(4/23)私はたぶん一生キムタクって言わない
WEB本の雑誌のニュースが更新された。題名は「キムタクとこのミス1位作家がコラボ」。書いたのは私である。
内容については読んでいただければいいのだが、題名について一つ。新聞や雑誌の記事の多くがそうであるように、このニュースの題名も編集部につけていただいている。いいか悪いかは別として、今回の題名は私には書けないものだ。俳優・木村拓哉をキムタクと略すことに、心の中で抵抗があるからである。別にファンだからじゃないよ。嫌いじゃないけど。
十年近く前だと思うのだが、翻訳家の集まりがあって、私がのこのこ出かけていったと思いねえ。そこにいらしたのが、慶應推理小説同好会の大先輩で(大学は違うのだが)、英国古典ミステリーの翻訳でAさん。その前で私はぽろっと「キムタクが」と言ってしまったのだ。
さあ、それからが大変である。実はAさんは木村拓哉の熱狂的なファン。信者といってもよかった。公演はもちろん可能な限り追いかけ、「舞台の上から拓哉君が私にだけわかる合図を送っていた」と真顔で語る方であった。そのAさんによれば、木村拓哉は「キムタクという呼び方を嫌っている」そうなのだ。真偽は知らない。Aさんがそう言っていたのだ。したがってAさんは木村拓哉をキムタクと呼ぶと激怒する。演技を褒めてもダメ、歌が巧いといってもダメ。拓哉君、もしくは拓哉さん、百歩譲って木村拓哉なら許すが、キムタクだけはダメだったのだ。
酒の席ではあったが、叱られた叱られた。なんで自分はこんなことで叱られているのか、と思いながら叱られた。まあ、私は叱られて育つタイプだから、とか思いながら一時間延々と叱られた。どうやって脱出したのかよく覚えていないが、逃げ出したあとで心に誓った。「もう二度と、木村拓哉をキムタクと呼ぶのはやめよう」と。
そんなわけで、書き文字でもキムタク、と書くことに抵抗があります。先日なくなった別の木村コーチの愛称がそれだったので、その文字がネットなどで流れるたびにびくっとした。こういうのをトラウマっていうんだぜ、きっと。
あと、後藤真希のことをゴマキとも言わない。だって、後藤真希さんはゴマキって呼び方を嫌っているらしいんだもの。その呼び方をする年下の人間がいたら一時間ぐらい理不尽に説教してやるつもりだ。こうして美風は継承されるのである。嘘だ。
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