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加藤シゲアキ氏のイベントをお手伝いしてきました

 19時に情報解禁、と言われていたのでそろそろいいか。

 本日午後に東京・渋谷区の青山学院大学敷地内にある青山IVYホールでイベントが開催された。NEWS・加藤シゲアキの長篇第3作『Burn. -バーン-』刊行を記念するものだ。著者である加藤氏が登壇し、ファンの前で作品について話す、そのお相手を私が務めてきたのである。
 その模様は版元である角川書店系の媒体で公開されると思うし、各メディアも取材に来ていたのでたぶん明日あたり報道されるだろう。したがってここでは一切イベント内容には触れない。ニュースと記事をご覧になっていただきたい(しかし、おそらく報道では私の姿は見切れているだろうから、いちおう書いておきます。いたよー、ということで)。

 すでにネットニュースが1本上がっている。

 加藤シゲアキ、第3弾小説は「ゴースト?」の質問に…

(引用)
楽曲の代作が問題となった佐村河内守氏(50)にからめ、報道陣から「今作はゴーストライター?」と質問されると「耳が聞こえない…って違いますよ!」とノリツッコミで否定。続けて「ゴーストライターがいると聞かれること自体、作品がおもしろいという証拠だと思っています」と分析していた。
(引用ここまで)

 なんかすごく芸能欄らしい質問。文芸記者は来なかったのかなあ。

 やっかみでいろいろ言う人も出るだろうけど、3本もの長篇をすでに書いているという事実は重い。芸能活動をしながら結果を出せたことを、素直に賞賛すべきだと私は思います。雑音は気にせず、息長くがんばっていただきたい。


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【延期のお知らせ】3/21ガイブンの星は4/4に

 土壇場の告知で恐縮です。
「君にも見えるガイブンの星 #17」は、村上春樹訳『フラニーとズーイ』刊行を記念してJ・D・サリンジャー特集で明日3月21日に開催の予定でしたが、出演者の体調不良のため4月4日(金)に延期いたします。
 すでに予約いただいていた方には店より個別にご連絡を申し上げましたが、ご来店の心積もりをされていた方には改めてお詫びいたします。
 4月4日、さらに準備を重ねて万全の態勢で臨みますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

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杉江松恋の「君にも見えるガイブンの星」 第17回 

[今回の特集作品]JDサリンジャー

村上春樹新訳の『フラニーとズーイ』で話題のサリンジャーを取り上げます!


 世界には(自分の)まだ見ぬ強豪がたくさんいる、ような気がする。でも、今の自分にはそれらを受け止めるだけの力がまったくない……。

 そんな思いに駆られるようになったのはここ数年のことです。まだ見ぬ強豪、すなわち世界の優れた小説家たち。私、杉江松恋はミステリーという小説の一ジャンルに自身の活動範囲を限定してきたライターです。もちろんそれ以外の分野でも読書はしてきましたが、胸を張って「本読みです」と言えるレベルではありません。

 でも、それでいいんじゃないの?

 自分対世界の小説の闘いで自分が負けるのって、当たり前のことなんじゃないの? だって、自分が「小説」を知っているなんておこがましい言い草なんだから。小説って圧倒的に大きくて、素晴らしくて、時には人を打ちのめしてしまうものなんじゃなかったっけ。

 そう思ったとき、私は一つの決意をしました。

 よし、一からやり直すつもりで最先端の外国文学を読もう。

 このイベントは、そんな気持ちで開始しました。手っ取り早く言えば、外国文学の最新情報をお知らせするイベント。翌月以降に出る外国文学を他に先んじて読ませていただき、そのどこがおもしろかったのかをイベントに来られたお客さんに言葉で伝えるというものです。もちろん杉江は外国文学という分野では門外漢もいいところですから、いろいろ間違ったことも言うでしょう。それを正すために、各社の編集者の方などにお越しいただき、助言をしていただきます。ぜひ会場に来て、杉江と一緒に外国文学の楽しさを学んでいきませんか?(杉江松恋)


[日時] 2014年4月4日(金) 開場・19:00 開始・19:30  (※当初の3/21(金/祝)から変更となりました)

[出演] 杉江松恋(ライター・書評家) 倉本さおり(ライター・書評家)

[会場] Live Wire Biri-Biri酒場 新宿
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分


[料金] 1000円 (当日券200円up)

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します。参加費は3000円です(当日参加は3500円)。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。
※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。
 
※ご注文者には整理番号をメールでご連絡します。
 お申し込み時に住所をご記入いただきますが、チケットの送付はいたしません。
 当日会場受付にて、名前、電話番号、整理番号をお伝えいただければ入場できます。
 
※満席の場合は、立ち見をお願いいたします。
 
※お支払い後のキャンセルは一切受け付けませんのでご注意ください。
 
※銀行振り込み決済の締め切りは4/3(木)午後3時、カード決済の締め切りは当日午前0時です。

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博麗神社例大祭にサークル「腋巫女愛」で出展します

 今日のエントリーは、関心のない方にはまったくなんのことだかわからないのではないかと思います。
 その場合はどうか無視してやってください。お騒がせしてすみません。

 さて、標記のとおりです。
 5月11日(日)、東京ビックサイト東ホールで開催される「博麗神社例大祭11」に個人サークルとして参加します。
 サークル配置は「に35a」です。

 このことは以前にも書きましたが、当選通知が来たので改めて告知させてください。

 出展するのは完全な新原稿の本で、『東方同人誌マストリード100・のようなもの(仮)』といいます。

 題名からお察しいただけると思いますが、ここ数年で収集し、読んだ東方同人誌の中から100点を選び、お薦めする書評集です。「のようなもの」をタイトルにつけるのは、私が東方同人界隈に足を踏み入れたのはここ5年ぐらいの新参者であり、山ほど刊行される同人出版物をすべて読んでいるわけではないからです。『海外ミステリーマストリード100』のときには「これが自分の専門分野である」との自負がありましたが、今回はさすがに気が引けました。あくまで「杉江松恋にとっての」という意味での「マストリード100」なのだとご理解ください。
 また、今回は東方創想話、すなわち小説形式での同人作品については触れないことにしました。まだ数をそれほど読んでいないため、サブジャンル全体を見送ったほうがいいのではないかという結論に達したためです。もし同人活動を続けていけるようならば、そのときにまた考えてみたいと思います。

 私をこの世界に誘ってくれた素敵な二次創作の数々をご紹介することで、自分がなぜ幻想郷で遊ぶことを好むのかをみなさんにお伝えしたい。それが今回の同人誌を作る第一の理由です。したがって、もちろん東方Projectファンのみなさんには読んでいただきたいのですが、それ以外、たとえばニコニコなどでたまに動画を見る程度だけど関心はないでもない、という方にもぜひお手に取っていただければと考えています。

 自分の原稿執筆や印刷所との契約、諸方面への連絡など、これからやらなければならないことは多く、忙しくなりそうです。ご迷惑をかけないようにがんばりますので、どうぞよしなに願います。


 
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デーブ・スペクターのホットな「クールギャグ」


 第二次世界大戦でロンドンはV2ミサイルによる空襲を受けた。爆心地を示したサイトを見ると相当な密度で着弾があったようである。
 その際の実話として伝えられているジョークに、爆撃によってエントランスを破壊されたデパートが翌日、「今日から営業開始。入口を拡張しましたので待たずに入れます」と書いた看板を出した、というものがある。
「負けず嫌いで」「ジョーク好きな」イングランド人の国民性を示したもの、としてこのエピソードは紹介されていたと記憶している。たしか井伏鱒二あたりが監修した子供向けの読み物だったと思うのだが、記憶は定かではない(原文を探してみたが、わからなかった)。
 子供のときは「ふーん、イギリス人すげーなー」ぐらいの感想で通り過ぎたのだが、今考えてみると、別の思いが去来する。

「笑い」はいいものである。笑うことによって心は和み、神経が安らぐ。
 しかし、それは諸刃の剣でもある。「笑い」を不真面目・不謹慎ととる人もいるからだ。そして「笑い」には予測不可能なところがあり、意図しない形で誰かを傷つけてしまう。人を笑わすのは難しく、そして実は勇気がいることでもある。
 しかも昨今では、「笑い」の芸人にも常識を求め、周縁ではない場所にいることを求める風潮がある。ビートたけしにしろ太田光にしろ、芸人がまともな世論の代弁者として扱われる風潮は明らかにおかしいのだが、当たり前の風景になりつつある。立川談志はそうした風潮に戸惑い、もどかしさを覚えていた芸人だ。晩年の言動や著作を見ると、自分だけは常識に囚われまいとしてあがいていた様子がわかる。しかし、あと10年談志が生き続けたとしたら、立川流家元でさえ「芸人」の世界に逃げ切れていたか。ファンとしてはそうだと思いたいが、確言はできない。

 そんななか、デーブ・スペクターはいちばん「笑い」が成立しにくい時期に「笑い」の世界の人であり続けたのである。2011年のあの緊張した空気の中で、自身の姿勢を守り抜いたことは賞賛に値する。彼のtwitterにおける活動をまとめた本『いつも心にコールドギャグを』については、前にエキサイトレビューで書いたのでここでは繰り返さない。当時のデーブは非常に正しい「芸人」であった。たいへん素晴らしいことである。

 まさかデーブのギャグに救われるなんて! 震災後のデーブ・スペクターTwitter本

 デーブの賢明さは、どこから自分は発言したらいいのか、ということをすぐに見抜いた点に現れている。
 冒頭で紹介したロンドン空襲のジョークは、爆撃を受けた被害者が自身の境遇を笑いのめすという「自虐」から成り立っている。緊張した場ではあるが、当事者がそれを言う、ということによって笑いが正当化される。
 2011年のデーブは客観的な評価では当事者ではなかった。あらゆる意味で彼は「外部」の人間だったのである。にもかかわらず彼は踏み込んできた。その絶妙なやり方については、リンク先のレビューを読んでもらいたい。

 デーブが「場違いなところに迷いこんできたよそ者」という自虐の姿勢をとれたのは、以前から「デーブ・スペクターは実は埼玉生まれの日本人である」というジョークが流通していたからだ。その意味では彼にしかできない芸当だった。適材適所だったわけである。しかしもちろん、一歩間違えば彼も排斥される危険があった。不謹慎、場違いだ、とのそしりを受ける危険を冒してまで「笑い」で場を和ませようと考えたのである。その勇気ある態度には感嘆するほかない。

 本日の14時58分、デーブは以下のようにツイートした。

 その前のツイートは、「茨城県のスパゲッティ→水戸ソース」であり、その後は「田中マー君が関西出身なのに球種男児」であった。前後のつまらなさを含めて完璧だ。クールだぜ、デーブ。

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ブレット・イーストン・エリスのことちょっと、そしてTwitter文学賞

 昨日の「君にも見えるガイブンの星」イベントにお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。
 ブレット・イーストン・エリスは、相棒の倉本さおりさんが原作映画を全部観てきてくれたので、その方面での発見がおもしろかった。
 新刊の『帝国のベッドルーム』はデビュー作『レス・ザン・ゼロ』のキャラクターたちが再登場して、前作をなぞるような行動をするのだけど、倉本説によれば映画版『レス・ザン・ゼロ』のパロディの要素もあるのだとか。なるほどね。
 20年前にぶいぶい言わせていた連中が、加齢にもかかわらず復帰してきて痛いことをしでかす、という話でもある。いや、年にもめげずがんばるのはいいことなんだけど、それでやるのが「映画に出してやる」と言って女優の卵とセックスすることなんだもんな。
 それを、
「ホイチョイ・プロダクションが『東京いい店やれる店』の2012年版を出すような痛さ」
 と表現したのだが、倉本さんには伝わらなかったのであった。世代の違いを感じる。だって、2010年に出た小説なのに言及されるの音楽はデュラン・デュラン「グラビアの美少女」やカルチャー・クラブ「君は完璧さ」だという絵に描いたような80年代っぷりなのですよ。あれは絶対エリスも狙って書いていると思った。老残のおかしさ、ですね。

 さて、明日はいよいよ第4回Twitter文学賞の公開発表会です。
 発起人の豊崎由美氏をはじめ、石井千湖、大森望、佐々木敦、杉江松恋らのパネラーが、Twitterユーザーの投票で選ばれた2013年のランキング作品、そして栄えある大賞作品について口頭でレビューいたしますよ。
 もしかすると最初で最後の公開版になる可能性もありますので、歴史的瞬間をお見逃しなく。
 詳細はこちらのサイトでご覧ください。

http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=4078

開催日時::3月2日(日)17:00~20:00(開場16:30)
開催場所:MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店 7階喫茶コーナー
定員:40名      入場料:1000円(1ドリンク付)

お問い合わせ・ご予約は下記まで
MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店(東急百貨店本店7F)
電話:03-5456-2111      営業時間:10:00〜21:00

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