« January 2015 | Main | April 2015 »

2/21(土)サークル「腋巫女愛」は「小春小径・陸」に参加します

 2月21日(土)に東京・大田区産業会館Pioで開かれる東方Project「博麗霊夢」中心同人誌即売会「小春小径・陸」に杉江松恋の個人サークル「腋巫女愛」も参加します。

 今回東方二次創作小説の新刊『博麗霊夢がやってくる』を頒布予定です。
 表紙・挿絵は前回と同じ「赤色バニラ」のくまさん。ゲスト原稿はなく、「博麗霊夢がやってくる」「友有り、博麗霊夢来る」「やってきたのは博麗霊夢」の3篇を収録しております。頒布価格は500円の予定です。

Photo

 既刊『博麗霊夢がそこにいる』の在庫も持っていきます。レビュー本『東方同人誌マストリード100の・ようなもの』は在庫切れで、増刷は未定です。

Photo_2


| | Comments (2) | TrackBack (0)

哀しい昼ごはん

 12年前にこの街に引っ越してきた。
 元いた街と決定的に違っていて、そして大嫌いなのが、食の環境が貧弱な点である。

 街全体が勘違いをしていて「おしゃれ」を目指している。しかし住人から見ると浮き足立っているだけであり、もっと落ち着けばいいのに、とさえ思う。
 おいしくコロッケを揚げてくれる肉屋の一つないのに、大きな顔をしないでもらいたい。
 ここに越してきたころは一軒だけコロッケを売っている店があったのだが、再開発でなくなってしまった。
 近所のスーパーのコロッケはラードではなくてマーガリンを使って揚げたのかと勘違いしてしまいそうな、おかしな油の味しかしないので、絶対に買わないようにしている。

 五分ほど離れた場所にラーメン屋ではない普通の中華屋があって、そこだけが心の支えである。グルメサイトとかラーメンマップに載るような店ではない、本当に街の中華屋だ。ここも元あった場所から再開発で立ち退いて、今の場所に移ったのである。店がなくなってしまったときは、この先どうやって生きていったらいいのだろう、と目の前が暗くなる思いがした。いや、大袈裟ではなくて。戻ってきてくれて本当にほっとしている。

 とても好きなのだけど、さすがに毎日は行けない。
 飽きてしまうからだ。
 あの店に飽きてしまうと、もうこの街で食事をすることはできなくなる。
 嫌に獣臭いラーメン屋とか、馬鹿高いプレートランチを出すカフェとかしかなくなってしまうのである。
 だから極力行かないようにしている。
 たまに家族で晩飯を食べに行くときだけに限定しているのである。
 そのときにおいしいく餃子を食べられるよう、普段は我慢しているのだ。
 こういうところで闘うのは無駄なことのような気もするが、私は闘う。

 駅の近くに勘違い横丁と名づけた場所がある。
 ただでさえ勘違いした街なのに、さらに勘違いした店が集まっているからである。
 私が不思議なのは、この勘違い横丁で「街コン」なる行事をやっていることだ。
「街コン」のなんたるかを私は正確には理解していない。
 たぶん「合コン」みたいなものを、いくつかの店を回遊しながらやる、というようなものだと思うのですが、この理解合ってますか?
 つまり「街場の合コン」だ。

 別に「街場の合コン」自体には異論はない。
 私は参加しないが、したい人は参加して楽しめばいいと思う。

 不思議だというのは、それを勘違い横丁でやっていることだ。
 他にもっと綺麗な店はあるのだから、そこでやればいいと思うのだがどうか。
 特にXを使っているのが不思議である。

 Xは中華料理屋というか中国レストランというべき店で、大陸の味を売り物にしている。
 私は中国料理好きなので何度か入ったことがある。そのたびにいつも釈然としない思いになって帰ってくるのである。
 一言で表現するなら「しろうとが作ったような味がする」のだ。
 野菜の火の通り方、スープの出汁、調味料の味加減。
 どれをとっても中途半端という印象しかない。

 それに加えて嫌なのは、お店が雑然としていることだ。
 店内はともかく、店の外に燃えやすいダンボールやがらくたなどを放置してあるのはよくない。
 この店は駅前で弁当を販売していることがある。その弁当を運ぶためのケースを夜間は外に置いていたりする。人通りが結構ある場所なのに、酔っ払いとかにいたずらされたらどうするのか。
 つまりそういう無精な店なのだ。そこで街コンねえ。
 結構人も入っているようだし、お客さんが納得ずくならそれはそれでいいのだけど。

 今日は朝から寒く、一階で仕事をしていたもので体の隅々まで冷えきってしまった。
 これは何か温かいものを体に入れないと仕事の続行は不可能。
 そんな気分になってしまった。
 一刻も早く保温効果のあるものを体内に。
 そういう切迫感の虜になってしまったのである。
 なんとしてもすぐに温かいものを。
 そうだ、あそこに。

 というわけでうっかり、Xに入ってしまったのであった。
 入ってから、あ、ここは相性のよくない店だった、と思い出したのだが、後の祭りである。

 Xはランチメニューだけは豊富である。
 たぶん30種類ぐらいあるのではないか。毎日通っても一ヶ月は違うものを食べられる。
 慎重にメニューを検討した。その中のいくつかはすでに一度食べており、あ、二度目はないな、と思ったもののはずなのである。
 何と何がダメか覚えておけばいいのにそれをしない。
 この食に対する向上心のなさが私の欠点である。

 熟慮の末、坦々麺のセットというものにした。
 スパイスの発刊作用でもって、ぜひ体を温めてもらおう。
 なんとなく米を食べたい気分なので、半チャーハンというのはいい選択だ。
 そう思い、自分で自分の決断を褒めたたえた。

 数分で運ばれてくる。
 厨房で女子店員とおしゃべりをしていたコックは鍋をふるった形跡がなかった。
 案の定、チャーハンは作り置きである。
 この店で定食を頼まない理由は、米の飯が不味いからである。
 安い米を使っているのだと思うが、それでも炒め方がよければパラパラとして旨くなる。
 しかし、作り置きのチャーハンにはそういう魔法は望めないのである。
 口にいれるとぼそぼそ、ぼそぼそ、とロッカールームで陰口を叩いている卑怯者のような味がした。

 気を取り直して坦々麺に向き直る。
 大ぶりの唐辛子が上に乗っていて、見るからに辛そうである。
 これなら温まるだろう。
 そう思って蓮華を取り、スープをすくって口に運んでみた。
 一口すする。

 ぬるかった。

 まるで陽だまりの中でまどろむかのような、ぬるいスープだった。

 明日から毎日吉野家で牛丼食おうっと。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

1月後半の私

17日
思い立って1月前半の日記なるものをつけてみる。しかし皮肉なことに、この日他に何をやっていたのかの記憶がすっぽり抜けているのであった。前日のガイブンイベントのプレッシャーから解放されて放心していたのかもしれない。

18日
同じく漠然とした記憶すらない日。おそらく「GINGERL」の対談やら他の原稿やらの支度のために読書と原稿書きに明け暮れていたのだと思われる。それにしてもなんでそんなに記憶が欠落してしまったのか。怖いことでもあった?

19日
「週刊現代」に書評、「ダ・ヴィンチ」にインタビュー構成原稿を送る。本来は幻冬舎で対談の仕事があったのだが、なんらかの事情で(おぼえてない)外出が難しくなり、日延べをしてもらう。応じてくれたIさん、藤田さん、ありがとう!

20日
前日できなかった「GINGERL」の対談仕事で幻冬舎へ。藤田香織さんと4冊の本についてぐたぐた話す。なんだかめったやたらとメールを出した形跡があるので、前日まで原稿書きでできなかった業務連絡を一気にやったらしい。

21日
twitterを見ると「ひさしぶりに債務(超過した〆切)がない」とか言っているので、そうだったらしい。そういう日もあったのか、と今遠い目をしている。BS11「すずらん本屋堂」のスタッフの方が近くまで来てくれて打ち合わせをした。

22日
ついに携帯を諦めて新調する。せっかくなのでスマホに。夜に今年初のコミカレ。「書くための体力をつけるには」という講義を行った。筋トレにあたることを説明する。来期からコミカレは実習部と筋トレ部に分かれるのだ。

23日
本の雑誌社にWEB原稿を送る。今年初。そのあとTBSラジオで「堀尾正晴プラス」のための収録を10分ばかり。これは本屋大賞特集のためのもの。一旦帰宅し食事をしてから末広亭で二つ目の深夜寄席。鯉八、笑ニが良い。

24日
妻につきあってもらい、杉戸宿~栗橋宿まで「日光街道でしょう!」の追加取材。20kmほど歩く。そのあと新宿道楽亭で立川左談次&快楽亭ブラックの二人会。終演後打ち上げがあり、そのあと有志で池林房で居続け。

25日
読書に没頭し、夕刻川崎の怪獣酒場へ。前回来たときに3時間近く並ぶことになったので開店1時間前に行ったが、それでも列の最初にならなかったのはびっくり。食事後、川崎宿から旧東海道を歩いてから帰った。

26日
夕刻から人形町らくだ亭。ホール落語でひさしぶりに談幸さんを聞く。志ん輔「お直し」が熱演であった。終演後にその近所の蕎麦屋で有志オフ会だったのだが、立川らく次さんがいらしていたので足止めして交じっていただく。

27日
「週刊新潮」に原稿送付。そのあと学校が入試期間ということで家にいた子供を誘って外出し、ウルトラマンスタンプラリーへ。20駅ばかりを制覇して終了。結構疲れた。その後人形町芳味亭で夕食。チキンライスが旨かった。

28日
インタビューの構成や書評の準備など仕事に没頭。見るとこの日もやたらとメールを出している。本を詠みながら合間に仕事メールの返信をしていたものと思われる。春風亭好幸さんの落語会の告知がようやくできて安心。

29日
「週刊文春」と「文芸カドカワ」の原稿を送付。後者は桃月庵白酒さんの落語談義なのだが、この回は本当に脱線ばかりしていたのでたいへんだった。夜にコミカレ。朝方フェイスブックで声をかけた堺三保さんがきてくれる。

30日
午前中に来京していた伊坂幸太郎さんの取材。雪が降ったので早めに家を出たが、まだ取材場所の店が開いておらず、伊坂さんと前でなんとなく待つことに。夜は新宿で立川流の若手道場。終演後、笑ニさんと少し飲む。

31日
目が覚めてぼうっとしていたら突然、前の晩に10年ぶりぐらいで新宿の深夜+1に行ったことを思い出した。藤田宜永さんがいらしていて、初めてさしでお話したのであった。しかしそれ以外の記憶は曖昧なまま2月に入る。

28日

| | Comments (0) | TrackBack (0)

地上波テレビ出演の依頼があって流れたこと

 フェイスブックにはちょっと書いていたので、まあ、改めて。
 地上波の深夜番組に出てほしいという依頼があり、スケジュールを調整していたのですが、流れました。
 テレビは本業でもなんでもないので、ダメになったこと自体については別に何も思うことはないのですが、経緯がちょっとおもしろかったので書いてみます。

 最初に依頼を受けたのは1日のことでした。某番組の収録が10日夜にあるので、出てほしいとのこと。メールにすぐ気づいて返信したところ、3日日に打ち合わせをしたいという連絡と同時に以下のような断りが入りました。

尚、大変恐れ入りますが、現状では企画段階となりまして、 番組の特質上、ご出演の最終決定がスタジオ収録直前になる可能性もございます。 ご了承下さい。

 へー、このタイミングで依頼をしておいて、スケジュールを空けさせた上で、そちら都合のキャンセルもありうるんだ、と思い、あまりに新鮮だったので、「それって当日キャンセルもありということですか?」と聞いてみました。
 すると、

当日にキャンセルはございません! ただ今週土曜日に会議があり、それを受けて 確定とさせて頂こうと思っております。

 とのご返事が。まあ、当日キャンセルはないよね、常識的に言って。しかし土曜日というと7日。3日前に不可になることはあるのか、と一応納得した次第です。

 で、要望通り打ち合わせをしました。拙宅の近所まで来てくれて、それは好印象。ただ、打ち合わせの席に行ってみると、なんと4人でいらっしゃっていて、しかもなぜかビデオカメラ持参。打ち合わせの模様を録画したいと言われたのですが、別に番組で使うというわけではないというので承諾しました。

 その時点で、あ、これはカメラテストなのだな、といかに業界事情を知らない私でも気づいたわけです。つまり、話しぶりや容姿、話す内容などを記録しておいて、テレビ向きの人材か否かを検討するのだろうと。録画をしているのは、たぶんそこにいらしたディレクター氏だけが判断するのではなくて、会議か何かにもかけられるのだろうと考えました。それはそれでかまわないんだけど、打ち合わせ前に言っておいてくれたほうが好印象だったな。

「これからお話いただく内容については一種のオーディションみたいなものだと思ってください。そのうえでテレビ向きの人材か否かを判断しますので悪しからずご了承を。もしそういうことでは嫌だ、というお気持ちならこのまま帰っていただいて結構です」とか言ってくれたら、こっちも仕事だから納得したわけなのですが。もちろん、そういう仕打ちをされるだけの「報酬」あっての話ですけどね。

 で、打ち合わせは和やかに終了しました。印象としては、さすがにテレビで話上手だったな、と思いました。うまくこちらの話も引き出してくれたし、話しやすい感じの対応でもありました。ここはプラス材料。この日が4日です。

 そこから連絡が途絶えました。まあ、土曜日の決定だろうと思っていたので問題なし。ただし、土曜日になっても連絡はありませんでした。イベント対応のため午前中から夕方まで出掛けていたのですが、途中電話が入った形跡はおろか、メールもありませんでした。そうこうしているうちに夜が明け、本日、日曜日になったわけです。

 さて。

 さすがに収録が10日夜だとして前々日には予定を決めてくれなくちゃ駄目でしょう。出てほしいとおっしゃったのはそちらなのですから、せめて約束の期日までには連絡をしてほしいっす。とりあえず午前中にメールを一本入れたのだけど返信はなし。いただいていた携帯電話を鳴らしてみると留守番対応で「あとでご連絡します」との返事がありました。
 別にお話をしたいわけではないので「火曜日の可否について伺いたいだけなのでメールで結構です」と返すと、折り返しSNSでこんなメッセージが戻ってきました。

ご連絡が遅れ申し訳ございません!内容を検討させて頂きました結果、この度は見送らせて頂く事になりました。機会ございましたら是非お願いいたします。

 なんか、私のほうから売り込んだみたいなお断り文句になっていますけど、違うんですけどね、頼まれたので「出てもいいですよ。予定空けておきますよ」と言っただけなんですが。

 現時点ではこれでおしまい。もう少し何かお詫びの文句なりなんなりがあってもいいような気もしますが、このくらいあっさりしていたほうがビジネスライクでありがたくもあります。ただ、繰り返しになりますが「頼んだのはそっち」ということについてはもう少し意識されたほうがいいとは思います。

 こんな感じで地上派出演の話は出て、流れたのでした。
 別に今回が特殊なのではなく、業界周辺では繰り返されていることなのでしょう。
 私のほうも実害を蒙ったわけではなく、近所の喫茶店でコーヒーをごちそうしていただいて40分ほど時間をとられただけなので、まあ、問題なしです。ただ、私の時給は40分コーヒー1杯で買えるほどは安くないですけどね。本当ならその10倍はいただきます。

 勝手ながら今回の件の採点をさせていただきます。

1)10日後のスケジュールを押さえるというのは、一般社会では結構急なこと。それに対応させるのは結構傲岸なことだという意識を持とう。-1点。
2)急な打ち合わせにこちらの近所まで来てくれるのはたいへんありがたい。どうもありがとう。+2点。
3)打ち合わせといいつつ実はカメラオーディションというのは不意打ちみたいなものでちょっと失礼。最初からそういう話だと相手には告げよう。-2点。
4)この日までには連絡しますと言ったのだから、電話なりメールなりしよう(土曜日までに連絡しますと言われたわけではないが、日も迫っているし、決定次第伝えてくれるのが筋でしょうよ)。判断保留なら、それはそれでちゃんと言おう。-5点。
5)相手の時間を無駄にさせたことについての謝意ぐらいは示しても損はありません。-1点。

 というわけで総合するとちょっと残念な出来事ではありました。みんながみんなテレビに出たいと思っていた時代の名残なんだろうな、と思います。もしこのブログをご覧になったら担当者さん、次からは気をつけてくださいね。

(追記)さきほどiPhoneを見たらメッセージで「貴重なお時間をいただきありがとうございます」というメッセージが入っていました。ブログをご覧になったのかどうかは判りませんが、遅くなっても一言いただけてほっとしました。なので上の5)は帳消しにしておきます。(2/8 23:00)

| | Comments (2) | TrackBack (0)

« January 2015 | Main | April 2015 »