「杉江松恋の君にも見えるガイブンの星」とはこんなイベントです
それは些細なことがきっかけでした。
都内の大型書店の中をぶらぶら歩いていたとき、自分がある特定のエリアにあまり足を向けないことに気づいたのです。
外国文学の棚でした。普段からミステリー読みを自認し、特に海外ミステリーを中心に読んでいるはずなのに、なぜ外国文学の棚の前には立たないのだろう。
それは、怖いからでした。この年までミステリーというジャンルに特化して読書をしてきた自分には、それ以外の領域に足を踏み出す勇気がない。特に「外国文学」というと高尚で、一見さんお断りみたいな雰囲気があって近寄りづらく感じる。
しかし、そんなことはないはずなのです。私の信頼する本読みの方々が外国文学はおもしろいと熱くその魅力を語っておられる。であれば私もそれを楽しめないはずがない(理解できない、という可能性はあるにしても)。なのに最初からそれに挑戦しないのは、単なる食わず嫌いなのではないか。
そういう思いからこのイベントを始めました。月1回イベントを開き、その日の直近に出る外国文学を読んで口頭でレビューする。途中からはそれに加え、1人の書き手に焦点を合わせ、その作品を可能な限り全部読むという作家特集も開始しました。「君にも見えるガイブンの星」というタイトルは、イベント継続1年を記念して改めたものです。元ネタはもちろん『帰ってきたウルトラマン』の主題歌。空に輝くガイブンの星は決して遠いものではなく、手をのばしさえすれば誰にでも届くものなのだ、という思いをこめたものです。
現在はライターの倉本さおりさんをパートナーに向かえ、二人体制でガイブン山脈に立ち向かっています。また、2014年6月からはそれまで同時に行っていた新刊紹介と作家特集を隔月交互に分割し、よりきめ細かく、より密度を高くして本の紹介をするように取り組んでおります。もしお時間が許せば、一度覗きにいらしてください。
過去のイベントの模様はこちらに動画、音声が上がっています。
青山南さんをゲストにお迎えしたジャック・ケルアック特集※ポッドキャスト
現代文学のミッシング・リンク、ドン・デリーロを語りつくす!※ポッドキャスト
ロシアの暴れん坊、ウラジーミル・ソローキン特集!]※ポッドキャスト
杉江松恋認定2013年ベスト短篇集の作者ミュリエル・スパークを語り尽くす!]※ポッドキャスト
『帝国のベッドルーム』の起源は実は映画にあり? ブレット・イーストン・エリス特集※ポッドキャスト
あなたは野崎孝訳派? それとも村上春樹訳派? J・D・サリンジャー特集※ポッドキャスト
杉江松恋が『世界が終わってしまったあとの世界で』への偏愛を語る。 ※ポッドキャスト
とりあげた作品・作家のリストはこちら(一部作成中)
第1回
ミレーナ・アグス『祖母の手帖』(新潮社)
ジョー・ブレイナード『僕は知っている』(白水社)
ロレンス・ダレル『アヴィニョン五重奏 第1巻 ムッシューあるいは闇の君主』(河出書房新社)
第2回
デイヴィッド・ミッチェル『クラウド・アトラス』(新潮社)
ジョナサン・フランゼン『フリーダム』(早川書房)
第3回(2013/2/1)
ジェニファー・ユージェニデス『マリッジ・プロット』(早川書房)
ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女 あるいは7つの悪夢』(河出書房新社)
アルベルト・ルイ=サンチェス『空気の名前』(白水社)
第4回(2013/3/8)
ロン・カリー・ジュニア『神は死んだ』(白水社)
ベルハルト・シュリンク『夏の嘘』(新潮社)
アイザック・パシェヴィス・シンガー『不浄の血』(河出書房新社)
第5回(2013/4/19)
イーディス・パールマン『双眼鏡からの眺め』(早川書房)
ネイサン・イングランダー『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』(新潮社)
マックス・バリー『機械男』(文藝春秋)
〈作家特集〉第0回
トーヴェ・ヤンソン
第6回(2013/5/17)
パトリック・デウィット『シスターズ・ブラザーズ』(早川書房)
〈作家特集〉第1回
リチャード・パワーズ『幸福の遺伝子』(新潮社)
第7回(2013/6/21)
コラム・マッキャン『世界を回せ』(河出書房新社)
ローラン・ビネ『HHhH』(東京創元社)
ハリー・マシューズ『シガレット』(白水社)
〈作家特集〉第2回
ドン・デリーロ『天使エスメラルダ』(新潮社)
第8回(2013/7/19)
ベティナ・ガッパ『イースタリーのエレジー』(新潮社)
ステファノ・ベンニ『海底バール』(河出書房新社)
〈作家特集〉第3回
コーマック・マッカーシー『チャイルド・オヴ・ゴッド』(早川書房)
第9回(2013/8/23)
マーク・ボジャノウスキ『ドッグ・ファイター』(河出書房新社)
リュミドラ・ペトルシェフスカヤ『私のいた場所』(河出書房新社)
ポーラ・マクレイン『ヘミングウェイの妻』(新潮社)
〈作家特集〉第4回
ジャック・ケルアック『トリステッサ』(河出書房新社)
第10回(2013/9/13)
ジュノ・ディアス『こうしてお前は彼女にフラれる』(新潮社)
松家仁之編『美しい子ども』(新潮社)
アレハンドロ・サンブラ『盆栽/木々の私生活』(白水社)
アンドリュー・カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』(東京創元社)
〈作家特集〉第5回
ウラジーミル・ソローキン『親衛隊士の日』(河出書房新社)
第11回(2013/10/18)
コーマック・マッカーシー『悪の法則』(早川書房)
パオロ・ジョルダーノ『兵士たちの肉体』(早川書房)
アントニオ・タブッキ『いつも手遅れ』(河出書房新社)
ロベルト・ボラーニョ『売女の人殺し』(白水社)
ランサム・リグズ『ハヤブサが守る家』(東京創元社)
〈作家特集〉第6回
ミュリエル・スパーク『バン、バン! はい死んだ』(河出書房新社)
第12回(2013/11/22)
ケヴィン・パワーズ『イエロー・バード』(早川書房)
チャド・ハーバック『守備の極意』(早川書房)
〈作家特集〉第7回
ジョン・アーヴィング『ひとりの体で』(新潮社)
第13回(2013/12/20)
〈作家特集〉第8回
ジョン・バンヴィル『いにしえの光』(新潮社)
第14回(2014/1/24)
(作家特集)第9回
アリス・マンロー『ディアライフ』(新潮社)
第15回(2014/2/28)
トム・マッカーシー『もう一度』(新潮社)
オルガ・トカルチュク『逃亡派』(白水社)
(作家特集)第11回
ブレット・イーストン・エリス『帝国のベッドルーム』(河出書房新社)
第16回(2014/4/4)
ルース・オゼキ『あるときの物語』(早川書房)
ブライアン・エヴンソン『遁走状態』(新潮社)
アレクサンダル・ヘモン『愛と障害』(白水社)
アレクサンダル・ヘモン『ノーホエア・マン』(白水社)
第17回(2014/5/9)
ニック・ハーカウェイ『世界が終わってしまったあとの世界で』(早川書房)
ロベルト・ボラーニョ『鼻持ちならないガウチョ』(白水社)
ブノワ・デュルトゥル『フランス紀行』(早川書房)
アン・ビーティ『この世界の女たち』(河出書房新社)
第18回(2014/6/13)
ゲスト・山内マリコ(作家)
アン・ビーティ特集
第19回(2014/7/19)
ラテフィエ・テキン『乳しぼり娘とゴミの丘のおとぎ噺』(河出書房新社)
カーメン・アグラ・ディーディ/ランダル・ライト『チェシャチーズ亭のネコ』(東京創元社)
エリザベス・ストラウト『バージェス家の出来事』(早川書房)
エレーヌ・グレミヨン『火曜日の手紙』(早川書房)
チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)
カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』(河出書房新社)
セス・フリード『大いなる不満』(新潮社)
ポール・ユーン 『かつては岸』(白水社)
ケリー・リンク『プリティ・モンスターズ』(早川書房)
ポール・オースター『闇の中の男』(新潮社)
レイ・ヴクサヴィッチ『月の部屋で会いましょう』(東京創元社)
第20回(2014/8/22)
ゲスト・大森望(翻訳家)
カート・ヴォネガット特集
第21回(2014/10/8)
ゲスト・西田藍(タレント)
パトリク・オウジェドニーク『エウロペアナ』(白水社)
B.J.ホラーズ編『モンスターズ 現代アメリカ傑作短篇集』(白水社)
ショーン・タン『夏のルール』(河出書房新社)
トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』(河出書房新社)
リー・カーペンター『11日間』(早川書房)
アン・パチェット『密林の夢』(早川書房)
ジュンパ・ラヒリ『低地』(新潮社)
アレクサンダー・レルネット=ホレーニア『両シチリア連隊』(東京創元社)
※2014/10/13増補