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(3/9)これはこれでアリだという気がする。

 第一回翻訳ミステリー大賞の候補作『川は静かに流れ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)の作者、ジョン・ハートの新作『ラスト・チャイルド』が四月に刊行されるらしい。異例なことに、文庫とポケミス版とが同時刊行されるのである。過去にも文庫で刊行された作品が愛蔵版としてハードカバーで出直した例などはいくらでもあるが、初めから同時刊行というのはやはり珍しい。

 しかし、これはアリだろう。私の周囲にも、文庫とポケミスの両方で出るのならポケミス版で買うというファンがたくさんいる。そういう人の場合、ポケミスが愛蔵版で、刊行されれば全部揃える叢書という位置づけだ。もちろんポケミスはポケミスでオリジナルの作品を出してくれたほうが嬉しいのだが、目の前に出されれば無視するわけにはいかないのである。私の場合本は資料として所蔵するのが目的で買うので、小さければ小さいほどありがたい。だから基本的には文庫刊行のほうが好ましいが、ポケミスならやはり買う(このへんが機能主義に徹しきれていないところで、我ながらだらしない)。

 こんな試みは、もっと増えていっていいはずだ。コレクターズアイテムとしての本と、物語の中味を届けるために存在する本とを明確に分けていくわけである。電子書籍の時代到来との話題がかまびすしいが、「本」というイメージが単一で揺らがないものというように考えていると、いつまでたっても議論は前に進まない。流通するすべての商品と同じで、本にもいろいろなニーズがある。ポケミスを全冊揃えたいと思っている人に電子書籍でデータを差し上げましょうと言っても一笑に付されるだろう。逆に、過去のポケミスを集めて時代による訳文の変遷を検証したいと思っている人にはデータ化された資料のほうが喜ばれる。そういうことだ。ちなみに私は、データが全部あれば嬉しいが、できたら(ポケミスに限っては)全冊揃えたい派。そんなことを言っている人間は、電子書籍とか言う前に書棚を片付けるべきかも。

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