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(9/15)大村友貴美さんの新刊

 第二十七回横溝正史ミステリ大賞を受賞した『首挽村の殺人』に文庫解説を書いた。その文庫と、同シリーズの第三作になる『霧の塔の殺人』の見本をいただいた。

 大村さんは故郷の岩手県に住み、地方のミステリーを書くことに独自の価値観を見出している作家だ。その作品は岩手県を舞台にしているが、横溝正史の岡山臭がするライト・モチーフが扱われている。『獄門島』や『八つ墓村』の岡山臭だ。これは偶然ではなく、横溝正史の作風を現代的に換骨奪胎しようとする試みの結果だろう。

 横溝正史が戦時中に起きた大量殺人事件から触発されて某作品を書いたことは有名だが、あの事件などは昭和の時代よりもむしろ現在の視点で見返したほうが理解しやすいものだという気がする。現にここ数年、弱い人間が鬱屈を抱えた末に爆発した同じような事件が、何度もニュースで報道されている。過去の因習の中だけに原因があるのではなく、人間の普遍的な脆さが事件となって現れてしまったものと見るべきなのだ。

 横溝の岡山作品が風化せずに残っているのは、こうした普遍性をすくいとれるだけの強靭さが備わっているからだ。大村さんは、平成の事件や社会現象を題材にして、同様の強い作品を書こうと取り組んでいる。

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