フェイスブックにはちょっと書いていたので、まあ、改めて。
地上波の深夜番組に出てほしいという依頼があり、スケジュールを調整していたのですが、流れました。
テレビは本業でもなんでもないので、ダメになったこと自体については別に何も思うことはないのですが、経緯がちょっとおもしろかったので書いてみます。
最初に依頼を受けたのは1日のことでした。某番組の収録が10日夜にあるので、出てほしいとのこと。メールにすぐ気づいて返信したところ、3日か4日に打ち合わせをしたいという連絡と同時に以下のような断りが入りました。
尚、大変恐れ入りますが、現状では企画段階となりまして、
番組の特質上、ご出演の最終決定がスタジオ収録直前になる可能性もございます。
ご了承下さい。
へー、このタイミングで依頼をしておいて、スケジュールを空けさせた上で、そちら都合のキャンセルもありうるんだ、と思い、あまりに新鮮だったので、「それって当日キャンセルもありということですか?」と聞いてみました。
すると、
当日にキャンセルはございません!
ただ今週土曜日に会議があり、それを受けて
確定とさせて頂こうと思っております。
とのご返事が。まあ、当日キャンセルはないよね、常識的に言って。しかし土曜日というと7日。3日前に不可になることはあるのか、と一応納得した次第です。
で、要望通り打ち合わせをしました。拙宅の近所まで来てくれて、それは好印象。ただ、打ち合わせの席に行ってみると、なんと4人でいらっしゃっていて、しかもなぜかビデオカメラ持参。打ち合わせの模様を録画したいと言われたのですが、別に番組で使うというわけではないというので承諾しました。
その時点で、あ、これはカメラテストなのだな、といかに業界事情を知らない私でも気づいたわけです。つまり、話しぶりや容姿、話す内容などを記録しておいて、テレビ向きの人材か否かを検討するのだろうと。録画をしているのは、たぶんそこにいらしたディレクター氏だけが判断するのではなくて、会議か何かにもかけられるのだろうと考えました。それはそれでかまわないんだけど、打ち合わせ前に言っておいてくれたほうが好印象だったな。
「これからお話いただく内容については一種のオーディションみたいなものだと思ってください。そのうえでテレビ向きの人材か否かを判断しますので悪しからずご了承を。もしそういうことでは嫌だ、というお気持ちならこのまま帰っていただいて結構です」とか言ってくれたら、こっちも仕事だから納得したわけなのですが。もちろん、そういう仕打ちをされるだけの「報酬」あっての話ですけどね。
で、打ち合わせは和やかに終了しました。印象としては、さすがにテレビで話上手だったな、と思いました。うまくこちらの話も引き出してくれたし、話しやすい感じの対応でもありました。ここはプラス材料。この日が4日です。
そこから連絡が途絶えました。まあ、土曜日の決定だろうと思っていたので問題なし。ただし、土曜日になっても連絡はありませんでした。イベント対応のため午前中から夕方まで出掛けていたのですが、途中電話が入った形跡はおろか、メールもありませんでした。そうこうしているうちに夜が明け、本日、日曜日になったわけです。
さて。
さすがに収録が10日夜だとして前々日には予定を決めてくれなくちゃ駄目でしょう。出てほしいとおっしゃったのはそちらなのですから、せめて約束の期日までには連絡をしてほしいっす。とりあえず午前中にメールを一本入れたのだけど返信はなし。いただいていた携帯電話を鳴らしてみると留守番対応で「あとでご連絡します」との返事がありました。
別にお話をしたいわけではないので「火曜日の可否について伺いたいだけなのでメールで結構です」と返すと、折り返しSNSでこんなメッセージが戻ってきました。
ご連絡が遅れ申し訳ございません!内容を検討させて頂きました結果、この度は見送らせて頂く事になりました。機会ございましたら是非お願いいたします。
なんか、私のほうから売り込んだみたいなお断り文句になっていますけど、違うんですけどね、頼まれたので「出てもいいですよ。予定空けておきますよ」と言っただけなんですが。
現時点ではこれでおしまい。もう少し何かお詫びの文句なりなんなりがあってもいいような気もしますが、このくらいあっさりしていたほうがビジネスライクでありがたくもあります。ただ、繰り返しになりますが「頼んだのはそっち」ということについてはもう少し意識されたほうがいいとは思います。
こんな感じで地上派出演の話は出て、流れたのでした。
別に今回が特殊なのではなく、業界周辺では繰り返されていることなのでしょう。
私のほうも実害を蒙ったわけではなく、近所の喫茶店でコーヒーをごちそうしていただいて40分ほど時間をとられただけなので、まあ、問題なしです。ただ、私の時給は40分コーヒー1杯で買えるほどは安くないですけどね。本当ならその10倍はいただきます。
勝手ながら今回の件の採点をさせていただきます。
1)10日後のスケジュールを押さえるというのは、一般社会では結構急なこと。それに対応させるのは結構傲岸なことだという意識を持とう。-1点。
2)急な打ち合わせにこちらの近所まで来てくれるのはたいへんありがたい。どうもありがとう。+2点。
3)打ち合わせといいつつ実はカメラオーディションというのは不意打ちみたいなものでちょっと失礼。最初からそういう話だと相手には告げよう。-2点。
4)この日までには連絡しますと言ったのだから、電話なりメールなりしよう(土曜日までに連絡しますと言われたわけではないが、日も迫っているし、決定次第伝えてくれるのが筋でしょうよ)。判断保留なら、それはそれでちゃんと言おう。-5点。
5)相手の時間を無駄にさせたことについての謝意ぐらいは示しても損はありません。-1点。
というわけで総合するとちょっと残念な出来事ではありました。みんながみんなテレビに出たいと思っていた時代の名残なんだろうな、と思います。もしこのブログをご覧になったら担当者さん、次からは気をつけてくださいね。
(追記)さきほどiPhoneを見たらメッセージで「貴重なお時間をいただきありがとうございます」というメッセージが入っていました。ブログをご覧になったのかどうかは判りませんが、遅くなっても一言いただけてほっとしました。なので上の5)は帳消しにしておきます。(2/8 23:00)