(4/7)中学校のPTAでは学年部というのをやります
子供の中学校の入学式があった。東日本大震災によって入学式はおろか、進学の夢、命そのものを絶たれた方の無念を意識しながらの挙式である。祝辞を述べるために登壇した小学校の校長先生は、こう話された。
――先の大震災によって亡くなられた多数の方の中には、みなさんと同じ中学入学を控えたみなさんもいらっしゃいました。
そういう方たちも今、風となってみなさんと一緒に入学式を迎えている。私はそうであってほしいと願っています。
そしてもちろんみなさんは、風となった友達の魂とともにこれからの中学生活を送ることになります。
深い爪痕を残した震災からこの国が立ち上がるには、十年、いや二十年、三十年という歳月を要するでしょう。
今ここに入学式を迎えたみなさんが将来、復興のために力を尽くしてくれる、立ち上がってくれることと私は信じております。
被災地における辛苦は、それ以外の地域の人間には想像もつかないほど大きなものだろう。それを判る、分かち合えるなどという言葉を軽々しく口に出すことは、私にはできない。私は東京という安全な地で、人の親としてわが子の幸せを願い、わが子の心を安からしめんことを第一に考えている。彼我の差を超えるのは容易ではないと思うのだ。申し訳ないと思いつつも、日々の暮らしを送っている。そのありようを、エゴイストであると批判する人はいるだろう。しかしそれでも今は、この場所で、人の親として生きていくしかないのである。その、どうしようもなく利己的な生のありようを噛みしめ、今は自分がすべきことをしていくより他に道はない。守るべきものを守るという行為がやがて何かの実を結ぶと信じて、毎日を積み上げていく。今はそうするしかなく、せめてもの感謝のしるしとして、この場所でできることをしていこうと考えている。
そうした思いに胸を動かされながら式を終えた。式のあと、保護者懇談会があり、各学級ごとに役員決め。私は学年部役員に就任した。学年別の行事を運営していく仕事だ。顔を知らない保護者の方が多いので、あえてこの役員を選んだ。学級の行事を通じて、みなさんと仲良くなれればいいのだけど。