中の人などいない
散歩もかねて少し離れたJRの駅まで行き、ちょうど時分どきだったので適当な店で食事をした。
それはいいのだが、料理の到着を待っている間に読んでいたのが今柊二氏の『定食バンザイ!』だったのがまずかったか、「お客さん、そういう本に関心があるんですか」「本で調べてからお店に行ったりしますか」と店長から食事の間ずっと探られていたのはちょっと参った(カウンターのみのお店だったのである)。
もしかすると、そういう食関係のライターか何かだと思われたのかもしれない。ちがいます。そもそも私は食事中にお店の人から話しかけられると気が散って困るたちなので、おいしい料理だったのだが十分に楽しめなかった。なかなか足を向けにくくなってしまいそうだ。好きな味だったのに。
店を出るときにコートを着たら、「おしゃれですねー」と褒められてしまった。おしゃれ! いまだかってそんなことを言われたことはないです。ちなみにそのときコートの下に着ていたのはパーカーと、コアチョコのTシャツである。
そのあと近所の古本屋に行ったら、店長の知り合いらしい客がいて、『古本屋ツアー・イン・ジャパン』の中の人が最近あなたの店に来たらしいよ、という話をしていた。ちょうどそのブログを読んだばかりだったので、あ、と思ったのである。
面が割れてしまうと、古本屋巡りもしにくくなるだろうと思う。ちょっとお気の毒だ。
私は一時期地元の書店で本の取り置きを頼んでいたのだが、その店であまり人から後ろ指をさされそうにない、つまりは書評家でござい、と言いたげな本ばかり買うようになっていることに気づき、嫌になって止めてしまった。書店は何も悪くない。知名度もない癖に変に自意識過剰になった自分がよくないのである。
今日もその本屋に行ったら、出版社の営業らしき人が来ていて、書店員と某作家の本が積んである平台でなにやらねんごろに話していた。思わず棚の陰に隠れてしまい、面が割れているわけでもあるまいし、と恥ずかしくなったことである。
書いていてたまらなくなった。今度行ったらあのお店ではとんでもないエロ本とか買うことにする。
1/29(水)に作家・法月倫太郎さんとの評論対談を公開で行います。
詳しくはこちら。
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