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いよいよ本日、『ウロボロス』小説版発売です

 神崎裕也先生の『ウロボロス 警察ヲ裁クハ我ニアリ』のノヴェライズを「イクオ編」「タツヤ編」と2冊執筆しました。
 2冊はまったく別の内容ではなく、中心には1つの共通項があります。2人の主人公の視点、少しだけずれた時間軸で、1つの出来事を語っていくという語りの形式になっています。どちらから読んでも問題ないと思いますので、どうぞお試しを。



 神崎先生のブログでもご紹介いただいておりました。

 ノヴェライズの執筆は、原作者とお会いすることなしに始めるのが通例なので、なかなかご感想をお聞きする機会がないのです。こうやってブログにまで書いていただき、ありがたい限りでした。

 1月のドラマ放映に向けてこれから盛り上がっていくところだと思います。どうぞノヴェライズもよろしくお願い致します。

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「博麗霊夢がそこにいた」一部を公開します

 題名紛らわしくて申し訳ありません。第一話「博麗霊夢はそこにいる」に続き、第二話「博麗霊夢がそこにいた」の冒頭部分だけをちょっとお見せします。

[……]
「うん。もしかすると、ここ、だから残っているかもしれない。もしかすると聞いたことはないかもしれないけど、一式飾りというものがある」
「聞いたことない」
「でしょうね」
 アリスは頷いた。
「日本でもごく限られた地方、出雲国にのみ見られる習俗らしいから。それに関する神様は、秋葉大権現」
「三尺坊ね。それは天狗の姿をした神様のはず」
 日本には土着神である火の神・カグツチがいるが、秋葉三尺坊権現もまた別種の神として知られている。幻想郷の外の世界においては、観音仏の垂迹した姿として信仰を集めていた秋葉大権現が、明治期になってその権利を奪われ、カグツチを祀った秋葉神社が変わりに防火の神様になった、という経緯が実はある。しかしそれはあくまで外の世界の話であり、幻想郷の「中」までは及ばない。
 ここでは依然として秋葉三尺坊権現は防火の信仰を集める神である。
「一式飾りというのは、その大権現のための祭りで作るものなの。由来はよくわからないが、それは一種の人形らしい」
「人形? そこにいる」
 上海人形を指さした霊夢に対してアリスは首を振った。
「ううん。こういう風にきちんとした人形じゃない。上海は私が産みの親になって部品作りからやってあげたけど、一式飾りの人形というのは、陶器から作るの」
「陶器というと茶碗とか」
「ポットとか」
「植木鉢とか」
「水瓶なんかを使う場合もあるらしい。とにかくそういういろいろな陶器を針金で結び合わせてひとがたを作る、というものなんだって。だから『一式』飾り」
「へえ」
 実物を見たことがない霊夢には、どういう姿なのか皆目見当がつかなかった。
「わかっているところでは、それは他の地域で行われている秋葉大権現の祭りと共通点を持っている。秋葉大権現の祭礼では、地面に線を書いたり、何か障害物を置いて、そこから先には火が侵入しないようにする慣わしがある。一式飾りの場合も、人形の前に梯子を置いて、同じように線引きをするんだって」
「それは、一種の結界作りね。なるほど、確かに根底は同じような祭りなのかもしれない。で?」
「で、って?」
「それで何を調べたいの。言っときますけど、そんな習俗は幻想郷には存在しないし、一式飾りなんて見たこともないからね」
[……]

 東6 つ9aにて頒布を予定しております。どうぞよろしくお願いします。

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「博麗霊夢はそこにいる」冒頭だけちょっと公開します

 博麗神社秋季例大祭にて頒布予定の『博麗霊夢はそこにいる』(連作集。イラスト・くま、ゲスト原稿ランコ&ランコの姉)の表題作を、冒頭の部分だけちょっと公開します。


「ううむ。やはり少ない」
 米櫃を覗き込みながら博麗霊夢は一人ごちる。
 もっとも口元を白紙で覆っているので、声はその中に籠もるだけである。
 一人だけの住まいであり、一人だけの台所であるので、誰に聞かせる必要もないのだが。
 米櫃の蓋を元に戻し、霊夢は立ち上がった。スカートにつけていた前掛けを外し、見えないほこりを払う。
「今年は冷夏だったから稲穂が軽い、とは聞いていたのだけど。それにしても、こればかりの米では」
 考え込むような顔になって、台所を出て行く。白足袋の下で年季の入った床板がきゅっきゅっと軋む音がした。
 引き戸を閉めて廊下に出た霊夢はそのまま歩いていく。陽射しはまだ弱く、空気も冷えていた。白衣の肩は閉じられずに開いているので、風が吹くと外気をそのまま感じることになる。
 ふと、足を止めた。霊夢の住まいは拝殿のすぐ横手にある社務所だが、その裏手は神社を囲む森に面している。つ、と背筋を伸ばし、はるか向こうに覗く山の端を見つめた。人里を離れたその山々は妖怪の山と呼ばれ、あやかしや地神が住まう場となっている。
「豊穣神のやつ、きちんと仕事をしたのかしら」
 巫女にもあるまじき言葉を吐いてさらに歩を進めようとして、思いなおしたように動きを止めた。そうっと耳を澄ます。
 聞える。
 何者かが建物の外で声を発しているのだった。
 ここは神社であり、神社には参拝する者が付き物だ。したがって訪れる者があるのはなんの不思議もないことなのだが、唱えごとをしているというのが珍しい。拝殿の前から社務所の建物を通してその裏手の縁側まで届くのだから、よほどの大音声なのである。
 よほど熱心であるのか。
 それとも耳が遠くて大声でも出さないと自分が何を言っているのかわからないのか。
 どちらかであろう。
 神頼みをしに来た者があるということは、それが伝わるように介添えをするのは巫女の務めでもある。
 霊夢は声のする方向に意識を集中させた。というのも、やけにでもなってしまったのか、わめき散らすように自分の声をばらまいているので、単に耳をそばだてただけでは判別ができなかったのである。
 耳が慣れてくる。
「無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽。無苦集滅道。無智亦無得」
 むむ。[……]

 博麗神社の巫女・霊夢が送る日常を描く短篇に、毎回ゲストが出てきます。この話は霧雨魔理沙回(冒頭の部分に出てきているのは違いますが)。

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 頒布場所は東6 つ9aです。よろしくお願いします。

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サークル「脇巫女愛」秋季例大祭新刊「博麗霊夢はそこにいる」出ます!

 11月24日に開催される「博麗神社秋季例大祭」に、杉江松恋の個人サークル「腋巫女愛」が参加します(東6、つ9a)。

 今回は初めて二次創作の小説をやってみました。
 新刊のタイトルは「博麗霊夢はそこにいる」

 ゲストは「豚乙女」ランコさん&ランコの姉さんのお二人。
 そして、表紙と挿絵は「赤色バニラ」くまさんに今回も描いていただきました。

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 本文などの詳細はまたご報告します。

 追記

 今回の『博麗霊夢はそこにいる』は、博麗霊夢を中心にした連作集です。収録作は以下の通り。

「博麗霊夢はそこにいる」
「博麗霊夢がそこにいた」
「そこにいる博麗霊夢」

 これにゲスト原稿として、ランコさん/ランコの姉さんの「豚乙女」チームの短篇原稿が入ります。
 タイトルは「言語と思考の距離」

 どうぞご期待ください。

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『ウロボロス original novel』の書影が公開されました

 新潮文庫NEXの公式ツイッターが公開していたようなので、こちらでも。

Photo

 主人公二人が描かれて、二冊で対になるような構図です。作画はもちろん原作者の神崎裕也さん、デザインは竹内亮輔(CRAZY FORCE)でした。
 その他の書籍情報はこちらから。発売予定日は11月28日(金)です。

 

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kakko

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『ウロボロス ORIGINAL NOVEL』(全2巻)を執筆しました。

 新刊のお知らせです。
 来年1月からドラマ化作品が放映される、神崎裕也作の漫画『ウロボロス』(新潮社)のノヴェライズを執筆しました。
 新潮文庫NEXから11月28日(金)に発売になります。
 タイトルは、『ウロボロス ORIGINAL NOVEL イクオ篇』『同 タツヤ篇』です。

 『ウロボロス』は刑事・龍崎イクオとヤクザの段野竜哉が幼馴染であるというつながりを隠しながら裏で手を結び、巨悪に対して闘いを挑んでいくという内容の大河長篇で、現在コミックは18巻まで刊行されています。ドラマでは龍崎イクオを生田斗真、段野竜哉を小栗旬が演じるとのこと。TBSには公式ページができていました。

 ORIGINAL NOVELと題名にある通り、ノヴェライズは原作漫画に準拠した内容で、ドラマ化される部分とは直接の関係をもたないストーリーになっています。それぞれイクオ、竜哉を主人公にした長篇ですが、2作別々でも、併読でもかまわないように書いたつもりです。書店などで見かけたら、ぜひお手にとってみてください。

 本日責了したので、情報公開してみました。

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