« (5/4)高尾山が星二つとはなんぞ | Main | (5/5)「お父さん」になりたくてなりきれていない人へ »

(5/5)私がヒゲのPTA会長になった理由 その5

(承前)
 町会の体質を知ってやる気を失いかけていたとき、寝耳に水の要請をいただいた。この私に次年度の少年部長を引き受けてもらいたいというのだ。

 えーっ、辞めようとしていたのに。

 しばらく考えたのち、結論を出した。
 引き受けることにしたのである。
 たしかに町会の体質には問題がある。旧態依然とした男性優位主義が制度として残っていて、上層部にはそれを変える気などまったく無いように見える。それどころか、不満を申し立ててもまともに取り合ってもらえないのが現状だ。少年部の、一員にすぎない人間の言葉など採り上げるつもりはないのだろう。
 だけど、それが少年部長、つまり町会の役員の発言だったら。
 もしかすると、内部から町会の体質改善を促すことができるかもしれない。
 おいおい、そんなことが簡単にできるのかよ、と三年前に戻れたら自分自身に問い質したいものである。でもそのときは「できる」「やれる気がする」と思ってしまったのであった。町会という近所の「世間」を判っているつもりでまだよく判っていなかったのだろう。知らないから物怖じしない。話せば理解してもらえる、と信じ込んでいたのだ。
 自分がおかしいと感じることを素直に伝えれば、きっと他の人にも通じるはず。
 そうかもしれないね。実行力がちゃんと伴えば、なんだけど。

 私の属している町会では、年度の初めに役員会がある。そこで内々に承認されたことを五月の総会にかけ、正式な決定事項とするのである。四月の役員会に出席し、初めて就任の挨拶を行った。拍子抜けしたのは、そのとき、他の役員を紹介してもらえなかったことである。えーっ、こっちは初出席なんだし、名前だってわからないじゃん。
 もちろん全員の名前がわからなかったわけではない。町会には少年部以外にもいろいろな部がある。その部の人が総会資料作成のために活動報告をしていった。発言の都度、ノートに報告者である部長の名前をメモしていたので、その人たちが誰かはわかったのだ。
 わからなかったのは、発言をしなかった人々の素性である。
 役員会には二十人近い人々が出席していた。うち四名程度が女性で、これは例の婦人部の方だった。婦人部だけがなぜ多いかというと、出席した役員にお茶を出したり、お茶請けの菓子を振舞ったりするために出席しているのである。早い話が「お茶汲み」である。女性といったって、新人OLのような年齢ではないよ。どう見ても私より年上、下手をしたら母親よりも高齢の方がやってきて、お茶汲みの雑用をしているのである。そんな年長者に雑用をさせて平然とお茶を啜っていられるほど、私は図太くありません。
 いやはや、すげえ男尊女卑だ。いや、これはそういうものなのだから、外から来たばかりの人間があれこれ言うべきではないのだろう。どうにもなじめない慣習ではあるけど。

 その女性たちのお名前が不明なのは仕方ないとして、困ったのは部屋の奥に座っている高齢者の方たちの名前がわからないことだった。年の頃は七十過ぎといったところだろうか。四、五人で固まって座っていて、別に何の報告をするでもない。だが、時折手を挙げては「私が区から聞いたところでは」とか「そういうときには町会ではこうする慣例で」とか意見を言われるのである。どう見てもオブザーバーで出席している人ではない。何か大事な役職に就いているように思うではありませんか。町会長のカタギリさん(仮名)も、なんだか彼らには遠慮しいしい物を言っているようだ。たぶん彼らは、何か偉い役職の人なのである。
 しかし、どこの誰なのかは皆目見当がつかなかった。結局私は、その疑問を五月の総会まで持ち越すことになる。

(続くこともあるだろう)
 

 

|

« (5/4)高尾山が星二つとはなんぞ | Main | (5/5)「お父さん」になりたくてなりきれていない人へ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61260/48271087

Listed below are links to weblogs that reference (5/5)私がヒゲのPTA会長になった理由 その5:

« (5/4)高尾山が星二つとはなんぞ | Main | (5/5)「お父さん」になりたくてなりきれていない人へ »