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(5/5)「お父さん」になりたくてなりきれていない人へ

 こどもの日だが、家にこもって仕事をしている。暑いし。日が暮れたら、家族で近所の銭湯にでも行くつもりだ。今日はきっと菖蒲湯だろう。あれは大きな湯船で入ったほうが気持ちいのである。

 明日からまた子供は学校に行く。たぶん明日配られるはずの学校からの定期連絡誌に、校長先生の依頼でエッセイを書いた。PTA会長の新学期挨拶を兼ねた内容なので、ちょこっと転載します。
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「お父さん」になれるといいんですが

 こんにちは。今年もPTA会長としてお世話になります。去年の十月に、四十一歳になりました。私たちの年齢だと、この年になると「元祖天才バカボン」のエンディングテーマを歌う決まりなんです。「四十一歳の春だから」って言うんです。

 その年でどうかと思うんですが、私は今でも人との距離感がよくわかりません。もっと言えば、家族との距離感もよくわからないんです。一緒に暮らしているのに、距離感がわからないなんて変ですか? でもそうです。中学生で生意気なことに反抗期に突入して以来、いまだによくわからないんです。小学生のころは、三十歳になったら自然に分別がついて「お父さん」と呼ばれるキャラクターに変身できると思っていたのになあ。でも今だって、「お父さん」って呼ばれることを考えると恥ずかしくて、恥ずかしくて、おへそのあたりが痒くなります。自然に「お父さん」になれる人を私は尊敬します。
 きっと、私みたいな人間は「お父さん」になる練習をしないといけないのでしょうね。こっそり練習をして、「お父さん」スーツを着るような気分でわが子の前に出て。それでようやく「お父さん」になれる。これ女性は、「お母さん」の場合はどうなのかな。

 私が懇意にさせていただいている小説家で、森博嗣さんという方がいます。森さんは、お子さんに「勉強しろ」と言ったことも「そんなことをするな」と叱ったこともほとんどないそうです。激しく怒鳴ったのも、お子さんがまだほんの小さかったころだけ。なぜならばそのころは、人としての分別がまったく備わっていない年齢だったからです。たとえはまずいかもしれませんが、子犬をしつけるのと同じことなんでしょうね。
 その森さんが子どもと接するときのルールが、一つだけあるそうです。それは「自分の姿を見せる」ということ。きちんと仕事をしているときはその姿を、勉強をしているときは勉強をしている姿を。もちろん好きなことをして遊んでいるときには、思い切り遊んでいる姿をそれぞれ見せるというのです。そのときどきのあるべき姿を、子どもが自然と学ぶように、ということなのだと私は考えています。そうか、真似できたらいいんだけどな。でも、なかなかできることではないですよね。悪いところを見せるのは簡単なのだけど。

 ご存じの方も多いかとは思いますが、私の仕事は文筆業です。基本的に在宅の仕事なので、帰ってくる子どもを家で迎えることができます。これが今の仕事のいちばん嬉しいところだと私は考えています。それだけ悪いところを見られる機会も多くなってしまうので子どもが帰る時間には気張った顔をするようにしているのですが、つい疲れて居眠りをしてしまうこともあります。かっこいい「お父さん」になるのは、やはりちょっと難しい。

 やはり小説家で川端裕人さんという方がいらっしゃいます。この方は作家業のかたわらお子さんの通う学校でPTAの運営役員を務められました。『PTA再活用論』(中公新書ラクレ)というご著書もありますが、今はあえてPTAを脱退し、保護者として学校との接し方を模索しているそうです。わが子との距離、親と学校の距離を真剣に考えた結果、実験に出られたのでしょう。これはこれで勇気のある決断だと私は思います。
 森さんや川端さんのような思いきったことはなかなかできない。だから私は、目先のできることをやりながら、「お父さん」を目指そうと思っています。その道が私の場合はPTAの役員として頑張ってみることでした。もちろんみなさんにはみなさんの道があると思います。お互いに、頑張りましょう。たいへんだけど、きっとなんとかなります、よね?

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