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ぼくの食べものアレルゲン

 都内にはいくつかの立ち食いそばチェーンがある。有名な富士そばを筆頭に数々あるが、割った話をしてしまうとぼくはそのうちのA(イニシャルにあらず)がまったく駄目なのである。店の前を通るだけでもちょっと胸焼けに近い気分になる。

 もちろん、Aに非難すべき点はまったくない。これは完全に自分の責任である。
 以前立ち食いそばに凝っていた時期があった。機会があれば食っていたのだが、そのときもっとも利用していたのが、このAだったのである。最盛時には毎日の朝飯をここで済ませていた。
 おそらくは、その度が過ぎたのではないかと思う。スギの花粉症を発する人は、呼気と共に花粉を吸い込み続け、ある量に達したときにスギがアレルゲンに転じるのだという。とするとぼくは、Aが一種のアレルゲンになってしまったのではないか。Aには迷惑千万な話だと思うが、そんな気がしてならないのである。

 以前にもそんなことがあった。二十代の初めのころ、チェーン展開している牛丼のうち、Mがどうしても食べられなくなった。いや食えるのだが、その後で必ず小間物屋を開いてしまうのである。Mが結構好きだったぼくは、「ああ、もう一生Mでは牛丼を食べられなくなってしまったのだ」と哀しみ、友人をつかまえてはその話ばかりしていた。みんな同情してくれたのだが、中に一人、こんなことを言うひねくれ者がいたのである。

「それ、酔っぱらった後に食べるからじゃないの」

 そんな馬鹿な、と思ったが、たしかに心当たりがあった。ぼくは普段の食事で牛丼屋に入ることがほとんどなく、しこたま酩酊したあとか、夜明かしをして他に開いている店がないような時ばかりにMを利用していた。指摘は盲点を衝いていた。
 なので数日後、まったく酒の入っていない状態でMに入ってみた。
 結果は、何もなし。丼一杯を腹に収めたが、不吉な現象は一切起きなかった。
 そこで初めて気づいたのである。アレルゲンの正体はMでもなんでもなく、酒毒であったのだと。

 でも今でも飲み続けているんだけどね。


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1月前半の私

1日

 恒例の年始挨拶。八王子市の実家へ。名古屋から伯母、茅ヶ崎市から弟夫婦がやってくるのも例年通り。子供は昨年受験だったため欠礼したので2年ぶりに全員が揃う。弟夫婦は3月に家を新築するとか。びっくり。

2日

 年始挨拶、その2。北区の妻実家へ。義妹とその夫、お子さんも来ていてこちらも全員揃う。昨年よりも料理の減る量が多く、人数の違いを実感する。夜は来京してきたSとMと新年会。今年はKは来られず。3人で延々落語話。

3日

 いただいた年賀状を元にひたすら住所録の整理。夜は「ローカル路線バスの旅」を観る。途中徒歩で10km近く歩かなければならない個所があるのにマルシアがヒールの高い靴を履いていて嘆息。案の定足が痛いと言い出す。

4日

 近所の神社に初詣。ここの神主さんはPTA時代の会長仲間である。途中で某有名ラーメン店の店長が明日の開店の準備をしているのに出くわす。彼もPTA仲間だ。帰って読書と仕事。新日のドームにまったく興味が湧かない。

5日

 6時半に家を出て大田区の蒲田まで11km歩く。大田区の施設で4月24日に翻訳ミステリー大賞の授賞式をやるので抽選会である。創元M氏がくじ運を発揮して無事確保。「こんなところで運を使ってしまって」とM氏。

6日

 雨。一日在宅して仕事読書と各イベントの準備。メールを書いたりリストを作ったり。雨が結構激しいので、いつも庭に来る猫のことが気になる。こういうときこそ雨宿りしに来ればいいのに。文庫解説の〆切だが、できず。

7日
 今年最初の商業原稿を送る。対価が発生する原稿なのだが一般の人の目には触れない予定。こういう仕事もある。文庫解説がなかなか書けない。全体の構想はできているのだが、細部の装飾をなかなか思いつけない。

8日

 昼前に外出してお台場にて「Jテレスタイル」という番組に生出演。ホームズについて喋る。とって返して文庫解説を完成させ、送付。麹町の日テレアックスオンに借り物をしに行き、その後道楽亭で立川談四楼さん独演会。

9日

 前夜遅くまで打ち上げで痛飲してしまったため不調。起きて12日の「闘うベストテン 場外乱闘篇ROUND3」関連のあれこれ。仕事始め後最初の週末なので各所から督促がある。ぺこぺこ言訳座頭。JAL機内誌の原稿送る。

10日
 小説新潮の原稿送付。某賞下読みも終えて結果を連絡。原稿を送り返す。あとはひたすら読書。12日に「闘うベストテン」、15日に芥川・直木賞、16日に「ガイブンの星」があるのでそれ以外の本を読む余裕がまったくない。

11日
 お江戸日本橋亭にて快楽亭ブラック独演会。かつぎや/権助魚/お若伊之助/七段目/お血脈という豪華な演目。この会が不入りだったら東京では興行をやらないと宣言していたブラックだがなかなかの入りだった。

12日
 新宿ロフトプラスワンにて「闘うベストテン 場外乱闘篇ROUND3」開催。客入りが危ぶまれた興行だったが開けてみれば70人程度の入り。みなさまのおかげです。ありがとうございます。月の宴→上海酒家と打ち上げ。

13日
 昨日のダメージを引きずりつつ外出。遅れそうなので九段下・飯田橋間をタクシーでショートカットしたのだが、それが間違いで携帯電話を置き忘れる。角川書店にて桃月庵白酒さんの収録。帰宅し週刊新潮原稿送付。

14日
 携帯電話を気にしつつも仕事。いつもは必ずもらう領収書を、なぜか昨日に限り貰い忘れていた。携帯電話そのものはどうでもいいのだが、中に日光街道歩きの写真が入ったままになっているのが痛い。がっくりくる。

15日
 エキレビ!に芥川&直木賞予想原稿送付。そしてミステリマガジンに原稿送付。なんとか間に合うとのこと。夜、下北沢B&Bで芥川&直木賞イベント。酔狂な会に来てくださった方たちに感謝。代々木上原で食事し帰宅。

16日
 依然として携帯電話は見つからず。どうやら今回は覚悟する必要がありそう。夜はCafe Live Wireにて「君にも見えるガイブンの星」第25回。木村政則さんにミュリエル・スパーク話を伺う。怒濤のイベント週終了。疲れた。

追記:
14日にはFM東京「中西哲生のクロノス」電話取材を受けて米澤穂信『満願』については成したのだった。15日早朝に放送。

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1/16 「君にも見えるガイブンの星」はミュリエル・スパーク『寝ても覚めても夢』を中心にお送りします

 外国文学にはまるで素人の杉江松恋が、頼りになる相棒の倉本さおりさんとともに、新刊を読み、口頭書評に挑戦するイベント、それが「君にも見えるガイブンの星」です。明後日16日が2015年最初の開催となりますが、今回はミュリエル・スパークの長篇『寝ても覚めても夢』を上司されたばかりの翻訳家・木村政則さんをゲストにお招きしてお送りしますよ! 会場で『寝ても覚めても夢』の販売も行います。


 構成は二部方式で、第二部が『寝ても覚めても夢』特集。前半の第一部では、最近の新刊のうち以下の作品についてのレビューをお届けします。
ミハル・アイヴァス/阿部賢一訳『黄金時代』(河出書房新社)
アリス・マンロー/小竹由美子訳『善き女の愛』(新潮社)
コルム・トビーン/栩木伸明訳『マリアが語り遺したこと』(新潮社)
エレナー・アップデール/杉田七重訳『最後の1分』(東京創元社)
ダニヤール・ムイーヌッディーン/藤井光訳『遠い部屋、遠い軌跡』(白水社)
デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴訳『雪山の白い虎』(早川書房)

 金曜日の夜、お急ぎのご用がない方はぜひ覗きにいらしてください!

[日時] 2015年1月16日(金) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] 新宿Live Wire Cafe (東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F)
[料金] 1000円 (当日別途ドリンクチャージ500円)(当日券500円up)
[チケット予約&イベント詳細紹介ページ] http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=85055943







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「闘うベストテン 場外乱闘篇ROUND3」結果を発表します!

 以下の結果になりました。

10位
『 ピルグリム』テリー・ヘイズ/山中朝晶訳(ハヤカワ文庫JA)
9位
『地上最後の刑事』ベン・H・ウィンタース/上野元美訳(ハヤカワ・ミステリ)
8位
『ハリー・クバート事件』 ジョエル・ディケール/橘明美訳(東京創元社)
7位
『プリティ・モンスターズ』 ケリー・リンク/柴田元幸訳(早川書房)
6位
『窓から逃げた100歳老人』ヨナス・ヨナソン/柳瀬尚記訳(西村書店)
5位
『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』チャールズ・ユウ/円城塔訳(新☆ハヤカワ・SFシリーズ)
4位
『火星の人』アンディ・ウィアー/小野田和子訳/(ハヤカワ文庫SF)
3位
『愛の裏側は闇』ラフィク・シャミ/酒寄進一訳(東京創元社)
2位
『世界が終わってしまったあとの世界で』ニック・ハーカウェイ/黒原敏行訳(ハヤカワ文庫NV)
1位
『愉楽』閻連科/谷川毅訳(河出書房新社)

10位
『機巧のイヴ』乾緑郎(新潮社)
9位
『オービタル・クラウド』藤井太洋(早川書房)
8位
『猫の目犬の鼻』丹下健太(講談社)
7位
『新生』瀬名秀明(河出書房新社)
6位
『夜は終わらない』星野敏幸(講談社)
5位
『鳩の撃退法』佐藤正午(小学館)
4位
『アズミ・ハルコは行方不明』(幻冬舎)
3位
『かたづの!』(集英社)
2位
『小さな異邦人』連城三紀彦(文藝春秋)
1位
『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』仁木稔(早川書房)

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「闘うベストテン 場外乱闘篇ROUND3

10位
『 ピルグリム』テリー・ヘイズ/山中朝晶訳(ハヤカワ文庫JA)
9位
『地上最後の刑事』ベン・H・ウィンタース/上野元美訳(ハヤカワ・ミステリ)
8位
『ハリー・クバート事件』 ジョエル・ディケール/橘明美訳(東京創元社)
7位
『プリティ・モンスターズ』 ケリー・リンク/柴田元幸訳(早川書房)
6位
『窓から逃げた100歳老人』ヨナス・ヨナソン/柳瀬尚記訳(西村書店)
5位
『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』チャールズ・ユウ/円城塔訳(新☆ハヤカワ・SFシリーズ)
4位
『火星の人』アンディ・ウィアー/小野田和子訳/(ハヤカワ文庫SF)
3位
『愛の裏側は闇』ラフィク・シャミ/酒寄進一訳(東京創元社)
2位
『世界が終わってしまったあとの世界で』ニック・ハーカウェイ/黒原敏行訳(ハヤカワ文庫NV)
1位
『愉楽』閻連科/谷川毅訳(河出書房新社)

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「闘うベストテン 場外乱闘篇ROUND3」ノミネート作品発表!

 2014年に刊行されたエンターテインメント作品の中からベスト中のベストを議論で選ぶトークイベント「闘うベストテン 場外乱闘篇ROUND3」が開催間近になりました。みなさん、もうご予約は済ませていただきましたでしょうか。

 今回闘うのは大森望香山二三郎瀧井朝世杉江松恋の4人(司会:豊崎由美)。
 各人の意地の張り合い、権謀術数の比べ合いをぜひご覧ください。

 ご予約、お問い合わせはこちらから。
 詳細は最下部に貼付します。

 そして気になるノミネート作品は以下の通り!


【国内】20作 ※作品名五十音順

アズミ・ハルコは行方不明 山内マリコ 幻冬舎
あなたの本当の人生は 大島真寿美 文藝春秋
オービタル・クラウド 藤井太洋 早川書房
かたづの! 中島京子 集英社
機巧のイヴ 乾緑郎 新潮社

金魚鉢の夏 樋口有介 新潮社
暗い越流 若竹七海 光文社
ゴースト≠ノイズ(リダクション) 十市社 東京創元社
笹の舟で海をわたる 角田光代 毎日新聞社
新生 瀬名秀明 河出書房新社

小さな異邦人 連城三紀彦 文藝春秋
問いのない答え 長嶋有 文藝春秋
突変 森岡浩之 徳間文庫
土漠の花 月村了衛 幻冬舎
猫の目犬の鼻 丹下健太 講談社

鳩の撃退法 佐藤正午 小学館
ほんとうの花を見せにきた 桜庭一樹 文藝春秋
My Humanity 長谷敏司 ハヤカワ文庫JA
ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち 仁木稔 早川書房
夜は終わらない 星野智幸 講談社

【海外】21作 ※作品名五十音順

愛の裏側は闇 ラフィク・シャミ 東京創元社
SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと チャールズ・ユウ 新☆ハヤカワ・SFシリーズ
狼少女たちの聖ルーシー寮 カレン・ラッセル 河出書房新社
帰ってきたヒトラー ティムール・ヴェルメシュ 河出書房新社
火星の人 アンディ・ウィアー ハヤカワ文庫SF

甘美なる作戦 イアン・マキューアン 新潮クレスト・ブックス
霧に橋を架ける キジ・ジョンスン 東京創元社
ゴーストマン 時限紙幣 ロジャー・ホッブス 文藝春秋
コールド・スナップ トム・ジョーンズ 河出書房新社
世界が終わってしまったあとの世界で ニック・ハーカウェイ ハヤカワ文庫NV

その女アレックス ピエール・ルメートル 文春文庫
地上最後の刑事 ベン・H・ウィンタース ハヤカワ・ミステリ
ハイスピード サイモン・カーニック 文春文庫
白熱光 グレッグ・イーガン 新☆ハヤカワ・SFシリーズ
ハリー・クバート事件 ジョエル・ディケール 東京創元社

ピース ジーン・ウルフ 国書刊行社
ピルグリム テリー・ヘイズ ハヤカワ文庫NV
プリティ・モンスターズ ケリー・リンク 早川書房
窓から逃げた100歳老人 ヨナス・ヨナソン 西村書店
もう年はとれない ダニエル・フリードマン 創元推理文庫
愉楽 閻連科 河出書房新社

==============
闘うベストテン場外乱闘篇ROUND3

日時:1月12日(月・祝) 午後1時~(開場12時)
場所:新宿ロフトプラスワン 
    〒160-0021 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2
料金:前売2000円/当日2200円

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新年明けましておめでとうございます

 本年もよろしくお願い申し上げます。

 1月16日からは小説版の執筆を担当しました神崎裕也さん原作『ウロボロス 警察ヲ裁クハ我ニアリ』のドラマも放映開始します。

 「ウロボロス この愛こそ正義。」


 昨年は上記のノベライズ以外に単著、『路地裏の迷宮踏査』と編著『ミステリマガジン700【海外篇】』を刊行いたしました。

 また、それ以外には初めて東方project同人誌制作に挑戦し、評論誌と創作、それぞれ1冊ずつを刊行しました。

『東方同人誌マストリード100 の・ようなもの』


Cover

『博麗霊夢はそこにいる』(ゲスト:ランコさん/ランコの姉さん@豚乙女)


Photo

 個人的にはまずまずの年だったのではないかと思います。
 今年も昨年以上に頑張ってまいります。よろしくご愛顧の程をお願い申し上げます。

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