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(11/30)「逆想」というまともな着想

 前の記事でも書いたが、「SFJapan」にアンソロジー『逆想コンチェルト』に関する座談会が掲載されている。
 これは随分手間のかかるアンソロジーで、二十四人もの書き手が参加しているのだが、一言では説明がしきれない。もしかすると以前にこのブログでも紹介したかもしれないが、今度はわかりやすくチャート式で説明しておこう。

1)挿画家である森山由海が、自由に絵を描き二枚ずつのセットで編集者に送る
→2)編集者がその二枚のセットを、三人の小説家に送る。
→3)二枚の絵を受け取った小説家は、その二枚を元に短篇小説を構想する。二枚の順序は自由。
→4)出来上がった小説を元に森山由海がもう一枚の絵を描く。
→5)三枚の挿画(一枚は扉絵になる。どの一枚がなるかは4)の段階で決定)が入った短篇小説として、「SFJapan」もしくは「問題小説」に掲載。

 とまあ、こういう手順で書かれた二十四の小説が、二冊にまとめて収録されているわけだ。小説家や挿画家も疲れたかもしれないが、編集者もくたびれたろう。その苦労譚を座談会では語ってもらっているのである。小説家志望の方は必読の座談会だ。理由は二つあり、一つは二枚の絵から着想を起すという苦労を作家が語っており、創作談義になっているから、そしてもう一つはこの企画が今も続いていて、森山が新たに提供した二枚の絵を元に小説を書くというコンクールが催されているからである(『逆想コンチェルト 奏の一/奏の二』に絵は掲載されている)。〆切は十二月十五日。短篇小説ならば腕におぼえあり、という方は挑戦してみるといい。

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(11/30)『バトル・ロワイアル』についてひさしぶりに文章を書いた

 あまり文章を重ねなくてもご理解いただけると思うが、私にとって高見広春『バトル・ロワイアル』(太田出版)は特別な作品である。小説を読み、それが日本ホラー小説大賞を理不尽な理由で受賞しそこなったことを知り、当時自分が持っていた唯一の媒体である「問題小説」に書評を寄稿した。その書評はごくごく初期の仕事で、今読み返してみても自分は間違っていなかったという確信が新たになる。小説を紹介しつつ、私はこう書いている。

この世界に直面するとき、いつも自分は不当に虐げられているように感じられる。特に自分が無力であるほどそうだ。そんなとき、自己憐憫に浸らず、積極的に世界の残酷さを受け入れて立ち向かう以外、実は救済の途はないのである。本書で語られるのは確かに残酷な物語だが、その中には世界との闘いに必要な教えが詰めこまれている。甘ったるい優しさの押しつけに飽きたとき、ぜひ手にとってほしい一冊だ。

 この考えは今でも変わらない。小説の刊行後数年経って奇縁があり、私は映画版の続篇のノヴェライズ執筆を担当した。この仕事は私に多大な益をもたらしてくれたのだが、それはあくまで余禄。本当の幸運は、『バトル・ロワイアル』という小説に巡り合えたこと自体である。

 そのオリジナル版の刊行から何年も経って、なぜか今小説『バトル・ロワイアル』が後の小説界に及ぼした影響について書いてもらいたいという依頼があった。洋泉社「映画秘宝」二〇一一年一月号が〈『バトル・ロワイアル』ジェネレーション!〉という特集を組んだのだそうだ。もちろん快諾し、短い文章ではあったが寄稿させていただいた。また、その原稿を書くにあたり、高見広春原作が伝えたものをもっとも深く読み取り、自作に活かしている作家は誰かということも考えた。結論。それは深町秋生であると私は思う。ご本人が記事を読んで驚かれ、ツィッターに書いておられたので直接お伝えした。つまり、私は深町秋生にそういう小説を期待しているのである。ご本人は迷惑かもしれないが、憶えておいてもらいたい。

 十余年前に『バトル・ロワイアル』について書いた「問題小説」(徳間書店)に今月も書評を掲載いただいた。今回採り上げたのは本多孝好『at Home』(角川書店)、矢作俊彦&司城志朗『百発百中 狼は走れ豚は食え、人は昼から夢を見ろ』(角川書店)、都筑道夫『ちみどろ砂絵/くらやみ砂絵』(光文社文庫)の三冊だ。本多の小説のすべてを好きなわけではないが、今回は非常に感銘を受け、書評のメインとした。書評の題名はこれに引っぱられている。「家族なんてないさ そんなの嘘さ」というのである。

 もう一冊、徳間書店から出ている雑誌で仕事をした。「SFJapan」である。アンソロジー『逆想コンチェルト 奏の1/奏の2』(徳間書店)に参加した作家、浅暮三文、井上雅彦、森奈津子、山田正紀の各氏と、同書に挿画を提供した画家の森山由海氏による座談会を構成したのだ。この座談会は作家志望者の方にとってはいろいろと示唆に富む内容だと思うので、稿を改めてちょっと書いてみたい。
(つづく)

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(11/26)ミステリマガジン「相棒」特集号取材の裏話・その2

 そして迎えた取材当日。
 本来私はPTA会長として区の行事に参加しなければならなかったのだが、さすがにぶっ飛ばしてきました。ごめん○○区長!

 指定されたホテルに向かい、Yとロビーで落ち合って会場を訪れた。

 あれ?

 てっきり、テレビでよく観る記者会見のように、ひな壇に劇場形式で椅子が向き合うような会場を予想していたのだが、違っていた。大きな部屋が間仕切りでいくつかに仕切られている。広報担当の方が案内してくださった場所には、その間仕切りに「B」という貼紙がしてあった。

 私「これはつまり……」
 Y「Aから順番に取材を受けていきます、ということなんでしょうね」

 そういうことなのか。つまり時間を細かく区切って(合同会見20分、各社単独10分と言われていた)、水谷&及川の両氏に移動してもらいながらインタビューをするんだろうな。あまり経験はないけど、そういうことだと決まったら問題はない。よし、だいじゃぶ。

 そう思った瞬間に、広報担当の方は意外極まりないことを言うのであった。

 広報「合同会見は、このBのブースで行いますから」

 えええっ。
 えーと、それはつまりこういうことですか。このBのブースで最初に全社のインタビューを受けて、それからお二人が各ブースをお廻りになると。ふむふむ。それは了解。しかし、我々は全体取材が終わった後で、一旦その会見机をばらして、早川単独取材の形にしつらえて、お話をうかがって、それでさらに撮影もしなければならないということですね。で、持ち時間は……。

 Y「えーと、私たちの持ち時間は……」
 広報「(なぜか目を伏せて)十分です」

 うっひゃー。つまりばらして設営してまたばらして撮影をして十分なのね。しかしそういうものと判っていればどうということもない。我々は同行してもらったカメラマンと素早く相談を行ったのであった。

 杉江「用意してきた質問は八分でなんとかまとめます。あと二分で撮影、大丈夫ですか!」
 カメラ「やるっきゃないでしょおおおおおおおおお!

 三人ともここで炎上。まるで島本和彦の描くキャラクターのように瞳に炎が宿ったのであった。よし、だいじゃぶ。
 とそこへ、広報氏のさらなる指示が。

 広報「それでは各社、テーブルについてください」
 杉江・Y「はい?」

 見ると、長机が準備され、その向こう側には二脚の椅子が。そして手前側には取材各社分の椅子が準備されていた。ということはあれですか。この幅五十センチぐらいの机を挟んで、水谷豊・及川光博のお二人と、む、向かいあって座れと、そういうことですか。こ、こういう状態をたしか日本語では「まるでお見合いのような」と言うのではありましねえか?

 広報「お見合いだかなんだか知らないけどそういうことです」

 了解。だいじゃぶ! 編集Yに目顔で「君が座るか?」と訊ねたが、じりじりと後ずさりをしながらYは子犬のような表情を浮かべて首を振った。よっしゃ、そういうことならやむをえまい。

 「よろしくお願いしまーす」

 営業スマイルを浮かべて机についたその瞬間、

 広報「水谷さん、及川さんがお入りになりまーす」

 と声が響いたのであった。

 この先は「ミステリマガジン」本誌で。あらかじめお断りしておきますが、以上のことからもお判りのとおり、インタビューは全体取材と単独取材の内容を再構成してお届けしております。その点、あらかじめお知りおきください。

 インタビュー中、水谷豊氏が完全に「杉下右京を演じている水谷豊」になりきっていたのが印象的でした。右京のことを聞かれても「右京は」ではなくて「私は」なんですね。ああ、役者魂。そして、間近で見た及川光博は、本当にミッチーの及川光博でした。四十路を迎えた方に大変失礼な物言いかもしれないけど、やっぱり王子ですよあなたは。

 ミステリマガジン「相棒」特集号が売れますように。

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(11/26)ミステリマガジン「相棒」特集号取材の裏話・その1

 今月号の「ミステリマガジン」は映画「相棒2」公開にあわせた「相棒」特集号だ。同誌が日本のテレビドラマの特集を巻頭に持ってくるのは、おそらく初めてだろう。快挙である。「相棒」が、それだけの意味がある作品だということだ。

 特集はたいへん読み応えがある内容なので、ぜひお目通しいただきたい。特に複数の評論家が、テレビシリーズをシーズンごとに分析したページは読み応えがある。これからビデオレンタルなどで作品を楽しもうという方がもしいたら、格好のガイドになるのではないだろうか。

 私が担当したのは、水谷豊・及川光博両氏のインタビューページである。これは立候補してやらせていただいた。北野広大に会いたい! ミッチーに会いたい! というのは嘘だ。いや、会いたい気持ちはあったけど。早川書房出入りのライターで、芸能人インタビューの経験がある人間って他にいなそうだったんだもん。私が今まででいちばん緊張した芸能人インタビューは、桃井かをり氏と北方謙三氏の対談である。桃井氏の一人称を全部「あたし」にしたら、全部「私」に訂正されたっけ……(遠い目)。まあ、ライターとしてそれなりに場数は踏んでいます。

 おそろしいことにミステリマガジンは、これまで写真撮影も全部編集部が行ってきたのである。ミステリー好きの俳優として児玉清氏が何度か誌面に登場しているが、それも編集部撮影。いや、カメラマンを立てたほうがいいよよ! 児玉さんは現役の芸能人なんだから! そんなわけで、両氏の取材は、ミステリマガジン史上きわめて異例のプロのカメラマンによる撮影となったのであった。

 しかも取材はスケジュールが急だ。11月1日がマスコミ向けの最初の試写で、インタビュー日は3日。当然といえば当然のことだが、事前に質問リストを提出してほしいという。うーん、と思って担当の編集部Yに電話をした。

私「えーと。質問リストを提出するのは、試写を観てからでもいいんですよね」
Y「だと思うんですが……」

 いやいや。媒体によっては試写を観る前に提出を求められることだってあるし。だいたい、今回の取材対象は東映なのである。東映だ。伝統的におおらかな、あの東映である。なにしろ『バトル・ロワイアル2』のノヴェライズだって、脚本のお尻がまだ書き上げられていない時点で結末をつけることを要求されたしなあ。設定についてわからないことがあったから問い合わせたら「決まっていません。いい設定を思いついたら教えてください。採用します」と言ってくださった、あの東映だ。今回は幸い、試写を観た翌日でいいということになった。1日夜に都内某所で試写を観て、Yと相談。翌日メールを発信できた。よし、だいじゃぶ。

 しかし、本当にたいへんなのはこれからなのであった。

(つづく)

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(11/25)角川三賞パーティに行ってきたのでござる

 昨年までは横溝正史ミステリ大賞が春、日本ホラー小説大賞が秋、と別れて開かれていたのが、本年度から山田風太郎賞が創設されるのに合わせて、三賞合同の授賞式、およびパーティの開催となった。考えてみれば同じ会場を二度借りて行っていたわけで、なるほど合同になったのは合理的である。唯一の懸念は、横正とホラーの二賞を一緒にしてしまって人数は大丈夫か、ということだったのだが、見た限りでは過度に混雑していたという印象はなかった。招待客がほぼ重なっていたのだろう。その点でも合同開催は正しかった。

 私は毎年横正のパーティに参加していたのだけど(ホラーのほうは飛び飛び)、大きな変更点が二つあった。
 一つは、司会進行がテレビ東京の女子アナウンサーではなくなったことである。横溝正史ミステリ大賞は、共催がテレビ東京だから、司会役に自社のアナウンサーを出していたのですね。それが角川書店の社員に代わっていた(代わってみて問題もなかったので、別にアナウンサーである必要はなかったわけだ)。もう一点は、終了後のカレーパーティがなくなったことで、これはちょっと説明の必要があるだろう。
 これは森村誠一氏が中心になって開かれていたものだ。森村氏は横溝正史ミステリ大賞(当時は横溝正史賞)の第一回選考委員を務められたのだが、その氏が、これから作家として第一歩を踏み出そうという後輩を激励する意図で、授賞式のあとに席を設けたのが始まりなのだそうである。多くの賞では、授賞式のあとに歴代受賞者と一次から最終までの選考委員を招いた二次会が開かれることが多い。横溝正史ミステリ大賞ではカレーパーティがあったためそれがなかったのである(出席者は作家のみだったらしく、私は会を覗いたことがないので、以上の話は伝聞である)。派手な授賞式のあとに、そうした家庭的な雰囲気の会があるというのは微笑ましい。なくなってしまったというのは、ちょっと残念な気がしますね。

 そんなわけでパーティのあとは、三賞合同で場所を変えて二次会が行われた。どうやらそこはパーティの前の授賞式が行われた会場であるらしく、着座しての二次会となった。綾辻行人氏、森村誠一氏、鈴木光司氏(相変わらず見事に三角形の体形だ)とスピーチが続き、別の祝賀会に出られる貴志祐介氏、京極夏彦氏、馳星周氏、と続いたあたりで眠気が襲ってきてタイムアウト。失礼させていただいた。
 地下鉄で帰宅。算数のドリルをやっている子供と妻に挨拶をして就寝しました。あまり人に会わない生活をしているから、パーティに出ると疲れるのよ。

 スピーチで印象に残ったのは京極夏彦氏だった。以下不正確な抜粋である。
「受賞者の方にお伝えしておきたいのは、角川書店が著者に異様に仕事をさせる出版社だということです。私も本を書いてデビューしたとき、私淑していた水木しげる氏に挨拶に行ったのですが、今度角川書店というところで原稿を依頼されているということを話したら、こう言われました。『(水木口調で)角川書店はね、いかんですよ。あそこは水木さんに仕事をさせようとします!』実にそのとおりで、本当に仕事をさせるんです。いつの間にか仕事をさせられている。今だって、事前に話もなかったのにいきなりスピーチをさせようとする。そういう会社なんです」
 大笑いした。即興でこういうスピーチが出るのは才能だなあ。

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(11/24)病院へ行こう

 標題は滝田洋二郎監督・一色伸幸脚本の映画題名から。主演の真田広之ファンである私は、もちろん劇場公開時に観ています。薬師丸ひろ子を可憐だと思った、最初で最後の映画だと思う。「野性の証明」からずっと観ていたけど、女優として好きだったことは特にないのである。

 まあ、そんなことはどうでもよくて、最近の仕事のご紹介である。
「小説現代」十二月号の特集は〈医療小説最前線〉なのだけど、ここに〈医療小説を読もう!〉というブックガイドを書いた。戦後の医療小説をほぼすべて網羅した内容になっていて、医師の成長物語から、実在の医師が登場する伝記文学、病院が舞台のミステリーまで、医療に関係した小説に関心がある方には楽しく読んでもらえるのではないかと思う。松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』なんかもリストに入っています。どうぞご一読を。

 この仕事を半月ぐらいかかってやって気づいたことなのだが、私、初期の渡辺淳一って大好きだったんだわ。特に『遠き落日』。野口英世の生涯を描いたこの小説を、夢中になって読んだ日々のことを思い出した。怖いもの見たさで再読してみたが、やはり非常におもしろかった。こういう世界に戻ってきてはくれないものかのう。
 そして再燃したのが吉村昭熱。吉村は、プロの作家が好きな小説家として挙げることの多い、ライターズ・ライターの一人だ。一冊でも読んでみると、その理由はすぐに判る。あまりにおもしろく、片っ端から買いなおしては現在再読中です。随筆もおもしろいので、食べ物に関する文章だけを集めた新刊『味を訪ねて』(河出書房新社)を、まず読むといいよ。

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(11/19)最終告知~作家・福井晴敏、ガンダムを語る~

 以前にもここで告知したと思うのだが、慶應義塾大学推理小説同好会は、三田祭で福井晴敏氏をお招きし、講演会を実施する。公式ブログに詳細は出ているのだけど、ここでもう一度告知します。
 以下公式の複写だ。
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福井晴敏先生講演会 ~作家・福井晴敏、ガンダムを語る~

 ハードかつエンターテイメント性に溢れた作風から人気を集め、メディアミックス作品も多く手掛ける現在話題沸騰中の作家・福井晴敏がその創作の姿勢を語る。彼にとってのガンダムとは何か、そしてガンダムUC執筆への想いは。
 三田祭講演会で全てが明らかになる!

日時:11/20(土)三田祭1日目 開場 10:00 講演 10:30~12:00
会場:慶應義塾大学 西校舎ホール (JR田町駅・都営三田線三田駅より徒歩10分)
   →三田キャンパス案内:[慶應義塾]
入場:無料
主催:慶應義塾推理小説同好会(KSD)
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 また、パンフレットも作成しているとのこと。
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当日会場にお越しいただいた方には、
・ガンダムの予備知識
・福井作品の紹介
・ガンダムと福井先生に関するコラム
・メディアミックスと福井先生に関するコラム
など、講演会を楽しんでいただくためのエッセンスを凝縮した記念小冊子を差し上げます。
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 講演会が学園祭の中なので、著書の販売などはないと思うが、何かそのへんは考えているのかな?
 もうあとは学生さん任せだ。明日はがんばってください。私も会場には行きます。

 福井さんにお会いするのはひさしぶりだな。たぶん、ユニコーンの連載が始まって以来。

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(11/18)お、ディーヴァーがビートルズを抜いた!?

 というのは本日掲載二日目を迎えたEXCITE REVIEWのジェフリー・ディーヴァー講演録のお話なんだけど。

 〈独占公開!ジェフリー・ディーヴァー初来日記念講演録 part2〉言いたいことがあれば、必ず書ける

 今見にいったら、エキサイト全体の記事ランキングで七位に入っていた。八位はitunesがビートルズの楽曲を配信したというニュースだったけど、今はそれが落ちていて、代わりにタイガーウッズの話になっているみたいだ。
 賞金王にも勝てるか、ベストセラー作家。

 いやいや、あらためてジェフリー・ディーヴァーの人気のほどを認識させられました。

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(11/17)第一回、チキチキ・ディーヴァーさん祭!

 翻訳ミステリー大賞シンジケート十一月十五日の更新で、ジェフリー・ディーヴァーの日本滞在記を掲載したところ、過去最高のアクセス数になった。これまでの最高は殊能将之による「変態ミステリー・ベスト5」だったのだから、これはすごい。

 だが、これはディーヴァー祭の序曲に過ぎなかったのである。去る十一月十日に東京・丸の内の丸善本店で行われた講演会に関する記事が続々と登場するからだ。とりあえず、媒体ごとに説明致そう。

「WEB本の雑誌」:本日更新
「J・ディーヴァーの創作の秘密とは?」と題し、新作『ロードサイド・クロス』を中心にその作風を分析。この筆者は私です。

「EXCITE REVIEW」
:15日更新
「どんでん返しの巨匠、ジェフリー・ディーヴァ-の新作『ロードサイド・クロス』でまた眠れない夜が!」で『ロードサイド・クロス』をレビューした後、
:17から19日更新
「〈独占公開!ジェフリー・ディーヴァー初来日記念講演録 part1 〉創作の秘密はレバー味の歯磨き粉?」から三日連続更新で、十日の講演録を独占公開。全部読めるのはエキレビだけ!

そしてさらに、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」では、
:15日更新
「ジェフリー・ディーヴァー日本滞在記」に続いて、日程は未定だが日本滞在の間に文藝春秋編集部を通じてディーヴァーにぶつけてもらった質疑応答(十日のやりとりを含む)の一覧を掲載することになっている。これを読めばさらにその創作の秘密の深奥までが判るはずだ。

 そんなわけでここしばらくは続くのです、ディーヴァー祭。心して読むように。そして『ロードサイド・クロス』はミステリー者なら必読!

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(11/11)大阪に行ってきます

 〆切をいろいろ抱えている身ではありますが、本日は大阪まで行ってきます。
 新刊『長い廊下のある家』(光文社)について、有栖川有栖氏にインタビューなのである。お会いするのはいつ以来だっけ、鮎川賞の日か。
 せっかくの関西行きなので一泊ぐらいはしてきたいのだが、子供の学芸会が明日なので、とんぼ帰りすることになるかもしれぬ。もったいない話なのだけど。

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(11/11)BookJapanに原稿を書きました

「POPAYE」に連載されたままになっていたコラムをまとめた、リリー・フランキー『エコラム』について書きました。ご笑覧あれ。
 連載分はまだあるはずなので、もう一冊ぐらい出るのかな。

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(11/11)ジェフリー・ディーヴァー講演会を見てきた

 すでにネット上にレポートがいろいろあがっているのではないかと思うが、丸の内丸善本店で行われたジェフリー・ディーヴァーのトークイベントに言ってきた。twitterやこのブログにコメントをして、氏への質問を寄せていただいた方には御礼申し上げます。整理のうえ、来週にはアップの予定。シンジケートだけではなく、いろいろなところに関連情報が上がるので、楽しみにしておいてください。

 予想したとおりディーヴァー氏は素晴らしいユーモアセンスの持ち主で(隣席の池田真紀子氏も感激しておられた)、楽しく時間が過ぎていった。印象に残ったのは作家が小説を書くことをビジネスだと盛んに言われていたことで「レバーペースト味の歯磨き粉をメーカーが作りたくても、それは誰も求めていない。みんなが欲しいのはペパーミント味の歯磨き粉なのだから」などと比喩を交え、自分本位の小説を書いてはいけないと話されていた。素敵なだな、ディーヴァー。

 先に今後の執筆予定だけ明かしてしまうと、来年はジェイムズ・ボンド物の長篇(ディーヴァーが書くのです)で、次がキャサリン・ダンス、その次がリンカーン・ライムものということになるらしい。なのだけど、すでにストックがかなり溜まっているので、執筆ペースに追いつくまでに日本の読者は既出の作品をまだまだ何冊か読むことができる。実は来月あたりに別の隠し玉も準備されているので、ファンの人はちょっと楽しみにしておこう。

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(11/9)すいません、あなたの○○見せてもらえませんかって、大昔の週刊宝石のグラビアかよ!

 APEC開催ということで、不愉快な期間がやってまいりました。街を歩いていると、必ず職務質問されるんだよな……。もう慣れちゃったからいいんだけど。急いでいるときに限ってつかまるのである。
 あれは地域ごとにやり方に差があって、新宿歌舞伎町でつかったときがいちばん手慣れていました。足首から胸元までささささっと調べられて「はい、すいませんでした」と放免。鮮やかであった。さすがだ。思うのだがあれは、特別警戒ということで駆り集められた警察官ではなく、地元の人だから手際が良かったのだろう。応援でやってくる警察の人は比較的慣れていないことが多く、時間がかかるのである。いくらでも協力するので、一件あたりもっと早くやってもらいたいものだ。

 え、普通の人はそんなに職務質問にひっかからないものだって。

 すまんこってす。

 お知らせ。明日ジェフリー・ディーヴァー氏の講演会があるのだが、そこでぶつける質問を募集しています。このエントリーにコメントしていただいてもいいし、ツィッターで@Honyaku_Mystery宛に #deaver をつけて呟いていただいてもいい(前後に半角スペースをお忘れなく)。何卒よろしくお願いいたします。

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(11/8)【お知らせ】今年も「闘い」ます【応募してみてください】

 本年も「AXNミステリー 闘うベストテン」の開催が決定した。公式サイトに下記の要領で投票の告知が出ているので、ぜひ見にいってみてください。投票者を抽選で収録会場に招待、また三名にベスト3作品をプレゼントするとのことです。よろしくお願いします。

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http://mystery.co.jp/present/20101018_best10.html

今年も「あなたが選ぶベストミステリー小説」を募集します!
抽選で、第2回「AXNミステリー 闘うベストテン」公開収録にご招待!
また、番組内で選ばれた上位3作品をプレゼント!

毎年恒例のオリジナル番組「闘うベストテン」公開収録が今年も決定! これを記念してAXNミステリーではプレゼントキャンペーンを実施します!

AXNミステリーと、今年度「闘うベストテン」出演者が厳選した"ベスト30"作品の中から「あなたが選ぶベストミステリー小説」を教えてください。
投票頂いた方の中から抽選で、「闘うベストテン」公開収録にご招待いたします!
また、番組で選ばれた上位3作品をセットで5名様にプレゼント!
皆様奮ってご応募下さい!

今年度"ベスト30"作品

『悪の教典』貴志祐介
『アリアドネの弾丸』海堂尊
『愛おしい骨』キャロル・オコンネル
『エコイック・メモリー』結城充孝
『煙滅』ジョルジュ・ペレック
『小暮写眞館』宮部みゆき
『お台場アイランドベイビー』伊与原新
『音もなく少女は』ボストン・テラン
『神の棘』須賀しのぶ
『華竜の宮』上田早夕里
『逆光』トマス・ピンチョン
『五番目の女』ヘニング・マンケル
『シューマンの指』奥泉光
『スリープ』乾くるみ
『隻眼の少女』麻耶雄嵩
『卵をめぐる祖父の戦争』デイヴィッド・ベニオフ
『血のケープタン』ロジャー・スミス
『月と蟹』道尾秀介
『T・S・スピヴェット君傑作集』ライフ・ラーセン
『時の地図』フェリクス・J・パルマ
『沼地の記憶』トマス・H・クック
『ノンストップ!』サイモン・カーニック
『ピストルズ』阿部和重
『ファージング I~III』ジョー・ウォルトン
『ブラッド・メリディアン』コーマック・マッカーシー
『ベルファストの12人の亡霊』スチュアート・ネヴィル
『ぼくの名はチェット』スペンサー・クイン
『マリアビートル』伊坂幸太郎
『湖は餓えて煙る』ブライアン・グルーリー
『琉璃玉の耳輪』津原泰水

公開収録:12月12日(日) 正午0時 開場 / 午後1時開演
会  場:東京都内(会場については当選者の方のみにご案内いたします)

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(11/5)BookJapanの書き手を引き続き募集しています

 復活から三週間目。さすがに今週は、毎日更新というわけにもいかず、ウィークデイ五日のうち二日だけ新しい原稿をアップできた。更新すること自体が目的ではなく、良いと認めた書評を読んでいただきたいという考えで運営しているサイトだけに、今後もこういう週は何度もあるはずである。訪問したその日にたまたま更新がなかったからといって、どうぞお見捨てなきよう。よろしくお願いします。

 さて、更新作業を任せている編集Kとも話をしているのだけど、投稿される書評がやや偏りつつあるように思う。海外文学は好きですが、それに特化するつもりはありません。小説が大好きですが、私はそれ以外の本も読みますし、それ以外の書評も読んでみたいと思っています。

 そんなわけで、今自分で読みたいタイプの書評をいくつか書いてみる。

・鉄道マニアの方の書評。濃ければ濃いほどいいなあ。
・とにかくなんでもいいので、私が知らないマニアの方の書評。
・学術書の書評。ちなみに私が関心を持っているのは、日本中世史なのです。
・コンピュータやネットワークに関する実用書の書評。こういう実用書って、風化するのがすごく早い。ということはそのときどきでどの実用書が役に立つのか、という関心も高いのではないかと推測する。私もどの本を買えばいいのか、非常に知りたい。
・辞書の書評。井上ひさしさんが亡くなって、一般誌でこれをやってくれる方は少なくなりましたね。
・文芸誌の書評。いやまあ、既存のものはあるわけですが、我こそは芥川賞の門番なり、という名乗りを挙げてくださる方はいないものか。
・それと少し被るが、短篇書評。掲載された短篇だけを個別に書評してもいいんじゃないかと思うのだけど。
・自分に関心があることだけの観点から小説を切る書評。たとえば猫好きが作中に出てくる猫について書く、とかね。料理・ファッション・音楽、これまたなんでもいいです。
・そういう意味では、ブックリストを作ってくれる人がいてもいいなあ。「○○に関する20冊」みたいなことで、毎回趣向を変えて。これは昔の「本の雑誌」で人気があった企画です。別冊も出たほどだった。

 ほかにもいろいろあるのだけど、これぐらいにしておく。なんにしろ、おもしろいものが読みたいのです。

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(11/4)二次元に勝った三次元の男とアラン・ドロンのライバル

 うっはー、目の前に北野先生(古い)がいるわー。

 現在三十代後半から四十代前半の世代にとって、青春ドラマのヒーローといえば水谷豊なのだが、『熱中時代』シリーズ放映期の彼の背には本当に後光が差していたように思う。少し上の世代にとっては堺正章や石立鉄男がそういう存在なのだろうが水谷豊は「それほど男前ではないのだが、水谷豊が水谷豊であるがゆえにかっこいい」という存在だった。理由づけはどうでもいいのである。細けえこたあいいんだよ! 水谷豊がブラウン管に映っているという、そのこと自体がありがたかった時代が確実にあったのである。私はその直撃世代だ。

 したがって水谷豊は、存在するだけで実にありがたい。ありがたや、ありがたや……。

 昨日はその水谷豊と至近距離、わずか数十センチほどの距離でお話をさせていただくという機会に恵まれたのであった。しかも隣には、及川光博先生が。

 及川光博といえば三橋美智也の跡を継いで二代目ミッチーを襲名し(サッチーとセットになったミッチーもいたらしいが、それはもちろんカウントしない。セコな落語家が名跡を継いでもカウントされないというあの原理である)、世の婦女子に紅涙をしぼらせたという伝説の人物である。これまでの全活動を把握しているわけではないが、私も及川大人のファンである。真剣なファンから観るとやや邪道の理由だと思うが、そのきっかけはニコニコ動画であった。プロモーションビデオの映像をモンタージュしたり、他の作品の映像をコラージュしたりして別の作品に作り変えたMAD映像の一ジャンルに、ゲーム「アイドルマスター」を使ったものがある。その中に、及川光博「死んでもいい’98」を使用した作品があったのだ。

 たいていの作品は「アイドルマスター」を被せられると元の世界をかき消され、アイマスに従属させられてしまう。上書きされてしまうのである。ところが及川光博は違った。そのMADと元映像を対比させた比較版で(今は消されていて、存在しない)、及川はアイドルマスターのキャラクターに勝ったのである。「死んでもいい」PVには、後半にチアガールによって及川演じる流星光一郎が胴上げされる場面がある。それまでの画面で光を放っていたのは実写の及川ではなく二次元画像のアイドルたちだった。だが及川の光り輝く笑顔は彼女らを画面の隅へと駆逐し、中央を奪い返すことに成功したのである。二次元の映像を従者のようにはべらせ、満面の笑みを浮かべながら胴上げにこたえる及川。彼の存在感は、アニメーションによってもかき消すことができなかったのだ。その投稿作品にはこんなタグがついていた。「三次元が二次元に勝利した記念すべき瞬間」……。

 そのお二人に同時に会ったのだから、まあ緊張もするというものだ。合同会見で二十分、単独インタビューで十分の短い時間だったけど、得がたい体験でありました。

 書くのを忘れていたが、あれだ。映画『相棒2』のためのインタビューに行ったわけですね。その模様は次号の「ミステリマガジン」に載ります。お楽しみに。

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(11/1)水嶋ヒロだろうが水鳥ヒロだろうが水島新司だろうが関係ない

 昨夜十一時半頃、家の電話に着信があった。遅い時間の連絡は携帯電話にあるのが普通なので、珍しいことなのである。よほど急いでいるのだな。あ、そういえば私、携帯電話を踏んで壊してしまっていたところだった(今からショップに行って取り替えてきます)。

 電話の相手は、某誌編集者からだった。

「杉江さん、今入った連絡で、第五回ポプラ社小説大賞を受賞したのが俳優の水嶋ヒロだったことがわかったんですが、ご存じでしたか。下読みか何かで、すでに受賞作をお読みではないでしょうか」
「はあ、そんなことがありましたか。それはそれはおめでとうございます」
「ご存じない」
「残念ながら。で、その受賞作はどんな話なんですか」
「どんなもこんなも。どなたかがお読みではないかと思って探しているわけなのですが……」
「知りませんねえ。もしかすると知り合いの誰かが読んでいるのかもしれませんが」
「そうですか、夜分にたいへんお騒がせしました」
「お役にたてず、すいませんねえ」

 ガチャリ。会話の内容は大意である。そんなわけで、そういうことらしいと知った。ちなみに発表された受賞者名は齊藤智裕。『KAGEROU』という作品で受賞を果たしたらしい。おめでとうございます。

 今朝の報道で、どうやらその齊藤氏が水嶋ヒロ氏本人で間違いないと確定したが、いんだよ細けぇこたぁ(ザ・松田調に)。誰が書こうと小説には変わりないんだから。少しだけ検索してみたけど、きっと、ネット上では揣摩臆測が乱れ飛んでいることと思う。芸能人の名前が出たら当然だ。でも読みもしないうちからあれこれ言ってもしょうがないじゃないか。おもしろいものが出るんだと期待して待ちましょうよ。

 この報道でいちばん気持ちを煽られているのは、同賞の第一回受賞者方波見大志氏ではないかと思う。最近著書をお見かけしないが、ポプラ社小説大賞が注目されている今がいいチャンスだぜ。早くその手元の原稿を完成させて、編集者に渡すんだ!

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