(11/12)シンジケートは呟く

「翻訳ミステリー大賞シンジケート」事務局がTwitterで更新情報を流し始めたようである。ID(で合ってるのかな?)はHonyaku_Mystery。Twitterを使われている方は、よかったら見てみてください。私は個人でTwitterを使わない方針なので、こちらの更新投稿にはあまり関われないと思います。

 以前にこの日記で、Twitterに代表されるつぶやきツールについて、推敲しない文章を人目に晒すことに対する疑念を持っていることを表明した。あのあと某氏から、「未推敲の文章を人に読ませる行為は、ツールではなくて、書き手の問題なのではないか。ブログだって、そういう垂れ流しの文章を書けるわけじゃん(大意)」というご指摘をいただいた。それはその通りである。Twitter利用者を批判しているように思われたら申し訳ない。お詫びします。

 書き手の意識の問題なのである。内から発したものをどこかに届けようとする思いが文章を書くための動機である。「届け」と思い、届かせるために最善を尽くす。だが、どこまでいっても「届いている」という思いは自己の幻想でしかなく、本当のところはわからない。届いていると思いこんでいるだけの話で、実はどこにも届かないものを書いているのかもしれないのだ。恐ろしいことである。だが、恐ろしさを自分で引き受けなければならないとも思う。今こうして書いているものが自己の幻想の内壁に投げ当てている礫にすぎないのか、いつかは誰かから返されるキャッチボールであるのか、確かめる術のないままにただ最善を尽くしながら「届け」と念じ、文章を綴るしかない。つながっているという幻想に逃げ込んじゃだめだ。それは自分を弱くする。そうした自戒が、書き手には必要なのだと私は信じている(だから、最初から配信だけが目的で諸ツールを利用するというのは、正しいあり方なのだとも思います)。

 昔ホームページを設置したてのころに、福井健太氏から「杉江さんはネットに期待しすぎ。反響を期待しちゃだめですよ(大意)」と言われたことがある。そのことが自分の中でどこかにひっかかっている。インタラクティヴ、という理想に、私もやはり踊らされていたのだ。機能としてはレスポンスを期待できるツールだが、礫は礫である。そのことを忘れてはいけない。礫はもろかったら、当たった先で崩れる。雪の礫を投げ返してくれる人間はいないのだ。せめてしっかりと固めて、万分の一でも受け止めて放り返してくれる礫を作らなければいけないと思う。

 会社員時代、普及し始めたインターネットが職場の環境をどう変えていくのか、情報通信系の研究員に聞いたことがある。「インターネットが実現するコミュニケーションで、仕事の効率は上がるんですか」と聞いた私に、その研究員は言った。「いや、みんながネットを見だして怠けるから、むしろ落ちると思います」。そのことを思い出した。根は同じことである。道具は変わっても、使う人は同じ。作るものも同じ。一人で淋しいことも変わらない。

 

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(11/10)今年も闘います

 青山ブックセンター本店のホームページにはまだ告知が出ていないのだけど、AXNミステリーの番組内でお知らせが流れたというので書いてしまいます。

 毎年恒例「闘うベストテン」の公開収録を今年も行います。時期は例年より少し遅くなって、12月19日(土)。13時開演で15時終了予定です。問い合わせ先などがはっきりしたら、この欄でもまたお知らせします。

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(11/5)初心者のための作家入門講座

「翻訳ミステリー大賞シンジケート」で新企画を始めました。名づけて、「初心者のための作家入門講座」。

 あの作家はおもしろいってみんな言うけど、作品数が多いし、どこから読んでいいかわからない……。

 そう思っている人を対象に、最初に読む三冊はこれ、というお薦め本を挙げていきます。講師を務めるのは、翻訳者や書評家など、作家のことをよく知っている方たち。第一回はスティーヴン・キングの魅力を、キング翻訳者として名高い白石朗さんに教えていただきました。詳細はこちら

 さて来月は、どんな作家を、誰がお薦めしてくれるのでしょうか。

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(11/3)今のところ大森さん優位

 おっと、十一月になったのでAXNミステリーのBOOK倶楽部ページが更新されていた。
 今月の私のお薦め作品はエリック・ガルシア『レポメン』である。動画をご覧になってみてくださいな。

 ちなみに収録のあとは、神楽坂の焼肉三宝で打ち上げ。ここはプロレスラー栗原あゆみさんの実家で、店内にも女子プロレスの興行ポスターが多数貼ってあった(プロレスラーがくる店らしく、料理のボリュームもある)。焼肉をつつきながら横の座敷を見ると、栗原さんがいてマネジャーらしき人と打ち合わせをしていた。プライベートで女子レスラーを見かけるのはひさしぶりだった。

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(11/2)来場御礼

 昨日の初野晴・真藤順丈さん対談にお越しいただいた方、ありがとうございます。楽しんでいただけたでしょうか。初野さんが意外な話上手だということを知って、驚かれた方も多かったと思います(私も実はそうでした)。また真藤さんが実は「○○○い」性格だということも……。

 告知の期間が短く、限られていたため、率直に言って満足のいく来場者数とはなりませんでした。ゲストの方のお二人にはご多忙の中時間を割いていただいたのに、特に初野さんには休日を潰して遠路はるばるいらしてくださったのに、申し訳ないことをしてしまいました。にも関わらず、たいへん興味深い話をいただけました。来場者の方も、お話にはきっと満足していただけたことと思います。お二方には心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 もう明かしていいと思いますが、十二月に三津田信三さんのトークイベントの司会をすることになりそうです。詳細が決まりましたら、またここでお知らせします。

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(10/27)公開対談のお知らせ

 ここのところ「翻訳ミステリー大賞シンジケート」のお仕事にかまけて、すっかり告知を忘れていたのだけど、11月1日の日曜日に、池袋で初野晴さんと真藤順丈さんの公開対談講座を企画しています。私、司会です。日本ホラー小説大賞と横溝正史ミステリ大賞受賞者の対談ということで、一種の角川対決ですね。

 会場となる池袋コミュニティカレッジに問い合わせてみたところ、まだ空席がだいぶあるとか。たいへんだ。特に初野さんは、遠方からはるばるいらしていただくのに。そんなわけで、日曜日の予定がまだ空いている方、予定はあるけど、午後一番のその辺の時間は暇だ、という方、池袋まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。えーと、たぶん事前申し込みがいるのだと思うけど、今から連絡して事前予約の当日申し込み可の形に変えてもらっておきます。よろしくお願いします。

詳細はこちら。
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杉江松恋と新人賞受賞作家

対談 創作闘論!
横溝正史ミステリ大賞受賞者初野晴氏、日本ホラー小説大賞受賞者真藤順丈氏をお招きし,第一線で活躍中の評論家杉江松恋がミステリの創作法、ストーリー発想の秘訣について熱い討論を繰り広げます。
【曜日・時間帯】 日  13:00〜14:30 
【開講日・回数・受講料】 11月1日 1回
会員 2,100円
一般 2,310円
●資料代実費

(以下の方が対談に参加されます) ■初野晴 静岡県清水市(現静岡市清水区)出身。法政大学工学部卒業。2002年、「水の時計」で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。ファンタジーとミステリを融合した独特の世界観で注目を浴びる。著書に『漆黒の王子』『退出ゲーム』『トワイライト・ミュージアム』など。最新刊は『退出ゲーム』の続編の青春ミステリ『初恋ソムリエ』。
■真藤順丈(しんどう・じゅんじょう) 1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞してデビュー。『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、大賞。2008年主要新人賞四賞受賞の快挙で、一身に注目を集める。

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(10/25)日本経済新聞

 本日の読書欄で「「愛」は出版を救うか 翻訳ミステリー大賞創設」として、大賞とシンジケートサイトが紹介されました。記事を書かれたのは文化部・柏崎海一郎さん。
 ありがとうございます。

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(10/22)朝日新聞

 翻訳ミステリー大賞のことが、十月二十一日の夕刊で記事として紹介されたそうである。

 ネット上ではこちらでご覧になれます。

 この件の取材は、どのような媒体であっても受ける予定なので、気軽にお声がけください。

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(10/19)業務連絡

 先週の〆切ラッシュを切り抜け(一日に原稿用紙換算で三十枚ぐらい書いた日もあった)、なんとか週末を迎えた途端に、高熱を発して床に就いた。すわ、新型……ということで家族からは隔離してもらい、三階の布団で寝たきり生活である。病院に電話してインフルエンザの検査をしてもらおうと思ったところ、発熱後六時間経たないと陽性かどうかの判断がつかないという。仕方ないので、六時間寝て過ごす。ものすごく辛かったのだが、これが終わればタミフルタミフルとそれだけを心の支えにして乗り切った。
 午後四時、三十九度の熱を押してタクシーで病院へ。なにしろタミフルのためである。具合悪くなりながらも検査を受け(あれはちょっと涙が出る)、十分待って結果を教えてもらったところ、医者が意外な言葉を。

「陰性ですね」

 聞けば発熱から六時間ではなく十二時間経たないと結果が出ない場合もあるという。せ、せっかく来たのに。泣く泣く頓服だけを貰って帰宅。体調は依然として最悪で、頓服を飲んでも八度台からは下がらない。一晩寝て、朝一番で医者に行こうと決め、就寝。

 発熱二日目。熱は少し下がって八度台ぎりぎり。しかし頓服は飲んでいるわけで安心はできない。というわけで再び車上の人になって病院へ向かった。二度目の検査(やはり涙が出る)を終えた医者の言葉は、

「陰性ですね」

 ととということは、やはりタミフルはもらえないわけですか。本当なら喜ぶべきことなのだが、一発で治る薬がもらえないとなると、がっくりきてしまう。やむをえず抗生物質を貰って帰途についた。

 そして発熱三日目。本日。おお、喉の痛みが引き気味で、熱も七度台を割るくらいまで落ちた。医者の言うことは信用するものである。検査の結果というのはやはり正確だ。そんなわけで今日一日安静にしていれば、体調は回復すると思います。もろもろご心配、ご迷惑をかけておりますが、もうちょっとだけご勘弁を。

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(10/15)原稿量三倍(当社比)

 原稿用紙にして三十枚相当の文庫解説をただいま脱稿した。解説の枚数は十枚程度が普通で、私はよく枚数を逸脱して三十枚くらいは書いてしまうのだが、初めから三十枚と言われた原稿は初めて。それだけに書くのは楽しく、楽しいのだが辛く、辛いところもまた楽しく、つまりはとっても充実した日々を送りながら原稿を書いた。書けば書くほどその小説が好きになる、幸せな体験をさせてもらったのである。ありがとう、ありがとう。

 まあ、原稿の出来のことは言わないでください。今は幸せだとだけ書いておく。多幸感、飲みに行っちゃおうかしら(と書くと激怒する人がいるはずだから行きません)。

 でも今日は池袋で講師を務める日なのであった。

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(10/15)遅くなっちゃったけど

 翻訳ミステリー大賞シンジケートの一昨日の記事、「北上次郎の質問箱」をお読みになりましたか? 読んだ人は結構驚かれたと思う。池上冬樹さんが絶賛された作品について、えー、あんなのがおもしろいんだ、どこがおもしろかったのか私にはわからなかったんですけど、と北上さんが質問する内容なのである。実際の書き方はもっと紳士的だけど。

 誤解なきように記しておくが、北上さんの意図は、書評家のセンスについて掘り下げた議論をすることにある。そのための「質問」なのである。もちろん、書評家のセンスは各人が異なるものを持っている。それを「価値観が違うよねー」「人それぞれだよねー」と言っているだけでは、あまりおもしろくない。あえて踏み込んだ議論を行い、そのやりとりを通じて生まれるものがあることを期待しているわけである。もちろん池上さんを一流の書評家として信頼しているからこその質問だ。信頼しているからこそ、判らないことは聞きたくなる。

 北上さんから執筆の打診をいただいたとき、これは波紋を呼ぶかもしれないなと思いつつも、是非とお願いした。できれば毎月書いてもらいたいのだが「質問したいことがあるときは書けるけど、それ以外は無理だよ」とのこと。それも当然なので、不定期連載にしたのである。しかし、できればやはり沢山書いてもらいたい。なんだったら、北上さんだけではなく、他の方が手を挙げていただいてもいいのである。逆に「北上さんのこの書評がよく判らなかったんだけど」という書評家・評論家がいたら、質問の場を提供するので私にご連絡ください。それが有意義な議論になるのであれば、北上さんも快く回答してくださるものと思う。あ、私も質問上等です。どうぞどうぞ。

 そんな感じで、ミステリー書評に関する風通しのいい議論が広がっていくといいと思っているのです。

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(10/13)すごいことになった

 今出ている「CIRCUS」という雑誌が、巻頭で「今、最高に面白いミステリー」という特集を組んでいる。普段のカラーとはまったく違う特集なので、話を聞いたときには正直意外な印象だった。各方面の著名人に好きなミステリーについて質問するなど、専門誌ではなかなかできない記事もあり、内容はなかなかおもしろい。「ミステリートリビア」のコラムに「探偵事務所の机の素材は大体が「フォーマイカ」」などと首をひねりたくなる記事があるのは「それは単なる雑学じゃないか」と思ったのだが、大勢に影響はないでしょう(『六角館の殺人』にはちょっとびっくりしたが)。

 私は「ミステリー3賢人が選ぶこのトリックがすごい!BEST10」というページに顔を出しています。どうでもいいけど、凄い称号だな。他のお二人は、元東京創元社社長の戸川安宣さんと、早川書房の川村均さんである。凄い、と思ったトリックをネタばらし無しに説明する、というのが大変だった記憶がある(構成してくれたライターさんのおかげでなんとかなっています)。私が上げたのは、ほとんどが「犯人の作為」によるトリックなのだが、戸川さんはそうした点に構わず意外性のあるものを上げておられる。川村さんは、私と戸川さんの中間という感じだろうか。非専門誌の読者向けということで、三人ともマニア度は比較的低めです。私も『魔女が笑う夜』を上げようかどうしようか悩んで止めたのだった。

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(10/9)本日は鮎川賞パーティー

 昨日は綾辻行人さんにお会いし、新刊『Another』についていろいろお話をうかがった。インタビューア特権で、新着の束見本も見せていただく。おお、厚い。そして、軽い。「野性時代」で三十回にわたって連載された小説なので、当然分量は多く、ページ数もあるのだが、それを感じさせない本の重量であった。造本マジックだ。内容も、マジックのようにおもしろいので雑誌連載を読んでいなかった方は期待していいと思います。すばらしいページターナーぶりで、綾辻さんの新しい代表作となることは間違いない……などと熱く語っていたら、「いやいや、褒め殺しはそのへんで」と軽くいなされたのであった。いえいえ、過褒ではなくてですね。

 そんなこんなで水漏れショックのことも忘れて強く明るく生きております。

 では。

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(10/8)小さい大事件

 早暁妻が、居間として使っている二階の床が水浸しになっていることを発見。家族総出で対応に追われた。
 豪雨による雨漏りなのだが、最上階でもない二階がなぜ、と首をひねる。

 しばらく探索した結果、三階にある張り出し部分の排水口が詰まり、プールのようになっていることが判明した。ああ、これか。目詰まりを直し、ついでに屋上にあがってそっちの排水口も確認した。水がたまりかけていたので、こちらは間一髪セーフだった(書庫のある一階は幸い被害に遭わなかった)。この台風でもっと被害に遭われた方もいらっしゃるはずである。おこがましい物言いですが、どうかお気を落さず。お見舞い申し上げます。

 そんなわけで午前中は仕事になりませんでした。こんなところで言い訳をしても仕方ないが、午後から営業開始である。今から都内某所に綾辻行人さんのインタビューをしに行ってきます。原稿もろもろはそれ以降の予定。

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(10/6)本日の翻訳ミステリー大賞シンジケート

 なんと権田萬治さんが寄稿してくださいました。

 権田さんに書いていただいた「なんでもベスト5」の原稿はこちら

 サイトを立ち上げる際、事務局の本気度を示すために最初はなるべく外部の方に原稿を依頼しようと考えたのであった。その際、最初に名前があがったのが権田さんである。突然のお願いにもかかわらず、快く執筆を承諾してくださった権田さんには心より感謝申し上げます。

 ところで、その権田さんはホームページを作り、頻繁に日記をつけておられる。九月九日の記述に気になるくだりが。新潮社から刊行されて、第一回本格ミステリ大賞を評論部門で受賞した『日本ミステリー事典』は、現在絶版になっているが、その次の展開を望む声があり、水面下で動き始めていた。といっても、動きがあったのは二年前までで、以降はぷっつりと音沙汰がなくなってしまった(入院していた池尻の病院で、ベッドの上でゲラに朱入れまでしたのに!)。どうなっているのか心配していたのだが、どうやら再始動することになりそうなのである。詳しくは権田さんの日記で。

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(10/5)翻訳ミステリー座談会のお知らせ

 情報解禁になったのでお知らせします。北上次郎さんと田口俊樹さんの公開対談で、私が司会を務めます。関心がある方は、下記のリリースを参考に申し込みしてみてください。

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「翻訳ミステリー大賞」創設記念

「今年の翻訳ミステリーはこれを読め! 読めばわかるさ!」座談会


司会:杉江松恋(ミステリ評論家)

パネル:田口俊樹(翻訳家)、北上次郎(文芸評論家)

■2009年10月21日(水)19:00~ 
■会場:青山ブックセンター六本木店
■電話予約&お問い合わせ電話
青山ブックセンター六本木店 03-3479-0479
■受付時間: 月~土・祝 10:00 ~ 翌朝5:00
         日 10:00 ~ 22:00
(※受付時間は、お問い合わせ店舗の営業時間内となります。御注意下さい。)
■受付開始日:2009年10月8日(木)10:00~

<イベント内容>
 翻訳者の投票によって決まる「翻訳ミステリー大賞」が本年度よりスタートするのを記念して、賞の発起人で翻訳家の田口俊樹さんと文芸評論家の北上次郎さんが、今年の話題作を縦横無尽に語ります。司会は、バカミスの泰斗として名を馳せる杉江松恋さん。

 それぞれ嗜好の異なる三氏がどの作品に言及するかによって、年末の各社ミステリー・ランキング、初代の翻訳ミステリー大賞の行方が左右されるのか? されないのか?! 当日は、北上氏、田口氏によるオリジナル原稿を掲載したおまけパンフレットの配布もあります。

 たくさんの皆様のご参加をお待ちしています。

 店内でのイベントです。ほとんどの方は40~50分のトークをお立ち見となります。ご了承ください。
 参加は無料ですが、ご予約を承ります。

<ご参加方法>
 2009年10月8日(木)朝10時より、青山ブックセンターの店頭もしくはお電話で、参加受付をいたします。
 トーク終了後にサイン会がございます。イベント当日、田口俊樹さん、北上次郎さん、杉江松恋さんの著作、翻訳本をお買い上げの方に、レジにて整理券を差し上げます。

<プロフィール>
田口俊樹(たぐち・としき)
1950年東京生まれ。出版社勤務、児童劇団スタッフ、都立高校教員を経て『ミステリマガジン』(早川書房)から翻訳家デビュー。おもな翻訳書に『八百万の死にざま』(ブロック、ハヤカワ文庫)、『チャイルド44』&『グラーグ57』(スミス、新潮文庫)、『マイケル・ジャクソン 仮面の真実』(ハルパリン、早川書房)など多数。


北上次郎(きたがみ・じろう)
1946年東京生まれ。1976年、椎名誠氏と『本の雑誌』を創刊。現在同誌顧問。文芸評論家。おもな著書に『エンターテインメント作家ファイル108<国内編>』(本の雑誌社)、『読むのが怖い!』シリーズ(大森望と共著/ロッキング・オン)などがある。

杉江松恋
1968年東京生まれ。ミステリ評論家、文筆家。おもな著作に『口裂け女』(富士見書房)、『これだけは読んでおきたい名作時代小説100選』(アスキー新書)などがある。

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(10/3)仕事の進まない一日

 本日は朝一番で町会の少年部打ち合わせ、それが終わって区の小学校PTA連合の研修、最後に明日に迫った地域のお祭りの最終準備というスケジュールでした。

 主催者が違うから、ときどきこういう惑星直列のような並び方をしてしまうのである。ついでにいえば、出席こそしないが、小学校に附属している幼稚園の運動会でもあった(本日は都内でいちばん運動会の予定が入っている日だと聞いていたが、みなさんの学校ではいかがでしたでしょうか)。おもしろかったのはPTAの研修で、自民党政権が倒れたものだから、教育委員会もこれまでの施策が引っくり返る可能性が出てきて、あたふたしている。民主党のマニフェスト通りにいくと、教育基本法を改正し、教育委員会を廃止することになる。教育指導委員会(だっけな。うろ覚えです)が新たに設立され、各校には学校理事会なるものが置かれるのである。この理事会は、学校長に命令する権限を持つ。つまり学校長が最高責任者ではなくなるわけだ。理事会には当然PTAや地域住民も参加するので、今以上に保護者との連携が強まるはずである。学校を教育サービス機関と見なせば、正しい方向性なのだが、一方で学校には周囲の声を気にしない教育理念を持ってもらいたいという声もあるはずだ。着地どころが見ものである。電子黒板の廃止ぐらいでおたおたしている場合じゃないですよ(ニュースで見たが、あれはいらないだろうと思った。一台七十万円もするらしいし)。

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(10/2)東京は静かなままでいい

 ただいまネットのニュースで、オリンピック開催地選びに東京が落ちたという報を知った。安心したので寝ます。北京でやったばかりなのに、よもや同じ極東の地(欧米人の意識なんてそんなものだろう)に権利を与えるなんてことは万に一つもないだろうと思ってはいたのだが、やはり正式に決まるまでは心配で心配で。驚いたのはシカゴが真っ先に落選したことで、オバマ就任のご祝儀でもう少し粘るものだと思っていた。

 IOCでのプレゼンテーションでは、環境に配慮した大会開催をアピールしていたらしいが、本当に配慮するならオリンピックなんて開催しないことがいちばんなのである(南米大陸で最初の開催ということでリオデジャネイロに決まりそうな気がするのだが、アマゾンの森林伐採がさらに加速する原因になりそうで、それだけが心配)。たしかにオリンピック開催となれば建築受注が増え、景気回復につながるかもしれないが、それは一時的なカンフル剤にすぎないだろう。だいたいインフラ整備が完了した東京都で、さらにハコモノを追加建設する必要があるとはまったく思えない(現在建築中の環状道路をオリンピック用に準備しているように説明した資料を見たことがあるが、環状道路の整備計画自体はオリンピック誘致計画が生じるはるか前からあったはずだ)。一度しか使わない施設のために無駄金を注ぎ込む必要はないし、その余裕もないはずだ。下手したらオリンピックの経済効果とやらで潤される前に、都政自体がパンクするところだった。危なかった。IOCは本当にいい仕事をしてくれたものだ。いや、ジャップのことを考えてそうしてくれたわけじゃないだろうけどさ。

 なんにせよ、よかった。あとは石原都知事の去就だけが問題だ。もういいでしょう。花道を飾る一世一代の舞台がなくて不満かもしれないが、そろそろ退け時だ。でも、そのあとってやっぱり舛添なの?

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(10/1)シンジケート入り

 本日午前0時に翻訳ミステリー大賞シンジケートの第一回原稿をアップした。最初の一発は北上次郎さんの本年度ベスト10である(ただし、まだ変動の余地はあるので暫定版)。

 昨日は第五十五回江戸川乱歩賞の授賞式に行ってきた。初めて書いた小説『プリズン・トリック』で受賞を果たした遠藤武文さんはなかなかの強心臓で、なんと受賞者スピーチで現在執筆中の第二作の宣伝をやってのけた。前代未聞である。その調子で、どんどん書きまくってください。

 授賞式の二次会は関係者が集まり、同じホテルの別室で行われた。今年で選考委員を外れる大沢在昌前理事長が鬼軍曹となって歴代受賞者に活を入れれば、東野圭吾理事長がそんなに萎縮するなと鼓舞するというコンビネーションを見せ、なかなかおもしろい会となりました。そういえば私も何かスピーチをしたような気もするが、まあ、その場の座興ということで。

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(9/30)翻訳ミステリー大賞シンジケートの反響

 昨日16時30分に「巻頭言」をアップして、24時までにユニークアクセスが500強。これが多いのか少ないのか、私にはわからない。ただ、500人の方がサイトに関心を示してくださったという事実だけは胸に刻みつけておきたいと思います。ありがとうございます。ブログやtwitterなどで話題にしてくださった方、はてなスターを贈るという形で期待値を表明してくださった方、心よりお礼申し上げます。

 明日から本格的に更新が始まります。どうぞご期待ください。

 翻訳ミステリー大賞シンジケートのURLはこちら

 

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(9/29)続報

 翻訳ミステリー大賞シンジケート、一般公開しました。
 今日明日表示されるのは、「巻頭言」のみです。
 それ以降は、ウィークデイは基本的に毎日コンテンツが更新されます。
 新刊情報なども頻繁に寄せられると思いますので、どうぞ読書の楽しみに活用ください。

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(9/29)翻訳ミステリー大賞シンジケートについて

「翻訳ミステリー大賞シンジケート」は、十月一日にオープンの予定でしたが、すでにいただいている一日分のコンテンツが結構分量も多いものであるため、一部前倒しを検討しています。
 というのは、サイト設立の趣旨に関する巻頭言と他のコンテンツを同日にアップしてしまうと、双方がかすんでしまう可能性があるからです。せっかくなので、巻頭言のみ先に公開させていただこうかな、と。
 ただいま事務局内部の調整中、もう少しだけお待ちください。

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(9/24)つぶやきしろ……?

 twitterなるものが世の中に出てきて、瞬く間に流行ったかと思えば、今度はmixiでもボイスなる機能ができて、頼みもしないのに、短いメッセージが表示されるようになった。これ、消せないのである。仕方がないので、その辺をあまり見ないようにしている。そんなにつぶやきたいものか、と思うのである。

 mixiを始めたころは、まだブログも始めていなかったので、書きこんだ日記を通じて他の人とつながりを持つという体験が、たいへんにおもしろく感じられた。同じ業界ながら実際には顔を合わせたことがない方や、まったく別の世界で活躍しておられる方と接触する機会があった。そういうときの言葉のやりとりには、新鮮な発見があって楽しかったものである。自分の日記にコメントがつく感じというのも、あれはなかなか楽しかった。かまってもらう楽しさだな、あれは。かまってくれないと、気を引きたくなってつぶやくわけだ。自分も結構内容のないことをつぶやくことが多かったのだが、さすがに大人げないと思い、今は自重している。自重した結果があれかよ、とmixiの日記をご存じの方は言われると思うのだけど。まあ、趣味の同人に向けて細々と語りかけているわけである。

 思うのだが、つぶやいてばかりいると必ず疲弊する。沃野の如き発想力をお持ちの方ならいいのだが、私のような凡人は、考えていることを次々に外に出していたら、しまいには何も無くなるはずだ。いや、何も無くなるのはいいことである。洗いざらい出してしまって、また新しいことを入れればいいのだから。そうではなくて、言葉を推敲せずに考えを漏らす行為自体が問題なのだ。言葉を練らなければ頭が枯れる。いざとなったらいくらでも言葉を紡げると思ったら大間違いで、普段から練習をしていなければ、頭の中を文章として表すことは難しくなる。少なくとも私はそうだ。もしかするとこれは老化の果てか。時代に取り残され始めている証拠なのか。だとしたら困るが、いずれにせよ、つぶやかずに立ち止まって、言葉を練る以外に方策がないのだからやむをえない。

 つながりを持つのはほどほどにして、つぶやかないで生きていこうと思います。つぶやきたくなったら、家族や友人と話すよ。だからお酒でも飲みに行きましょうな。

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(9/23)翻訳ミステリーと私

 世間は五連休だが、自由業の身には関係ない(シルバーウィークなる、あまりぞっとしない造語は使いたくないものですね)。本を読み、原稿を書き、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」の準備を進める毎日だ。

 同サイトの管理人は私なのだが、発起人は別にいる。したがってサイトの公開後は、設立趣旨などに関するお問い合わせについては、発起人の代表者からお答えさせていただくことになる。サイトが見にくいといった、技術面に関するお問い合わせは、私がお答えします。

 その技術面が問題で、なにしろブログを始めたのも遅いため、泥縄式に勉強を始めている。忘れかけていたhtmlの知識を復活させるため、あちこち検索している最中だ。はじめはパッとしないデザインになるかもしれない、とお詫びしておく。しろうとで申し訳ない。ある程度サイトの運用が軌道にのったら、また展開を考えますので。

 今回の件は、翻訳ミステリーというものに対するご恩返しだと私は考えている。なにしろ、「杉江松恋」という筆名は、「ミステリマガジン」に寄稿するために考えたものなのだから。業界全体に貢献するなんて口はばったいことは言わないが、できることはやるのである。やるんだよ。

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(9/22)翻訳ミステリー大賞シンジケートの件(続き)

 来訪者数が急に増えたと思ったら、藤原義也さんがリンクを張ってくださっていたのですね。
 ありがとうございます。

 サイトの公開まであと十日余りあって申し訳ないのだが、先にお教えできる情報だけ書いてしまう。
 このサイトの主要コンテンツは月曜日から金曜日まで毎日更新されるエッセイやコラム、書評である。基本的に内容は翻訳ミステリーに関することだけ。あれこの方が、と思うような豪華な執筆陣が加わってくださる予定なので、どうぞご期待ください。それ以外でも、随時情報が入り次第サイトは更新していく。各社から新刊情報が届いたら、なるべく早くアップするようにしますので、発売日前の購書検討用にも使っていただきたい。

 問題はあれだな。私が管理人だということだな。大丈夫か。大丈夫じゃないような気もするけど、やるんだよ!

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(9/19)ブッククラブ

 この十月からCS「ミステリチャンネル」は「AXNミステリーチャンネル」に名称変更する。資本関係がいろいろあったみたいだが、詳しくは各自検索。

 それに伴い、現在の情報番組「ブックナビ」も題名が「ブッククラブ」となり、内容も多少変更になる。どこがどう変わるのかは観てのお楽しみだが、視聴者参加型の企画も準備されています。

 というわけで、昨日は新生ブッククラブの第一回収録のため、都内某所に行ってきた。これまでは司会の豊崎さんに振られるまではぼけっとしていてよかったのだが、フリートークの時間が増えたため、自然と発言回数も多くなった。芸人でもないしろうとに、フリートークはしんどいです。仕方がないので、いろいろと資料を準備して、情報量で話芸がないのを補うことにした。おお、書評家としては正しい努力の方向性だ。第一回のトークのお題は「シャーロック・ホームズ」であった。どんな内容になったかは、オンエアで私も確かめようと思います。

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(9/17)はてな?

 はてなの事務局から、「一年以上利用がないから今までのポイントは取り消すぞコラ」というメールがきた。乱暴な制度だとは思うが、溜まったポイントはすべて質問に答えてもらったものなので、それほど執着はない。
 だもので、はてなで質問をして使ってしまうことにした。こういう質問である。

「原文が日本語で書かれた小説・随筆の中で、あなたが「これを英訳したら世界の多くの読者を獲得できるはずだ」と思う作品を挙げて、その理由も教えてください。ただし古文・擬古文で書かれた古典作品と、すでに何度も翻訳されているものは除きます。できれば1945年以降に書かれた作品を希望いたします」

 なにかおもしろいことを思いついた方は、答えてみてください。お一人三回まで回答できるようになっています。ツリー形式の「いわし」になっているので、他の人の回答にぶら下げて回答することも可(らしい)。

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(9/14)柄にもない一日

 十月一日から始まる某プロジェクトの準備のために忙殺された一日でした。ミステリーファンのため、と言っては口はばったいが、少しはお役に立てる企画なのではないかと自負している。今月末に出る「ハヤカワミステリマガジン」に最初の告知が載るので、関心がある人は雑誌を手にとってみてください。

 とりあえず作業の五十パーセントは終わったかもしれない。この後の過程がたいへんなのだけど。

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(9/13)日本ミステリー文学大賞に泡坂先生を!

 光文社シエラザード文化財団から手紙をいただいた。
 毎年恒例の日本ミステリー文学大賞の候補者推薦用紙である。要項によれば、「すぐれた小説・評論等の活動を通して、わが国のミステリー文学に刺激を与え、その進歩向上に貢献した、現存する作家および、評論家個人」に贈られるもので、これまで佐野洋、中島河太郎、笹沢左保、山田風太郎、土屋隆夫、都筑道夫、森村誠一、西村京太郎、赤川次郎、夏樹静子、内田康夫、島田荘司の各氏が受賞されている。また、特別賞が鮎川哲也氏に。これはたしか物故のタイミングが悪く、授賞が間に合わなかったのではなかったかと記憶している。

 基本的に「現存する作家および、評論家個人」が授賞対象なのだが、「但し、過去一年以内に物故された方も賞の対象とする」とある。この但し書きは以前にはなかったように思う。

 毎年投票をしているので、今年も一票を投じたい(選考は十月十九日で、阿刀田高、逢坂剛、権田萬治、森村誠一の各氏が選考委員を務められるそうである)。今年は、泡坂妻夫先生に投票するしかないだろう。お亡くなりになったのは今年の二月三日で「過去一年以内に物故」の条件にもぴったり当てはまる。日本推理作家協会に所属されている方はたぶん投票権をお持ちだと思うのだが、推薦用紙に記入される際にはぜひご一考をお願いします。

 記念すべきデビュー作を収めた作品集。

 今年刊行された某話題作に影響を与えた一作。

 最後にお目にかかったのは、この作品に関する回顧インタビューで自宅に伺ったときだった。


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(9/12)過去よさらば

 書類棚がいっぱいになったので、整理をして要らないものを捨てた。旧いものはあらかた捨ててしまったのだが、裁判の記録のみはそうせず、重複する書類だけを廃棄した。残りは段ボール箱に詰めて物置に残しておくのだ。段ボール箱に入れてしまえば、かさもぐっと減って、これだけのことだったのか、と驚くほどである。だが、この裁判に、何年ものあいだ振り回されてきた。

 事の起こりは、現在の住居を建てたことである。それまで住んでいたのは貸間で、子供が生まれて手狭になったことで、引っ越さざるをえなくなったのだ(2LDKの一間が私の書斎というか物置になっていた)。「車庫は要らないから書庫を」という注文は、建売住宅にはなじまないものである。いろいろと物件を見て歩いた結果、地所を買って自分で工務店と契約し、建てるという結論に達した。注文住宅というやつである。予算が乏しかったこともあり、それからの業者選びも難航した。当初は鉄筋コンクリートで作ることを考えていたのに、木造建築に変更した。地所の前の路地が狭く、コンクリートを入れるための作業車が入れなかったからである。木造建築の身体に優しい家を作る、という触れ込みの業者を訪ねていったら、モデルルームのセンスがとんでもなくて逃げ帰ったこともあった。本当にいろいろあったのである。おまけに銀行からの建築資金借り入れには条件があって、期限までに竣工している義務があった。ほうぼうの業者に断られたが、ようやくのことで手を挙げてくれたところが一社あったのだった。

 最初は救いの神のように見えた。地元で何軒もの家を作っていて、その工務店が建てた家が並んでいるため○○通りと名がついている、と胸を張っていた。社長は高齢だったが、いかにも年季を積んだ職人肌の人に見えた。経験がありますから任せてください、と言われ、頼もしく思ったものである。

 雲行きが怪しくなったのは、最初の着手金を支払ってからである。「予算も限られているので、前もって資材を一括発注します。そのほうが割安になる」と言われて契約金額のうち半金を振り込んだ。師走の押し迫ったころである。ところが、年内に基礎のコンクリートを打つという約束が守られず、年が明けても一向に着工する様子がなかった。しびれを切らして督促し、ようやく動きがあった。その時点で、五月のゴールデンウィークに引越しという約束は危なくなっていた。それどころか、梅雨の時期までに棟上という予定さえ見えなくなっていた。九月には借間を出なければならないというのに、竣工予定日は不明のままだった。

 こんな感じで、半年にわたる工務店との闘いの日々が続いた。どうやらその業者は資金繰りに困っていたらしく、渡した金を運転資金に注ぎ込んでいた形跡がある。その証拠に、すでに半金を渡しているにもかかわらず、打ち合わせと称してたびたび現れては、「このままでは倒産して工事が中断する危険がある」などといった言葉を吐き、少しずつ残金の無心をしていったのである。工事が終了し、入居がかなったのは、当初の予定から五ヶ月も遅れた秋の日のことだった。それでもまだ、出来ただけまし。あんな業者に頼んだ自分が悪かった、と勉強をしたつもりになっていたのだが、さらにその先があった。

 なんとその業者が、追加工事代金と称する、心外な額の支払いを求めてきたのだ。当然のことながら蹴っ飛ばし、知人の弁護士さんを通して交渉するように連絡した。そのころにはもう、顔も見るのも嫌だという気持ちになっていたからである。もちろん交渉のテーブルにつく意志はあったが、いくら法的に必要な話し合いとはいえ、そんな心無い仕打ちをした人間の顔をもう一度見るのは嫌だ、と思っていた。いや、願いはかなうものである。テーブルにつく必要はなくなった。業者が、支払いを求める訴えを起こしたからだ。人生初の「被告」だ。そこから約二年半、労のみ多くて得るもののない民事裁判の日々が続いた。

 そんな辛い思い出も、詰めてしまえば段ボール一箱だ。堪忍のなる堪忍は誰でもする。ならぬ堪忍するが堪忍、堪忍のふくろをつねに首にかけ、やぶれたら縫え、やぶれたら縫え、とな。袋ならぬ箱に過去を詰め、もうこのことは忘れよう。はあ、どっとはらい。

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(9/11)テクニカル

 某誌に拙稿が掲載されたので見ていたら、プロフィール欄に見慣れない文字が並んでいた。

「コラムニスト」

 ふむふむ。私の定義では、コラムニスト→データを元にした原稿を書く人、エッセイスト→自分の体験談を切り売りする人、なので、これは間違いではない。でも、書評家の肩書きが前にこないのは珍しいな、と思っていたら、それに続いて、

「テクニカルライター」

 とあった。

 なるほど、テクニカルライターですか。たしかにテクニカルライターである。書評家というのは、文章の技術を評価する仕事でもあるのだから。そのために日々本を読み、文章技術の知識を蓄積しているわけだ。この編集者はよく判っているなあ。そう、喜んだのもつかの間。

「著書に各誌で発表されたスポーツコラムをまとめた(以下略)」

 とあり、間違いに気付いたのでした。他の執筆者のプロフィールが入っちゃったんだね。

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(9/10)水面下

 昨日は調整日としかいいようのない一日だった。しばらく顔を出していなかったせいで溜まったPTA関連の案件を片付けて、送り忘れていた契約書だとか請求書だとかを送って、洗濯機がいっぱいになっていたんで回して、冷蔵庫の中をすっきりさせるために野菜をたくさん使った豚汁を作って。あ、いや。それは調整とは言わないか。

 調整したことの一つが、ここ数ヶ月取り組んでいるプロジェクトのお仕事。これまでは身内でこちょこちょやっているだけだったのだが、昨日初めて媒体に公表した。といってもたいしたことではなく、早川書房の「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」の読者欄に、ある告知を投稿したのである(編集部了承済み)。今月末に出る同誌を読めば、何をしているのかが判ります。巻末の「響きと怒り」のところね。

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(9/9)ひさしぶりの

 本日午前は9月度のPTA運営委員会に出席してきた。夏休み明けで議題が少なく、ほとんど私が振った話で終始していた。全保護者を対象としたアンケートを実施する予定があり、その趣旨説明が必要だったのである。できれば今日のうちに印刷までこぎつけたかったのだが、校長先生が不在だったため、文章の承認が得られず、後日回しになってしまった。商業原稿と違って、責了の権限が著者ではなくて学校側にあるから困る。当然なのだけど。

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(9/8)似合わないことをしてみる

 卒業した高校から送られてきた定期通信の印刷物を見ていたら、いくつか下の学年の女性が映画監督になって、現在では海外に住んでがんばっている、という記事が出ていた。名前におぼろげながら見覚えがある。間接的に知っているあの人か、と思い当たった。

 その情報をもらったお礼、というのでもないが、高校の卒業生名簿が更新される際に、いくばくかの寄付をすることにした。こういうことをするのは初めてである。大学以前の過去を懐かしいと思ったことがないからだ。すべて、終わったことだと思っていて、同級生に連絡を取ったことは一度もない。たぶん、何か特別の機会がなければ、一生会うことはないだろう。名簿に寄付をすると、寄付者の一覧に名前が載るらしいので、それで「生きてます」という信号だけ送っておこうと思う。生きているけど、それだけ。別にかかわりを持ちたいわけではない。義理を果たしたいだけだ。

 先日のミス連合宿ゲストに来られた辻村深月さんが、新作『太陽の坐る場所』成立経緯について、「高校の同窓会に気安く参加できる人とできない人がいる。私は間違いなく参加できないほうで、参加できる人の気持ちが判らない、と考えたときにこの話を書こうと思った」という趣旨のことをおっしゃられた。案内状をもらったとしたら、私も参加できないと思う。案内状を送ってきた人間のことを怨むかもしれない。せっかく過去のことは忘れて前だけを見て生きているのに、と。なるほど、たしかにこの気持ちは「参加する」人には判らないはずだ。「どうしてそんなことで怒るのかわからない」とか言われそうですね。

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(9/8)ひとつながりの財宝

 朝までかかってレギュラー原稿を一本書き、ひと眠りしようと思ったのだが、傍らに置いてあった『ワンピース』最新刊に手を出してしまったのが運のつきだった(仕事が一段落するまで、と思って取ってあったのだ)。眠りたいのに眠れない。脳が興奮してしまってしかたがないのである。まるで覚醒剤だ。どうしよう。仮眠をとったら、もう一本原稿を書く予定だったのに。

 とりあえずもう一回読む。

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(9/5)やはり新宿警察

 引き続き藤原審爾の読書中。報知新聞社版の『新宿警察』を読み終え、『マリファナ殺人事件』を読み、今は双葉社版の『新宿警察』を読んでいる。「新宿心中」という、不器用な山辺刑事を主人公にした話を読んでいたら不覚にも胸に熱いものがこみあげてきた。忘れていた大事なものを思い出させられるような気持ちになる。『新宿警察』は、やはり日本ミステリー界の宝である。

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(9/5)三沢光晴本

 二〇〇〇年に刊行された、中田潤『三沢さん、なぜノアだったのか、わかりました』が新装版として再版されていたので読んでみた。巻頭にやたらと汁気が多い追悼文が収録されているだけで、あとは元版と大きな異同はない模様。それはいいのだけど、元版の誤植ぐらいは直してはどうか。「ジャイアンと馬場」にはちょっと笑ってしまった。武道館でリサイタルでも開くのか。

 中田は、三沢光晴がプロレスリング・ノアを設立した背景に、レスリングを軸とした試合運びを導入することがあったのではないか、という推論を立てている。大技連発の四天王プロレスに慣れた観客に迎合することなく選手に負担のかからない方向性を目指した、というのだが、判断材料が旗揚げ戦しかないのがちょっと痛い(旗揚げ後四ヶ月で本が出ているから仕方ないのだが)。旗揚げ後、秋山準が台頭した事実などを考えると、中田の考えは一応当たっているように見える。ノアの試合を観戦した体験があまりないのでいい加減なことは言えないが、そうした理想と興行収入を上げるためにはファンサービスをしなければならないという現実の課題との間で葛藤し続けたのがノアの九年間だという気がする。

 単なる讃美本にはなっていないので、一読の価値はあると思います。過剰な思い入れが文章に籠められているのが、読みにくさにつながる箇所はあるんだけど。


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(9/3)朝のお仕事

 太陽が昇るはるか前に起床し、原稿を一本片付けた。午前一時半起きというのは早起きとはいわないか。昼夜逆転? 拙宅は繁華街から一本入った路地にあるのだが、午前三時ぐらいまで通り過ぎる酔客の声が聞こえていた。彼らは今から帰って就寝(帰れない人もいるのかもしれないけど)、私はもう仕事だ。

 午前六時、原稿を書き終えてメールで送信。今日は午前中に定期受診のため、午前中に糖尿病内科へ行く用事がある。夜は池袋コミュニティカレッジで講師のお仕事だ。うっかり失念していたが、小学校の読み聞かせの当番にもあたっていた。まだ本を決めていないので、通院の合間に選ばないといけない。午前八時に行って受付を済ませたらすぐ血液検査をして、それから渋谷まで歩いていって午前十時に本屋が空くのを待って、本を選んだら午前十一時半の受診時間に戻ってきて、それから午後一時半に小学校まで行って……。想像するだに忙しい一日になりそうだ。読み聞かせが終わったら、少し昼寝するぐらいの時間はあるかしらん。

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(9/1)某プロレス団体

 プロレスファンの間では数ヶ月前から話題になっていた件が、ついに昨日一般のメディアでも採り上げられてしまった。もっと早くに対応をとっていれば大事にはならなかったはずなのに、企業としての甘えを感じる。興行では現代性を売り物にしておきながら、いざ問題が起きたら臭いものには蓋をする式の旧態依然のプロレス体質というのではお話にならない。興行会社として近代企業の仲間入りをしたかったら、普段からリスク・マネジメントの準備をすべきでしょう。

 これだけ書くと事情を知らない人は何がなんだかわからないと思うが、別に某社を叩くことが趣旨ではないので、詳細は省く。気になる人は各自調査!

 とにかく、

 問題が起きる
  ↓
 消費者(この場合はプロレスファン)がネットで騒ぐ
  ↓
 企業が知らんぷりを決め込む
  ↓
 消費者がさらに騒いで祭りになる
  ↓
 形式的な謝罪と性急な処理(ネット上の該当記事を全削除とか)
  ↓
 消費者がさらにさらに騒いで魚拓をばら撒いたり電話やメールで各方面に話したりして大事になる
  ↓
 マスメディアに察知される
  ↓
 慌ててマスメディア向けに「対策を検討」すると発表←今ここ
  ↓
 何をやっても「誠意がない」「隠蔽工作だ」「裏切られた」などと批判される

 という負のスパイラルに今片足を突っこんでいるはずである。両足突っこんだら大変なことになるよ。大変かもしれないけど、正念場と思ってがんばれ。あと、みんな冷静に。頭に血が上ってとんでもないことを言い始めている人がいるが、あとで読み返して苦笑することになるようなことをネットなどの公器に書くのはやめよう。恥ずかしいですよ。

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(8/31)夜行性

 昨日は神奈川県横浜市にある「よこはま動物園ズーラシア」に子供を連れていってきた。八月中の土日は、夜間開放をしていたのである。夏の最後のイベントにするつもりだったのだが、あいにくの雨で、雨に濡れたくない動物たちは八割方が屋内にひっこんでいた。仕方ないですね。それはそうと、スマトラトラにせよ、インドライオンにせよ、めぼしい動物たちのほとんどが夜行性ではないような……。

 以前に行ったシンガポールの動物園は、ナイトハイクを見込んで、夜間向けの動物たちを多く飼育していたのであった。昼間はぐったりしていたジャッカルが、夜になると動くこと動くこと。

 たしか上野動物園でも夜間公開をする時期があったと思うのだけど、夜行性の動物が多くいる動物園にこそ、夜訪れてみたいと思ったのであった。

 

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(8/31)今日で夏休みも終わり

 だと思いますが、うちの子供の小学校は一週間前から始まっているので、あまり慌しさはありません。
 むしろ父親のほうが、溜まっている宿題(仕事)を片付けるのに忙しかったりして。

 昨日はNHKの選挙速報番組をずっと観ていた。一年のうち、テレビを観るのは選挙の日ぐらいのものである。十時に麻生首相が会見をしたのも、午前一時近くになって鳩山代表が合同記者会見をしたのもずっと観ていました(鳩山さんは質問に答える前に何をメモしているのだろう。質問事項の要点を紙に書いてから答えているのかな)。その他気になったのは公明党の太田代表の最初の会見なのだが、あれ、もしかして失言? と思う瞬間があった。いいことになっているのか、と思っていたら桂ざこば師匠が同趣旨の発言をして失言扱いされていたし。本人が言う分にはいいのか。そうか。

 選挙の結果はともかく、最高裁判所裁判官国民審査の結果は相変わらず全員信任だった。一票の格差の問題に合憲意見を出した涌井紀夫氏と那須弘平氏の罷免投票がもっとも多かった。一応有意な結果だとは思うが、結果を出せるほどの差ではない。前日投票の空白日の件が問題視されているようだが、今の投票結果を改めない限り、この制度は機能しない。信任する裁判官のみ投票する形にするのと、携わった主な裁判とその結果について事前に情報を出すようにしないと駄目だ。今はネット検索という便利なことができるようになったが、それが無かったころは、いったいどのくらいの罷免要求票率だったのだろう。

◆最高裁裁判官国民審査の結果◆(毎日新聞のネット記事より)
氏名(出身)     罷免要求票数(率%)
桜井龍子(行政官)  4656462(6.96) ※元労働省
竹内行夫(行政官)  4495571(6.72) ※元外務省
涌井紀夫(裁判官)  5176090(7.73)
田原睦夫(弁護士)  4364116(6.52)
金築誠志(裁判官)  4311693(6.44)
那須弘平(弁護士)  4988562(7.45)
竹崎博允(裁判官)  4184902(6.25) ※長官
近藤崇晴(裁判官)  4103537(6.13)
宮川光治(弁護士)  4014158(6.00)

 ちなみに桜井氏には御殿場事件の上告を棄却した件、竹内氏にはイラク派兵に合憲判決を下した件で罷免を求める人がネガティヴ・キャンペーンを張っていたのだが(各自調査。その他の人にも大なり小なりネガティヴ・キャンペーンはありました)、私は司法試験を通過しない行政官上がり(天下りとも言いますが)の方が最高裁に就任すること自体に疑問を感じる。司法の世界以外にも人材を求め、最高裁の視野を広げるためというのなら、官僚ではなく法学者でもいいのではないですかね。

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(8/30)あらすじ

 あらすじって大事です。
 北上次郎さんのように「あらすじを書くのは嫌いだ」と公言される書評家もいるが、だいたいの場合、書評にあらすじは必要である。読者がその本に関心を持つように可能な限り多くの情報を提供するのが書評の役目だが、「素材をもって語らしめる」ためには、本の内容を紹介することがもっとも手っ取り早いからだ(タレントが「泣きました」とテレビで言うことが、内容紹介よりも読者にアピールすることもある。でも、それはテレビタレントがやるからで、書評家が「泣きました」と言っても仕方ないのである)。誤解のないように書いておくが、北上さんがあらすじを書かないのは、他の言葉で本の内容を紹介する芸があるからである。故・中島らもさんが、一切あらすじを書かず、形容詞句の連続だけで本の内容を浮き彫りにする書評を書いたことがあるが、あれは繰り返しのできない手法だ。もっとも効率よく、多くの読者に伝わる方法というのは、やはりあらすじを書くことなのである。

 ここ数日、いろいろな本のあらすじを書いていたが、本によって書きやすいものと、書きにくいものがある。あらすじを少しでも書くとネタばらしになってしまう作品(歌野晶午『女王様と私』、ドゥエイン・スゥイアジンスキー『メアリー-ケイト』など)はたしかに書きやすくはないのだが、書いていてつらくはない。そっち(作者)がその気なら、なんとかしてあらすじを書いてやろうという闘志が湧くからである。いざとなったら北上次郎方式があるしね。本当に書きにくいのは、筋道立てて話を紹介するのが難しい作品である。新人賞の応募原稿についてくる梗概の中には、たまに何を書いているのかさっぱりわからないものがある。登場人物が無駄に多かったり、時制の混乱があったりで、作者自身も内容をよく把握していないからそうなるのだ(面倒くさくなったのか、一人の視点で書かれた小説なのに、多視点でそれを説明してくる人もいる。もちろん梗概としては反則)。あんな感じで、書きにくいタイプの小説のあらすじを書いていると、そのうちにだんだん混乱してくる。プロの作品でもそういうことはあるのだ。あれ、本人はどう思っているのだろう。一度、作者自身が書いたあらすじを拝見してみたいものである。

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(8/28)猫は臭いをかぎつける

 さっきからどうも二階がにゃーにゃー騒がしいなあ、と思っていたら、野良猫がベランダに上がってきていたのだった。子供が、夏休みの宿題のためにアジの干物を作ろうとしている(自由研究なのです)。それを取ろうとしてきたのだろう。でも、高いところに干したから取れないのであった。カラスが心配だな、でも。

 猫の監視が忙しくて仕事にならないのですが。やれやれ。

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(8/27)図書館はありがたい

 苦しめられていた原稿の一つを終えてメール送信。この原稿のために図書館から十冊以上の資料を借りていたのだが、結局一行ぐらいしか使わなかった。引用もなし。

 でも資料というのはそういうものだと思う。該当箇所をコピー&ペーストではなくて、そこを使わなくても原稿を書ける段階まで自分を追い込んでいくために必要なのである。文章の背景の広がりのために使う。使わないけど使う。だからこそたくさん準備する必要がある。

 いやー、でも今回使った資料を全部買っていたら、絶対に足が出ていました。原稿料よりも確実に資料代の方が高いもの。図書館とは、こういうときのために存在する機関であってもらいたい、と私は思うのです。ありがとう図書館の中の人。

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(8/26)このミス大賞

 二次選考の結果が上がっていました。私の箱からは二本通して一本が最終へ。まあまあの仕事だったか。
 それにしても選評が厳しいな。茶木さんはどう書かれるのだろうか。

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(8/25)下読み

 某賞の下読みを終えて、評価を書いた。一作たいへんに優れたものがあったので、楽な選考であった。エンターテインメントのお手本というような作品である(作者の名前に見覚えがないので、初めてこの人の作品を読むのだと思う)。関心したのは、梗概の書き方がすっきりしていたことだ。結末まで書いて、きちんと規定字数内に収めている。梗概でネタばらしをしているのに、本篇に対する興味が少しも薄れない点もたいへんに良い。この方が最終選考に残ることを切に祈ります。

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(8/24)幽霊の2/3

 創元推理文庫創刊50周年記念復刊リクエストで1位を獲得した作品である。文庫解説を書いたので見本を頂戴した。

 学生時代はこの本が欲しいのに手に入らず(古本屋で見かけることすらなかった)、悔しい思いをしていたものだ。気軽に手に入るようになったことを心から嬉しく思います。

 本書の刊行を記念して、読書会をやりたいと思うんだけど、どうでしょう。東京都内で、10月頭くらいに。
 参加者が多いようなら、喫茶店の個室でも予約しようかな。


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(8/18)これはさすがに営業妨害

 よく、本を図書館で借りるのはやめろ、という人がいる。私もできれば本は買って読んでもらいたいと思っているが、個人の事情もあるのだし、「借りずに買って読め」とまでは言えない。ただ、新刊を借りて読みたいのなら、それなりのデメリットがあるのは覚悟すべきだと考えている。私の住んでいる区の図書館では、村上春樹級のベストセラーだと、千人を超える待ち人数になる場合がある。その不便さを受け入れるべきだということである。待つのが嫌なら、他のことを我慢して買って読めばいい。『1Q84』二冊だったら、お昼を六、七回抜いたら買えるでしょう。ビデオレンタルを十回我慢したら買えるでしょう。居酒屋に行くのを二回諦めたら買えるでしょう。娯楽に対価が発生するのは当然のことである。

 本日、図書館のホームページにこんな告知が出ているのを見てびっくりした。

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予約の多い図書を寄贈してください!

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投稿日時: 2009-7-23 16:55:00

・図書を寄贈してください。

・このHPの「予約の多い本」の常連、例えば作家で申しますと、東野圭吾、宮部みゆき、桐野夏生、伊坂幸太郎、石田衣良、真保裕一、恩田陸、海堂尊、角田光代、酒井順子、万城目学、勝間和代(敬称略)のような方々の作品を求めています。

・最近、お客様からの予約件数が増え、図書館としては嬉しいことなのですが、その結果、お客様には今まで以上に長期にわたってお待ちいただく図書が多くなりました。

・予約が増えても、ベストセラーだけを多数購入するわけにはまいりません。

そこでお願いです。

・お客様に人気の、今話題の活きの良いベストセラーの図書を寄贈してください。小説以外も歓迎です。図書館の蔵書としてお客様のお役に立てます。予約での待ち日数を短縮できます。

・ただし、カバーのない図書、記名・書き込み・汚損・破損・水ぬれのあるものは、残念ですが図書館の蔵書とすることはできません。

・もし、皆様の周りに上のような図書がありましたら、1冊でもかまいませんので、最寄りの○○区立図書館にお持ちくださいますようお願い申し上げます。

・勝手ながら、図書館から図書を受け取りに伺うことはできません。たいへん申し訳ありませんが、カウンターへお持ちくださいますよう重ねてお願い申し上げます。

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 これはさすがにアウトだと思う。実名を挙げて本を寄贈しろ、って駄目でしょう。この記事を書いた人間の常識を疑う。なんの法律も侵していないが、下品なことをするな、ということだ。○○区図書館は深く反省するように(三角窓口風に)。

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(8/18)異文化交流

 昨日は都内某所にて、バカミス・アンソロジー文庫化のささやかなお祝い会が開かれた。小山さん、おめでとうございます。幹事さん、出席者のみなさん、おつかれさまでした。

 その席上で、小山さんが出席されている国際推理作家会議のお話をうかがった。各国のミステリ作家や批評家が出席し情報交換をする場なのだが、言語の異なる文化圏に対し、自国や自分の住む地域のミステリーを紹介するという機能があるらしい。小山さんもアジア代表として情報発信に努めているそうだ(追記:実際には本会で発表を行うのは、松坂健さんだとのこと。小山さんからコメントで訂正が入りました。→8/19 追々記 「日本ミステリの現状」テーマで発表をされたのは小山さんとのこと。たびたびの訂正で申し訳ありません)。

 これは非常に意義のあることで、永く続いていってもらいたい。また、日本推理作家協会・本格ミステリ作家クラブからも代表者を送ることが望ましい(すでに実行していたらごめんなさい)。桐野夏生さんの『OUT』英訳版がアメリカ探偵作家クラブのエドガー賞候補になったことは記憶に新しく、それを契機として英訳が進んでいるという。どうせなら、推協賞や本格ミステリ大賞の受賞作は、毎年英訳出版を行うくらいの試みをしてもいいはずだ。作家本人が手にする賞金の額など知れたものだし、そのお金を使って日英翻訳をしたほうが後々の投資になると思うんだけどな(本格ミステリ大賞はたしか賞金がないはずなので、これは完全に持ち出しになるね)。過去の例でいうと、松本清張や戸川昌子は、英訳されて海外で通用するビッグネームになったのである。

 もののついでに、英訳出版してもらいたい作品のベスト10を作ってみた。お慰みにご覧ください。ちなみに、現役作家の作品に絞っています。物故作家編や短篇編、ホラー編、時代小説編もそのうちに考えてみよう。

1位 山口雅也『奇偶』 世界に類例のない大思弁ミステリー。主流文学としても読んでもらえそうだ。言語の壁があるので日本語作品は英訳に向かない、という言い訳はこの作品には通用しない。

2位 松井今朝子『家、家にあらず』 解説を書いたときにゴシック・ロマンス・ジャパネスクという造語をしたが、それが狙い。和製デュ・モーリアか。フェミニストにも受けるのではないかという気がする。

3位 船戸与一『蝦夷地別件』 世界文学の書き手として外せない名前。どの作品でもいいのだけど、やはり日本が舞台のものがいいような気がする。自国にしか関心がないアメリカ人向けに『夜のオデッセイア』?

4位 貴志祐介『硝子のハンマー』 本格畑には紹介したい作品が目白押しなのだが、その代表ということで。男女ペアの主人公像が受け入れられやすそうだし、こういう形でアイデアを蕩尽するタイプの作品は珍しいはずだ。

5位 佐々木譲『警官の血』警察小説を一冊入れたかった。日本国内の警察組織事情を知らない海外読者にも、一家の年代記を描いた作品として受け止めてもらえるのではないか。

6位 鳥飼否宇『爆発的』 これを読んで、海外の読者はどういう顔をするのだろうか。バカミス代表ということで。鳥飼作品はどれを入れてもいいのだけど、題材が比較的通用しそうなものを選んでみた。

7位 桜庭一樹『少女には向かない職業』 初期作品のどれでもいいが、島の風景が印象的かなと。ある程度成熟した社会では必ず問題にされる題材を扱っているので、どの文化圏でも読まれる内容だと思う。

8位 恩田陸『中庭の出来事』 恩田作品を一つ入れたかった。こういう構成の作品も、わが国ではミステリーとして読まれています、と海外の読者に言ってみたい。『三月』か『ユージニア』でもいい。

9位 西澤保彦『収穫祭』 日本の風景を背景にした殺戮劇ということで入れてみました。後半の悪夢展開も文化に関係なく読んでもらえると思う。そういえば西澤さんは米国の大学で創作を専攻していたんだっけ。

10位 東郷隆『蛇の王』 東郷さんの作品は、収支バランスが悪すぎる。あれだけ取材費がかかっている(ように見える)作品なら、もっと多い読者のいる場所で勝負した方がいいのではないか。伝奇小説の代表として。

次点 北村薫『六の宮の姫君』 とりあえずビブリオ・ミステリーのこの作品を選んでみた。日本の文学作品を題材にしていることもあり、関心を持つ読者は多いはずである。

 以上。記憶にある限り英訳された作品はないはず(あったらごめんなさい)。すでに英訳が進んでいる作家の作品は外してみました。北村さんが次点なのは、英訳作品があったかも、と途中で弱気になったせい。

 みなさんだったら、どの作品を英訳紹介してみたいですか?
 

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(8/17)三角形の第四辺

 前にこのブログで忘れられない思い出を残してくれた編集者のことを書いたのだけど、一人追加で思い出した。
 ムック制作でご一緒した某さんだ。

 某さんは、出会いのときから凄かった。例によって力仕事で人手がいるということで、新宿の喫茶店に関係者七、八名を集めてミーティングを開くことになった。ところが、約束の時間から一時間以上経っても某さんが来ないのである。考えられないことだ。関係者が全員揃っていて、編集者だけ遅刻なんていうミーティング、それが最初で最後である。携帯電話はずっと留守番になっている。一時間半待って、ようやく某さんから関係者の一人に電話がかかってきた。

「ここのところ徹夜作業が続いていたせいで、喫茶店で机につっぷしたまま寝てしまいまして……」

 電話を受けた人物が即座に通話ボタンを切ったことは言うまでもない。いや、つっぷして寝ちゃうなら、待ち合わせ場所まで来て寝たらいいじゃんか。

 この時点でものすごく嫌な予感がしたのだが、かけだしの辛いところで、ついつい原稿依頼を受けてしまった。何ページか書いたように記憶している。原稿書きの作業自体は楽しかったので文句はないのだが、できた本を見てびっくり。

 うわっ、だっさあ……。

 本全体につけられたキャッチコピーといい、読みにくい台割といい、ひどいものだったのである。仕事ができる編集者は、初顔合わせで遅刻なんてしないものだとよく判りました。さらに言えば、いくつかの署名原稿で、明らかに手抜き、もしくは編集意図を無視した自分語りのものがあり(商業誌のレベルに達していないと私は判断した)、某さんがクォリティコントロールを怠ったものと私は考えた。だから、見本誌をもらった際に直接言ったのである。

「某さん、この本はひどい出来だと思います。いくつかのひどい原稿が入っているせいで、玉石混交どころか、そっちの印象に引きずられて、ひどく安い印象のムックになってしまっていますよ。きちんとした本を作るんなら、一定のレベルに達していない原稿には駄目出しして、書き直させるぐらいじゃないと……」
「(さえぎって)私はそう思いません!」
「思わないって、じゃあ某さんはどう思われるんですか?」
「それは杉江さんの価値観だと思います。私の価値基準では、これら(私が指摘したやつ)も立派なおもしろい原稿だと思います」

 てへっ、価値観の多様性を持ち出されちゃ仕方ないね! コミュニケーションができないことがわかったのでそれで話を打ち切ったのだが、その後一度も会っていない。もちろん、仕事もしていないのだが、今はどうしているのだろうか。どうぞ、お元気で。でも遅刻は三十分以内にしたほうがいいよ。

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(8/16)本日のワタクシ

 お当番の日なので、小学校に行ってパトロールの仕事をしてきます。
 そろそろ夏休みも終りに近づいてきたので、PTA関係の文書などを作成し始めなければ。

 夕方は子供と一緒に美術館に行く予定。

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(8/15)5つ星ホールを探せ!

 ゲッツ板谷さんがブログで「5つ星ホールを探せ!」連載時の「パチンコ必勝ガイド・ルーキーズ」バックナンバーを持っている人を探していた。私は残念ながら一冊も保存していないので応えられなかったのだけど、誰か見つかったのだろうか。

 もし「5つ星ホールを探せ!」が本になるのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。あの当時、私はパチンコなんてほとんどしないのに、連載を読むためだけに「ルーキーズ」を買っていた。会社員になったばかりで収入もあまり多くなくて、一冊の雑誌を何回も読み返したのだ。金角(当時)銀角の二人が全国を周ってくだらないことをしているのを羨ましく思って、こういう馬鹿旅をいつか自分でもしてみたいと思ったこともあった。独立してお金ができたら、国内旅行なんてしていられないぐらい忙しくなってしまったのだけど。

 できれば、あのころの誌面のまま復刻してもらえたら嬉しいんだけどな。写真の権利とかいろいろな問題があるだろうから難しいだろうか。

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(8/15)ともだち

 以前の日記に書いた「CREA」の作家特集の件が反響を呼んでいる模様。

 米澤穂信さんがブログで反応していた。→ココ
 実は米澤さん、いじられキャラの素質があるとみた。

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(8/14)カンピロンバクター

 本日の午後は、区の保健所で食中毒防止のための講習会をずっと受けていた。秋の祭礼で食品販売の模擬店が出るので、責任者代理として出席したのである。PTA会長ってなんでもやるんだな、と自分でも思った。

 最近増加しているカンピロンバクターって、生の鶏肉の60パーセント以上が感染している可能性があるんですって。知ってました?

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(8/14)保健所

 朝一で月刊誌の原稿を二本終わらせて送付。これでお待たせしている原稿は文庫解説だけになったはずである。ようやく寝られる……と思いきや、今日は秋祭りの行事のため、保健所の講習会に出ないといけない日なのであった。死んでしまう。

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(8/13)プロレスライター

「週刊プロレス」の高山選手のインタビューを読んで驚いた。出だしの展開が「kamipro」に掲載されたものとまったく同じである。先行する雑誌に同じテーマ(三沢選手)のインタビューが載っていることはわかっているのだから、少しぐらい工夫したらいいのに。

 プロレス関連では最近三冊の本を読んだ。おもしろかった順に挙げると、『子殺し』金沢克彦、『闘魂の呪縛 王道の絶望』井上譲二、『ミスターデンジャー松永光弘 最後のデスマッチ』伊藤健志ということになる。金沢本は週刊ゴングの元編集長が、九〇年代後半の新日本プロレスの取材記を公開したという点に興味を引かれる。橋本・小川戦の舞台裏が描かれており、興奮して橋本をノックアウトしてしまった小川が電話で橋本に謝罪したくだりが生々しい(著者は実際にその場にいたわけではないので、伝聞による叙述なのだけど)。井上本の方は、同じく週刊ファイトの最期を看取った編集長の回顧本。ファイトがなぜ業界の異端児であったのかがよく判る本で、立ち位置としては週刊誌やスポーツ紙の記者よりもこちらの方がはるかに正しい。私にはジャイアント馬場について書かれた章がおもしろかった。馬場に可愛がられていなかった記者だからこその、やや距離を置いた視点で冷静に巨人の心理を描き出している。この二冊に比べると、松永光弘本は期待はずれ。これはライターの資質の問題で、松永の自著(といわれている)『ミスターデンジャー プロレス危険地帯』の完成度には遠く及ばない。構成の粗さが最大の難点で、ページを埋めるために松永と斎藤彰俊、TAJIRIとの対談を収録しているのだが、これが見事におもしろくない。はるか昔に収録されたものだという点を抜きにしても、会話のテンポが悪く、無駄な話題が多いので読みにくいことはなはだしいのである。よく勘違いしているライターがいるが、ライブ感のあるインタビューというのは、会話そのままを起こした原稿のことではないから。ライターを替えて、mixiで松永が書いている日記を収録した構成にしたら、本の完成度は何倍にもなっていたはずである。金沢・井上・伊藤三氏のライターとしての資質が、本の出来に直接反映された結果になった。

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(8/12)バカミスのこと、もう少し

 以前「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」でバカミス特集を持ってもらったとき、否定派、肯定派両方の意見を載せたいと思い、バカミスという用語に嫌悪感を表明しておられる作家にお会いして直接寄稿依頼をした。たしか別件でインタビューをしたときに、雑談の形でお願いしたのだったと記憶している。結果としては断られたのだが、その理由は十分納得のいくものだった。要点をかいつまんで書くと、こんな感じ。

「バカミスというものを楽しんでいる人がいることは承知している。ただし、そこに関与することはしないし、否定論を書くつもりもない。公的なメディアで自分が発言すれば、それ自体がバカミスというものの存在を認めたことになるから」

 ああ、なるほど、と思ったのである。これは否定論を書くよりも強い否定の仕方でしょう。つまりメディアでバカミスというものを取り沙汰する回数が増えれば増えるほど、なし崩しに用語が市民権を得ていくことになる。そこに荷担はしません、というわけだ。この方は、かねてより「バカミスという用語にまつわる思考停止の感じが嫌いだ」と発言しておられるので、首尾一貫している。バカミスという用語が市場に流布すること自体を避けたいということだろう。

 バカミスという用語は、関西と関東で言葉の荒々しさが違う、ということを別の方から言われたことがある。関西の方がバカという言葉に不快感を抱く方が多い、ということだろう。バカミス普及の妨げとなっているのはその語感だ、という説もあるのだが、私は違うと思っている。やはり問題なのは「思考停止」なのだ。

 思考停止の感じ、というのはこういうことだと思う。小説にはさまざまなテーマが盛り込まれ、そのテーマを文章に実現するためのプランが凝らされる。小説は世に出た瞬間に作者の手を離れて読者のものになるが、作者はできる限り誤読をされないよう、また誠実な読み手の期待に応えられるように最大限の努力を行って文章を書く。読者は、作者が行間にこめたものを汲み取りながら、自分なりのストーリーを胸中で構成していく。そうした交流によって醸成されるはずのものが「あれはバカミスだね」という一言で片付けられてしまうのが、書き手としても読み手としても許せないということなのだろう。あれこれ委曲を尽くしたのに「結局バカミスかよ」という。

 バカミスは読書の切り口であって、結論であってはならないのである。あれはバカミスだね、なぜならば……という、「なぜならば」が伴わないのであれば、たしかにその読みは思考停止したものに「見える」。「バカをバカと言う」というのは、何も生み出さない閉じた行為だからだ。書評に「バカミス」の用語を使うのが危険なのはその点で、私はかなり前から、文章量に余裕がない媒体での文章でこの用語を使うのは、自粛するようにしている。使うときには、説明責任を負って使うべき用語だということである。

 そんなわけで、この用語が世の中に幸せな形で流布していくことを望む者としては、今後はより一層慎重な姿勢で「バカミス」に接していきたいと考えるのである。バカミスという用語を捨てたり、忘却したりするわけではない。一見関係ないように見える事柄が実はバカミス支援になる、ということがきっとあるはずなのだ。かつて旗振りに携わったものとして、そうした形でバカミスを愛していきたいと思う次第であります。以上、おわり。おわる。おわった。

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(8/11)忘れられない三人の編集者

 ぼうっとしていたら、大昔のことを思い出した。ので、書いておく。

 今の筆名を使い出してから十数年経っているが、その間に編集者とのつきあいで「これはひどい」と思ったことは三回だけである。ひどい、というのはつまり「許せない」ということで、二度とその人とは仕事をしたくないという気持ちになった。人を呪わば穴二つの喩えどおり、杉江松恋はなんてひどい奴だ、と思っている編集者や同業者の方も世の中にはいるはずである。なので自分だけ被害者面をするのはアンフェアではあるのだが、思い出しているうちにだんだん腹に据えかねてきたので、その三人について書いてしまうことにする。夏だから仕方ないね。

 三人の中の一人目。某社でムックを作った際、物撮りのために本のカバーを大量に貸したのだが、返却してくれなかった人。カバーが存在しない本(ハヤカワ・ミステリなど)は現物を貸したんだけど、それも戻ってこなかったんだよなあ。本が出た後にこの編集者は会社を辞めてしまい、問い合わせの電話をしても応答してくれなくなった。携帯電話を鳴らしても出ないので、あれは多分着信拒否していたのだと思う。最後に確認したときは某漫画家さんの復刻本を作っていた。サイトも作っていたので、そのサイトに記載されていたアドレスへ返却要求のメールを送ったのだけど、梨のつぶてだったのだよなあ。ちなみにそのとき失くされたカバーの一つが、S・A・ステーマン『三人の中の一人』(番長書房)だ。ライオネル・ホワイト『逃走と死と』も失くされた。本人は逃走後、無事でいるのだろうか。

 三人の中の二人目。某社で雑誌特集に協力した際、ギャラを払ってくれなかった人。このときは大先輩のライターさんからの紹介仕事だった。お世話になった方なので切り出しにくかったが、半年ぐらい経ってからその方に「実は」と伝えると、すぐに渡りをとってくださりしばらく経ってから原稿料が振り込まれた。そういう意味ではギャラももらったので引きずる必要はない。だが、その方が連絡した際の編集者の言い訳が噴飯物だったので覚えているのだ。なぜ原稿料を払わない? と聞かれてその人物は「尊敬する淀川長治が亡くなられてから何をする気にもなれなくて……」と答えたそうである。ふーん、そうですか。人の生き死にを言い訳に使わないように。

 三人の中の三人目。某社でムック制作に協力した際、ギャラを払ってくれなかった人。このときは編集部のメンバー全員が一斉に退社するような事態だったらしく、直後から一切連絡が取れなくなった。後日会社の社長に電話をして事態を説明したところ、「現在調査中でして……」と言われてそのままになってしまった。私だけではなく、その本に携わったライターの大部分が原稿料未回収だと聞いている。中には私が声をかけてお願いした方もいるので、さらに申し訳ないと思うのである。このときの仕事はとにかく突貫作業で、台割決定から見本刷り完成まで一月もなかったような記憶がある。とにかく体力勝負なので、駆け出しライターが何人か集められたというわけだ。

 私は知らなかったのだが、その人物は映画雑誌などで長いキャリアを持つ編集者だったらしい。おそろしいことに私(と仕事をした仲間)は、その人物の編集方針にいちいちクレームをつけたのである。キャプションやリードのたぐいはとにかく全否定して変更させた記憶がある(だって、ダサかったんだもの)。自分が執筆したのが、ハードボイルド小説の歴史に関する箇所だったので、特にこだわりが大きかったのである。今考えると編集者の編集権を侵すほどの口出しだった可能性もある。クレームをつけているのは、ほんの駆け出しのライターなのだから、大いにプライドを傷つけられたことだろう。そんなこんなの鬱憤がたまって、許せない気持ちになっていたのではないか。本当なら会社を辞めるときには残務整理をして「これこれの人に払う原稿料がまだなんですよー」と伝えていってもらえれば済む話だったと思うのだが、その対象が憎むべき相手だったとしたら、伝票を切る手も止まろうというものだ。そういうことだったのかもしれないねえ、と庭にやってくる小鳥たちに語りかける今日このごろなのである。

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(8/11)ミス連ゲストは辻村深月さん

 今年も八月になってミス連こと全日本大学ミステリ連合の大会の時期がやってきた。
 今回のゲストは、先月ホラー短篇集『ふちなしのかがみ』を刊行された辻村深月さんである。

 大会そのものは、山梨県某所で八月二十一日から二十三日まで合宿形式で行われる。辻村さんがいらっしゃるのは、二十二日の午後からだ。二十一日は金曜日だしちょっと参加しにくいな、という方も二十二日からの参加でも可能なので、いかがでしょうか。ちなみに名称は「大学」ミステリ連合だが、社会人の参加も受け付けている。開催日まであまり時間がないので、もし参加を希望される方がいたら私にメールでお知らせください。

 編集者の方が学生幹事への連絡先がわからない場合は仲介します。でも学生主催のイベントだから、あまり仕事の話を持ち込むのはやめてくださいね。いつだったか有栖川有栖さんがいらっしゃったとき、外房の先のほうだったのに、某社の編集者がやってきていたので驚かされた(しかもサイン会後の有栖川さんをつかまえ、話をするだけして帰ってしまったので二度びっくり。書店サイン会とかと違って営業イベントじゃないんだから、主催団体への仁義を切るくらいはしてもよかったのではなかろうか)。そこへいくと微笑ましかったのは、今は祥伝社のエライ人になってしまったHさんで、綾辻行人さんがゲストでいらっしゃった際、参加者としてきちんと一泊して帰っていかれたのであった。まだ面識がなかったころだったので、旅館の玄関で「綾辻さんは上にいらっしゃいますか?」と聞かれて、答えていいものかどうか迷った記憶がある(だって不審者かもしれないじゃん)。まあ、Hさんはワセダミステリクラブの出身で、ミス連参加経験もある方だったのだけど。一泊しなくてもいいので、ちょっと学生さんと交流して帰ってくだされば結構です。どうぞ業界関係者もいらしてくださいな。詳しい場所は明かせませんが、都内からでしたら日帰りも可能です。

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(8/10)次回作に期待のこと補遺(キャラクター)

 前のエントリーに追加しておくべきことを思い出した。独立させたほうがいい話題なのでこっちに書きます。

 キャラクターの魅力のことである。小説のキャラクターが自分の魅力を読者にアピールできる機会は限られている。小説の中で起きる出来事とキャラクターがどう関わるか、どのような動きをとるかという行動でのみ表現できるのだ。ミステリーのように、中心になる事件があるような小説ジャンルの場合は特にその度合いが強い。事件によって語られなかったとしたら、そのキャラクターには魅力がないことになってしまうのだ。だから、先に事件を設定し、その中に必要とされるキャラクターを配置するという書き方は基本的に正しい。

 ミステリー小説の登場人物に魅力が感じられないとしたら、それは事件との関わり方がおかしいからである。言い方はおかしいが、事件のこまとして十分に機能しきれていない。よく書けている小説なら、事件のありようがキャラクターを規定し、そのキャラクターの動向によって事件の帰趨が変化するといった、良好な影響関係が成立しているはずだ。それができているかどうかを一番よく知っているのは、実は作者自身である。作者自身が納得いっていないキャラクターは、絶対に読者からは評価されない(いや、納得のいったキャラクターでも評価されるとは限らないんですけどね)。プロの作家は、キャラクターが一人歩きをするようになった、という言い方をよくするが、かいつまんでいえばそういうことである。小説の構成要素として必要不可欠な部分をキャラクターが担っていれば、そのキャラクターは自律的な動きをとってくれる。その「自律的」というのがまた曲者で、キャラクターが勝手に動いた果てに予定調和のつまらない落ちにたどり着いてしまうこともあるわけなのだけど。

 その辺の広がりが出せるか出せないかという問題は、作者自身の資質に依拠するので最初から狙うのは難しい。ただし、書き終えた後で「どこがまずいのか」という判断はできるはずなので、脱稿後に編集者の目になって読み返せば、粗は発見できるはずである。つまり、そういう作業の繰り返しによって、よく動くキャラクター、つまらない動きをしないキャラクターを生み出す訓練をする必要があるということだ。

 要するに、そういうことを言いたかったんです。
 

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(8/10)次回作に期待の件

 ぶらぶら検索していたら、「このミス」大賞の「次回作に期待」拙稿について触れていただいているブログを発見した。賞に応募された方だと思うので、リンクはしません。あしからず。

 せっかくなので「次回作に期待」で書いたことの補足をしておきます。

 あの文章の冒頭で、私はこう書いた。
 正直申し上げて、1次選考を通過した二作の出来が飛びぬけていました。読みやすさや論理展開に配慮した構成がとられており、物語の素材についての取材が行き届いており、テーマが完全に消化されている。かつキャラクターに愛すべき点があり、作品に独自の雰囲気が備わっているとくれば、どこへ出しても文句のない作品です。残念ながら二作のレベルに一歩届かなかったものについて、ここでは紹介をしておきましょう。

 文字数が足らなかったので十分に説明できなかったが、上に挙げた事柄は、ミステリー新人賞原稿を読んで判断するときの基準を自分なりにまとめたものである。前半分が必要条件、後半分が十分条件ということになる。

 つまり、
 1)読みやすさや論理展開に配慮した構成がとられている。
 2)物語の素材についての取材が行き届いている。
 3)テーマが完全に消化されている。
 という三つの条件をすべて満たしていれば水準作であり、欠けていれば減点材料となる。落すために読まなければいけないような選考のときは、減点が少ないものを最初に合格にします。
 もちろん新人の作品だから、作品に過不足があるのは当然のことで、過剰が微笑ましいことがあれば、もう少し書いてくれていたら、と拙さを残念に思うこともある。そういうときに、減点部分を補ってくれるプラスアルファを求めるわけだ。そんなときに以下の二点が備わっていれば、無茶を承知で加点することがある。

 4)キャラクターに愛すべき点がある。
 5)作品に独自の雰囲気が備わっている。

 もちろん、1)~5)のすべてが揃った作品が候補作としては望ましいのだが、そんなものは百本読んで一本あるかないか。今回自分の箱から通した二作は、以上の五つの条件を四つずつ満たしたものだと考えている。逆に「次回作に期待」止まりとした作品は、二以下だったということですね。三の作品が無かったので、残念ながら三作目の一次通過作品を出すことができなかった。選考の経過はそんな感じでした。

 上の条件はあくまで私的なものなので、他の新人賞や他の選考委員に当てはまるものかどうかはわからない。たとえば、どんなに論理的で取材が行き届いた作品でも、キャラクターが駄目なら通さないという人もいるでしょう。私は、キャラクターを加点条件にして減点対象にはしないというだけの話である。作品の雰囲気、というのは曖昧な言い方なのだけど、文体や表現の巧拙はここに含まれると考えている。つまり、一次選考の段階では、文章が稚拙だと思うものでも、ある程度までは目をつぶるということである。読みやすければ。素材がわかりやすく表現されていれば。書き手のやりたかったこと(と読者が判断すること)が十分にできていれば。それを判断するのが「ミステリー新人賞の下読み」の仕事だと私は思っています。もちろん、普通小説の応募原稿を読むときは、違ってくる条件もありますよ。

 だいたいそんな感じ。あれだな、「このミス」大賞の一次選考委員が一人ひとりの選考基準を明らかにしたら、ちょっとおもしろいかもしれませんね。開かれた賞なのだから、そのくらいやってもいいような気がする。

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(7/31)あれまあ

 いろいろなことが遅れ気味なのでブログなど書いている場合ではないのだが、「あれまあ」と驚いてしまったので。
 ターザン山本!さんの「ターザンカフェ」で湊かなえさんの『告白』についての読書感想文が上がっていたのだが、読んでみてびっくりした。この無防備さはすごいと思う。もう山本さんのことを気にするのはやめようと決めてからだいぶ経つのだが、こういうところを見せられてしまうと、やはり食いついてしまう。「これから小説を書こうとするにはいい経験になった」だそうなので、湊さんは誇りに思っていいです。しかしどう考えても、山本さんが書くであろう未来の小説は『告白』タイプのものにはならないはずなので、絶対参考にしたいほうがいいです。トヨザキ社長お薦めの女子小説『学問』(山田詠美)とか読んでみてはいかがでしょうか。

 そういえば、最近山本さんについて触れたブログの記事で気になったものがあったっけ……と思い出したので曖昧な記憶を頼りに検索してみたら、なんと唐沢俊一検証ブログの記事だった。プロレス関係じゃなかったか。しかも去年の記事だから「最近」じゃないし。


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(7/29)ひそひそ

 昨日は都内某所で密談でした。
 まだ詳細は決まっていませんが、年末から年度初にかけておもしろいことができるかも。
 10月頃には発表したいと思います。

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(7/27)第八回「このミステリーがすごい!」大賞

 一次選考の結果が発表されました。
 これにてお役御免、はあ、どっとはらい。

 下読みは、このあと八月に一つ長篇をやる予定。あともしかしたら某賞の二次の話も回ってくるのかも。
 しばらくは自分のための読書に専念できそうです。

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(7/27)お暑い盛りでございます

 何をしていなくとも汗が出て、ぼうっとしてきますな。今、虫さされの薬だと思って塗っていたものがスティックのりだったことに気付いて、慌てて拭いたところです。

 土曜日は区のPTA会長会で半日仕事であった。会合のあと、青少年委員の方と意見交換会で話し合った。立場は違えど、同じように児童のための仕事をしている同士なのでいろいろと発見がある。有意義な会だったが、どうもそのあたりで体力の限界がきたようで。日曜日は寝て過ごしました。いろいろとごめんなさい。

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(7/23)文庫解説ラッシュ

 なんだか毎日文庫の解説を書いているような気がする。
 お盆進行と日ごろの怠惰のため、〆切が重なったせいだ。
 これが終わったら、鍼を打ちにいくんだ……。

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(7/22)怪奇な一日

 みなさんの地域では日食、ご覧になれましたか?

 同じ編集部の三人に別々の原稿を待たせてしまうという非道なことをしていたのだが(すいません!)、ようやく二つが終わった。皆既日食ならぬ部分日食という感じである。今日中に、最低あと一つは原稿を終わらせないとなりませぬ。

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(7/19)つまらない

 昨日からキャンプの予定だったのだが、熱を出してしまい、大事をとって家で寝ています。
 子供たちにうつすと大変だから。

 そんなわけでもろもろ停滞中。一人で二泊三日自宅で留守番。

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(7/17)ミステリチャンネル

 本日は二回目になるブックナビの収録日でした。人前で話すのはやっぱり慣れない。

 収録終了後、帰宅のため地下鉄に乗ったら、座席に掛けたところで声をかけられた。女性の三人連れである。こんなところで逆ナンパか! とびっくりして見返したら、なんと辻村深月さんであった。おお、なんという奇遇。今月はミステリチャンネルで辻村さんの『ふちなしのかがみ』に関するインタビューを流している最中だし、ブックナビでも少し辻村さんの話題が出たばかりだった。辻村さんは編集者の方と一緒だったので、きっと何かの用事の途中だったのだろう。一人の編集者とは初対面だったので、名刺交換をさせていただいた。電車の中で名刺交換をしたのは、たぶん生まれて初めてである。こういうこともあるものだ。


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(7/15)某文学賞

 結果の連絡をいただく。順当すぎるほどの結果で、納得である。おめでとうございます。
 胸を撫で下ろしている関係者がたくさんいるはずだ。

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(7/14)おらが町に……

 昨日は「このミス」大賞の下読み選評に「問題小説」書評、某誌インタビュー原稿と三つの〆切のデッドラインが重なり、正直ちょっと涙が出た。その合間を縫って小学校に足を運んだのは、校長との相談があったため。

 実は、隣の学区内に某安売りチェーンの店舗ができることになり、店舗の上には本社機能も引っ越してくることになった。近隣の商店会は大騒ぎをしており、子供たちへの影響も考えられるからPTAも対応を検討してもらいたいと要請を受けたのだ。なにしろ二十四時間営業ですからね。

 校長には、反対運動のようなものには学校もPTAも首を突っこまないほうがいいですよ、といわれた。それはその通りで、保護者の中にはその会社に関連した仕事をしている人がいるかもしれないのだし、店舗ができればそこで働く人がいるかもしれないのである。利益関係の対立があるときに、一方の側だけに同調するのはまずいだろう。ただ、事前に申し入れというか、子供の健全育成につながるお願いだけはしておく必要があるだろうとは思うのだ。今のところ案として出ているのは、

 一、未成年者の入店時間の厳守。店員による声掛けと、ルール掲示。
 二、商品展示のゾーニング。アダルト商品を子供の見えない場所に隔離すること。
 三、地域安全パトロールの店内立ち入り許可。
 四、防犯体制。万引きなどの犯罪があった場合の教育機関への連絡徹底。
 五、防災体制。災害時の緊急避難経路確保。
 六、地域社会への積極的参加。行事などへの人的派遣や出店など。

 こんなところかな。他になにか案があったらコメントで教えてください(あ、さしさわりがあるので具体的な店舗名を書き込むのはやめてくださいね)。

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(7/13)慌しく

 週明けには絶対、と厳命されていた下読みの結果を先ほど編集部に連絡した。今回はかなり悩みました。

 土曜日の夜にあった会議のせいで、PTA会長の公務がかなりせわしないことになっている。地域住民の暮らしを一変してしまいそうなことが起きるためである。なんだかたいへんなときに任期を務めているものだ。本日午後一番で小学校に行き、校長と協議する予定。

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(7/11)お座敷

 本日は午前中が町会少年部、午後が区のPTA連合会、夜が地域の懇談会と、三連荘でお座敷がかかっている。なんだかインチキな政治家みたいだ。合間に仕事できるといいなあ。

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(7/10)それにしても

 なぜこう毎日PTAがらみの用事ばかり重なるのか。
 本日はこれから、秋のバスハイクとおまつりの出し物の件についての会議に出席しないといけない。
 帰宅は九時すぎになります。もちろんそれから続けて仕事。

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(7/9)忙殺

 昨日は本の雑誌社にて某企画のための座談会に出席した。ひさしぶりに中野区まで出張ったものでうろうろ迷い、迎えにきてもらうという大迷惑なことに。終了後、寄り道せずにまっすぐ帰宅したが、あまりの高湿のため仕事は遅々として進まず。

 本日は、またしても午前中がPTAのためにとられてしまうので午後が勝負。溜まっているあれやこれやを片付ける所存です。みなさま、いろいろごめんなさい。

 ちなみに下読みも未了。編集部に泣きを入れて待ってもらっている状態なのでなんとか早めに終わらせたいのだが、なかなか難しいんだよなこれが。

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(7/8)どんどこ重なる

 昨日に引き続き本日もPTAの役員会及び運営委員会に出席するため学校へ。席上で校長先生にある事の依頼をされてしまい、当然ながら断れない。この忙しい時期にいろいろなことが重なってまいりました。夜は某社の企画で座談会に行かなければならないというのに、仕事がなかなか捗らない。まあ、こういう日もあるよ! と割り切って昼から豚足とか食べてみる。豚足おいしい。

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(7/7)七夕

 仕事がまずいことになっているのだが、午前中は約束があり、小学校に行ってきた。
 区の教育委員会に提出する予算要望書をまとめなければならなかったのだ。こういうところに予算を使ってもらいたいという要望を、各小学校単位で提出するのですね。この日のために保護者にアンケートをとってあったので、その集計である。

 多かった意見は、やはり授業時間を増やしてほしいというもの。これは教育カリキュラムに関する問題なのでPTAの要望としてはやや的外れになってしまうのだが、気持ちは判る。とりあえず副担任制を充実して、担任の先生が不在のときでも平常通り授業を実施できるようにしてほしい、という要望は出しておいた(新任の先生は研修が多いので、しばしば学校を空けがちなのだ。そのたびに代理の先生が授業をすることになるので、カリキュラムが進まなくなる)。あとはスクールカウンセラーの充実と交通安全の確保に関する件。

 そんなこんなで半日終了。昨日から一睡もしていないので、今からちょっと仮眠します。

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(7/6)応募原稿の綴じ方

 籠って下読み原稿をずっと読んでいる。もうすぐ終わりますので、関係者の方はちょっとだけお待ちください。

 さすがに最近は減ってきたが、二穴式のバインダーで綴じられた原稿は本当に読みにくい。卒業論文を提出する感覚なのかな。百枚を超える原稿の場合、あれを開きながらページをめくるためには常に両手を使う必要があり、ひどく面倒くさいのです。似たような理由で、二穴で紐綴じにしてある原稿も本当は迷惑だ。常に右手で読み終えた分の紙を押さえていなければならなくなるので、うっとうしいのである。

 好きなのは右肩に穴を一つだけ開けて、適度な余裕のある紐で綴じてあるもの。次点は同じく右肩をダブルクリップなどで留めてあるものだ。私はいつも自宅で読むので支障ないが、外出先で読む可能性がある下読みの人は、ダブルクリップ留めはいやがるかもしれませんね。原稿がばらけてしまうから。また、空けた穴に破れ止めのシールを一枚ずつ貼ってある原稿があるけど、最初と最後の一枚ずつだけでいいと思う。むしろ気を遣っていただきたいのは穴の位置で、本文の印刷箇所と穴は十分に離れていないと、紙を強めにめくらないといけなくなるので、敗れてしまう可能性がある。それを防ぐためか、原稿の上下を厚めの紙で挟んで表紙状にしてくる原稿があるけど、上記の理由によりそれはそれで迷惑です。破れるのが嫌なら、ちょっと高めの紙に印刷すること。

 まあ、どんな形に綴じてある原稿でも、読めれば別に問題ないですけど。

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(7/3)池袋のこと

 池袋コミュニティ・カレッジの「ミステリーの書き方」講座は、昨日二〇〇一年の七月期に入った。受講者は十三人になる見込み。不吉な数で実に素晴らしいですね。

 第一回ということで、昨日はいろいろと手を動かしてもらった。その場で私が即興の文章を考え、リレーで後を続けてもらうという試み。起(私)→承(受講者A)→転(受講者B)→結(受講者A)という形で、受講者Aの承がわかりにくいと受講者Bが転を書きづらく、自分が結を書けなくなるという仕組みだ。どんな話にしていいわけでもなく、最初に私から一人ひとりにお題を出して、それについて書いてもらうのである。したがって受講者が十人いれば、同じ書き出しから十通りの話ができる。

 これは、お話の中の構造体であるプロットを、ストーリーの中に自然に浮き上がるようにするにはどうしたらいいかという実験だ。お話の最後で突然「実は真相は○○で」と登場人物が語り出したら興ざめでしょう。「真相は○○で」と登場人物が語り出す前に、読者が無意識のうちに真相を悟っていなければいけないのである。「○○」と言われた瞬間に、みなまで言われなくてもすべてが理解されるぐらいが理想だ。

「実は私はふたごで」「だからあのとき、クリームソーダじゃなくて普通のソーダ水を頼んだのか!」
「実は私は男で」「だからDSじゃなくてワンダースワンを買ったのね!」
「実は熊で」「だから肉食なのか!」

 などなどと。そのピーンとくる感覚を文章で表現できていたら合格。これはミステリーだから最後の最後にプロットが発現する形だけど、他の小説ならプロットの埋めこみ方も変わってくる。たとえば継子いじめの話だったら、最後の最後に親子が実は血がつながっていなかったとわかるのがミステリーの書き方だが、普通の家族小説ならその事実を最初から明かして書くわけである。起承転結のリレーは、そういう形の小説でもできる。最初に指定したプロットから、外れないように後をつけていくわけである。「人違いの悲劇」の話のつもりがいつの間にか「二重人格」の話になっていたら×。

 そんなことを講座ではいつも話したり、実践したりしています。

 昨日の書き出しはたしかこんなのだった。

「 A美はオープンテラスのカフェにいた。会話をしながら同席者に向ける顔は憂いを帯びている。
 B夫は植え込みの影から妻の姿を見つめていた。腕時計に目をやり、時間を確認する。午後二時四十七分。
 背を向けていた同席者の男が姿勢を変えた。横顔を見たB夫は息を呑んだ。医師のCだ」

 文章がまずいのは、即興で黒板に書いたのを思い出しているからでご容赦を。この後に、あなたならどういう続きを書きますか?

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(7/2)幽

 最新号の見本をメディアファクトリーからいただく。今号でリニューアルがあり、書評が従来の一ページから半ページへと減らされた。文字数が変わるので、書き方も変える必要がある。今回採り上げたのは高橋克彦さんの『たまゆらり』。どこを切っても高橋さんを思わせる作家が出てくる、おもしろいホラー短篇集である。

 書きあぐねていた文庫解説が終わったので、今から講師の仕事をしに行ってきます。戻りは深夜。ぎっくり腰の按配が心配だ。

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(7/2)偶然

 雑誌「ナンプレファン」に連載している「より道ミステリー」というコラムは、書評にしては多くの感想を読者からいただいている。パズルの専門誌ということを意識して、「謎解きのスタイルに特色があるミステリー」「その作品から派生して読むと楽しい古典ミステリー」「パズルの要素がどこかに入ったミステリー」の三点を紹介する形式だ。パズルが好きな人ならこういうのも好きでしょう、とか考えながら作品を選んでいく時間が非常に楽しく、ついついいつも時間をかけすぎてしまう。読者以上に、自分が楽しんでいる連載かもしれません。だから、コラムを読んで実際に本を買ってみた、というような反響のお便りをいただくと、嬉しくなってしまうのだ。とても励みになります。ありがとう。

 そんな「ナンプレファン」の編集Kさんは、先に行われた本格ミステリ大賞トークショーに参加して、抽選でサイン色紙をもらったそうである。大賞の授賞式に参加したクラブ員すべてがサインを入れた珍品だ。知人にそれが当たるというのはすごい偶然だが、もちろん私の作為などではない(トークショーには参加していないし)。おもしろいこともあったものだ。ちなみにその色紙に私が入れたサインは、トークショー用の特別版で、普段はそういう書き方をしていません。普段サインをする機会なんて、あまりないけど。

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(7/1)新人賞

 第四回ポプラ社大賞は大賞・優秀賞ともに該当作なしという結果に終わったとのこと。第二回、第三回と大賞が出ていないわけで、苦渋の選択だったと思う。しかし編集部の判断を支持します。第三回の優秀賞、特別賞受賞作品のレベルを上回るものでなければ大賞には値しないというのは当然のことだ。次回以降もこうした厳しい姿勢で臨んでもらいたい(今年でポプラズッコケ文学賞が二年目を迎えるが、児童文学を切り分けたのはいい判断だったと思う)。

 だけど、募集時期はそろそろずらすことを検討してもいいかも。二月末〆切だと新潮エンターテインメント大賞と同時である。ざっと羅列すると、
 一月上旬 ダ・ヴィンチ文学賞
 一月末 小説現代新人賞、江戸川乱歩賞
 二月末 ポプラ社小説大賞、新潮エンターテインメント大賞
 三月末 小説すばる新人賞
 四月末 日本ファンタジーノベル大賞
 五月上旬 日本ミステリー文学大賞新人賞
 五月下旬 小松左京賞
 五月末 「このミステリーがすごい!」大賞
 七月末 横溝正史ミステリ大賞、日本SF新人賞、野性時代フロンティア新人賞
 十月末 日本ホラー小説大賞、鮎川哲也賞
 十一月末 松本清張賞
 と、メジャーな賞はこんなものかしら(抜けや間違いがあったら失礼)。
 
 二月から五月が、各賞の〆切が重複する繁忙期に当たる。ここを外すと、だいぶ応募者の顔ぶれも変わってくるような気がするんだけど。八月末なんかどうだろう。お盆休みを利用して追い込みをしてくる応募者が結構いるのではないかな(夏休みに執筆する学生も)。

 新人の発掘は大事なことだから、今回の結果に腐らずポプラ社には大賞を継続してもらいたい。

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(7/1)消えていません

 ココログが半日システムエラーのため飛んでいたが、深夜になって復活。404エラーが出ていたので、一時はどうなるかと思った。この機会にちゃんとバックアップをとっておかなくちゃ。

 今週はぎっくり腰やブヨ害のせいもあって外出は最小限にとどめることにする(役員会を来週に延ばしておいてよかった)。みなさん、来週以降にお会いしましょう。とりあえず今日の課題は、ずるずると延ばしてしまっている文庫解説の仕事を片付けることだ。

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(6/29)新人賞関連

 春先からいくつかの新人賞下読みを担当して、時期によっては複数の新人賞応募原稿が玄関に山積みになっているような状況だったのだが、ようやく落ち着いた。今、家にあるのは「このミステリーがすごい!」大賞の応募原稿だけである。進捗状況はようやく六割というところか。いくつかおもしろいのがあったので、二次へ通すときにはまた悩むことになりそうだ。来週ぐらいまでには終えて、戻します。

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(6/29)さらに

 ぎっくり腰だけでも厳しいのにもう一つ難問が。山梨で何かの虫に刺されて両足が腫れ上がってしまいました。痛くてしかたないので、今から病院行ってきます。

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(6/26)本日のワタシ

 本日は都内某所にて生瀬勝久さんにインタビューをする予定である。映画「南極料理人」が八月に公開されるのに合わせた某誌のためのインタビューだ。先日来、俳優さんにお会いする機会が重なっているね。

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(6/25)家庭教育学級

 ただいまよりPTAの会合で小学校に行ってきます。うっかりして予定を一つすっぽかしてしまったことに気付き、今少々慌て気味。

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(6/24)書評家の思想など豚にでも食わせろ

 ああ、びっくりした。
 何を驚いているのかというと、昨日も書いた黒古一夫さんのブログである。最新のエントリーを読んで、黒古さんの書評に関する価値観が自分とはまったく違うことを知った。豊崎さんがコメント欄で黒古さんの『1Q84』書評を批判したことについて触れ、「「ヘタ」「上手」という価値基準で、人の文章を批判するのは如何なものか」「「ヘタ」「上手」が書評の判断基準になることについては、正直言えば「むっ」ときた」と感想を述べた後に、黒古さんはこんなことを書かれたのである。

 ――だけど、文章(「書評」も含む)って、本当に「ヘタ・ウマ」という「技術」の問題なのだろか。もちろん、説得力を増すためには「技術」(豊崎さんなどはそのれに加えて「(文壇)情報」など)も大切だろうが、僕はそれよりも著者の思想性(つまり、メッセージ性)の方が大切だと思っているが、所詮それは「好み」の問題に過ぎないだろう。

 執筆者は、漫然と文字を並べて文章を作るのではなく、読者へのメッセージとして自己の思想を表明すべきである。誰かに対して文章を書いている人間(商業媒体の書き手に限らない)にとって、これは大事な基本原則だ。黒古さんがその意味で書かれているのであれば、おおいに首肯するのである。だが、書評を含む文章に技術の問題が必要ないと考えておられているのであれば、それは無邪気にすぎる。

 幼稚な思想、悪辣な思想を載せた文章が市民権を得られないかといえば、そんなことはない。卓越した文章技術は、読者をあっさりと説得してしまうからである。逆に、どんなに高尚な思想であっても、それを載せた文章が稚拙なものであれば、読むことさえ拒否されてしまうだろう。まず、他人に読んでもらわなければならない。そのためにありとあらゆる手を尽くさずして、表現者たる権利は得られないのだ(博士号や教授職といったアカデミズム内の地位をお持ちの方は、この競争に関してのアドバンテージを有しているはずなので、こうした意識は薄いのかもしれないが)。文章表現における技術とは、「説得力を増すため」の技術(すなわちレトリック)だけには留まらない。いかに誠実に文章を書いているか、執筆者は読者に示す必要がある。そのために必要な準備も、文章技術の中には含まれるのである。

 書評を手がける人が自分の文章を他人に読んでもらいたいと考えたら、最低限必要なことは「読者が求めるものを供する」ことである(たびたび引き合いに出して申し訳ないが、黒古さんはそうした意識が薄いのではないか)。自己のメッセージを伝えるだけの努力では、書評の読者にとっては不十分なのだ。書評家は、対象とする本について、読者が求めている情報は何かということを第一に考える必要がある。その情報を十分に供した上でさらに余裕があったとき、初めて自らが書きたいと望むメッセージを伝えることが許されるのである。執筆者の自分語りが多すぎて、自分が知りたい情報(その本は本当におもしろいのか、買うに値するものなのか)が含まれていない書評を読んだとき、私は必ず思う。「書評家の思想など、豚に食わせろ」と。

 もちろん、読者が知りたいと思う情報をあえて与えず、自分が正しいと信じることを書評によって伝えたいと考える執筆者はいるはずである。それが文芸批評だという見方もあるだろうし、あえて誤読の形を示すことで何かを伝える書評もある(誤解を恐れずに言えば、「バカミス」評というのはすべてそうした類の書評である)。肝心なのは、「豚に食わせろ」と罵られる覚悟をした上で読者の前に出てきているか否かということだ。鉄面皮に、なんの準備もせずに出てくれば、「未熟」「稚拙」とのそしりは免れないはずである。そうした事態を防ぐために、書評家は技術を絶えず磨かなければならないのだ。


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(6/23)村上春樹『1Q84』書評の件

 前のエントリーで、村上春樹『1Q84』書評がどうこうという話題を振ったが、時間がなくて曖昧な書き方だったので、はっきりと記しておく。震源地は、筑波大学大学院教授・黒古一夫さんのブログである。
 黒古さんは、ブログの当該エントリーに、ご自身が北海道新聞に発表した750字の書評を転載された。その内容が、『1Q84』二巻の最終部分までをネタばらしするものだったのである。

 同業者の先輩である豊崎由美さんが、ブログにコメントし、そのネタばらしは許容範囲を超えるものではないかという異議申し立てをされた。豊崎さんが「読者の初読の快感の権利を奪う書評を、わたしは良いとは思えないのです」という意見を述べられた後、黒古さんはそのエントリーに追記をされた。少し長くなるが追記部分を引用する。

 --「1Q84」については、北海道新聞に載った拙文を最後に掲載しますが、果たして拙文は「道新読者」を名乗る人が言う「あらすじだけじゃないか」に該当するかどうか、読者諸氏に判断していただきたいと思います。言い訳ではないのですが、「書評」というのは(北海道新聞の場合)「750字」という制約の中で如何にその作品の内容を紹介し(ある程度内容=「あらすじ」めいたものを紹介しなければ、その作品の概要が理解されない)、なおかつどのような点が問題なのかを(評者なりに)明らかにすることが如何に難しいか、「1Q84」の場合、2100枚を超える長編作品である、どのような形でこの村上春樹の最新作について「書評」すればいいのか、もし良い方法があったら是非「道新読者」氏にはご教示願いたい、と思っています。

 念のため書いておくが、道新読者=豊崎さんではない。本来ならこれまで長い引用ではなく、黒古さんのブログへと誘導すべきだと思うのだが、なにせ当該エントリーには重大なネタばらしがあるもので。一応以下にURLは記すが、すでに『1Q84』をお読みではない方にはあらかじめ注意を喚起しておく。

http://blog.goo.ne.jp/kuroko503/e/a2228c915ae2edd4e8e51c800c6695c6

 さて、黒古さんのご意見である。字数の制約の中で作品を紹介することの難しさにはもちろん同意するが、書評する対象が「物語」である場合、未読の読者にすべてのあらすじを伝えるべきとは私は思わない。上に記した豊崎さんの意見にまったく同意である。

 もちろん物語の全貌を読者に晒した上で、評者の読みを開陳する書評もあっていい。それはまっとうな文芸批評というものである。公平に見れば、黒古さんの書評は文芸批評を目指しており、筆者なりの「読み」をきちんと表明している。単にあらすじを書いただけで終わっている書評とは思わないが、この程度の結論を導くために長い小説の最後の部分を明かしてしまう必要はないはずだ(引用元の文章の第一段落、最後の文章が黒古さんの「読み」だと私は考えた)。筆者の態度は誠実だが、書評の技法としては拙い。ネタばらしという大胆な手法をとったわりに、読者に与えるものが少なすぎるからである。私ならば、ネタばらしをせずに書評をすることが不可能と判断されたのであれば、もっと長い文章量のメディアを選ぶか、もしくは本を代えることを検討すると思います。

 どのような形で書評すればいいか、「道新読者」氏の代わりに私案を書いてみる(以下、関心がない人は読み飛ばしてください)。

 この書評の「読者は」で始まる最終段落をまるまる削除するだけで、ネタばらしの被害規模はかなり縮小されるはずだ。その不足分は、黒古さんの書評から抜け落ちている要素を補えばいい。黒古さんの書評には、『1Q84』の重要なピースである『空気さなぎ』の話題が欠落しているのである(書評では「この小説の大切な要素でありながら意味不明な(SF的な)「空気さなぎ」」と書いておられるので、黒古さんは『空気さなぎ』の意味がよく判らなかったのかもしれない)。もちろん、限られた文字数の中で小説の全要素について触れることは不可能なので、評者は話題を限定して論を起こして構わない。だから『空気さなぎ』について完全無視した書評もありといえばありなのだ。しかしながら、第二巻の後半でしか出てこない事実を書くぐらいであれば、第一巻の前半で明らかにされている要素について触れるほうが、少なくとも未読の人間にとっては親切だと私は考えるのである。

 以上。念のために書いておくが、黒古さんご本人を叩きたいわけではない。あくまで、『1Q84』の書評に限定した話題であり、該当エントリーからは書評技術について考えるいい機会をいただいた。非常に感謝しております。黒古さんはブログに荒しといってもいい匿名の書き込みがあるにもかかわらず、それを削除せずに公開して議論の場を与えてくださったのである。その勇気ある態度には敬意を表したい。


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(6/23)問題小説

 最新号の見本をいただいた。今回のブックステージは桐野夏生『IN』、小泉喜美子『弁護側の証人』、村上春樹『1Q84』について。
 流行りものの書評をやったのはひさしぶり。でも仕事として、これは採り上げておかないとね。
 これでしばらく村上春樹の書評はやらないつもりだったのだけど、某所が火種になって『1Q84』のきちんとした書評を750字で書くことは可能か否か論争が勃発しそう。火の手が上がる前に、自分でも一本書いてみようかな。




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(6/22)最強ペア

 今月からミステリチャンネル毎月の「ブックナビ」レギュラーを務めることになった。
 本日がその第一回の収録なので、行ってきます。私のイチオシは、歌野晶午『絶望ノート』とドウェイン・スウィアジンスキーという、最強の組み合わせ。しかしながらこの二冊、口頭で説明するのが異常に難しいんだよなあ(だからこそおもしろいのだが)。

 そんなわけで行ってきます。


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(6/19)忙しかった一日

 昨日は珍しくいろいろな用事のために人に会った一日だったのだが、中でも珍しかったのは俳優の栗山千明さんにお会いしたことだった。もちろん小説に関するインタビューのためにお伺いしたのである。「あまり読んでいないので」と謙遜しておられたが、とんでもない。対象の本を深く読みこなしておられて感心させられたほどであった。有意義なインタビューでした。

 もう一本インタビューがあって、それはミステリチャンネルのためのものだった。十分枠で流す作家インタビューね。対象は、映像配信されるインタビューは初めて、とおっしゃっていた辻村深月さん。こちらも、まったく言い淀んだり間違えたりすることがない素晴らしい話しぶりで、ことらも感心致しました。まもなく発売される初のホラー短篇集『ふちなしのかがみ』、おもしろいから読んでくださいね。

 夜は池袋にて講師のお仕事。テーマは「骨を引っこ抜いて入れ替えること」。なんのことか判らないと思うがこれでいいのだ。

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(6/18)都内でうろうろ

 引きこもりがちの私にとっては異例の、人と会ってばかりの一日になる予定である。午後いちばんで某社にて読書特集の打ち合わせをし、その後は都内某所で栗山千明さんの取材、またまた別の某所でミステリチャンネル用に辻村深月さんのインタビューをした後、夜は池袋で講師のお仕事である。反動で明日は誰にも会いたくなくなりそうである。一日に何件も商談をこなすビジネスマンって偉いなあ。自分も昔はそうだったというのが信じられない。

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(6/17)ハワード・エンゲル

 北海道の出版社、柏艪舎がハワード・エンゲルの『メモリーブック』という作品を出版したという情報をもらったのだが、どこに行っても本が見つからない。柏艪舎のホームページの新刊案内の欄にも載っていないし。本当に刊行されているのだろうか……。

 急に予定が入り、明日某芸能人の方にインタビューすることになった。その準備で本日はばたばたすると思います。たいへんだ。

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(6/16)脱稿

 朝からかかりっきりだった週刊誌原稿と文庫解説を脱稿。ずっと椅子に座りっぱなしで、気付いたら外は雨になっていた。

 途中で落ち込むことがあったのだけど「落ち込んでました」というのは原稿の〆切を遅らせる言い訳にならないから困る。仕方がないので、えいえいっと原稿に集中していたら、なんとなく落ち込んでいるのも収まった。不思議だ、というか単純な性格だな私って。

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(6/16)無念

 書き忘れていたが、元みちのくプロレス所属で最近は大阪プロレスのリングに上がっていた、レフェリーのテッド・タナベさんも十四日の大阪プロレス大会後に倒れ、帰らぬ人になっていたという。享年四十六、奇しくも三沢さんと同じ年齢での若すぎる死だ。三沢さんとは一般メディアの報道量も違うが、プロレス界を裏方として支えてきた貢献者であった。そのことは十年以上プロレスを観続けている人間なら誰もが知っている。

 テッド・タナベさんの魂が安らかならんことを心よりお祈り申し上げます。あなたのレフェリーシャツ姿をもう一度見たかった。

 なんだか哀しいことばかりが重なる。こういうときはね、笑うんです。辛そうな表情をしている自分の顔を鏡に映して、それで笑うんです。無理にも笑っていれば、そのうち本当に笑えるようになるから。

(追記)
 六月十六日に大阪プロレスから発表があった。テッド・タナベさんの死因は、急性心筋梗塞だった由。

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(6/16)放念

 何かをしていてもつい、あの三沢が事故で死ぬなんて、と考えてしまう。そういう三日間だった。もう一つ頭から離れないのは、斎藤彰俊は大丈夫だろうか、ということだ。先日行われたW★ING復活興行にも足を運んで観戦していたという。義理堅く、気のいい人物だけに今度の出来事は堪えたはずだ。事故翌日の試合に出場したのは立派だったが、シリーズが終わったらその後は無理をしないでいただきたいと思う。

 それにしても三沢光晴さんである。
 最近は生で試合を観ていなかったので、体調云々のことについては言葉を控える。盟友の冬木弘道さんもそうだが、親分肌で面倒見のいい人ほど自身の中に辛い気持ちを抱えこんでしまう。お二人の身体が疲弊した理由の中に、プロレス団体の経営という難しい問題があったことは否定できないはずだ。命を削ってまで人の娯楽のために尽くされたことに深く敬意を表したい。

 NOAHには頑張ってもらいたいと思うが、前々から言っているとおり、いくら辛くとも半病人の小橋建太を闘いの第一線に復帰させるような愚は謹んでもらいたいと思う。もはや、命を削る行為が報われる時代ではない。三沢さんの死を無駄にしたくないならば、残ったメンバーは命を大事にするべきだ。苛酷な生き方を引き継ぐような行為は、決して故人の遺志を尊重したことにはならない。腎臓摘出の小橋、椎間板ヘルニアの秋山あたりは、もう第一線を退いて団体の広告塔に徹したほうがいい。

 そしてもう一点、痩せ我慢も大事かと思うが、素直に苦しい台所事情を認め、団体規模を縮小して一からやり直すことも大事なのではないか。今回のことでリングドクターが帯同できないような厳しい状況が明らかになった。過去のNOAHは、引退した選手の受け皿作りのような施策を発表して、健全な企業たることを標榜していたはずだ。それがいつの間にか、景気づけの花火ばかりになった(引退したラッシャー木村さんはいったいどうなったのか)。十年弱で旗揚げの精神が風化するというのは虚しすぎる。ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、三沢光晴と受け継がれた団体精神を無にしないためにも、堅実な経営を目指していってもらいたい。

 末尾ながら、改めて。三沢光晴さんの魂が安らかならんことを心よりお祈りいたします。今まで、お疲れ様でした。

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(6/14)ひとりの休日

 昨日は、本格ミステリ大賞贈呈式で司会を務めてきた。今年で三年目になるが、とんだ失敗をやらかしてしまった。司会者の位置から花が邪魔になって壇上が見えず、受賞者への花束贈呈のタイミングをとちってしまったのだ。なんとか帳尻は合わせたが、冷や汗ものであった。

 贈呈式に先立って総会があり、新人事が承認された。もう発表してかまわないと思うが、新会長は辻真先さん、事務局長は戸川安宣さんである。辻さんは牧薩次として賞の贈呈を受け、辻真先として新会長挨拶をされたのであった。

 本日は子供が祖父母の家に遊びに行っているので一人の休日。明日、亀山郁夫さんにお会いするので新訳版の『罪と罰』を読んでいる。こんなにおもしろかったのか、というほどおもしろく、犯罪小説としても完成度が高い。訳者の力ってすごいな、と改めて感じました。

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(6/12)緊急事態は大袈裟でした

 校長と面談してみたら、それほどの事態でもなかった。急を要することである用件であるのは確かだけど。

 それよりも別件の頼みのほうがたいへんだ。学校付近に曲がり方が変則的になっている十字路があって、店舗の建物が交差点に張り出しているために見通しがたいへん悪い。子供が横断歩道を渡ろうとすると、左折してくる車両に巻き込まれるおそれがあるのだ。一応自動車は一時停止するようになっているのだけど、自転車はそれを無視して飛ばしてくる(駅へ抜ける近道なのですね)。たいへん危ないので、警察署の交通安全課に信号をつける働きかけをしてくれないか、というのである。

 えーっ、この半ひきこもり人間に警察署に行けとおっしゃるのですか。警察こわいよう。

 たぶんその交差点に信号がついていないのは地区の住民の都合もあるのだと思う。町会の顔役にも事情聴取をしなければいけないし、何かと面倒臭そうだ。しまったなあ、聞かなかったことには、できないわな。

 そんなわけで来週以降、警察署への陳情という仕事も付け加わりました。陳情じゃないか、警察の場合はなんて言うんだっけ。強訴?

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(6/12)緊急事態発生

 ただいまよりちょっとPTAのお仕事で小学校まで行ってきます。
 校長先生と話したら、すぐ帰宅して仕事の続きをやる予定。

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(6/11)幸福な読書体験

 思えば先週末は『1Q84』→『IN』→『ONE PIECE 巻五十四』という幸せな読書体験のただなかにいた。至福の時間といえよう。でもこれを原稿化するとなるとなあ。あ、いや『ONE PIECE』は仕事用に読んだわけではないですが。今すぐ全巻引っぱり出して読み返したいという衝動に耐えながら原稿を書いているわけです。

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(6/9)いい書評について

 書店に行ったら光文社のPR雑誌「本が好き!」があったのでいただいて来た。社長こと豊崎由美さん(崎の字の「大」は本当は「立」です」の連載「ガター&スタンプ屋ですが、なにか? わたしの書評術」を読むためである。

 ご存じの方は多いと思うが、この連載は書評論についてのもので、書評という特殊な文芸ジャンルに籍を置く執筆者の視点から、文壇における書評家の位置づけ、一般読者・編集者の書評に対する意識といった問題が語られている。今後、出版というビジネス形式の中で書評家がいかに自らを処していくべきか、指針になる箇所も多いので、関心を持って読んでいるのだ。これは「メッタ斬り」以降の豊崎さんのいちばん大事な仕事になるのではあるはずだ、と私は考えている。それに何より、おもしろい。語り口がフェアで、かつ評価基準が明確なのがこの連載の美点であり、豊崎流の「よい書評のありかた」がきちんと示されている。

 たとえば今回の連載分では、ある日の全国紙に掲載された書評をすべて読み、五段階にランク付けをするという実験が行われている(その中で書評家にとっては辛い現実が記されているのだが、ここでは特に触れない)。評価の基準は以下のとおり。長くなるが引用します。

 ――D=取り上げた本の益になっているどころか、害をもたらす内容になってしまっている。C=書評になってない。その理由としては、1(注:引用元では丸数字)文章表現が稚拙もしくは言葉足らず、説明不足で何を言いたいのかわかりにくい(朝日における○○○○←引用元では実名、以下同)。2どういう理由があるのかわからないけれど、対象書籍から逃げ腰になっている(朝日における○○○)。3あれこれ書きたい要素を詰め込みすぎて、ひとつひとつのおすすめポイントが全部ぼやけてしまっている(産経における○○○)。4論文のような専門用語の多い堅いばかりの学者文章に辟易させられる(朝日における○○○。日経における○○○○)。B=文章や紹介の仕方自体に魅力があるわけではないのだけれど、原稿料をもらっていいだけの水準には達している。A=取り上げられている本を読みたくなる書評。文章や紹介の仕方にも芸があって、それ自体がひとつの”作品”になっている。特A=もしかすると、取り上げている本を凌駕している可能性すらある傑作書評。トヨザキが百回生まれ変わっても書くことのできないレベルの、わたしにとっては悔しい書評。(「本が好き」VOL.37 P125)

 改行がなくてネット上だと読みにくいかもしれないが、原文通りの引用をしたかったのでご容赦願いたい。元の文章ではC評価をされている書評の書き手も、もちろんD評価を受けた書き手(おそろしいことに一人いる)も実名で書かれているが、豊崎さんの意図は個人攻撃ではなくて書かれた書評自体の批評のはずなので、あえて伏字で引用した。私も以前にダメな書評について箇条書き形式で挙げたことがあるが、ここで書かれた内容にはほぼ同意である。

 理想を言えば、商業原稿としての書評はすべてA以上の水準であるべきだが、実際にはBがほとんどである。私自身、「あれはBの価値しかない」と思う原稿をいくつも書いている。メディアの片隅で埋め草になるだけの書評というのは本当に多いのだ。それがまったく無価値かというとそんなことはない。埋め草書評といえども「誰かの目に触れるかもしれない」「この書評を見た人が、本を手に取るきっかけになるかもしれない」という可能性を孕んだものであることには変わりがないからである。いや、良心ある書き手なら、そうであってもらいたい、という願いをこめて原稿を書いているはずだ。だからこそ、Dのような書評の存在を許しがたいのである。豊崎さんはこの連載の前回で、ネット書店の購入者レビューについて攻撃的に採り上げていたが、そこには書評家としての思いがこめられていた。

 プロであるかアマであるかという執筆者の肩書きは、書評の価値にまったく関係ないものである。そもそも日本の文壇において名前だけで周囲をひれ伏させるような権威のある書評家など一人もいない。自分がそうだと思っておられる方は、『王様は裸だ!』と叫ぶ子供が近くにいないか、探してみることをお勧めします。だからこそ新聞社はこぞって大学教授などの学識者や作家などを「権威づけ」のために書評欄に起用するのだ。

 もちろん、専門知識を要する分野の書籍について書評を依頼する、という場合においては非常に正しいやり方である。専門家の判断を仰ぎたい、という読者もいるだろうからな。だから私なら、上の豊崎さんの評価基準には「専門家としての知見を正しく用いているか」という項目を付け加えたいところである。専門家である、というだけでプラス評価するのではなくて、専門家なのにこの程度、というマイナス評価もありうるということだ。書評の文章がダメなのに、肩書きで下駄を履かせてやる必要はないのである。たとえば小説家が他人の作品を評するときに、小説自体ではなくて、その作家との親交の模様であるとか、作家の人となりだとかを述べることに終始していたら、私は大いに不満を感じる(ただし、それも『読者を読みたくさせる書評』になる可能性はあるので、商業原稿として否定する気はない。そういう同人サークルの褒め合いみたいな文章にもなぜか需要があるし)。

 ちなみに、豊崎さんが連載原稿で最高点をつけているのは、某作家が翻訳作品について書いた書評であった。例によって名前を伏せておくので、実際に「本が好き!」を読んでいただきたい。件の書評が引用されており、私はそれを読んで某作家が好きになった。某作家が採り上げている小説もばっちり読みたくなった。おそらく、この書評を顕彰するために豊崎さんは今回の原稿を書いたのであろう。

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(6/8)焼きを入れられてきました

 昨日は都内某所で地域の子供たちを連れてのデイキャンプであった。八十超の人数で煮炊きをするため、不慮の事故がないか、かなり神経質に気を配っていたのだが、結局怪我をしたのは私一人でした。点火用のバーナーにうっかり腕を接触させてしまい、二センチ平方の火傷をしてしまったのだ。一行の中に、幸い外科のお医者さんがいたので緊急処置もしてもらえた。念のため、今日通院してこようと思います。

 午後は子供たち全員でネイチャーゲームに興じた。私の役目は、危険な場所にお調子者が入り込まないよう見張ることである。ずっと座っているだけだったので、相当日焼けしてしまった。日に焼かれて火に焼かれて、なんだか鰯の丸干しにでもなったような一日であった。

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(6/7)晴れたか……

 三日前の天気予報では、週末は雨とのことだったが、綺麗に晴れましたね(東京限定)。
 晴れたので今日は、地域の子供たちを連れてデイキャンプに行ってきます。
 雨だったら家で閉じこもって仕事をしようと思ってたのに。ああ、いやいや、晴れてよかった。

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(6/6)成田詣で

 ちょっと用事があったので、成田空港に日帰りで行ってきました。第一ターミナルの方に行ったのは何年ぶりだろう。噂に聞いていましたが、なるほどマスクをつけた人影も激減していますな。もう水際で食い止める云々というのは無駄ということでしょうか。

 出国ゲートのところで、機内持ち込みができない物のリストを見て笑った。クリーム状の化粧品や味噌が駄目だというのは知っていたが、「しば漬け」のパックも不可だったとは。持ち込んじゃいけないのか、しば漬け。しば漬け業界にとっても受難であることよ。

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(6/4)このミス大賞

「このミステリーがすごい!」大賞事務局から連絡あり、応募原稿が出揃ったので第三弾を送付するとのこと。
 過去最高の応募数だそうだ。注目されてきたということかしらん。

 気合を入れて読ませていただきます。うす。

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(6/3)原稿二つめ

 絶対無理だと思っていた原稿を〆切三十分超過で書けた。もう無理。今日はもう無理。といいつつ、今から打ち合わせに行ってきます。

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(6/3)文庫解説

 朝一で起きて原稿を完成させた。書きながら、とても楽しい状態になっていくのが自分でも判り、意外であった。脳内麻薬物質出てる出てる。このままいつまでも書いていたい衝動に駆られたのだが、午後二時までに印刷所に入れないととってもまずいことになると聞いていたので、いい加減でけりをつけてメール送付。まだ興奮さめやらない感じなので、今から別の原稿を書きます。うす!

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(6/1)昨日のワタシ

 奇跡のように天気に「恵まれた」運動会だった。というのも、午前中の競技の間はまったく雨が降らず、昼食時間に入った瞬間に土砂降りの豪雨、午後の競技が始まる頃合にすっぱりと上がって、閉会式までもったからである。閉会式にはPTA会長として挨拶をするのだが、登壇した瞬間に鼻先に雨滴を感じた。「雨が心配なので挨拶は短くします」と口を開く間も雨足は近づき、三十秒程度で話を終えて壇から降りたら一斉に降り始めた。短くまとまる話を準備しておいてよかった。あれ以上話していたら、空気の読めない大人と思われるところだった。最後に六年生の児童が「おわりのことば」を話したのだが、さすがに準備した原稿をつまんで短くすることはできないので、長々と雨に打たれながらの宣言となった。まあ、仕方ないです。

 ちなみに、昨日は都内某所で会食の約束が入っていたので、運動会を途中で中抜けしてまた戻るという強行スケジュールとなった。一昨日の雨がなかったらもう少しゆっくりできたのだが、こればかりは天の気まぐれなので仕方がない。運動会終了後は来週末に迫ったデイキャンプの備品チェックを夕方まで。その後は引越しをされる方の慰労会で深更まで騒いだのでした。そんなわけで原稿は一字も書いていません、うす!

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(5/31)下読み中

 宝島社「このミステリーがすごい!」大賞の応募原稿第二弾がどさどさと到着。昨日別の賞の下読み原稿を送り返したばかりだったので、その場所に箱を置いた。置き場所をやりくりしていかないと、すぐに部屋が箱で埋まってしまう。

 本日は順延になった小学校の運動会。途中で中抜けして会食に顔を出して、閉会式にまた戻ってくる算段である。終了後は来週末に迫ったデイキャンプの備品を数量チェックして、夜は学童保育クラブの送別会。

 そんな感じで一日拘束されるので、自由になる時間はありません。合間に本が読めたら儲けものだ。

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(5/28)不調

 本日お会いするみなさま。元気がないように見えると思いますが、昨日ちょっと個人的なダメージがあったためで、インフルエンザのたぐいではありません(熱もないです)。テンション低めに見えたら、ちょっとだけそっとしておいてやってください。

 基本的には健康です。

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(5/26)緑の恐怖

 先日タイに行った帰り、向こうの調味料をいろいろ買ってきた(タイ旅行の続きもそろそろ書かなくちゃ)。
 楽しみにしていたのがパクチーのソース。パクチーをすりおろしてニンニクとあわせたもので、トートマンプラーをつけて食べたら抜群に美味かった。大きなスーパーマーケットに行ったときに、それらしい壜があったので買ってあったのである。

 今日はひさしぶりに昼食を作る時間があったので、それを試してみることにした。玉ねぎとニンニクのみじん切りを炒め、舞茸とエリンギを加える。そこにショートパスタを入れて、あっさりめの一皿が出来上がりだ。いつもはそのまま頂いてしまうのだが、今日は一味を加える。ソースの蓋を開けて、フライパンに投入である。

 パクチーじゃなくて、ミントのソースだった。

 ロッテグリーンガムの味がするパスタ、想像してみてください。

 結局ケチャップを入れて強引なナポリタンにして食べた。ミントだったのか。タイ語は読めないから絵で適当に当たりをつけて買ってしまった。一壜、ばかにでかいんですが、何に使えばいいのだろうか。

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(5/26)○○○○の元ネタ(グロ注意)

 ブック・ジャパンのTさんからメールを頂戴した。
 おもしろかったので、許可をいただいて転載したいと思う。
 文中には作品名も書かれていたのだが、あえてネタばらし(というほどでもないのだけど)を避けるため、伏字にしたい。ヒントは、私がブックジャパンで関与した作品です。

 痛いのとグロいのが好きではない人は、ここでブラウザの戻るボタンを押してくださいな。

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『○○○○』、あのうどんシーンの元ネタ発見のお知らせ。
石牟礼道子『西南役伝説』です。
朝日選書がすでに絶版で、いま新品で読めるのは全集のみであるようです。
ここが残念。

もうやけっぱちな勢いのノンフィクションガイドムック
『佐藤優責任編集・ノンフィクションと教養』の、佐藤優・佐野眞一・加藤陽子の
鼎談中に出てきました。
長崎の切支丹を刑場に連れて行く前、最後のメシに、うどんを腹いっぱい食わす。
そうしておいて竹で刺す。すると内蔵から白いうどんがにょろにょろと出てくる。
このシーンが克明に書かれているそうです。
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 うはは。これはすごい。夢に見てしまいそうだ。本は絶版だそうだが、絶対に手に入れて読まなければ。
 いい話を教えてくれてTさんありがとう。
 こういう人がサイト制作に携わっているブックジャパンのURLはこちら

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(5/25)ひきこもりのおしらせ

 本日は横溝正史ミステリー大賞、明日は日本推理作家協会賞の授賞式だが、両方とも出席できません。所用があったので、先ほど柳広司さんにはお祝いの言葉を伝えられたのだが、他の推協賞受賞者の方にご挨拶ができないのは残念だ。次に出て行く公の席は、たぶん本格ミステリ作家クラブになると思います。あ、東野圭吾新理事長にもお目にかかりたかったな。

 地元にこもらざるをえない状況なので、ストレス発散の方法に悩むことになりそうだ。暴飲暴食につながらないようにしないと。

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(5/24)MYSCON10

 昨日はMYSCON10の昼の部にお邪魔して、湊かなえさんのインタビューアを担当してきた。
 実況報告などは以下のブログで。

「私的ファイルdeltazuru記録再開」
「むぅろぐ」
(追加)
「僕のミステリな備忘ログ」
「Nth Library日記」
「neve cry」


 控室は近所のカフェだったのだが道に迷ってしまい、大遅刻であった。湊さんは、文藝春秋社の取材が入り、編集I氏のインタビューを受けていた。それが終わり、I氏が帰ろうとしているところに、居合わせた人々が「おめでとうございます」と声をかけているので何事かと思ったら、数時間前にお子さんが生まれたのだそうである。それはおめでとうございます。しかしI氏は、可愛い我が子の顔を見に駆けつけることも許されず、取材の同行で群馬県の温泉に一泊旅行をしないといけないという。編集者の宿命とはいえ、ご苦労なことだ。

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(5/23)湊かなえさん

 それではただいまよりインタビューに行ってきます。
 MYSCON参加者のみなさま、お手柔らかに。

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(5/22)インフルエンザの一件

 昨夜、学校長から電話があった。新型インフルエンザの発症者が出たため、区内の学校を休校にするかどうか、検討会議が行われたのだ。結果は不要との判断(発症者の状況を聞くと当然だと思う)。それはいいのだが、教育委員会のエライヒトは、その情報を各家庭に電話連絡網で周知するように言っているのだという。

 えーっ、もう夜の十一時近いわけなんですが。

 校長は、そんな時間から連絡網を回しても安眠妨害をするだけで無駄という意見であった(当然)。一応保護者代表としてPTA会長からも言質をとりたかった模様。そんなこといちいち断らなくても、常識的に考えて……と思ったのだが、他の学校では律儀に電話連絡をやったらしい。伝言ゲーム効果で間違って「休校します」と伝わったところがあるな、絶対。

 この件に関してはヒステリックになりすぎるのも問題だが、感染者が出たら一応報道はすべきだと私は思う。そのときにどう対応するのかは報道を受け止めた側がしたらいい。「騒ぎすぎ」「日本人だけがこんなことをしている」と、加熱報道自体を批判する声もあるようだが、必要なことはやったらいいのだ(海外で悠々とバカンスを楽しんでいる人が何か言って顰蹙を買ったらしいけど、「お前ら馬鹿」式に上から目線の物言いをするからだ)。タレントが酔っ払って裸になった件よりはよほど報道の価値があるニュースである。ただしローカルで十分だけどな。少なくとも東京都の情報だったら、私は欲しいもの。糖尿病患者だから罹患には気をつけないと、毒性が低いインフルエンザだって危ないのさ。祭りにならない程度の警戒は必要なことである。

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(5/22)本格ミステリ作家クラブ

 本格ミステリ作家クラブの会報が届いていたので、ぱらぱらとめくる。
 そうか、こっちも改選の時期なのであった。

 総会前なので新会長・新事務局長のお名前は書かない。六月十三日に発表されるので、それまでお待ちください。

 意外なことに、私もどなたかによって執行会議メンバーに推薦されていたのであった。推薦者が一名なので、なんとかセーフ(二名以上の推薦があると、役員に加わるかどうかの意志確認を受けなければならないのです。規約)。たいへんありがたい話なのだが、PTAの役員が一段落しないと、引き受けにくいです。

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(5/21)もう一つそういえば

 今日だか昨日だかは、日本推理作家協会の総会だったはずだ。
 理事の改選は無事に済んだのだろうか。順調にいけば大沢さんに代わる新理事長が誕生しているはず。

 おひろめはたぶん来週の協会賞授賞式だ。

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(5/21)MYSCON10

 そういえば。
 明後日はMYSCON10の開催日ですが、私は昼の部で湊かなえさんのインタビューアを担当します。
 詳しくはこちら

 公開インタビューは、池袋でやって以来です。ひさしぶりだから緊張するな。
 参加者のみなさまはよろしくお願い致します。

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(5/20)生きている腸

 実は数日前から、自分は大腸癌に侵されているのではないかという妄想にとりつかれていて、仕事にも支障を来たすほどであった(父親が大腸癌だったので遺伝するはずなのである)。どうも杞憂だったようで、なんとか大丈夫そうだ。でも今年も健診は受けるけどね。

 朝一で起きていろいろと作業。捜しものをしていたら、海外の某大学のホームページにたどり着いて解決した。インターネットはやはり偉大だ。それはいいのだけど、見つけた資料がおもしろくてつい読みふけってしまい、仕事が一気に滞る。インターネットはやはり魔物だ。

 そんなこんなで今日も一日がんばって仕事をします。昨日は小物を三つ片付けたので、今日は大物を二つやっつけてしまいたいと思う。宝島社から連絡があり、「このミス」大賞の応募原稿を送ると言っていたので、今日から少しずつ下読みも始める予定。

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(5/19)文庫解説

 日本人作家の文庫解説をほぼ同時に二つ手がけていた。先週末に一つを校了し、本日もう一つのゲラを戻し、これでひと段落、と思っていたら、先に手を離れたほうの一つで重大な誤植をやってしまっていたことに気付いた。
慌てて編集部にメールをしたところ、ぎりぎりで訂正が間に合うとのこと。わずか漢字一文字の間違いなのだが、恥ずかしい事実誤認なので、気付いてよかった。今日戻したほうは大丈夫だろうな。

 一息入れたところに、別件の解説のご依頼をいただく。なんでも翻訳者と編集者とで相談をしているときに、解説者候補として私の名前が出てきたのだとか(海外作品です)。ありがたいことです。最近は翻訳ミステリに解説がつかず、訳者あとがきが付されていることが多いが、本当は海外作品こそ解説が必要なはずなのだ。それが良い「箱書き」になるよう、がんばって書かせていただきます。

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(5/19)寄合酒

 昨夜は都内で飲み会のご案内をいただいていたのだが、ぎりぎりまで粘ってみたものの参加は果たせず。諦めて仕事に専念したら一区切りついたのが深夜一時だった。飲みに行っていたら恐ろしいことになっていた。残念だが結果オーライ。こういう仕事をしていると家族(とPTA関係者)以外に会う機会は極端に少なくなるので、なるべくなら出かけたかったのだけど。

 日付が変わったあたりで、書きかけの某誌の原稿について、もしかしたら某氏と採り上げる本が被っているかもしれないと気付き、メールで確認した。十分と経たないうちに返信がきた。お互いパソコンの向こうで仕事中なんだなと実感。真面目でお酒も飲まずに(ここが重要)がんばる私たち。がんばっているのです、って誰に対するアピールだ。編集者か。

 本日は午前中のうちに大きな仕事を一本と小さいものを三本くらいは片付けるつもり。それが済んだらできれば小学校に行って、副校長先生と打ち合わせをしたいけど無理かも。明日かな。

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(5/18)乱歩賞

 週末は外出していたのでさっき気がついたのだが、第五十五回乱歩賞が遠藤武文さん『三十九条の過失』に決定したとか。おめでとうございます。

 何期目かになる予選委員として関わったが、自分が一押しにしていた作品は最終候補に残せなかった。『三十九条の過失』が残った四作のうちでは納得できる出来だった。面つきには魅力があるが設定に説得力を欠くA、瑕はもっとも少ないがどこかで見たようなという既視感のあるB、いちばん無茶をしていて好感が持てるのだが大賞という柄ではないCという三作を押しのけての受賞だ。選評が楽しみである。どんな風に言われていたのかな。

(追記)
 選考会の自分メモを見直していたら、候補作は五作だったことを思い出した。ええええ、そうだっけ。そういえばもう一作あったような気も。印象がほとんど残っていないところをみると、好みの作品でも、その反対でもなかったのだと思います。作者の方、申し訳ない。

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(5/17)帰京

 外出先から戻って洗濯機を回したところ。明日、子供が割烹着を持っていく日なので慌てて洗濯したのだが、乾くだろうか。無理かも。週末はどこでも雨に降られました。妖怪アメフラシがいたのに違いない。

 今週一週間はPTA行事がなくて心穏やかに過ごせそうである。こういうときこそ仕事をしよう。

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(5/16)今日明日

 ひさしぶりに公務が入らない週末なので、ちょっとお出かけしてきます。
 E・S・ガードナーの伝記を読もうと思うんだ。

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(5/14)床の上でポニョ

 原稿を書いているうちに気が遠くなり、床に突っ伏して眠ってしまった。もう何日も続けて同じ現象が。もしかするとポルターガイストか何かか(違う)。そのたびに学校から帰宅した子供に発見されるというくり返し。毎日床に倒れている父を、子供はどう思っているのだろうか。

 大手術をした解説原稿のゲラを戻したが、もう一つ解説ゲラが。さらにインタビュー原稿のゲラ戻しもしなければならない。ゲラがいっぱいだ。赤字を見ていると、なんか眠くなってくるんだよな。何かの呪いに違いない。

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(5/14)どっちが本業だかわからない

 昨日は一回目の運営委員会だった。普段は各部・委員会の代表者だけが出席するのだが、第一回だけは可能な構成員すべてに声をかけ、出席者全員が自己紹介をする。顔合わせである。

 主たる議題は、間近に迫った総会の議案承認と今月末の運動会準備について。例年は九月に行っていた運動会が春にくりあがったため、決め事が前倒しになって忙しいったらありゃしない。午前十時に開会して、制限時間ぎりぎりの正午まで議事を続けてしまった。午前中に一本、〆切をこなさないとならなかったのに。

 帰宅し、二階の居間に腰を下ろしたらいつの間にか昏睡していたらしい。子供が帰宅する物音がして、ようやく目が覚めた。それから机にかじりついて仕事。気がついたら夜が明けているという体たらくだ。

 今日は幸いPTAの用事はないが、夜に地域住民の組織の総会に出ないといけない。PTA会長として発言を求められるかもしれないので、それなりに準備はしていかないと。毎日毎日こうやって仕事があると、なんだか本業はPTAなのではないかという気がしてくるから不思議だ。一文にもならない仕事なのに。

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(5/14)がりがりと削る

 ただいま文庫解説のゲラに朱入れ中。なんと26行も削るように言われてしまったのだ。そうしないと一折増えてしまうから仕方ないんだけどね。幸いなことに文章を書いていたときには頭がしっかりしていたらしく、削ってもシェイプアップするから助かる。ぼやけた頭で描いた文章は、単に削るだけだと意味がとりづらくなったりするのだ。そういうときはばっさり段落を入れ替えなければならなくなり、校正者を悩ませてしまう。よかったよかった(いや、よくないけど)。

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(5/12)おまけがいちばん高い

 ミステリーの短篇集のあの「趣向」って、いつごろから始まったんだっけ。
 質問調で書き出したけど、本当は質問していません。紛らわしくて申し訳ない。「いつか」なんて本当はどうでもいいんだ。

「趣向」が何を指すのかというとあれだ、連作を雑誌に掲載しておいて、最後の一篇を書き下ろしにする。その一篇は、以前の話では伏せられていた事実を種明かしするための作品で、それ自体にはストーリーと呼ぶにあたいする物語がない。そういうやつ。解決篇があとから添えられた、と考えればいいのかな。ただし、それ以前の話は一つ一つが完結した形になっているので、「解決篇」の種明かしは、プロットの根幹に関わるものではなくて、判ればそれなりに楽しい、という程度のおまけなのである。

 そういうのはきっとおまけなのだ。現在の事情はよく知らないが、ひところは短篇集が売れなくて、あまり本にできなかったそうだから、雑誌連載をただ本にまとめただけではありません、ほら付加価値だってあるんです、といった感じでおまけを付けているのだろうと想像する。それ自体はいいんですけどね、ファンサービスにもなるから。

 ただし、おまけはあくまでおまけ。本篇の方がおもしろいことが最低条件だ。本篇が物足りない分を、おまけで補おうとしてくれても困るのである。短篇集であるからには、やはり一篇一篇の完成度を高めていただきたい。その上で、単行本にしたときの面つきが、本にしただけの価値があるような形であってもらいたい。そういう理想を十分に満たしているのは、たとえば山口雅也『ミステリーズ』のような短篇集だ。あれにはおまけはついていないけど、本になった形もきちんと一つの概念に貫かれた作品になっていた。まったく文句はない。昨年出た若竹七海『バベル島』などもなかなかいい。

 お察しのとおり、今まさに文句をつけたい短篇集を読み終えたものでこういうことを書いているわけだ。おまけのほうが売り物で、おまけを抜くと、少しはいいものもあるが出来がばらばらで気持ちが悪い。おまけ自体にすべての収録作の意味を塗り替えるような破壊力があればまだ救われるのだが、それほどの強さはないのである。こういう趣向を「ミステリーならでは」と称賛する人もいるのかしら。キャラメルならグリコより森永の方が好きなのだが、短篇集も同じだな。こういうおまけなら要らないや。

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(5/12)ブルー・マンデー

 昨日は午前十時と午後七時に小学校で保護者対象の説明会を開催した。
 その合間を縫って文庫解説を書き上げたわけだが、正直言ってよく終わったものだと自分でも感心している。

 説明会の資料作成→説明会(保護者の慰留)→文庫解説→説明会の資料作成→説明会(保護者の慰留)

 って、頭が切り替えられるわけないです。
 幸い、文庫解説のほうはずっと前に雛形ができていて、そこにはめ込むピースを選ぶだけの作業だったからなんとかなった。設計図ができていなかったら完全にアウトでした。

 本日、午前三時に起床。午前六時に朝食。大根の味噌汁に、日曜日に那須塩原で買ったのしもちを入れた味噌雑煮。起きてきた家人に「今日は久しぶりにPTAの用事がないから仕事に専念できる」と言ったら笑われました。やはり、そういう生活は変だよな。
 

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(5/11)ようやく解説脱稿

 規定枚数を超過しそうだったので早めに「ページ数の余裕はありますかね?」と切り出していたのだが、「大幅に超えなければ大丈夫ですよ。はっはっは」と編集の方からは温かいお言葉をいただいていたのであった。

 あの、大幅に超えてしまったのですが……。

 まあ、昔書いたジェイムズ・ハドリー・チェイス『世界を俺のポケットに』(創元推理文庫)の解説よりはマシか。あのときは「何枚書いてもいいですよ」と言われたので、十枚の依頼のところで四十二枚も書いてしまったのだった。電話でそのことを伝えたら編集のMさんに「よんじゅうぬぃむぁいぃ?」と絶句されたっけ(折が増えそうだったので、泣く泣く十枚ちょっと削った)。この超過記録はしばらくの間破られてなかったはずである。いや、プロの書き手としてはよくないことなんですけどね。

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(5/11)じっと手を見る

 新刊書評の原稿を書きたいのに、読んでも読んでも推薦したくなる本が見つからないという泥沼。
 いきおい、書きかけの文庫解説書きに逃避してしまい、どんどん分量が増えていく。
 そしてまた、新刊書評に割ける時間が少なくなっていくという悪循環である。
 どうしたらいいのか。

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(5/11)人生は三拍子

 昨日は田植えでございました。小学校の子供たちを引率して、群馬県那須塩原の農家で、田植え体験の学校を開催してきたのだ。慣れない運動をしたものだから、全身が筋肉痛です。稲の苗は、人差し指と中指で泥の中に押しこむようにして植えるのね。その手つきを維持していたからか、右腕の小指のあたりが攣りそうになっている。九月には同じ田んぼで、稲刈りだ。

 とりあえず朝までに文庫解説を一本終わらせて、十時から学校で保護者対象の説明会を主催しなければならない。そのレジュメもまだ切ってないんだよな。本日はそんなわけで、一日予定に追われまくりそうです。

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(5/10)ゲッツ板谷さんのブログ

 ゲッツ板谷さんが、新しくブログを始められた。これまでのゲッツ板谷WEBは閲覧のみにし、更新はブログの方のみになるとのことである。「チミの犠牲はムダにしない!」は途中から更新ができず、たいへん申し訳なかった。ブログも応援させていただきます。今後ともよろしくお願い致します。

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(5/9)野菜ソムリエ

 本日は区の小学校PTA連合会の総会だった。この忙しいときに面倒くさいったらありゃしないのだが、議決権を持っているので出席しなければいけない。会のほとんどの時間は退任PTA会長と校長の表彰式に費やされる。二十二校のうち十七校で会長が交代したので、これが長いのなんの。

 総会に先立って、外部から講師を招いての合同研修会が開かれるのが恒例である。今回の講師は王理恵氏。王貞治氏の次女だということと、昔スポーツ番組のアナウンサーをしていたということしか私は知らないが、食の問題に関心を持って、ジュニアベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)の資格も取得しているのだとか。最近は「食育(出た!)」関連の講演もやっているらしい。

 ふーん。食の問題には私も関心があるので、その資格について調べてみた。

 日本ベジタブル&フルーツマイスター協会ホームページ

 これで見ると、ジュニアベジタブル&フルーツマイスターという資格は、「ジュニアマイスターコースでは、野菜・果物の正しい基礎知識を習得します。また、その学んだ知識の伝え方「コミュニケーション」やレシピ提案に役立つノウハウ「ベジフルクッカリー」等も学んでいくことで、野菜・果物の楽しさを個人として実感し日々の生活に役立てることを目指します」(同ホームページ ジュニアマイスターコース)とあって、二時間の講座を全七回受け、試験を受ければ取得できるものであるらしい。FAQのところを見ると、合格率83.1%とあるので、それほど取得するのに難しい資格ではない、という印象だ。というより、これは講師を務められるレベルの資格じゃないんじゃないの。あくまでも個人で知識を利用して楽しむ、という資格だと思うのだが。同じホームページ上に「活躍中の野菜ソムリエ」というところがあったので見てみたが、名前があるのはジュニアの二段階上のシニアの人ばかりだった。ジュニアの人に講師を務めてもらうというのは、つまり門前の小僧に習わぬ経を読んでもらうようなものなのですね。どうせ呼ぶならちゃんとシニアマイスターを呼べばよかったのに。ああ、知名度がある人だから集客としてはそれでいいのか。

 世の中には王貞治マニアという人もいるだろうし(あ、テリー伊藤さんか)、タレントとしての王理恵さんが好きだという人もいるだろうから需要はあるはずだ。しかし、私はいいや。来年から、講師を呼ぶならもっと専門性のある方にしていただきたい。

 

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(5/8)前々回の日記について自己批判

 本日は米澤穂信さんのインタビューを東京創元社で行った。一階を会議室に改装したばかりで、使用するのは今回が初めてだとか。いわゆるこけら落としにあたるのか。お初をいただいてしまいました。

 インタビューの内容については来月頭ぐらいにBookjapanに載る予定なので楽しみにしておいてください。なお、インタビューの途中で、同席した編集者のK島さん(『桜庭一樹読書日記』でもおなじみ)から日記について、事実誤認の指摘を受けた。前々回の日記で米澤さんの読者層について「ジャンル外にまだ出て行ったことがないからこそジャンルの読者に守られているのだし(揺籃から出ていない、とも言える)」という書き方をしたのだが、米澤さんはもともとライトノベルの新人賞出身なのだし、最初はミステリー界からは黙殺に近い扱いを受けていた。『さよなら妖精』『犬はどこだ』と地道に著作を重ねてきて、『春期限定いちごタルト事件』でようやくミステリー畑でもブレイクを果たした。したがって米澤さんがジャンルの読者に「のみ」守られているというのは違うのではないか、という指摘であった。

 確かにその通りで、米澤さんこそジャンル外から来た作家だった。それを知っているからこそ、作品の書評をやらなければならない、この才能を知らしめなければならないと考えたのだった。つまりくだんの記述は、事実誤認であるばかりか、過去の自分の活動までも忘却した、的外れなものだったのである。よって、該当箇所は謹んで訂正させていただきます。過去の自分の愚かさを記録するため、訂正線で消して、元の記述は残すことにする。本当に申し訳ない。

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(5/8)円堂さんが反省した!

 こともあろうに、推理作家協会賞の新受賞者を反省させてしまいました。

 円堂都司昭さんのブログ。

 メールまでくださって謝っていただいたのだが、全然気にしていないです。わざわざ申し訳ない。これからもネタを提供できるよう、精進していく次第であります。

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(5/8)深夜に帰宅

 都内某所でいろいろ仕事をしていたのだが「泣かされてやんの、やーい」といろいろ揶揄されたのであった。うるさいやい。もう涙は拭いたかんね!

 明日は都内で米澤穂信さんのインタビューである。米澤さんといえば今は『犬はどこだ』なのだが、あの作品が、ミステリージャンル外に目配せすることを主眼とした作品とは到底思えないのだよなあ。

 米澤さんは、ジャンル外にまだ出て行ったことがないからこそジャンルの読者に守られているのだし(揺籃から出ていない、とも言える)ミステリーというジャンルに軸足を置いて執筆活動を行うことに意義を見出している作家だし、だからこそ『インシテミル』みたいな作品を書いたのだ。『秋期限定栗きんとん事件』もライトノベルに色目を使っているように見せてはいるけど、として読みうる物語ではあるけど、結局は昔ながらの古典ミステリフォーマットにのっとった話である。米澤さんの中にある青春小説要素だけを取り出して云々言っている人は、松本清張も陳舜臣も福井晴敏も伊坂幸太郎も、どんな作家でも同じように、自分に「は」判る何かを取り出すことができるのだろう(魔法医みたいなものだね!)。米澤さんを貶めるつもりはないが、贔屓の引き倒しという言葉が世の中にはあるのである。ジャンル内小説として、今の米澤作品は本当におもしろい。だが、いつかジャンルを逸脱するような小説を書いたら、そのときは本気で米澤さんを推す。ジャンルの内外という境界にどれほどの意味があるか、今の私には判断できないが、作家の意欲が実験の方向へ行ったとしたら、それを評価しないのは読者としておかしい、ということだ。もちろん、ジャンル内にとどまって、ジャンル読者を満足させることだけに専心に注力するというのであれば、それはそれで同等の後押しをしたいと思うのだけど。どっとはらい。

追記
(朝になっていろいろ言葉足らずだった点を補足しました。深夜に読んでいただいた方、すいません)

さらに追記
(事実誤認をしていた箇所を修正しました。添削の足りない文章を公開すると恥をかくという見本だ。修正前の文章を読んでいただいた方、重ねてお詫び申し上げます)

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(5/7)連休明け

 みなさん、ゴールデンウィークは楽しく過ごされましたか。この週末まで、まだ休みが続いているという方もいらっしゃるのでしょうね。

 私は一日たりとも休んでいなかったのだが、ここ数日は誰からも連絡(督促ともいう)がなく、穏やかに暮らしていた。今日は小学校にも顔を出さなければならないし(役員会なのです)憂鬱である。正午をまたいで学校の中にいるので、昼食は給食だ。もちろんただではなくて、きちんと一食分の給食費は払うのである。今週末は区の小学校PTA連合会の総会があり、栃木県まで田植え体験に行くバスツアーがある。それが終わって週が明けたら、保護者を対象とした説明会、その週の終わりに小学校のPTA総会があって、ようやく怒濤の日々が終わる。あと十日余り、この身体が持ったらお慰みだ。もちろんその間に、仕事もやらねばならないのだが。

 いっそのこと、あと一週間ばかり、世間が休んでいてくれると楽なのに。

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(5/6)今話題のデ○ィズニーランド

 あちこちブログめぐりをしていたら、下記のエントリーを発見した。

 --「本の雑誌」最新号に、高野秀行「ディズニーランドは赤の広場だった!?」という探訪エッセイが掲載されている。
 --そこにはなんと、原則的に園内にアルコールを置いていない東京ディズニーランドに、杉●松●がワンカップを持ち込んだことが記されている(東京ディズニーシーの方ならアルコールが呑めます)。(後略)

 ええええええ。あの○江○恋がそんな非道いことを。いくら佐藤亜紀に泣かされて自棄になっているからといって、禁酒の公共施設で酒を飲んじゃだめでしょう! 杉○松○は反省しる!

 ……と書いていて思いだしたのだけど、私、かの「王国」にはここ十年(もっとかも)足を踏み入れてないんですが。その杉江氏というのは本の雑誌社の名物営業の方では。

 とはいえ、私の風貌および言動にそういう勘違いを起こさせるような何かがあったということなのだろう。すべて不徳の致すところであります。やっぱり杉江松恋は反省しる! 次に持ち込むときには焼酎にします!

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(5/6)謹白

 佐藤亜紀さんがこのところブログで日本の評論家について厳しいことを書いている。
「評論家」の中には私も入っている(佐藤さんの視野に入っているかどうかはまったく別の話)。今すぐ烽火を上げて呼応できない以上、現状ではこれに言い返す権利はない。また、読んでいながらその批判を無視していることもできないので、ここに「佐藤亜紀に泣かされました、ごめん」と表明しておきたい。
 ここからまた努力していくしかないからね。

 佐藤亜紀さんのブログはこちら。深呼吸をしてから順番にどうぞ。
(古い順)
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/03/2009329.html
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/04/2009425.html
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/05/200953.html
http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2009/05/200953-1.html

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(5/6)僕も泣き真似してあげる

 誰かが死ぬたびに、

「これで一つの時代が終わった」

 だとか、

「あんな人はもう出ない」

 だとか、

「俺の青春は終わった」

 だとか、

「明日からどう生きていけばいいのかわからない」

 だとか、言ったり書いたりするのはヤメロ。あと、(泣)とか(涙)とか(号泣)とか安易に使うな。絵文字は、ちょっと許す。表現方法がそれしか思いつかないんだろうから、咎めるのは野暮だ。でも、上に書いたような後ろ向きのことを書くのはやっぱりヤメロ。

 その人は死んでしまったんだし、君は生きている。生きている人間が死んでいる人間よりも絶望してみせるなんて、どれだけ傲慢なんだ。君は生きているのに。

 その人のように生きてやると、なぜ言えないのか。その人の意志は自分が継ぐといった不遜な表明のほうが、まだ好感が持てる(不遜で鼻持ちならないけど)。何べんも言うけど、生きているだけで死んでいる人よりもよっぽど条件がいいんだ。有利な立場で上から目線で誰にも後ろ指をさされないつもりで世界の主人公になったつもりで、言いたいことを言うもんじゃない。

 その人が死んだのが哀しいなら、少しでも自分が引き継ぐことを考えるべきだ。その人が負っていたものを、分けてもらって自分でも背負ってみるべきだ。それが、きちんとした大人の態度ってものだ。大人になりなさい。大人って言っても、未成年だって心は大人になったっていいんだぜ。周りのコトナ(前田日明用語)を見回して、みっともないなと思ったら、先に大人になりなさい。

 まあ、いちばんいいのは、ブログという安易な手段があるからといって、なんでもかんでもネット上で発表せず、心のうちで静かに自分に語りかけるだけで済ませておくということだ。その点、私も同類だ。ごめんね、野暮で。

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(5/4)忘れないうちに歩こう会のこと

 4月29日の歩こう会について、備忘録を記す。

 今年の最大の改善点は、昨年まで一時間以上も子供たちを拘束していた開会式が、三十分で終了したことだ。子ども連合会の会長挨拶ではじまり、教育長のことば、後援のロータリークラブ挨拶(とよい子の表彰)、青年会議所の挨拶で終了。よい子の表彰のときのみ、やや手間取っていらいらさせられたが(表彰状の文章をいちいち読み上げるので、もたつきそうになった。三人目から『以下同文』になったのでてきぱきと終了)、あとは申し分ない進行だったと思う。はっきりと意識して、子供に負担をかけないようにしようと決めて運営すれば、ちゃんとできるのだ。クレームに耳を傾けてくださったことには素直に感謝したいと思うし、来年からも協力させていただく。

 天気もよく、歩くにはもってこいの日だった。いわゆる天皇晴れというやつですね。うちの地域はただ歩いただけだったのだが、他の地区ではイベントを道中に盛り込んだところもあるそうだ。消防署に寄って、はしご車に乗せてもらう、というめったにできない体験をしたらしい。いいなあ、はしご車。ユンボに乗って穴を掘るとか、清掃車に乗って道路を掃除するとか、やってみたい。あ、歩こう会とはまったく別のイベントか、それは。

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(5/3)僕が君を知っている

 数年前にブルースブラザース・バンドが来日したとき、青山のブルーノートに聴きに行ったのだけど(ビールが高いよ、あそこは)、その前日だか一日あとだかに彼が飛び入り参加で歌った、という話をあとで聞いた。そのときにいたお客さんは、思わぬ拾いもので嬉しかっただろう。癌治療がうまくいったのだと嬉しかったし、いつかまたMG’sとは共演してもらいたいものだと思った。それがかなわなかったのは残念だ。メンフィスが彼を呼んでいたのに。

 スティーヴ・クロッパーさんも寂しいだろうな。どうぞ、安らかにお眠りください。

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(5/2)キネマ旬報

 五月上旬号の見本をいただいた。
 第二特集の映画『天使と悪魔』のコーナーで、原作を読み解くという趣旨の原稿を書いている。
 なにしろ映画が世界同時公開で、マスコミ試写もほとんどないみたいなので、原作の内容を紹介する、というやりかたでしか物語について書くことができないわけだ。読み返してみてびっくりしたが、おもしろいですね『天使と悪魔』は。こういう展開だったか。クリフハンガーの極限といえる場面があって、いかにも映画向きであることに感心させられた。ベストセラーになるべくしてなったという感じである。好みは各人いろいろあるだろうが、読んで損はしないはずだ。

 本日はこれから外出。都内某所で打ち合わせをしてきます。ゴールデンウィークとか、本当に関係ないなあ。

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(5/1)歓送迎会

 昨日は一日小学校にいた。午前中は、間近に迫ったPTA総会の資料作成と配布。総会の出欠をとるとき、同時に総会資料を配る必要があるからだ。去年はそれを知らずに、資料を当日配布しようとしたら役員OBに叱られた。引継ぎのときに教えてくれればいいのに。

 午後は異動された先生の歓送迎会。地域によってはホテルなどで部屋を借りてやる場合もあるようなのだけど、うちは校舎三階の集会室を借りて、お菓子とお茶でこじんまりと。ケータリングもしないし、会費制だ。昨年までは、前年度役員を招待していたのだけど「なぜ先生方の歓送迎会で役員を特別扱いする必要が?」という疑問があったので、今年から招待制を全廃止した。おかげで会計が楽で助かりましたよ。

「こんにちは」
「会話は後! 会計が先!」
「守銭奴!」

 というやりとりをしながらまず金を集めればいいわけだから(一部嘘)。

 仕事をしたわけでもないのに帰宅したらぐったり疲れていた。夕食は摂れず、布団に潜りこんですぐ睡眠。起きたら十一時をまわっていたので、明け方まで働いた。また昼夜逆転の日々である。

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(4/30)二度歩いた日

 昨夜は都内飯田橋で、湊かなえさんのインタビューであった。結構な時間お話していたのだが、そのうちの半分くらいは、小説と関係のない四方山話。あんなことでちゃんと記事にまとめられるのか。いや、大丈夫。

 ちなみに取材を始めたのが午後六時。「歩こう会」が終了して自宅に着いたのが午後四時半だったから、本当にぎりぎりだった。「歩こう会」で不慮の事態が出来したら、間に合わなかったのである。緊密スケジュールもいい加減にしよう、と思いました。

 取材後、飯田橋から南北線で目黒駅まで帰ることにした。目黒駅から一駅の、恵比寿駅がJRの最寄駅なのですね。ところが電車に乗って、腰を下ろした瞬間に猛烈な睡魔に襲われてしまい、昏倒。気がついたら電車が目黒駅を出たところであった。仕方なく次の駅である不動前で降りたのだけど、目の前の光景にそこはかとなく見覚えが。

 これって、昼間の「歩こう会」で通った場所じゃん。

 よく考えたら、駅から出ずに目黒駅まで引き返せばよかったのか。でも、一日に二度同じ場所に来たというのが可笑しく、面倒くさいから同じ道を通って帰ったのだった。子供たちよ、私は一日に一往復半、あの行程を歩きましたよ。おかげで今朝は下半身ががたがたです。

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(4/29)歩いてきた会

 そんなわけで歩いてきました。
 懸念の式典は、思ったよりもずっと改善されていた。なんだ、やればできるんじゃん。
 いろいろ思うことはあるけど、また後日。今日はこれから取材です。

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(4/29)歩く日

 午前一時を回っているというのにまだ床に就くことができないでいる。今日は朝から「歩こう会」の日なのに。朝一でおかずを作って子供と自分の分の弁当を作らないといけないのに。あと八時間したら歩き始める日なのに。やれやれ。

 歩こう会というのは、区の恒例行事で、地区ごとに子供たちが集合し、区内の公園目指してひたすら歩いてくる、というものである。特に何か特典があるわけでもなく(たしか、お菓子と花の苗がもらえる)、歩くことが目的。それ自体は健康増進のために素晴らしいことである。

 だが昨年の歩こう会では、子供たちが炎天下で一時間近くも待機させられるという信じられない出来事があった。このブログでも以前に書いたとおりである。なぜそんなことが起きたかというと、「歩こう会」の事務局の信じられない非常識さのせいだ。子供を立たせたまま、延々と式典を行い、小学生にとってはどうでもいい来賓紹介などを続けたからである。児童虐待もいいところだ。さらに馬鹿げていることに、こうした愚行はここ何年の間、ずっと繰り返されてきたようなのである(一昨年は雨で流れたが、その前の年にもやはり式典はあった)。

 今年も同じことをされたら、私はポーズではなくその場で激怒すると思う。というのも、昨年、あまりに腹が据えかねたので、区長と区の教育長、歩こう会の事務局に対して署名入りで抗議文を送ったからである。区長と教育長からは返事がなかったのだが、事務局からは以降反省して改めるという返事がきた。その言葉が嘘にならないことを祈るのみである。もしくだらない式典が長時間行われるようなら、その場で介入して中断させる。

 会の今後のためにも、強硬手段をとらずに済むことを祈りたい。

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(4/28)体調不良につき

 少しだけ休憩中。文庫解説を今日中に書いてしまいたいのに。あとPTA総会の資料も午後のうちには作ってしまいたいのに。パソコンの前に這ってきて、落ちる寸前だった週刊誌原稿を入れた。一時間だけ、いや三十分だけ寝かせてもらえれば回復します。本当だよ。

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(4/24)えっさかほい

 昨日は地域ボランティア団体の会合で遅くまで。私が最年少ということでも判るとおり、ご多分にもれず高齢化が進んでいる。行事にバスハイクが多いのも、電車を利用すると、子供たちの面倒を見切れないから。「私そろそろ物忘れが激しくなってきたから」「連絡をとりあって漏れがないようにしましょう」などと、お互いの能力の衰えを労わりあう美しい会合である。二十代の人とか、来てくれないかな。

 本日は後輩・変態M1号君が結婚するというのでお祝いである。式は挙げないそうなので、これがうちうちの唯一のお祝い。

「じゃあ、奥さんとも初顔合わせになるね」
「いや、奥さんは呼ばないって言ってた」
「なんで。それじゃ意味ないじゃん」
「破談になると困るからって」
「……」

 彼がわれわれをどういう目で見ているのかよく判りました。

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(4/22)心地よく秘密めいた場所

 深夜になって少し冷えてきたので、久しぶりに暖房をつけようかと思ったが、リモコンが見当たらない。たぶん資料として机の周辺に積んでいる本と一緒になってしまっているのだ。まさか本棚に戻したりはしていないと思うが。

 そういえば昨日だか、NTTから営業の電話があった。光回線を無料で引いてあげる、という勧誘である。引いてもらうのはいいが、パソコンの方がそれに追いつくスペックではないので現状では無駄である……ということを説明するのが面倒くさいので、こう言って断った。

「工事が面倒くさいんです!」
「いえ、工事は私どものほうでやらせていただきますが、もちろん無料で……」
「無料とかそういうことはどうでもいいんですけど、工事の人に部屋に入られたくないんです!」
「はあ……?」
「見られたくないものがパソコンの周りにたくさんあるんです!」
「……」

 覿面に電話を切られたが、おそらくとんでもない変態だと思われたに違いない。「そういう趣味でしたら、光回線を引いたほうがより充実した電脳ライフが遅れますぜ旦那へへへ」とか口説かれなくてよかった。

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(4/22)死亡フラグ

 絶対越えてはいけませんと言われた日付変更線を二時間越えたところで月刊誌(じゃなかったけど)の原稿が完成した。急いで送付。眠いけど、この勢いで週刊誌の原稿も書いてしまわなければ。そうしたら寝よう。この原稿が出来たら、明日からは普通の人の生活を送るんだ……。

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(4/21)口はばったいが

 もう一日ぐらいは余裕があるだろうと高をくくっていた月刊誌が、本日がデッドの週刊誌の〆切と重なって涙目……と書きながらふと気になって確認したら、月刊誌ではなくて月二回刊であることを今になって思い出す。誌名で気がつけ、という話だ。私のバカ。仕方がないので、今からシクシク泣きながら原稿を書きます。いや、準備はしてあったんだけどさ。

 そんな中、今日は新一年生の保護者会があり、学校に顔を出さなければならなかった。PTAの役割について、会長の立場で説明をするためだ。立ち寄ったついでに、五月の行事に関する印刷物を作って配布していたら、もう日が暮れかかっていた。なんてこった。帰りがけ、面倒くさい件が持ち上がっていることを聞かされ、ややめげる。弱り目に祟り目とはまさにこのことだ。仕事に生きよう仕事に!

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(4/20)年表作成

 某誌のお仕事で午前中はずっと年表を作成していた。
 こういう仕事がいちばん楽しいが、切がなくなって困る。一作家一作品と決めて選んでいき、雑誌初出年(書き下ろし作品は刊行年)で並べていく作業。
 知名度の高い作品から入れていき、六割を埋めたぐらいから、ややマイナーな作品に移る。ここからが楽しいのである。「○○と■■は同じジャンルで、デビューは○○の方が早いけど、■■の方が今は読まれているから……」「△は、作品の出来は今一つだが、映像化作品が売れているからなあ」などと品定めをしているうちに、時間が過ぎていく。

 いわゆる吉原の「ひやかし」というのは、こういう遊びなんだろうな(意味がわからないお友達は父親に聞くこと)。

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(4/20)今週から次週にかけての予定

 文庫解説を二つ書かなければならないのと、インタビューを二本やる予定があるのでその準備に追われそうなのだが、それよりも優先すべき課題はブルーシートを洗うことだ。

 四月二十九日に地区の行事で使うので、預かっているブルーシートをそれまでに洗っておかなければならない。学校に行って、洗わせてもらって、鉄棒にでも縛りつけて一晩置いて乾かして。だから二日間晴天が続く日があることが何よりも大事だ。

 お天気が二日続く日があった場合、仕事が停滞する可能性があります。その場合、屋外でデッキブラシを使っているのだと思し召せ。ごしごしと。

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(4/19)今日やれることを明日やるな

 子供が縄跳びが苦手だというので、体育で授業が始まる前に練習するように言った。
 自信がないらしく、そのうちやる云々と言葉を濁している。
 そのうちって、いつだ。いつかやるって言っていたらいつまでもできないぞ、と詰問。

「いつかって言ったら、それは今日のことなんだ。いつかって今だ」

 と言って、どこかで聞いた事がある台詞だと自問自答して、気付いた。

 荒木飛呂彦ですね。

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(4/19)ポエマー

 寝つきがいいのだけが自慢で、いつも床に入るとすぐに眠りに入ってしまうのだが、珍しく昨夜は輾転反側とし、気付くとすでに薄明が訪れていた。馬鹿馬鹿しいので起床して仕事。といっても金にならないボランティアの方の仕事で、五月に行く田植え体験のバスハイクのポスターと申込書をワードでせこせこと作成、午前六時に担当者へと発信した。週刊誌の仕事を頼まれているのだが、妙に疲れてしまってやる気にならない。もう少し日光を浴びてから動かねば。

 そういえば先週は子供の新しい担任との保護者会があった。初対面の印象はあまり芳しくない。生い立ちから現在に至るまでを気持ち良さそうに滔々と語る。「自分は本来無精者」「こんなタイプの教師はいないからなってみようと思った」「保護者の方には自分(教師)のことを知ってもらいたい。そうすれば○○(名前)だから仕方がない。○○だから当てにならない、というようにいちいち納得してもらえると思う」と自分を大売出しであった。言いたいことは判るし、教師と保護者の信頼関係は大事だからお互いのことをよく知るのは大事なことだとも思うが、最初からそうやって予防線ばかり張られても、という気がする。「あたしってそういう人だからあ」ということか。気分は一昔前のギャルなのか。どれだけ自分が大好きなのか。

 昨年の担任は、B4の用紙に細かい活字(9ポ)で日常雑記のようなものを書き連ねた学級通信を一年間発行した。保護者の中には「おもしろい」と好意的に受け止めた人もいたようなのだが、内容は単なる「おやじポエム」。五十を過ぎての自分語りはみっともない。こんな俺節が通用するのは学校教師の世界だけだろう。とんだ寝床である。今年の担任に学級通信の方針について聞いてみると「今自分がいちばん感じていることを書こうと思う」との回答であった。またもや俺節か。「学級通信を出すのは苦手」なのだそうだ。無精者だから? 俺、欠陥品というやつか。どんな哀川翔だ。

 あまり期待しない方が吉だとよく判った保護者会だった。

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(4/17)ボトルネックというやつ

 4月はPTAの年間計画を定めなければならないので忙しい月だ。住区会議といって、地域団体とも連携をとって動かなければならないので、なお面倒である。その住区会議の某さんから、栃木県の農業団体と交流をもっているのでぜひ田植えに参加してもらいたい、との要請があった。子供たちにとってもいい体験になると思ったので、住区会議のバスハイクで田植えと稲刈りを加えることを提案し、了承いただいた。ところがそこからが長かったのだ。

 さっそく某さんに連絡し、先方にセッティングをしていただくよう依頼した。だが、幾日待っても返事が来ない。業を煮やして某さんに再度電話をしたところ、別のA氏に頼んで連絡をしてもらっているのだとか。それならそうと最初から言ってもらいたい。そのA氏は、転勤のため忙しくなって、住区のボランティア事業から身を引いた形になっていたのだ。彼にお願いしても話が進まないのは当然である。それくらいなら私が話を引き取ってしまったほうがいいので、A氏に連絡をとった。

 転勤になったばかりだからか、A氏はなかなか電話に出てくれない。やっと話ができたときは、もう日が無くて告知がぎりぎり間に合うかどうか、というタイミングだった。というのも、住区の掲示板に行事のポスターを貼れるのは、週一回火曜日と決められているからだ。連絡がとれたのは水曜日で、その時点でA氏は、既に依頼をしているが先方の担当者からは連絡がないと言った。連絡がない、じゃなくて可否の確認をしてくれ。忙しいかもしれないが、その確認がとれないのなら、他の誰かに代理を頼むべきだ。ぶち切れそうになるのをこらえて、先方の連絡先を教えてくれるように頼んだ。A氏は、仕事の帰りにポストに関連文書を入れておくと言って電話を切った。

 翌朝、木曜日。たしかに文書は入っていた。連絡先(らしき)電話番号も書いてある。だが、肝腎の先方の担当者の名前がわからないのだ。なんだかこめかみがずきずきするのだが、我慢して再度電話をした。これこれこういう理由で先方に電話ができない、と言うとA氏は「すいません、そういえばその紙には向こうの市外局番が入っていません」と言った。たしかに市外局番は入っていない。だが、それは調べれば判るのである。頼むから、私の言うことを聞いてくれ。知りたいのは、自分では調べようがない、先方の担当者の名前だ。大事なことだから二回繰り返すと、ようやく責任者の名前というのを教えてくれた。やった。これで直接先方に電話ができる。こんなに(話をし始めてから、すでに二週間は経っている)時間がかかるなら、最初から自分で電話をしたのに!

 急いで電話をした。責任者だという女性のB氏は、そういう依頼は聞いていない、と言った。なにー、むきーっ。だが怒っていてもしかたがない。とりあえずこういう趣旨で田植え体験のお願いをしたいのだ、と頼むと「わかりました。受け入れ先の農家が準備できるかどうかを確認します」と言う。「お願いをしておいて申し訳ないのですが、連休前なので、時間の制約があるのです。いつごろ可否がわかりますでしょうか」「そうですね。向こうの人がつかまれば、すぐに判ると思いますよ」とB氏は言った。「と、とにかくお願いします」と懇願して電話を切る。結局、その日に連絡はなかったのだが、翌金曜日になって約束通り電話をいただいた。

「大丈夫です。ご希望の日に田植えができると言っています」
「ありがとうございますー」
「できればもう少し早めにおっしゃっていただけると話は早かったんですが」
「(話はしたんですが)わかりました。今後は気をつけますー。お手数をかけて申し訳ありませんでしたー」
「よろしくお願いします」
「うへーっ」

 何を言われても平伏するしかない、カピバラなみに立場の弱い私であった。草食系男子というのはこういうことを言うのか?

 まあ、そんなわけで五月には田植えをしに行くことになった。その日には某作家の結婚パーティーにも呼んでいただいているので、本当は東京を離れたくないのである。五月には運動会もあるし、PTA総会もあるし、とにかく行事がたくさんあるので、田植えなんかに行きたくはないのである。なのに土下座せんばかりの勢いで電話機に額をすりつけ、お願いしてセッティングをしてもらったわけだ。某氏とかA氏とか、私よりもはるかに土下座しなければならない人間が他にいるのだが、世の中とはそういうものである。

 PTA活動というやつは、こうして動いている。

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(3/13)不思議と眠くない

 徹夜で原稿を書いたが終わらず、朝を迎えてしまった。

 家を出て、徒歩で警察署へ。落し物が届いているとの連絡を受けたのだ。受け取り、そのまま引き返して近くの総合病院へ。今日は糖尿病の定期健診の日である。受付をして、まず採血。結果が出るまで一時間ぐらいかかるので、家に引き返し、小物の原稿を片付ける。ファックスでそれを送ったらすぐに家を出て、病院まで歩いて戻る。道すがら気がついたのは、警察署と家の間にあるボランティアセンターに寄る用事があったということだった。来週に控えている町会の映画鑑賞会で、行事保険をかける必要があるのだ。今日中にもう一度、あの道をたどらないといけない……。

 PTAやら町会やらのボランティアを抱えながら、糖尿病という持病もあり、日々〆切に追われる生活、というのはこんな毎日を過ごすことである。仕事はボランティアが忙しくてできない言い訳にならないし、その逆もしかり。毎日なにかに追われる気分である。そういうのが好きなんですか、と聞かれたら「好きではないです」と答える。しかし、嫌いではできないことではある。

 えーと、あれだ、そう、趣味だ趣味。通院もボランティアも趣味。そういうことにしておいてください。

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