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(10/5)雑誌二題

「週刊文春」の件、もう少し。

 しばらく見ないうちに、高橋春男の絵が猛烈に劣化していることに驚かされた。「竹ペン」のような線になっているし、人物の輪郭もガタガタ。メインキャラクターの顔は『おそ松くん』方式で入れているのだろう(それが何かは各自調査)。どうしてしまったのか。漫画家としては、相当危ない水位まで画力が落ちているように思う。

 気になった記事は、徳岡孝夫さんの寄稿である。そうか「諸君」連載の「紳士と淑女」は、徳岡さんが書いていたのか。勉強不足で知らなかった。鋭い筆鋒で気持ちよく、諸事を俎上に載せる際の感覚が公平である。今回の寄稿でも、鳩山由起夫に関して書いた箇所がおもしろかった。美濃部亮吉が都知事に就任した際の周囲の狂奔ぶりを例に引き、こう呟くのである。

 ――私は大記者団の中に坐って質疑を聞きながら、「よーやりはるわ」と思いました。大阪弁にあって標準語にない、この「してはる」という完全な傍観者の態度。ジャーナリズムにはもう少し必要なのではないでしょうか。

 なるほど。感心したので『完本 紳士と淑女』を購入して読んでみることにした。

 もう一つの話題は、プロレス専門誌「Gスピリッツ」の特集記事である。プロレスに関心のない方はすまぬ。同誌最新号は急逝した三沢光晴選手の特集を組み、いかに故人が技術に長けていたかという点について、主に「受け身」の面から分析している。視点がおもしろく、読み応えのある一冊だ。その関連で「受け身」特集を組んでおり、こちらには三沢選手と直接関係のない話題も紹介されている。目を引いたのは、TAKAみちのく選手のインタビューである。TAKA選手はデビュー前、ディック東郷選手から受け身の指導を受けた。そのやり方が、非常におもしろかったのである。

 ――ディック東郷の凄いところは、一番最初に痛いのをやっちまおうって感じで、いきなりトップロープに上ってドカーンと、セントーンで落ちるんです(苦笑)。これはスゲエ痛いですよ。で、細かいことは教えない。とにかく”やれ!”と。それで何回かやってると、痛い時と痛くない時があるわけですよ。それで体で覚えていくんですよね。(後略)

 これって、小林まこと『12の三四郎』そのまんまじゃないか。ディック東郷が真似をしたのか、それとも漫画のほうが実際にある練習方法に取材したのか(プロレスにも『12の三四郎』にも関心がない方はすまぬ)。

 漫画の内容はこうだ。高校を卒業して悪役レスラーの桜五郎の弟子となった東三四郎は、ある日、リングに上がって受け身を取ることを命じられる。もともと柔道をやっていた三四郎は当然受け身を取れるのだが、桜五郎の言うプロレス式の受け身とはそういうものではない。コーナーポストに上がり、「飛び落ちる」ように命じるのである。

「いいかー。同じところからばっかり落ちていると、そのうち穴が空いちまうからな。まんべんなく落ちて、体を痛めつけるようにするんだぞ」(台詞うろ覚え)

 ほら、おんなじだ。ちなみにセントーンとは、コーナーポストに上って飛び、リングに寝ている相手の上に、背中から落ちる技である。下に誰もいなければ、当然痛いわけだ。

 ディック東郷すごいな、プロレスラーはやっぱり偉い、と感心させられたのだったのだった。




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