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(7/28)不思議現象もだいたいは物理法則に沿っている

 引っ越して以来ずっと使っているファイルキャビネットがおかしくなった。車輪がついていて動くタイプのもので、棚と引き出しの二層構造になっている。その引き出しが閉まらなくなってしまったのだ。残り五センチくらいのところでつっかえてしまう。

 最初は、何かが引き出しの裏に落ちてつっかかっているのかと思った。引き出しの中のものをすべて出してみたが何も無い。次に、引き出しの脇についている二本の金属製レールに何かがはさまっているのかと疑ったが、そこでもなかった。点検。なんともない。しかし閉めると閉まりきらない。うがー。

 だんだん頭に血が上ってきて、何度も開け閉めしてみた。そのたびにガツーンと小気味いい音がして……閉まらないのである。そんだけいい音がしているんだから、閉まったっていいだろ! と理不尽な怒りがこみ上げてきて、さらに何度も何度も。さながら斧を振るう木こりのごとく、木音を響かせる。

 そのうちはっと気がついた。どう聞いてもこれは、木と木がぶつかっている音である。思いついて引き出しを最大限に開け、中を覗いてみた。すると、たわんでいるのである。棚の底板が、大きくしなってU字状になっている。よくよく見てみると、板の両脇には車輪がついていて床面に対して踏ん張っているが、その中央が上からの圧力でたわめられているのであった。

 過積載か。

 このファイルキャビネットには、さまざまなレファレンス類が積んであった。横文字のレファレンス本はだいたいがA4ハードカバーで、たいへんに重たいのである。それが二十冊ばかり、背を上に向けて並んでいる。さらに掲載誌のスクラップブックと各種辞書も。すべてを合計すると、おそらく四十キロぐらいにはなるだろう。

 不思議現象でもなんでもなく、長年酷使された結果、棚全体が歪んでしまっただけなのであった。限界だろう、これは。とりあえずキャビネットに載せてあった本をどけて積み上げた。しばし考えて、本棚を二本注文し、それにすべてを移すことに決めた。天井の高さまで本を詰め込むことができる、「カシマカスタム」というやつである。文学者の鹿島茂さんの意見を取り入れて商品化したものらしい。これで唯一残っていた、幅百二十センチほどの壁面も本棚に侵食されることが決まった。終わりの始まりだ。いよいよ本気で、書斎を別に借りることを考えるときがきたのかもしれない。

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