批評家要請ギブス第3期で講師を務めることになりました
批評家養成ギブスというものがあるならば、ぜひ自分自身で嵌めてみたいものだと思いますが、それはともあれ講師を務めることになりました。
私がその講師として適任かどうかはよくわからないのですが、佐々木さんの考える批評とは、自分自身の頭で考えること、そしてそれを自分以外の者へと伝達するための言葉に変換することの二つで成り立っているようです。このうち特に、言葉を使って文章を綴ることについては私もいくらかはひとさまにお伝えできることがあると思い、この講師の役目をお引き受けしました。
※詳しくは下記のリンク先から「概要」をクリックし、佐々木敦さんの「批評力を獲得するために」をお読みください。
他の講師陣やその講義内容、申し込み方法などについては
http://www.eigabigakkou.com/critic/
をご覧いただければと思います。
私の出番及び講義内容は以下の通りです。
10月28日(火) 20:00-22:00
書評の準備~どのようにして作品を分解し、必要不可欠なパーツを拾い上げるか。いかに評論を「諦めるか」。
11月4日(火) 20:00-22:00
書評の戦略~書評者はどういう位置から作品を眺めるべきか。ネタばらしはどのようなときに起きるのか。
11月11日(火) 20:00-22:00
書評の反省~パトリック・クェンティン『女郎蜘蛛』(創元推理文庫)書評を各自で書き、採点する。
テキストとして長篇を一冊選ぶ必要があったのですが、悩んだ末に『女郎蜘蛛』にしました。その理由などはまた、講義のときにでも。
みなさまの受講をお待ちしております。
新刊及び重版のお知らせ、その他もろもろ
6月に入ってからは初めての更新です。いろいろお知らせすべきことが溜まってしまいました。
まず、6月末に『路地裏の迷宮踏査』(東京創元社キイ・ライブラリー)の刊行が決まりました。「ミステリーズ!」創刊号から53号までの連載をまとめたもので、海外ミステリー作家のゴシップや作品論を肩の凝らない形でまとめた読み物集です。全編に加筆を施したほか、おまけとして「もえかん」に寄稿したホワイトチャーチ篇も追加しました。書店などで見かけたら、ぜひ手に取ってやってください。丹地陽子さんに手がけていただいた美麗な装丁は素晴らしいと思います。
同じころ、ハヤカワ・ミステリ文庫のアンソロジー『ミステリマガジン700 海外篇』が増刷される予定です。朝日新聞書評にて池上冬樹さんに取り上げていただいた効果などもあり、アマゾンランキングで総合100位台まで上がったので、そろそろかな、と思っていたところへの増刷報告でした。ちなみにSFの海外・日本篇の増刷のほうが少し前に決まったとのことでした。いずれにせよ、お引き立ていただいたみなさまのおかげです。ありがとうございます。現在地域によっては品薄のところもあるかもしれませんが、もう少しだけお待ちいただければと思います。
次にミステリー以外の話題を。
プロ・アイスホッケー・チーム、日光アイスバックスさんの好意でホームページに連載させていただいている、日光街道140km踏破企画、「日光街道でしょう!」の第2回がアップされました。今回は「千住~越谷」の17kmを歩いております。同行者は、コラムニストのえのきどいちろうさんです。
現在新米落語プロデュサーの奮闘及び、落語会の鑑賞記などを「下足番から始めます」という専用ブログにまとめています。こちらでは自身が手がけた落語会の内幕や、足を運んで聴いた落語についての感想、噺に関する考察などを書いております。落語については素人の書くものゆえ的外れな部分もあるとは思いますが、お暇なときに見ていただければ幸いです。6月8日時点での最新記事は、鎌倉円覚寺で行われた立川流の落語会についてのものです。この会、なんと故・立川談志長男である松岡慎太郎氏がゲストなのでした。
そして落語会関係ですが、現在以下の2つを予定しております。実は7月中にもう1つあるのですが、そちらも近日中に情報公開の予定です。
杉江松恋プロデュース オールナイトで談四楼3 立川談四楼独演会
最後に今週末に迫った海外文学企画「君にも見えるガイブンの星」について。今回はアメリカ作家アン・ビーティ特集を行います。ビーティはミニマリズムの代表と見られることが多い作家で、それまでは看過されていた日常の中の出来事を小説の主題にしたという意味で大きな功績があります。そのビーティに代表されるミニマリズムとはいったい何か、そして彼女と同時期の1980年代に日本に紹介された女性作家群について、パートナーの倉本さおりさんと読み解いていくイベントです。
ちなみに今回のゲストは作家の山内マリコさん。山内さんのビーティ評も実に楽しみです。
というわけで6月上旬の近況報告でした。雨模様の鬱陶しい天気が続きます。みなさまどうぞご自愛ください。