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ぼくの食べものアレルゲン

 都内にはいくつかの立ち食いそばチェーンがある。有名な富士そばを筆頭に数々あるが、割った話をしてしまうとぼくはそのうちのA(イニシャルにあらず)がまったく駄目なのである。店の前を通るだけでもちょっと胸焼けに近い気分になる。

 もちろん、Aに非難すべき点はまったくない。これは完全に自分の責任である。
 以前立ち食いそばに凝っていた時期があった。機会があれば食っていたのだが、そのときもっとも利用していたのが、このAだったのである。最盛時には毎日の朝飯をここで済ませていた。
 おそらくは、その度が過ぎたのではないかと思う。スギの花粉症を発する人は、呼気と共に花粉を吸い込み続け、ある量に達したときにスギがアレルゲンに転じるのだという。とするとぼくは、Aが一種のアレルゲンになってしまったのではないか。Aには迷惑千万な話だと思うが、そんな気がしてならないのである。

 以前にもそんなことがあった。二十代の初めのころ、チェーン展開している牛丼のうち、Mがどうしても食べられなくなった。いや食えるのだが、その後で必ず小間物屋を開いてしまうのである。Mが結構好きだったぼくは、「ああ、もう一生Mでは牛丼を食べられなくなってしまったのだ」と哀しみ、友人をつかまえてはその話ばかりしていた。みんな同情してくれたのだが、中に一人、こんなことを言うひねくれ者がいたのである。

「それ、酔っぱらった後に食べるからじゃないの」

 そんな馬鹿な、と思ったが、たしかに心当たりがあった。ぼくは普段の食事で牛丼屋に入ることがほとんどなく、しこたま酩酊したあとか、夜明かしをして他に開いている店がないような時ばかりにMを利用していた。指摘は盲点を衝いていた。
 なので数日後、まったく酒の入っていない状態でMに入ってみた。
 結果は、何もなし。丼一杯を腹に収めたが、不吉な現象は一切起きなかった。
 そこで初めて気づいたのである。アレルゲンの正体はMでもなんでもなく、酒毒であったのだと。

 でも今でも飲み続けているんだけどね。


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