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(11/30)『バトル・ロワイアル』についてひさしぶりに文章を書いた

 あまり文章を重ねなくてもご理解いただけると思うが、私にとって高見広春『バトル・ロワイアル』(太田出版)は特別な作品である。小説を読み、それが日本ホラー小説大賞を理不尽な理由で受賞しそこなったことを知り、当時自分が持っていた唯一の媒体である「問題小説」に書評を寄稿した。その書評はごくごく初期の仕事で、今読み返してみても自分は間違っていなかったという確信が新たになる。小説を紹介しつつ、私はこう書いている。

この世界に直面するとき、いつも自分は不当に虐げられているように感じられる。特に自分が無力であるほどそうだ。そんなとき、自己憐憫に浸らず、積極的に世界の残酷さを受け入れて立ち向かう以外、実は救済の途はないのである。本書で語られるのは確かに残酷な物語だが、その中には世界との闘いに必要な教えが詰めこまれている。甘ったるい優しさの押しつけに飽きたとき、ぜひ手にとってほしい一冊だ。

 この考えは今でも変わらない。小説の刊行後数年経って奇縁があり、私は映画版の続篇のノヴェライズ執筆を担当した。この仕事は私に多大な益をもたらしてくれたのだが、それはあくまで余禄。本当の幸運は、『バトル・ロワイアル』という小説に巡り合えたこと自体である。

 そのオリジナル版の刊行から何年も経って、なぜか今小説『バトル・ロワイアル』が後の小説界に及ぼした影響について書いてもらいたいという依頼があった。洋泉社「映画秘宝」二〇一一年一月号が〈『バトル・ロワイアル』ジェネレーション!〉という特集を組んだのだそうだ。もちろん快諾し、短い文章ではあったが寄稿させていただいた。また、その原稿を書くにあたり、高見広春原作が伝えたものをもっとも深く読み取り、自作に活かしている作家は誰かということも考えた。結論。それは深町秋生であると私は思う。ご本人が記事を読んで驚かれ、ツィッターに書いておられたので直接お伝えした。つまり、私は深町秋生にそういう小説を期待しているのである。ご本人は迷惑かもしれないが、憶えておいてもらいたい。

 十余年前に『バトル・ロワイアル』について書いた「問題小説」(徳間書店)に今月も書評を掲載いただいた。今回採り上げたのは本多孝好『at Home』(角川書店)、矢作俊彦&司城志朗『百発百中 狼は走れ豚は食え、人は昼から夢を見ろ』(角川書店)、都筑道夫『ちみどろ砂絵/くらやみ砂絵』(光文社文庫)の三冊だ。本多の小説のすべてを好きなわけではないが、今回は非常に感銘を受け、書評のメインとした。書評の題名はこれに引っぱられている。「家族なんてないさ そんなの嘘さ」というのである。

 もう一冊、徳間書店から出ている雑誌で仕事をした。「SFJapan」である。アンソロジー『逆想コンチェルト 奏の1/奏の2』(徳間書店)に参加した作家、浅暮三文、井上雅彦、森奈津子、山田正紀の各氏と、同書に挿画を提供した画家の森山由海氏による座談会を構成したのだ。この座談会は作家志望者の方にとってはいろいろと示唆に富む内容だと思うので、稿を改めてちょっと書いてみたい。
(つづく)

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