(2/23)滝田務雄に注目したい
「ナンプレファン」四月号の見本をいただいた。今回の「より道ミステリー」で取り上げたのは滝田務雄『田舎の刑事の闘病記』(東京創元社)である。第一作『田舎の刑事の趣味とお仕事』(創元推理文庫)のときは、狙いはいいけど地味な作品集だよな、という印象だったのが、二作目になって魅力が開花した観がある。刑事としては切れ者だが神経質が玉に瑕な主人公とちゃらんぽらんな部下、何を考えているのかさっぱりわからない主人公の謎の妻、署内を私物化する署長、といったキャラクターがうまく動きだしたということが大きい。コメディとしての枠がきちんとはまれば、その中に盛りこんだ素材も活きてくる。全五篇、毎回趣向を変えた謎解きが楽しめるというお得感のある短編集だ。次回作は長篇だというが、ぜひこの盛りだくさんな感じを変えずにいってもらいたいものである。
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