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(3/24)四十六人の子供たちに贈った言葉

 本日が当小学校の卒業式でした。他の地区でもそうだったんじゃないのかな。卒業にあたり、祝辞を述べるのはPTA会長の務めの一つである。今年はこんなことを話しました。思っていること、伝えたいことを素直に話したら、こうなった。
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 みなさん、ご卒業おめでとうございます。それぞれの新天地で元気に過ごされることをお祈りします。

 はじめに保護者の皆様方に申し上げます。これまでのご苦労、誠にお疲れ様でした。お子様が、中学生というもっとも多感な、大事な時期に突入されるにあたり、嬉しさと戸惑いとをともに抱えた状態で今日のこの日を迎えられたのではないかと推察します。人生の先輩として尊敬申し上げます。
 また、子供たちを指導してくださった先生方、暖かく見守ってくださった地域のみなさまには心より感謝申し上げます。小学校での日々が充実したものであったということは、巣立っていく子供たちの輝く瞳の一つ一つが証明してくれています。

 さて、ここからは卒業生のみなさんにお話したいと思います。みなさんは今日で義務教育の三分の一を終えられました。六年生ならばすでにご存知でしょう。義務教育とは、子供が学校に行かなければならないという義務を負うという意味ではなくて、私たちのような保護者が子供を学校に行かせる義務を負うという意味です。ではなぜ、保護者はそうした義務を負うのでしょうか。
 それは、まだ子供がか弱く、社会に出て行くだけの力がないからです。社会を世界と言い換えてもいいでしょう。世界は広く、子供たちはまだ小さい。大きな世界と向き合えるほど、みなさんはまだ強くありません。だから大人が前に立ちはだかり、みなさんが外の世界と直接対決しないで済むように守ってくれているのです。

 みなさんの前に立っている保護者、お父さん、お母さんがどんなに精一杯の力でみなさんを守ってくれているか。今は知る必要がないことですし、また、知ろうとしてもわからないでしょう。今はそれでいいのです。無理をせず、まだまだ甘えてください。しかしいつか、みなさんの背丈も伸びていくことでしょう。前に大きく立ちはだかっている大人の、最初は腰ぐらいまでしか見えなかったのが、そのうちに背中が見えるようになり、そして肩越しに向こう側が見える日が来るはずです。そのときになって、初めてわかるはずです。今まで大きいと思っていた背中がどれほど小さいものだったか。大人なんて、本当は小さな存在なんです。小さな存在だけど、みなさんを守るため、時には爪先立ちになって、精一杯闘っているんです。そのことを知ったときに、みなさんもきっと自然に言葉が出てくるだろうと思います。「今まで、ありがとう」と。

 これからのみなさんは、大きな力を蓄え、世界に出て行くための準備をする期間に入ります。中学校での三年間は、人生におけるもっとも大事なひとときとなるでしょう。しかし、怖れる必要はありません。みなさんの前にはまだ、みなさんを大事に思い、一番に心がけてくれる保護者のみなさんがいて、先生や地域の人々が応援してくれているからです。どうぞ胸を張って、次のステップへと踏み出してください。

 おしまいに、小学校の暖かい風土で育ったみなさんに、その優しい気持ちを失わないために、お願いがあります。
 一つは、自分自身を愛してほしいということ。なぜならばみなさんは、みなさんのお父さんお母さんが心からの愛情をこめて育ててきた存在だからです。
 もう一つは、自分自身を愛するのと、できれば同じぐらい他の人を愛してほしいということ。なぜならばその人たちも、みなさんと同じようにお父さん、お母さんの愛情によって生まれてきた存在だからです。
 自分が嬉しいという感情をもって、他人の嬉しさを量れる人になってください。自分が哀しいという感情をもって、他人の哀しさを量れる人になってください。
 お互いの立場を尊重しあうためのヒントとして、ある言葉を贈ります。フランスの人、ヴォルテールが言ったといわれている言葉です。実際にはそうではなく、後世の人が彼の言葉として語り継いだだけということですが。

「私は君の意見に反対する。だが、君がそれを主張する権利は命をかけて守る」

 これから先、さまざまな局面でみなさんは自分の意見を述べる必要に迫られると思います。その中では激烈な議論が生じるでしょう。自分とは異なる意見の相手に対し、憎しみを抱くこともあるかもしれません。しかし、その相手のことも愛してください。なぜならば、同じ血の通った人間だからです。同じ、お父さんとお母さんから生まれた子供だからです。そして、あなたがその相手を愛し、尊重すれば、必ず相手も同じようにしてくれるはずだからです。みなさんには、きっとこのことが理解できるはずです。明日に向かってはばたくみなさんにこの言葉を餞とし、私の挨拶と致します。
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 ちょっと難しい内容だっただろうか。でも、小学六年生に私が今いちばん伝えたいことはこういうことなんだ。

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