずば、また』を採り上げている。『非道、行すべからず』『家、家にあらず』と本書の三冊で三部作は完結する。『非道、行すべからず』が連載されていたのは、今は亡き「鳩よ!」だった。私は吉野仁さんとの対談連載でお世話になっていたので、送られてくる見本誌で読んでました。懐かしい。十年越しのシリーズ完結である。

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(8/18)これはさすがに営業妨害

 よく、本を図書館で借りるのはやめろ、という人がいる。私もできれば本は買って読んでもらいたいと思っているが、個人の事情もあるのだし、「借りずに買って読め」とまでは言えない。ただ、新刊を借りて読みたいのなら、それなりのデメリットがあるのは覚悟すべきだと考えている。私の住んでいる区の図書館では、村上春樹級のベストセラーだと、千人を超える待ち人数になる場合がある。その不便さを受け入れるべきだということである。待つのが嫌なら、他のことを我慢して買って読めばいい。『1Q84』二冊だったら、お昼を六、七回抜いたら買えるでしょう。ビデオレンタルを十回我慢したら買えるでしょう。居酒屋に行くのを二回諦めたら買えるでしょう。娯楽に対価が発生するのは当然のことである。

 本日、図書館のホームページにこんな告知が出ているのを見てびっくりした。

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予約の多い図書を寄贈してください!

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投稿日時: 2009-7-23 16:55:00

・図書を寄贈してください。

・このHPの「予約の多い本」の常連、例えば作家で申しますと、東野圭吾、宮部みゆき、桐野夏生、伊坂幸太郎、石田衣良、真保裕一、恩田陸、海堂尊、角田光代、酒井順子、万城目学、勝間和代(敬称略)のような方々の作品を求めています。

・最近、お客様からの予約件数が増え、図書館としては嬉しいことなのですが、その結果、お客様には今まで以上に長期にわたってお待ちいただく図書が多くなりました。

・予約が増えても、ベストセラーだけを多数購入するわけにはまいりません。

そこでお願いです。

・お客様に人気の、今話題の活きの良いベストセラーの図書を寄贈してください。小説以外も歓迎です。図書館の蔵書としてお客様のお役に立てます。予約での待ち日数を短縮できます。

・ただし、カバーのない図書、記名・書き込み・汚損・破損・水ぬれのあるものは、残念ですが図書館の蔵書とすることはできません。

・もし、皆様の周りに上のような図書がありましたら、1冊でもかまいませんので、最寄りの○○区立図書館にお持ちくださいますようお願い申し上げます。

・勝手ながら、図書館から図書を受け取りに伺うことはできません。たいへん申し訳ありませんが、カウンターへお持ちくださいますよう重ねてお願い申し上げます。

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 これはさすがにアウトだと思う。実名を挙げて本を寄贈しろ、って駄目でしょう。この記事を書いた人間の常識を疑う。なんの法律も侵していないが、下品なことをするな、ということだ。○○区図書館は深く反省するように(三角窓口風に)。

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(8/18)10%おもしろいターザン本

 仕事の合間に『元『週刊プロレス』編集長ターザン山本!の活字プロレス血風録』を読んでみた。ターザン山本!はいつもと同じことを書いているだけなのだが、インタビューが四本と関係者座談会(掘り下げが少なくてつまらない)が入っている。このインタビューのうち二本がおもしろかった。長州力と吉田豪なんだもの。あとの二本のうち金澤克彦のものはまあまあ、佐々木健介のはつまらない。この人は常識人だから、怨みもない相手にそんなかっとんだことは言わないのである。本人の責任ではなくて、人選ミスだ。

 で、長州力。最初から最後まで「なんで俺があいつのことなんか喋らないといけないんだ」「俺の言ったことは全部書けよ、書けよ。書かないとお前も取材拒否だからな(妄想)」「山本の墓にクソぶっかけてやる!(妄想)」といった苛々した感情が伝わってくる、いいインタビューだった。可笑しかったのは「もう、アイツは忘れ去ったほうがいいよ」とターザンの存在自体を全否定しながら、「山本はタコと一緒だな。自分で自分の足を食ってんだよ」と的確にその処世術を批評していたり、やけに現状に詳しい点である。

 長州 それで、博打に呆けてるのか?
 --さあ、ボクもそこまで詳しくは……。最近の山本さんのことをご存じなんですか?
 長州 いや、そういう噂なんだよ。……う~ん。他にやってるとしたら、たぶんバカなヤツらを集めての、座談会とかさぁ。腐りきったヤツだな。
 --お詳しいですね?
 長州 だから噂だよ、噂。……たぶん、本人も気づいてるんだよ。でも、この世界しか食って行けるところがないから、そういうところじゃないか? ……これだけ聞ければ、十分だろ? 俺から聞ければ。俺の口から(笑)。

 長州最高! インタビューアはいい仕事をしていると思います。

 もう一本の吉田豪インタビューのほうは安心のクォリティーで、初紹介ネタもふんだんに紹介されている。この計16ページだけが飛びぬけておもしろかったな。全体はつまらない(特に著者の文章)ので、10パーセントだけおもしろい本である。

 本文の問題点は、まず文章がブツ切れであることだ。原稿用紙10枚分の話題しか提供できず、それを超えると息切れする。雑誌や新聞の記者あがりの人の癖で、記事の長さの文章しか書けなくなってしまうのだ。若いうちには一晩に数十枚を書いたというターザン山本!氏だが、別に論理立てて一つの題材を掘り下げるような文章を書いていたわけではなくて、勢いで理屈無用のアジテーションを書きなぐっていたわけだからね(そこがおもしろかったのだけど)。大人なりの文章の書きかたを勉強しなおさないと、プロレス界の外に出て行くのは無理だと思う。

 順番無視、伏線皆無で自分の書きたいこと、思いついたことだけを書いていくスタイルなので、この文章でフィクションを書くのは難しい。私小説なら書ける、と思っているのかもしれないが、私小説だって技巧というものはあるんです(ノンフィクションだってそうだ)。『告白』とか読んでいる場合じゃない。

 真面目に本文を読んでみると、さすがに全部が錆び付いたわけではなく、公称40万部の雑誌作りに采配をふるっていた際の感覚もところどころで発揮されている。自分が去った後の「週刊プロレス」がなぜ駄目になったのかという分析も的確だ。

「真面目でおとなしい人間が、活字プロレスを誌面で展開していくのは無理だ。そうすると『週刊プロレス』の誌面は限りなく、等身大なものになっていく」
「面白いことに、試合リポートを徹夜して書いていると、みんな仕事をした雰囲気になるのだ。それは私からすると、単なるマスターベーションでしかない。試合リポートは専門誌にとってゴミだ」

 このテンションをずっと続けれられればいいんだよなあ。

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(8/18)異文化交流

 昨日は都内某所にて、バカミス・アンソロジー文庫化のささやかなお祝い会が開かれた。小山さん、おめでとうございます。幹事さん、出席者のみなさん、おつかれさまでした。

 その席上で、小山さんが出席されている国際推理作家会議のお話をうかがった。各国のミステリ作家や批評家が出席し情報交換をする場なのだが、言語の異なる文化圏に対し、自国や自分の住む地域のミステリーを紹介するという機能があるらしい。小山さんもアジア代表として情報発信に努めているそうだ(追記:実際には本会で発表を行うのは、松坂健さんだとのこと。小山さんからコメントで訂正が入りました。→8/19 追々記 「日本ミステリの現状」テーマで発表をされたのは小山さんとのこと。たびたびの訂正で申し訳ありません)。

 これは非常に意義のあることで、永く続いていってもらいたい。また、日本推理作家協会・本格ミステリ作家クラブからも代表者を送ることが望ましい(すでに実行していたらごめんなさい)。桐野夏生さんの『OUT』英訳版がアメリカ探偵作家クラブのエドガー賞候補になったことは記憶に新しく、それを契機として英訳が進んでいるという。どうせなら、推協賞や本格ミステリ大賞の受賞作は、毎年英訳出版を行うくらいの試みをしてもいいはずだ。作家本人が手にする賞金の額など知れたものだし、そのお金を使って日英翻訳をしたほうが後々の投資になると思うんだけどな(本格ミステリ大賞はたしか賞金がないはずなので、これは完全に持ち出しになるね)。過去の例でいうと、松本清張や戸川昌子は、英訳されて海外で通用するビッグネームになったのである。

 もののついでに、英訳出版してもらいたい作品のベスト10を作ってみた。お慰みにご覧ください。ちなみに、現役作家の作品に絞っています。物故作家編や短篇編、ホラー編、時代小説編もそのうちに考えてみよう。

1位 山口雅也『奇偶』 世界に類例のない大思弁ミステリー。主流文学としても読んでもらえそうだ。言語の壁があるので日本語作品は英訳に向かない、という言い訳はこの作品には通用しない。

2位 松井今朝子『家、家にあらず』 解説を書いたときにゴシック・ロマンス・ジャパネスクという造語をしたが、それが狙い。和製デュ・モーリアか。フェミニストにも受けるのではないかという気がする。

3位 船戸与一『蝦夷地別件』 世界文学の書き手として外せない名前。どの作品でもいいのだけど、やはり日本が舞台のものがいいような気がする。自国にしか関心がないアメリカ人向けに『夜のオデッセイア』?

4位 貴志祐介『硝子のハンマー』 本格畑には紹介したい作品が目白押しなのだが、その代表ということで。男女ペアの主人公像が受け入れられやすそうだし、こういう形でアイデアを蕩尽するタイプの作品は珍しいはずだ。

5位 佐々木譲『警官の血』警察小説を一冊入れたかった。日本国内の警察組織事情を知らない海外読者にも、一家の年代記を描いた作品として受け止めてもらえるのではないか。

6位 鳥飼否宇『爆発的』 これを読んで、海外の読者はどういう顔をするのだろうか。バカミス代表ということで。鳥飼作品はどれを入れてもいいのだけど、題材が比較的通用しそうなものを選んでみた。

7位 桜庭一樹『少女には向かない職業』 初期作品のどれでもいいが、島の風景が印象的かなと。ある程度成熟した社会では必ず問題にされる題材を扱っているので、どの文化圏でも読まれる内容だと思う。

8位 恩田陸『中庭の出来事』 恩田作品を一つ入れたかった。こういう構成の作品も、わが国ではミステリーとして読まれています、と海外の読者に言ってみたい。『三月』か『ユージニア』でもいい。

9位 西澤保彦『収穫祭』 日本の風景を背景にした殺戮劇ということで入れてみました。後半の悪夢展開も文化に関係なく読んでもらえると思う。そういえば西澤さんは米国の大学で創作を専攻していたんだっけ。

10位 東郷隆『蛇の王』 東郷さんの作品は、収支バランスが悪すぎる。あれだけ取材費がかかっている(ように見える)作品なら、もっと多い読者のいる場所で勝負した方がいいのではないか。伝奇小説の代表として。

次点 北村薫『六の宮の姫君』 とりあえずビブリオ・ミステリーのこの作品を選んでみた。日本の文学作品を題材にしていることもあり、関心を持つ読者は多いはずである。

 以上。記憶にある限り英訳された作品はないはず(あったらごめんなさい)。すでに英訳が進んでいる作家の作品は外してみました。北村さんが次点なのは、英訳作品があったかも、と途中で弱気になったせい。

 みなさんだったら、どの作品を英訳紹介してみたいですか?
 

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(8/17)三角形の第四辺

 前にこのブログで忘れられない思い出を残してくれた編集者のことを書いたのだけど、一人追加で思い出した。
 ムック制作でご一緒した某さんだ。

 某さんは、出会いのときから凄かった。例によって力仕事で人手がいるということで、新宿の喫茶店に関係者七、八名を集めてミーティングを開くことになった。ところが、約束の時間から一時間以上経っても某さんが来ないのである。考えられないことだ。関係者が全員揃っていて、編集者だけ遅刻なんていうミーティング、それが最初で最後である。携帯電話はずっと留守番になっている。一時間半待って、ようやく某さんから関係者の一人に電話がかかってきた。

「ここのところ徹夜作業が続いていたせいで、喫茶店で机につっぷしたまま寝てしまいまして……」

 電話を受けた人物が即座に通話ボタンを切ったことは言うまでもない。いや、つっぷして寝ちゃうなら、待ち合わせ場所まで来て寝たらいいじゃんか。

 この時点でものすごく嫌な予感がしたのだが、かけだしの辛いところで、ついつい原稿依頼を受けてしまった。何ページか書いたように記憶している。原稿書きの作業自体は楽しかったので文句はないのだが、できた本を見てびっくり。

 うわっ、だっさあ……。

 本全体につけられたキャッチコピーといい、読みにくい台割といい、ひどいものだったのである。仕事ができる編集者は、初顔合わせで遅刻なんてしないものだとよく判りました。さらに言えば、いくつかの署名原稿で、明らかに手抜き、もしくは編集意図を無視した自分語りのものがあり(商業誌のレベルに達していないと私は判断した)、某さんがクォリティコントロールを怠ったものと私は考えた。だから、見本誌をもらった際に直接言ったのである。

「某さん、この本はひどい出来だと思います。いくつかのひどい原稿が入っているせいで、玉石混交どころか、そっちの印象に引きずられて、ひどく安い印象のムックになってしまっていますよ。きちんとした本を作るんなら、一定のレベルに達していない原稿には駄目出しして、書き直させるぐらいじゃないと……」
「(さえぎって)私はそう思いません!」
「思わないって、じゃあ某さんはどう思われるんですか?」
「それは杉江さんの価値観だと思います。私の価値基準では、これら(私が指摘したやつ)も立派なおもしろい原稿だと思います」

 てへっ、価値観の多様性を持ち出されちゃ仕方ないね! コミュニケーションができないことがわかったのでそれで話を打ち切ったのだが、その後一度も会っていない。もちろん、仕事もしていないのだが、今はどうしているのだろうか。どうぞ、お元気で。でも遅刻は三十分以内にしたほうがいいよ。

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(8/16)本日のワタクシ

 お当番の日なので、小学校に行ってパトロールの仕事をしてきます。
 そろそろ夏休みも終りに近づいてきたので、PTA関係の文書などを作成し始めなければ。

 夕方は子供と一緒に美術館に行く予定。

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(8/15)5つ星ホールを探せ!

 ゲッツ板谷さんがブログで「5つ星ホールを探せ!」連載時の「パチンコ必勝ガイド・ルーキーズ」バックナンバーを持っている人を探していた。私は残念ながら一冊も保存していないので応えられなかったのだけど、誰か見つかったのだろうか。

 もし「5つ星ホールを探せ!」が本になるのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。あの当時、私はパチンコなんてほとんどしないのに、連載を読むためだけに「ルーキーズ」を買っていた。会社員になったばかりで収入もあまり多くなくて、一冊の雑誌を何回も読み返したのだ。金角(当時)銀角の二人が全国を周ってくだらないことをしているのを羨ましく思って、こういう馬鹿旅をいつか自分でもしてみたいと思ったこともあった。独立してお金ができたら、国内旅行なんてしていられないぐらい忙しくなってしまったのだけど。

 できれば、あのころの誌面のまま復刻してもらえたら嬉しいんだけどな。写真の権利とかいろいろな問題があるだろうから難しいだろうか。

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(8/15)ともだち

 以前の日記に書いた「CREA」の作家特集の件が反響を呼んでいる模様。

 米澤穂信さんがブログで反応していた。→ココ
 実は米澤さん、いじられキャラの素質があるとみた。

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(8/14)カンピロンバクター

 本日の午後は、区の保健所で食中毒防止のための講習会をずっと受けていた。秋の祭礼で食品販売の模擬店が出るので、責任者代理として出席したのである。PTA会長ってなんでもやるんだな、と自分でも思った。

 最近増加しているカンピロンバクターって、生の鶏肉の60パーセント以上が感染している可能性があるんですって。知ってました?

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(8/14)保健所

 朝一で月刊誌の原稿を二本終わらせて送付。これでお待たせしている原稿は文庫解説だけになったはずである。ようやく寝られる……と思いきや、今日は秋祭りの行事のため、保健所の講習会に出ないといけない日なのであった。死んでしまう。

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(8/14)本日も仕事日

 九月に発売される大森望さんの『狂乱西葛西日記20世紀remix』の人名索引に、杉江松恋の名前があるらしいことが判明。げげげ、いったい何を書いてもらったんだっけ。ご存じのとおり「狂乱葛西日記」は、大森さんのサイトのタイトルで、そのウェブ日記が本にまとまるらしい。あのころはあんなこともあんなこともあったしなあ、としばし回想。

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(8/13)現実逃避

 自分が綾戸智恵と絢香を混同していたことに今気がついた。テレビに騒々しい人が出ていたので、なんだろうと思ってテロップを見たら、名前がわかったのだ。あー、そうなのか。誰だかと結婚して引退するという女性が綾戸智恵なんだと思っていた。吉本興業に中山美穂という芸人がいて(今は美保と改名したらしい)、、関西出身者にナカヤマミホというとそちらの方を思い浮かべられる、という話が以前あったが、それと同じか。違うか。

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(8/13)プロレスライター

「週刊プロレス」の高山選手のインタビューを読んで驚いた。出だしの展開が「kamipro」に掲載されたものとまったく同じである。先行する雑誌に同じテーマ(三沢選手)のインタビューが載っていることはわかっているのだから、少しぐらい工夫したらいいのに。

 プロレス関連では最近三冊の本を読んだ。おもしろかった順に挙げると、『子殺し』金沢克彦、『闘魂の呪縛 王道の絶望』井上譲二、『ミスターデンジャー松永光弘 最後のデスマッチ』伊藤健志ということになる。金沢本は週刊ゴングの元編集長が、九〇年代後半の新日本プロレスの取材記を公開したという点に興味を引かれる。橋本・小川戦の舞台裏が描かれており、興奮して橋本をノックアウトしてしまった小川が電話で橋本に謝罪したくだりが生々しい(著者は実際にその場にいたわけではないので、伝聞による叙述なのだけど)。井上本の方は、同じく週刊ファイトの最期を看取った編集長の回顧本。ファイトがなぜ業界の異端児であったのかがよく判る本で、立ち位置としては週刊誌やスポーツ紙の記者よりもこちらの方がはるかに正しい。私にはジャイアント馬場について書かれた章がおもしろかった。馬場に可愛がられていなかった記者だからこその、やや距離を置いた視点で冷静に巨人の心理を描き出している。この二冊に比べると、松永光弘本は期待はずれ。これはライターの資質の問題で、松永の自著(といわれている)『ミスターデンジャー プロレス危険地帯』の完成度には遠く及ばない。構成の粗さが最大の難点で、ページを埋めるために松永と斎藤彰俊、TAJIRIとの対談を収録しているのだが、これが見事におもしろくない。はるか昔に収録されたものだという点を抜きにしても、会話のテンポが悪く、無駄な話題が多いので読みにくいことはなはだしいのである。よく勘違いしているライターがいるが、ライブ感のあるインタビューというのは、会話そのままを起こした原稿のことではないから。ライターを替えて、mixiで松永が書いている日記を収録した構成にしたら、本の完成度は何倍にもなっていたはずである。金沢・井上・伊藤三氏のライターとしての資質が、本の出来に直接反映された結果になった。

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(8/12)本の雑誌

 九月号の見本を頂戴する。寄稿というか、座談会に出席したのである。読んだことのない本を知ったかぶりをして語るという趣向の座談会で、茶木則雄さん、大森望さんと出鱈目な話をしている。あんな無茶苦茶な内容なのだから、きっと後ろの方にちょこっと載るだけなのだろうとたかをくくっていたら、巻頭特集の、しかも頭になっていたから悶絶した。うひゃあ。

 この企画、とにかく出席するまでわからないことだらけで、最初に編集Mさんから電話をいただいたときの話でわかったことは「読んでない本の話をしろ」ということだけ。てっきり後から補足説明があるのだろうと思っていたが、まったく音沙汰なし。ついに怖くなって、座談会当日の午前中に「えーと、追加情報はないのでしょうか。せめて、他の方がどの『読んでない本』を準備されたかだけでも知りたいのですが」とメールしたところ、「すいませーん。新しい情報は何もないのですぅ」という鬼のような返信がきた。うわあっ、それって現場に行ってネタがかぶっていたら、一から考えなおさないといけないということか。仕方がないので、近くの図書館のウェブサイトにアクセスして、貸し出し数と予約数の多い本のリストをダウンロードした。同じ読んでいない本について語るにしても、知名度のない本を読んでいなかったら、それは当たり前ということだからだ。他の人が読んでいそうな本を読んでいないからこそ意味がある、よし。そう思って一応のあたりをつけて本の雑誌社に赴いたのだが……。

 最終的に選んだ本については本誌をご覧ください。結局、他のお二人との兼ね合いで、バランスをとって本を選びなおすことになってしまった。だから事前に決めておけば(ちなみに大森さんだけは準備万端でやってきていました。さすが)。

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(8/12)バカミスのこと、もう少し

 以前「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」でバカミス特集を持ってもらったとき、否定派、肯定派両方の意見を載せたいと思い、バカミスという用語に嫌悪感を表明しておられる作家にお会いして直接寄稿依頼をした。たしか別件でインタビューをしたときに、雑談の形でお願いしたのだったと記憶している。結果としては断られたのだが、その理由は十分納得のいくものだった。要点をかいつまんで書くと、こんな感じ。

「バカミスというものを楽しんでいる人がいることは承知している。ただし、そこに関与することはしないし、否定論を書くつもりもない。公的なメディアで自分が発言すれば、それ自体がバカミスというものの存在を認めたことになるから」

 ああ、なるほど、と思ったのである。これは否定論を書くよりも強い否定の仕方でしょう。つまりメディアでバカミスというものを取り沙汰する回数が増えれば増えるほど、なし崩しに用語が市民権を得ていくことになる。そこに荷担はしません、というわけだ。この方は、かねてより「バカミスという用語にまつわる思考停止の感じが嫌いだ」と発言しておられるので、首尾一貫している。バカミスという用語が市場に流布すること自体を避けたいということだろう。

 バカミスという用語は、関西と関東で言葉の荒々しさが違う、ということを別の方から言われたことがある。関西の方がバカという言葉に不快感を抱く方が多い、ということだろう。バカミス普及の妨げとなっているのはその語感だ、という説もあるのだが、私は違うと思っている。やはり問題なのは「思考停止」なのだ。

 思考停止の感じ、というのはこういうことだと思う。小説にはさまざまなテーマが盛り込まれ、そのテーマを文章に実現するためのプランが凝らされる。小説は世に出た瞬間に作者の手を離れて読者のものになるが、作者はできる限り誤読をされないよう、また誠実な読み手の期待に応えられるように最大限の努力を行って文章を書く。読者は、作者が行間にこめたものを汲み取りながら、自分なりのストーリーを胸中で構成していく。そうした交流によって醸成されるはずのものが「あれはバカミスだね」という一言で片付けられてしまうのが、書き手としても読み手としても許せないということなのだろう。あれこれ委曲を尽くしたのに「結局バカミスかよ」という。

 バカミスは読書の切り口であって、結論であってはならないのである。あれはバカミスだね、なぜならば……という、「なぜならば」が伴わないのであれば、たしかにその読みは思考停止したものに「見える」。「バカをバカと言う」というのは、何も生み出さない閉じた行為だからだ。書評に「バカミス」の用語を使うのが危険なのはその点で、私はかなり前から、文章量に余裕がない媒体での文章でこの用語を使うのは、自粛するようにしている。使うときには、説明責任を負って使うべき用語だということである。

 そんなわけで、この用語が世の中に幸せな形で流布していくことを望む者としては、今後はより一層慎重な姿勢で「バカミス」に接していきたいと考えるのである。バカミスという用語を捨てたり、忘却したりするわけではない。一見関係ないように見える事柄が実はバカミス支援になる、ということがきっとあるはずなのだ。かつて旗振りに携わったものとして、そうした形でバカミスを愛していきたいと思う次第であります。以上、おわり。おわる。おわった。

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(8/11)バカミスじゃない文庫化

 かつて単行本形式で出ていた『バカミスじゃない』が二分冊で宝島社文庫に収録された。二冊にするほどの分量はあったかしらん、と思っていたが、編者の小山さんがだいぶ奮闘して追加原稿を入れられたようだ。おつかれさまです。

 その小山さんによるあとがきに、美術出版社刊のブックガイド『バカミスの世界』に関する言及があった。かの本が刊行されたとき「日本のバカミスに対する言及が少ない」というお叱りの声があり、「バカミスというレッテルを貼ると怒る日本人作家がいるから避けたのだろう、とか、日本人の作品だと色々なしがらみがあってバカミスと言えないのだろう、とか、根も葉もない邪推を何人もの方々から浴びせられた」そうである。

 えー、そうなのか。そういうことがあったとは知らなかった。編者は苦労されていたのですね。あの本に日本人作家の作品を収めなかったのは、小山さんが書かれているとおり、編集会議において翻訳ミステリーの古典や近年の話題作など、評価が定まっていてバカミスの概念を把握するのに役立つ作品を優先して収録すべきであり、日本人作家の作品については、続篇、もしくは増補版が実現したときに入れられればいい、という意見で一致したからだった(それもあって、『バカミスの世界』は文庫化、もしくは増補改訂版をどこかで出せないかとずっと思っていたのである)。特に批判の声には気付かなかったのだが、もし公的なメディアにそうした意見が掲載されたことがあるのであれば、逆に読んでみたいと思う。執筆者の方と意見交換することによって、バカミス論を深化させることができるからだ。

 今回の文庫化で国産バカミスリストが巻末に付されたこともあり、バカミスの小山さんによる体系だった紹介は完了したといえそうだ。喜ばしいことである。残念なのは『バカミスの世界』の方が書店で品薄になっていることなのだが、入手困難というほどでもないと思うので今回の文庫を読んで関心を持たれた方はブックガイドも探して読んでみてください。ちなみに著者名は小山正とバカミステリーズになっているが(『奇想天外のミステリー』巻末リストでは小山さんの単独名義)、霜月蒼、福井健太両氏と私も企画の段階から編集に関わっている。上の方針を決定する際にも編集会議の場にいたので、偏向であるという批判は四名に等しく向けられるべきである。公平を期すため、念のため記しておきます。

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(8/11)忘れられない三人の編集者

 ぼうっとしていたら、大昔のことを思い出した。ので、書いておく。

 今の筆名を使い出してから十数年経っているが、その間に編集者とのつきあいで「これはひどい」と思ったことは三回だけである。ひどい、というのはつまり「許せない」ということで、二度とその人とは仕事をしたくないという気持ちになった。人を呪わば穴二つの喩えどおり、杉江松恋はなんてひどい奴だ、と思っている編集者や同業者の方も世の中にはいるはずである。なので自分だけ被害者面をするのはアンフェアではあるのだが、思い出しているうちにだんだん腹に据えかねてきたので、その三人について書いてしまうことにする。夏だから仕方ないね。

 三人の中の一人目。某社でムックを作った際、物撮りのために本のカバーを大量に貸したのだが、返却してくれなかった人。カバーが存在しない本(ハヤカワ・ミステリなど)は現物を貸したんだけど、それも戻ってこなかったんだよなあ。本が出た後にこの編集者は会社を辞めてしまい、問い合わせの電話をしても応答してくれなくなった。携帯電話を鳴らしても出ないので、あれは多分着信拒否していたのだと思う。最後に確認したときは某漫画家さんの復刻本を作っていた。サイトも作っていたので、そのサイトに記載されていたアドレスへ返却要求のメールを送ったのだけど、梨のつぶてだったのだよなあ。ちなみにそのとき失くされたカバーの一つが、S・A・ステーマン『三人の中の一人』(番長書房)だ。ライオネル・ホワイト『逃走と死と』も失くされた。本人は逃走後、無事でいるのだろうか。

 三人の中の二人目。某社で雑誌特集に協力した際、ギャラを払ってくれなかった人。このときは大先輩のライターさんからの紹介仕事だった。お世話になった方なので切り出しにくかったが、半年ぐらい経ってからその方に「実は」と伝えると、すぐに渡りをとってくださりしばらく経ってから原稿料が振り込まれた。そういう意味ではギャラももらったので引きずる必要はない。だが、その方が連絡した際の編集者の言い訳が噴飯物だったので覚えているのだ。なぜ原稿料を払わない? と聞かれてその人物は「尊敬する淀川長治が亡くなられてから何をする気にもなれなくて……」と答えたそうである。ふーん、そうですか。人の生き死にを言い訳に使わないように。

 三人の中の三人目。某社でムック制作に協力した際、ギャラを払ってくれなかった人。このときは編集部のメンバー全員が一斉に退社するような事態だったらしく、直後から一切連絡が取れなくなった。後日会社の社長に電話をして事態を説明したところ、「現在調査中でして……」と言われてそのままになってしまった。私だけではなく、その本に携わったライターの大部分が原稿料未回収だと聞いている。中には私が声をかけてお願いした方もいるので、さらに申し訳ないと思うのである。このときの仕事はとにかく突貫作業で、台割決定から見本刷り完成まで一月もなかったような記憶がある。とにかく体力勝負なので、駆け出しライターが何人か集められたというわけだ。

 私は知らなかったのだが、その人物は映画雑誌などで長いキャリアを持つ編集者だったらしい。おそろしいことに私(と仕事をした仲間)は、その人物の編集方針にいちいちクレームをつけたのである。キャプションやリードのたぐいはとにかく全否定して変更させた記憶がある(だって、ダサかったんだもの)。自分が執筆したのが、ハードボイルド小説の歴史に関する箇所だったので、特にこだわりが大きかったのである。今考えると編集者の編集権を侵すほどの口出しだった可能性もある。クレームをつけているのは、ほんの駆け出しのライターなのだから、大いにプライドを傷つけられたことだろう。そんなこんなの鬱憤がたまって、許せない気持ちになっていたのではないか。本当なら会社を辞めるときには残務整理をして「これこれの人に払う原稿料がまだなんですよー」と伝えていってもらえれば済む話だったと思うのだが、その対象が憎むべき相手だったとしたら、伝票を切る手も止まろうというものだ。そういうことだったのかもしれないねえ、と庭にやってくる小鳥たちに語りかける今日このごろなのである。

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(8/11)ブックジャパン

 先月の第三金曜日にパスしてしまった(すいません)新刊チェックの原稿を本日アップしていただきました。
 サイトがリニューアルされて、タイトルごとに書評が掲載される形式になったみたい。
 今月採り上げたのは下記の四冊である。それぞれクリックすると該当の書評に飛びます。

 北國浩二『リバース』
 門井慶喜『おさがしの本は』
 辻村深月『ふちなしのかがみ』
 ジョシュ・バゼル『死神を葬れ』

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(8/11)ミス連ゲストは辻村深月さん

 今年も八月になってミス連こと全日本大学ミステリ連合の大会の時期がやってきた。
 今回のゲストは、先月ホラー短篇集『ふちなしのかがみ』を刊行された辻村深月さんである。

 大会そのものは、山梨県某所で八月二十一日から二十三日まで合宿形式で行われる。辻村さんがいらっしゃるのは、二十二日の午後からだ。二十一日は金曜日だしちょっと参加しにくいな、という方も二十二日からの参加でも可能なので、いかがでしょうか。ちなみに名称は「大学」ミステリ連合だが、社会人の参加も受け付けている。開催日まであまり時間がないので、もし参加を希望される方がいたら私にメールでお知らせください。

 編集者の方が学生幹事への連絡先がわからない場合は仲介します。でも学生主催のイベントだから、あまり仕事の話を持ち込むのはやめてくださいね。いつだったか有栖川有栖さんがいらっしゃったとき、外房の先のほうだったのに、某社の編集者がやってきていたので驚かされた(しかもサイン会後の有栖川さんをつかまえ、話をするだけして帰ってしまったので二度びっくり。書店サイン会とかと違って営業イベントじゃないんだから、主催団体への仁義を切るくらいはしてもよかったのではなかろうか)。そこへいくと微笑ましかったのは、今は祥伝社のエライ人になってしまったHさんで、綾辻行人さんがゲストでいらっしゃった際、参加者としてきちんと一泊して帰っていかれたのであった。まだ面識がなかったころだったので、旅館の玄関で「綾辻さんは上にいらっしゃいますか?」と聞かれて、答えていいものかどうか迷った記憶がある(だって不審者かもしれないじゃん)。まあ、Hさんはワセダミステリクラブの出身で、ミス連参加経験もある方だったのだけど。一泊しなくてもいいので、ちょっと学生さんと交流して帰ってくだされば結構です。どうぞ業界関係者もいらしてくださいな。詳しい場所は明かせませんが、都内からでしたら日帰りも可能です。

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(8/10)あずまんが

 仕事の合間にあずまきよひこ『あずまんが大王』の新装版をぱらぱらめくって読んでいる。
 いや、ぱらぱらめくって読んでいるというのは嘘だな。なぜならば、両手がふさがっているからだ。片手に新装版、もう一方の手に旧版を持って並行して読んでいる。というのも、新装版では大規模な書き直しがあるからだ。旧版の四巻が学年ごと1冊の三巻本に改められただけではなく、連載初期の絵がほとんどすべて描きなおされている(絵心がないので細かいことはわからないが、髪の毛のハイライトや、漫画的な慣用表現が省かれている。リアルなタッチに近づけられている感じだ)。落ちの表現が変わっているものはたくさんあるし、新装版「一年生」の三十八ページ「できること」と「いとあわれ」、七十六ページ「簡単です」、百六十ページ「交換会」「プレゼント」の各篇は、四コマ漫画がまるまる差し替えになっている。これは嬉しいような困ったような。だって新装版と旧版、両方とも保存しないといけなくなっちゃうし。ちなみに各巻とも、「ゲッサン」に掲載された「補習編」十六ページが追加されているので、これは純粋にお得だ。仕方ないから三巻目も買います。

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(8/10)ダ・ヴィンチ九月号

 見本を頂戴した。
 今月担当したのは、巻頭インタビューの一つ。間もなく公開される『南極料理人』に出演した生瀬勝久さんに、興味を持っている一冊を挙げてもらうという趣向である。芸能人のインタビューは毎回何が出てくるか判らなくて大変なのだが、このときは参った。なにしろ生瀬さんが挙げた書名は、数学ノンフィクションのジョージ・G・スピーロ『ポアンカレ予想』(早川書房)だったのだから。トポロジー、なにそれ美味しいの?

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(8/10)次回作に期待のこと補遺(キャラクター)

 前のエントリーに追加しておくべきことを思い出した。独立させたほうがいい話題なのでこっちに書きます。

 キャラクターの魅力のことである。小説のキャラクターが自分の魅力を読者にアピールできる機会は限られている。小説の中で起きる出来事とキャラクターがどう関わるか、どのような動きをとるかという行動でのみ表現できるのだ。ミステリーのように、中心になる事件があるような小説ジャンルの場合は特にその度合いが強い。事件によって語られなかったとしたら、そのキャラクターには魅力がないことになってしまうのだ。だから、先に事件を設定し、その中に必要とされるキャラクターを配置するという書き方は基本的に正しい。

 ミステリー小説の登場人物に魅力が感じられないとしたら、それは事件との関わり方がおかしいからである。言い方はおかしいが、事件のこまとして十分に機能しきれていない。よく書けている小説なら、事件のありようがキャラクターを規定し、そのキャラクターの動向によって事件の帰趨が変化するといった、良好な影響関係が成立しているはずだ。それができているかどうかを一番よく知っているのは、実は作者自身である。作者自身が納得いっていないキャラクターは、絶対に読者からは評価されない(いや、納得のいったキャラクターでも評価されるとは限らないんですけどね)。プロの作家は、キャラクターが一人歩きをするようになった、という言い方をよくするが、かいつまんでいえばそういうことである。小説の構成要素として必要不可欠な部分をキャラクターが担っていれば、そのキャラクターは自律的な動きをとってくれる。その「自律的」というのがまた曲者で、キャラクターが勝手に動いた果てに予定調和のつまらない落ちにたどり着いてしまうこともあるわけなのだけど。

 その辺の広がりが出せるか出せないかという問題は、作者自身の資質に依拠するので最初から狙うのは難しい。ただし、書き終えた後で「どこがまずいのか」という判断はできるはずなので、脱稿後に編集者の目になって読み返せば、粗は発見できるはずである。つまり、そういう作業の繰り返しによって、よく動くキャラクター、つまらない動きをしないキャラクターを生み出す訓練をする必要があるということだ。

 要するに、そういうことを言いたかったんです。
 

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(8/10)次回作に期待の件

 ぶらぶら検索していたら、「このミス」大賞の「次回作に期待」拙稿について触れていただいているブログを発見した。賞に応募された方だと思うので、リンクはしません。あしからず。

 せっかくなので「次回作に期待」で書いたことの補足をしておきます。

 あの文章の冒頭で、私はこう書いた。
 正直申し上げて、1次選考を通過した二作の出来が飛びぬけていました。読みやすさや論理展開に配慮した構成がとられており、物語の素材についての取材が行き届いており、テーマが完全に消化されている。かつキャラクターに愛すべき点があり、作品に独自の雰囲気が備わっているとくれば、どこへ出しても文句のない作品です。残念ながら二作のレベルに一歩届かなかったものについて、ここでは紹介をしておきましょう。

 文字数が足らなかったので十分に説明できなかったが、上に挙げた事柄は、ミステリー新人賞原稿を読んで判断するときの基準を自分なりにまとめたものである。前半分が必要条件、後半分が十分条件ということになる。

 つまり、
 1)読みやすさや論理展開に配慮した構成がとられている。
 2)物語の素材についての取材が行き届いている。
 3)テーマが完全に消化されている。
 という三つの条件をすべて満たしていれば水準作であり、欠けていれば減点材料となる。落すために読まなければいけないような選考のときは、減点が少ないものを最初に合格にします。
 もちろん新人の作品だから、作品に過不足があるのは当然のことで、過剰が微笑ましいことがあれば、もう少し書いてくれていたら、と拙さを残念に思うこともある。そういうときに、減点部分を補ってくれるプラスアルファを求めるわけだ。そんなときに以下の二点が備わっていれば、無茶を承知で加点することがある。

 4)キャラクターに愛すべき点がある。
 5)作品に独自の雰囲気が備わっている。

 もちろん、1)~5)のすべてが揃った作品が候補作としては望ましいのだが、そんなものは百本読んで一本あるかないか。今回自分の箱から通した二作は、以上の五つの条件を四つずつ満たしたものだと考えている。逆に「次回作に期待」止まりとした作品は、二以下だったということですね。三の作品が無かったので、残念ながら三作目の一次通過作品を出すことができなかった。選考の経過はそんな感じでした。

 上の条件はあくまで私的なものなので、他の新人賞や他の選考委員に当てはまるものかどうかはわからない。たとえば、どんなに論理的で取材が行き届いた作品でも、キャラクターが駄目なら通さないという人もいるでしょう。私は、キャラクターを加点条件にして減点対象にはしないというだけの話である。作品の雰囲気、というのは曖昧な言い方なのだけど、文体や表現の巧拙はここに含まれると考えている。つまり、一次選考の段階では、文章が稚拙だと思うものでも、ある程度までは目をつぶるということである。読みやすければ。素材がわかりやすく表現されていれば。書き手のやりたかったこと(と読者が判断すること)が十分にできていれば。それを判断するのが「ミステリー新人賞の下読み」の仕事だと私は思っています。もちろん、普通小説の応募原稿を読むときは、違ってくる条件もありますよ。

 だいたいそんな感じ。あれだな、「このミス」大賞の一次選考委員が一人ひとりの選考基準を明らかにしたら、ちょっとおもしろいかもしれませんね。開かれた賞なのだから、そのくらいやってもいいような気がする。

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(8/10)追想五断章

『粘膜蜥蜴』のことを書いたので、もうすぐ出る本のことをもうひとつ。
 先週の金曜日に、米澤穂信さんにインタビューしてきた。ミステリチャンネルの放映用である。
 米澤さんの新刊『追想五断章』は、小説すばる連載が一冊にまとまったもので古本屋でアルバイトをする青年が主人公の、ビブリオ・ミステリーだ。読みながら「これはもしかして某ミステリー専門誌でデビューした某ミステリー作家に対するオマージュとして書かれた作品なのでは」と思いついたのでインタビューの際にもお聞きしたのだが、「某ミステリー専門誌でデビューした」点のみ正解で、別の作家の別の作品がモチーフになっていたのでした。なるほど。曖昧で申し訳ないが、カットされていなければオンエアで確認できると思うので、ご覧になってください。本は八月二十五日発売予定。

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(8/10)ミステリーズ!

 三十六号の見本が到着。今回の「路地裏の迷宮踏査」は、フレドリック・ブラウンについて。ブラウンの短篇は何割が邦訳されているのだろう。いっぺんきちんとした書誌情報を作ってみるべきだ。

 今号から中辻理夫さんの結城昌治論「淡色の熱情」の連載が始まった。楽しみにしています。

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(8/10)粘膜!

 解説を書いた『粘膜蜥蜴』の見本を頂戴した。日本ホラー小説大賞長編賞受賞作『粘膜人間』に続く、飴村行さんの第二作である。今回もぶっ飛んでいるので、粘膜派の読者は必ず読むこと。私はすでに二回読みました!

 前回の人気キャラクターは河童のモモ太だったわけだが、『粘膜蜥蜴』では富蔵に注目である。富蔵は爬虫人なのだ。爬虫人ってなに? という人は八月二十五日の発売日には本屋さんにダッシュだ。


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(8/8)クレアの夏読書の夏

 昨年に引き続き、「CREA」九月号は読書特集である(昨年の読書特集号はめでたく完売したらしい)。
 ミステリー関係の目玉は、読者投票による東野圭吾特集。結構意外なものが上位に入っていておもしろいです。私はこの記事と、道尾秀介さんのインタビューを担当しました。伊坂幸太郎さんの少し長めのインタビューと、道尾さん他、米澤穂信さん、辻村深月さん、初野晴さんといった、現在目立った活動をしている作家の一ページインタビューが掲載されているのである。それぞれ、囲みコラム形式で「作家でなかったら、どんな職業に就いていた?」というような共通質問が行われているので、見比べてみると楽しいでしょう。

 可笑しかったのは、「仲の良い作家の方は誰?」という質問。

 道尾さん→「桜庭一樹さんと辻村深月さん。米澤穂信さんとは、僕は仲が良いと思っているのですが、向こうはどうか不明です(笑)」

 辻村さん→「道尾秀介さんとメフィスト仲間の北山猛邦さん、高里椎奈さん。先方も仲良しだと思ってくれればいいんですが(笑)」

 米澤さん→「いません(笑)。決してひとりが好きなわけじゃないんですけど」

 あ。

 この件で道尾さんが早速ブログで反応していて、さらに笑った。→ココ


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