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(2/25)SF翻訳界の巨人VS小学五年生

 以前から書いているように私は子供の小学校で読み聞かせボランティアをやっている。本日が平成二十一年度最後の当番だったのだが、さすがに本を選ぶのに苦労した。二年生のころから始めて四年目、毎回毎回「子供を笑わせる」「いい話で妥協しない」という目標を掲げてやってきたので、そろそろネタが尽きてきたのだ。低学年だったら絵本でも笑ってくれたんだけど、そろそろお兄ちゃんお姉ちゃんでしょう。もう絵と言葉のパワーで押し切るだけではなく、物語の力で押すべきなのではないかと思ったわけである。ちなみに前回読んだのは星新一「おーい、でてこーい」。まあ定番ですね。星新一は偉い。これを試金石にして、まずは日本SF作家のショートショートに挑戦してみようと思ったのだ。

 だけど、なかなか上手くいかないものである。Twitterでお知恵を借りて当たってみた書名の数々が、たしかにおもしろいのだけど、必ずしも読み聞かせには適さなかったのだ。使われている言葉や時代背景が旧かったらそれだけで子供の耳を素通りしてしまうし、子供向けに書かれた作品ではないからちょっと教室で読むには不適切な表現もある。なによりも、長すぎたり短すぎたり。二十作ぐらいは検討したかな。結局目的に合致したのは二作だけでした。その二つだけでは十五分という時間がもたないので、どうしようと頭を抱えた。

 当日朝になって思い出したのは、『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』の作者ウィリアム・ブリテンが、ビル・ブルトゥン名義で児童書を書いていたということ。さっそくその一冊『魔法をかけられた世界中のお金』が図書館で借りられないか探してみたら、ありましたよ、電車の駅で四つばかり行ったところにある図書館に。急いで往復すれば、一時間半でいける場所だ。読み聞かせまでは二時間ある。よし楽勝だ、と思ってその図書館に出かけたのだが、借り出してみてびっくり。

 ちょ、長篇でした。

 そういえばこの本、以前にも読み聞かせに使えるかもしれないと思って借り出して「あー、長すぎるな」と諦めたことがあるのだった。がっかりした瞬間に思い出した。もっと早く思い出せよ。

 この時点であと三十分、学校までは歩いて十分ちょっとかかるから、家の書棚から何か一冊選ばないといけない。かといってそんなにすぐ読み聞かせに適した本が見つかるわけないし、うわわわわ、どうしよう。いっそのこと小さいころ覚えた「まんじゅうこわい」でも語るか(それは本末転倒)。と思い惑うこと五分。

 結局、『ユーモア・スケッチ傑作展』(早川書房)からジェローム・K・ジェローム「自転車の修繕」を選んで読むことにしました。とても好きなスケッチの一つで、あの『ボートの三人男』の続篇の一部を抜粋したお話だ。迷惑な男が家にやってきて愛用の自転車を分解してしまうさまを描いている。スラップスティックだ。私はこの作品を読んで小学生のころ大爆笑した記憶がある。よし、これでいこう。自分なりの浅倉久志追善興行だ(ずいぶん規模はちっちゃいけど)と、意気込んで教室に向かったのである。

 結果は、そうですね。浅倉久志と小学生が引き分けという感じかな。ところどころは受けたので良しとしましょう。でも私はもっと笑ったんだけどね。やはりこういうものは、読み聞かされるのではなくて、自分で読んで楽しむものなのかもしれない。図書館に、『ユーモア・スケッチ傑作展』三巻を寄付しなければならんな、と思った次第です。

 ちなみに、時間が一分だけ余ったので、準備していたショートショートのうち一本を読むことにした(もう一本は秘密だ)。お題は筒井康隆「到着」。ああ、と思うでしょう。そのとおり、こっちは馬鹿受けだった。読み終わったあとも子供たちが、「べちゃっ」と口真似をしていたくらいである。そうか、この「口にして楽しい」という要素がまだ大事なのかもしれないな、と思いました。「バブリング創世記」とかどうなんだ。ありゃ元ネタを知らないか。





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Posted by: Addie | April 30, 2015 at 06:51 PM

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