(9/28)波
新潮社のPR誌「波」をいただいた。
今月の新潮文庫新刊『レポメン』の書評を書いたのだ。作者はあのエリック・ガルシア。
ガルシアといえば、恐竜が人間の皮をかぶって現代に生き残っているという、素晴らしき設定のSFミステリーを書いた人だが、これも近未来SF小説である。人工臓器移植の技術が発達し、誰もがクレジット払いで手術を受けられるようになった時代。支払いが滞った者から、借金のカタに人工臓器を取り上げる仕事をするのがレポメンだ。取り上げられた人間はどうなるって? 知らないね。金を返さなかった奴が悪いんだ。
金がなければ腎臓を売れ、とは脅した社員がいた金融は日栄だったか(『ミナミの帝王』を参考にした、というのは事実なのか)。それ以上に非情な物語が、渇いた笑いとともに語られます。主人公がやたらと女にだらしない男に設定されているのも、またよし。『馬鹿まるだし』と『キャッチ22』が合体したような物語である。
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